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熊手の正しい買い方、知っていますか? 年末年始の行事にあやかって商売繁盛!
2018.10.29
日本には、古くからお中元・お歳暮や酉(とり)の市など、お付き合いの慣習や商売繁盛につながる行事が様々あります。それらが生まれた由来や作法を知り、取引先とのお付き合いや社員とのコミュニケーションに役立ててみませんか?
今回は「年末年始の行事にあやかって商売繁盛!」と題し、新しい年に福を呼び込む「開運アクション」をご紹介します。
目次
酉の市の熊手で翌年の商売繁盛を祈願する
11月の酉の日に、全国各地の「鷲(おおとり)神社」で行われる祭りが酉(とり)の市です。年末と呼ぶにはまだ早い11月の行事ではありますが、新しい年の商売繁盛を願う行事ですから、酉の市に訪れる人の気分は、すっかり師走そのものです。
酉の市は、「おとりさま」とも呼ばれる江戸時代から続く行事で、浅草の鷲在山長國寺(しゅざいざんちょうこくじ)や、新宿の花園神社、関西では大阪府堺市にある大鳥神社が有名です。その年の11月の十二支の巡りによって、一の酉、二の酉、場合によっては三の酉まであります。
酉の市では、境内や門前に熊手の市が立ち、露天商が軒を並べます。お多福のお面や小判などを飾った熊手は「運をかき入れる」とされる縁起物。買い手と売り手の「まけた(負けた)!」「買った(勝った)!」という威勢の良い値段交渉が名物で、商売が成立すると手打ちをして翌年の福を願います。
酉の市の発祥は、東京都足立区花畑の産土(うぶすな)神である大鷲神社(おおとりじんじゃ)で、ここに参詣した源義光が、鷲の姿に戦いの勝利を予感したことから、武運祈願の神社として名を高めました。酉の市は15世紀に始まり、もとは地元の収穫祭として日用品や農具などが売られるだけのものでした。しかし江戸時代に入ると、「酉(とり)」の音が「客を取り込む」に通じるとされ、商売繁盛や開運の祭りに変化します。市に並ぶ物も、縁起物や土産物が大勢を占めるようになりました。
そうして生まれたのが、毎年購入する企業も多い、「熊手」です。物をかき入れる道具の熊手が「福をかき入れる縁起物」にアレンジされた招福熊手は、七福神や宝船、鶴亀、大判小判などの縁起物が豪華に施されています。酉の市の賑(にぎ)わいは年ごとに高まり、商売人がこぞって訪れ、買い求めるようになりました。
商売繁盛をかなえるとされる熊手の買い方のコツは次の2点です。
- さらなる招福を願って最初の年は小さい熊手にし、少しずつ大きい熊手に買い替える
- 安く買うほど縁起が良いとされるので、値切り交渉をする。ただし値切った分は釣りとして受け取るのでなくご祝儀として売り子に渡す。
値段が決まったら、威勢よく三本締めで締めます。
購入した熊手は、神棚など家の少し高いところに、南か東に向けて飾ります。古い熊手は、次の年の酉の市に、熊手を納める場所がありますから、一年の守護を感謝して納めます。
すす払い、門松やしめ飾り-正月事始めを完璧に!
正月事始めとは、正月の準備を始める日のことで、歳神様を迎える準備と言い換えてもよいでしょう。年が改まると、その一年を守る歳神様が、門松を依り代として訪れるといいます。家庭では、それまでに家の隅々を清め、しめ飾りで結界を張り、お供えとして鏡餅を用意します。もちろん会社でも、門松やしめ飾りを飾るのは、正月を迎えるのに必要な準備であるほか、会社としての体裁を整えるためにも大切なアクションといえます。
正月事始めの最初は、平安時代でした。当時は門松用の松を山に伐採に行く「松迎え」が行われました。ただし、松迎えに出るには、家のすす払いを行ってから、というのが決まりです。それは、清浄な心身でなければ松を伐採する資格がないという考えがあったからです。すす払いは、単にほこりを落とす掃除の一環ではなく、一年のうちについた邪気を祓うという意味が強かったのです。
江戸時代には、寛永17(1640)年に、3代将軍家光が、12月13日を江戸城のすす払いの日と定めました。この日に定めたのは、1685年まで使われていた宣明暦で、12月13日が、日取りを占う宿曜(すくよう)道で、鬼宿日(きしゅくび)という大吉日に当たっていたからでした。寛永17年は、駒ヶ岳の大噴火、大聖寺の大地震と天変地異が続いたため、家光は良き日を選んで城を清め、新しい年を迎えたかったのでしょう。12月13日の江戸城のすす払いは、武家から庶民へと広がり、現在でも多くの寺社が13日にすす払いを行っています。会社では、大掃除は仕事納めの日に行うことが多いと思いますが、今年は縁起を担ぐ意味で13日にすす払いをし、プレ大掃除とするのも悪くないかもしれません。
門松やしめ飾り、鏡餅を飾るのは、一般的に29日は「二重苦」につながるためタブーとされ、31日は「一夜飾り」といって、歳神様を慌ただしく迎える失礼を戒めます。そのため、正月飾りは、28日か30日に飾ることが多いようです。会社でも、飾る日に注意を払いましょう。
正月飾りが整い、大掃除も済んだ仕事納めの日。ランチや締めの飲み会のメニューには、ぜひ年越しそばを。一般的に年越しそばは、「そばのように家運や寿命が長く続く」ことを願う食べ物ですが、もうひとつ意味があります。それは、「そばを食べるとお金が集まる」というもの。
その縁起は、江戸時代、金箔(きんぱく)職人たちが練ったそば粉を団子に丸め、その粘着力を利用して散った金箔を集めたことにありました。ですから、江戸時代の商家では、家運と寿命に加え、お金を集めるご利益も、年越しそばに求めていたと考えられます。来年はもっとお金が集まりますように、もっと利益が生み出せますように。年越しそばで景気をつけましょう。
参拝のマナーを知って社員総出の初詣
新年最初の行事が「初詣」です。初詣はもともと大みそかの夜に氏子の家長たちが鎮守にこもり、新年の訪れを祈りながら待つ「年籠もり」という習慣からきたものです。これがやがて大みそかの「除夜詣」と新年の「元日詣」に分かれ、元日詣が初詣となりました。
参拝する神社は、古くは氏神様がほとんどでしたが、やがてその年の恵方(その年に歳神様がいる方角のことで、節分にこの方角に向かって太巻きを食べると福が舞い込むとされる)の神社に変わり、近年は日頃信仰している神様の神社や人気の神社に詣でることが多くなりました。
神社を参拝する際には、いくつかマナーがあります。
- 鳥居は結界を表すものであるため、くぐる前に必ず一礼する
- 参道の中央は神様が通る道とされているので、参道を歩く際は端を歩くこと
- 参道脇の手水舎で外界の汚れを以下のように清める
①右手でひしゃくに水をくみ、左手にかけて洗う
②ひしゃくを左手に持ち替えて水をくみ、右手を洗う
③再びひしゃくを右手に持ち替えて水をくみ、左手で水を受け、軽く口をすすぐ
④ひしゃくを立てて持ち、残った水でひしゃくの柄を洗う - 社殿の前ではさい銭を投げ入れてから鈴を鳴らし、二礼二拍手一礼して下がる
初詣は、歳神様を迎える意味合いが強いため、本来の参拝の日時は、大みそかの夜から元日の朝にかけて行うのが正式です。ただし、社員と一緒に会社として詣でる場合は、仕事始めの日がふさわしいでしょう。もともと「初詣」に該当するのは、歳神様が人間界に滞在しているとされる1月7日まで(地域によっては15日まで)が目安です。
そして、初詣では、開運祈願に破魔矢などの縁起物を購入するのもよいでしょう。破魔矢は本来、破魔弓(はまゆみ)と一式で、作物の豊穣を占う弓射(ゆみいり)が起源。やがて、矢だけが厄や魔を射る縁起物に変わり、家内安全や無病息災をご利益とするお守りになりました。
次回は、ビジネス上での人付き合いの慣習として行われている、お中元やお歳暮の送り方などについて取り上げます。
この記事の著者
弥報編集部
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