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【2026年度版】労務担当者が押さえるべき助成金の改正ポイント

2026.07.07

著者:弥報編集部

厚生労働省が提供する雇用・労働分野の助成金は、雇用の安定や職場環境の改善、仕事と家庭の両立支援、従業員の能力向上、生産性の向上といった企業の取り組みを支援するための制度です。

今回の記事では、2026年4月に改正された助成金のうち、「キャリアアップ助成金」「人材開発支援助成金」「働き方改革推進支援助成金」「両立支援等助成金」の4つの制度に焦点を当て、主な改正ポイントを解説します。


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キャリアアップ助成金(正社員化コース)

助成金概要

キャリアアップ助成金は、就業規則等に規定した制度に基づき、有期雇用や無期雇用の契約社員、パート・アルバイトなど非正規雇用の従業員(以下、有期契約労働者等)のキャリアアップを促進するための制度です。この助成金の中心となる「正社員化コース」は、有期契約労働者等を正社員(多様な正社員を含む。以下同じ)に転換(派遣労働者の直接雇用含む。以下、転換等)した場合に支給される助成金です。

改正ポイント

今回の改正により、情報公開を促進する新たな加算措置が新設されることとなりました。

以下の情報(有期契約労働者等の処遇改善にかかる情報)について、企業が自ら公表するよう促すことを目的としています。

【加算を受けられる対象】

2026年4月8日以降に正社員へ転換等した従業員にかかる申請

【加算額】

1事業所あたり1回のみ20万円(大企業15万円)

【公表方法】

以下のいずれかへの公表が必要です。
1. 自社サイト
2. 職場情報総合サイト「しょくばらぼ」(※)
※「しょくばらぼ」とは、求職者や学生に広く情報提供を行う厚生労働省によるWebサイトです。

参考|厚生労働省『しょくばらぼ』

詳細については、厚生労働省の以下のパンフレットで確認できます。

参考|厚生労働省『キャリアアップ助成金のご案内(令和8年度版)』P33

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人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)

助成金概要

人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング支援コース」は、「新しい製品・サービスで新規事業への展開」や「DX化(※1)、グリーン・カーボンニュートラル化(※2)」に対応した人材育成を行う企業を支援する制度です。従業員に新たなスキルを習得させるための訓練(※3)経費や、訓練期間中の賃金の一部が助成されます。

※1:デジタル技術の活用による業務の効率化、ビジネスモデルや企業文化等の変革などにより、競争優位性を確立すること(例:ITツールの活用や電子契約システムの導入によるペーパーレス化、アプリを開発し、顧客の待ち時間を可視化することによる、人員配置の最適化 など)

※2:省エネ、再生可能エネルギーの活用等により、CO2等の温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすること(例:ドローンを活用した農薬散布、風力発電機や太陽光パネルの導入 など)

※3:情報通信、情報セキュリティ、クリーンエネルギー等に関する部署の強化など、デジタル化の推進を図るため人員の増加を行う場合、その職務に従事する従業員に必要となる訓練など

 (出典)厚生労働省『新規事業展開やDX推進等の人材育成に 「人材開発支援助成金」が活用できます~「事業展開等リスキリング支援コース」のご案内~』(加工して作成)

改正ポイント

①設備投資加算の新設(対象:中小企業事業主のみ)

訓練修了後、その事業展開に必要となる機器・設備を導入して一定の賃金引上げを行った場合、設備導入費用の50%が助成されます。この加算は、2026年4月8日以降に提出された職業訓練実施計画届に基づく訓練から対象となります。

【設備投資加算にかかる要件(事業主の要件、訓練の要件)】

【助成率および上限額】

(出典)厚生労働省『人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)改正 設備投資加算を新設しました』P2(一部抜粋して掲載)

【申請時期】

設備投資加算の申請時期は、通常分(経費助成および賃金助成)と異なることに注意が必要です。

(出典)厚生労働省『設備投資加算を新設しました』P2(加工して作成)

対象訓練の拡充

2025年度の改正ではありますが、2026年3月2日より対象となる訓練範囲が広がりました。今後は「従業員が今後従事することが予定される職務に関連する知識または技能を習得させるための職業訓練等」も対象となります。

このほかの対象となる訓練については、以下のリーフレットで確認できます。

参考|厚生労働省『新規事業展開やDX推進等の人材育成に「人材開発支援助成金」が活用できます』

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働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)

助成金概要(対象:中小企業事業主のみ) 

働き方改革推進支援助成金「労働時間短縮・年休促進支援コース」は、生産性の向上を図り、時間外労働・休日労働の削減、年次有給休暇の取得促進など働きやすい職場環境の整備に取り組む企業を支援する制度です。

設備・機器導入などの投資コストを補填しつつ、賃金引上げを原動力に組織の底上げを図る企業を後押しする内容となっています。

【2026年度の申請について】

2026年4月13日(月)より申請受付が開始されました。申請期限は2026年11月30日(月)です(ただし、予算額の制約により、11月30日以前に予告なく受付が締め切られる場合があります)。

【対象となる取り組みおよび成果目標】

下図について、上段「改善事業(助成対象となる取組)」のうちひとつ以上の取り組みを行います。このとき、下段「成果目標」のうちひとつ以上を選択するとともに、その目標達成を目指して改善事業に取り組みます。

(出典)厚生労働省『令和8年度「働き方改革推進支援助成金」 労働時間短縮・年休促進支援コースのご案内』P2(一部抜粋して掲載)

なお、成果目標➀~③に以下の取り組みを追加した場合は「加算制度」が適用され、助成額が加算されます。

・賃金の引上げ:従業員の時間あたりの賃金額を引き上げる
・割増賃金率の引上げ:割増賃金率を一定以上に引き上げる

加算制度については、2026年度の改正により内容が一部変更されています。詳しくは、「改正ポイント」をご確認ください。

【支給額】

取り組みの実施に要した費用の一部が、成果目標の達成状況に応じて支給されます。

なお、上限額および加算額は、以下のリーフレットで確認できます。

参考|厚生労働省『令和8年度「働き方改革推進支援助成金」 労働時間短縮・年休促進支援コースのご案内』P2

改正ポイント

賃金引上げによる加算の拡充

賃金引上げに取り組む小規模な企業を、より手厚くサポートする加算制度に変更されました。

賃金引上げの加算とは、加算制度のひとつである「賃金の引上げ」に取り組んだ企業に対して、達成した成果目標の上限額に下表の額が加算されることをいいます。

(出典)厚生労働省『令和8年度「働き方改革推進支援助成金」 労働時間短縮・年休促進支援コースのご案内』P2(一部抜粋して掲載)

これまで、常時雇用する従業員数30人以下の企業が5%以上または7%以上の賃金引上げを行った場合、上表の「2倍」の上限額が加算されていました。

今回の改正により、従業員数10人未満の企業が5%以上または7%以上の賃金引上げを行った場合は、上表の「2.5倍」の上限額が加算されることとなりました(従業員数10人以上30人以下の企業はこれまでどおり上表の「2倍」です)。

②割増賃金率引上げによる加算の新設

加算制度のひとつである「割増賃金率の引上げ」に取り組んだ企業に対して、達成した成果目標の上限額に下表の額が加算されることとなりました。

(出典)厚生労働省『令和8年度「働き方改革推進支援助成金」 労働時間短縮・年休促進支援コースのご案内』P2(一部抜粋して掲載)

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両立支援等助成金(柔軟な働き方選択制度等支援コース)

助成金概要(対象:中小企業事業主のみ)

育児や介護等を行う従業員が働きやすい環境づくりは、優秀な人材確保や流出防止につながります。

両立支援等助成金「柔軟な働き方選択制度等支援コース」は、従業員の育児と仕事の両立支援のため柔軟な働き方に関する制度を導入した企業に対して、従業員が制度を利用した場合に助成する制度です。

このコースには以下の2種類があります。

改正ポイント

①子の看護等休暇制度有給化支援の要件追加

これまでは、子の看護等休暇制度を有給化することが支給要件でした。今回の改正により、対象となる従業員が制度を10時間以上利用することなども支給要件に加わり、利用実績を重視する仕組みに変更されました。

②障害児等要配慮支援加算(1事業主あたり1回のみ)

障害など特定の配慮が必要な家庭への支援として新たな加算措置が設けられました。

障害児等(障害のある子どもや医療的ケアを必要とする子ども)を養育する従業員に対して、「柔軟な働き方選択制度」のすべて、もしくは「有給の子の看護等休暇制度」の利用期間をその子どもが18歳になる年度末まで引き上げた場合に20万円が加算されます。

「柔軟な働き方選択制度」の場合

2026年4月7日以前から「柔軟な働き方選択制度」を18歳になる年度末まで利用可能な制度として規定していた場合でも対象となります。ただし加算の支給対象となるのは、2026年4月8日以降に3歳以上小学校就学前の子どもを持つ従業員が制度を利用開始した実績に限定されます。

「子の看護等休暇有給化支援」の場合

2026年4月8日以降に新たに規定した制度が支給対象です。障害児等の子を持つ労働者が、その子どもが18歳になる年度末まで利用可能な制度であれば、加算の対象となります。

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おわりに

近年の助成金制度の改正では、単に制度を導入するだけでなく、情報を外部公表したり、訓練と連動して設備を導入するなど、実効性を伴う取り組みが多くなっています。事前の計画届や就業規則の整備が必要となるものも多く、あらかじめ改正内容を十分に把握しておくこと、そして取り組む前に改正前・改正後のどちらの支給要件が適用されるかの確認が重要です。


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