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「紹介」が生まれる仕組みのつくり方。中小企業がすぐできる実践のヒント【船井総研が解説】

2026.08.28

著者:弥報編集部

監修者:本倉 裕大

既存顧客をはじめとする関係者からの「紹介」は強力な集客ルートですが、その獲得を現場の営業担当者任せにしていないでしょうか。「いつ紹介が来るか読めず、受注の見込みが立てにくい」と悩む企業は少なくありません。

しかし、紹介は「待つもの」ではなく、自社で仕組みとして設計することが可能です。この記事では船井総合研究所の本倉さんに、営業担当が少なくても紹介を生み出す「紹介創出の仕組み」の設計方法と、中小企業の成功事例について伺いました。


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なぜ「紹介」が必要なのか?紹介が少ない企業が抱える課題

口コミや紹介による集客が少ない企業には、どのような課題があるでしょうか。

まず、紹介経由の集客が少ないと、新規顧客を獲得するために、広告などの集客施策に依存することになります。その結果、広告費をはじめとする集客コストがかさみやすくなります。

また、1件の受注を獲得するまでに多くの時間と工数がかかり、営業の生産性も下がりやすくなります。例えば注文住宅の営業では、紹介経由の受注が30〜60%を占めるケースもあり、一般的な営業活動と比較して成約率が2~4倍になることも少なくありません。紹介が少ない状態は、コスト面でも生産性の面でも不利な状況といえるでしょう。

ただ、紹介が多いこと自体は強みですが、それに依存しすぎると別の問題が生じることもあります。

紹介が途切れた場合、新規顧客との接点が急減してしまうリスクがあります。また、紹介の発生タイミングや件数が計画的に見込みにくく、業績をコントロールしづらい点も課題です。

さらに「あの担当者は紹介が多い」といった属人化も起こりやすくなります。個人の人脈や営業力に頼るだけでは、組織として再現性のある営業方法になりません。こうした課題を解決するのが、紹介を自社で生み出す「仕組みづくり」です。

どのように紹介を生み出していけばいいのでしょうか。

「良いサービスを提供すれば、自然と紹介が生まれる」と考えがちですが、実際には紹介は待っているだけではなかなか増えません。飲食店など一部の業種では自然に口コミが広がるケースもありますが、多くの企業では、意図的に紹介を依頼することが必要です。

そもそも、顧客に紹介を依頼すること自体に心理的なハードルを感じ、実行できていない企業が多くあります。まずはそのハードルを乗り越え、実際に依頼することが大切です。その際のポイントは、特定の顧客だけでなく、対象となる顧客には漏れなく依頼することです。

また、紹介してほしい相手を限定しすぎない聞き方にすると、紹介につながる可能性が高まります。例えば住宅販売なら「知り合いに家を買う人はいませんか」という聞き方よりも、「最近ご結婚された方はいらっしゃいませんか」と聞いたほうが、紹介できそうな相手を思い浮かべてもらいやすくなります。

さらに、「ぜひご紹介ください」と明確に伝えることも大切です。本気度が伝わり、相手も行動に移しやすくなります。

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紹介元は顧客だけじゃない!周囲を巻き込んで件数を最大化する

具体的にはどうやって「仕組み」を作ればよいのでしょうか。

大前提として、商品やサービスそのものの満足度や品質が高いことは欠かせません。そのうえで「なぜこの商品を選んだのか」を顧客と一緒に整理し、言語化が可能な状態を作ることが大切です。顧客自身も、商品を選んだ決め手をうまく説明できないケースが意外と多くあるため、選んだ理由を共に整理しておけば、顧客も紹介する相手に魅力を伝えやすくなります。

さらに、商品そのものに加えて、プラスアルファの価値を提供することも紹介につながります。例えば住宅業界であれば、メモリアルイベントや食事会などの「感動体験」が、紹介の後押しになるでしょう。

まずは、紹介の依頼を営業担当者任せにせず、全社で取り組む仕組みにすることが大切です。プロジェクトチームを立ち上げ、紹介件数などの数値目標を明確に設定し、組織全体で共有しましょう。

次に、紹介を促進するためのツールと導線を整えます。例えば、紹介用のパンフレットを用意して魅力を説明しやすくしたり、紹介を受け付けるWebページを設けて、紹介の受け皿を整備したりする方法があります。そのうえで、パンフレットなどを活用しながら、営業担当者がどのタイミングで、どのように紹介を依頼するのかを決め、行動を標準化していきます。

紹介料などインセンティブの設計はどのようにすればいいですか。

インセンティブについては、金額の多さだけで紹介数が大きく増えるわけではないと考えています。

一方で、複数回紹介してくれる方に対して、より大きなメリットを設けることは効果的です。紹介を多くしてくれる、いわばアンバサダーのような顧客に継続的に協力してもらうことで、全体の紹介数を伸ばせます。

また、契約時や販売時は、必ず紹介を依頼したいタイミングです。その後もフォローをすることで、紹介を生み出す機会を増やせます。

例えば住宅業界では、引き渡し後にメモリアルイベントを実施したり、定期点検やオーナー向けイベントを開催したりすることで、顧客との接点を長く維持できます。

こうした取り組みを通じて満足感を高めながら、適切なタイミングで紹介を依頼することが、長期的な紹介につながります。

紹介を依頼する相手は、主に顧客でしょうか。他に対象があれば教えてください。

顧客は商品やサービスの魅力を実感しているため、必ず紹介を依頼したい相手です。ただし、商品やサービスの魅力を実感しているのは顧客だけではありません。

例えば住宅業界では、紹介案件のうち顧客からの紹介は30〜50%で、残りは社員や協力会社からの紹介です。顧客だけでなく、社員や協力会社など、自社と関係性の深い相手にも紹介を依頼し、紹介を生み出す対象を広げましょう。

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中小企業でもすぐに取り組める具体的なステップ

中小企業がすぐに取り組むとしたら、何から始めたらよいでしょうか。

まず取り組みやすいのは、紹介を数値で管理することです。紹介を依頼して終わりにするのではなく、年間・月間の紹介件数目標を設定し、予算と実績を管理しながら目標達成を目指す体制を整えましょう。

また、紹介を依頼するタイミングを明確にすることも、すぐに取り組める施策です。例えば、契約時には100%依頼する、引き渡し時や定期点検のタイミングでも声をかける、といったようにルールを決めます。こうすることで、担当者によるばらつきを防ぎ、安定して紹介の機会を作れるようになります。

なるべく予算を抑えて取り組む方法はありますか。

インセンティブを設ける場合は、一定の費用がかかります。また、顧客との関係性を継続するためにイベントなどを開催すれば、その分の費用も必要です。

一方で、社員や協力会社であれば、日ごろの業務を通じて既に関係性が構築できています。そのため、新たな費用をかけずに紹介を依頼できる機会も多くあります。協力会社と集まる機会があれば、その場で紹介を依頼するなど、タイミングを逃さずに働きかけるようにしましょう。

時間をかけず、効率的に取り組む方法を教えてください。

紹介を依頼するために新たな時間を作るのではなく、既存業務に組み込むのが効率的です。例えば契約時の打ち合わせの中で、2〜3分あれば紹介依頼は十分に実行可能です。

また、顧客の状況を考慮しながら紹介を依頼するタイミングを社内でルール化しておけば、都度判断する手間が省けます。特別な施策を増やすのではなく、シンプルに繰り返し伝えていくことの積み重ねが紹介数の差につながります。

紹介の仕組みを作る際に、失敗しやすいポイントや注意点はありますか。

よくある失敗は、紹介を増やそうという方針だけを掲げ、具体的な行動に落とし込めていないケースです。行動する人としない人に分かれるだけでなく、依頼する方法やタイミングにもばらつきが生じ、結果につながりにくくなります。

「だれが、いつ、どのように紹介を依頼するのか」という行動や目標を設定したうえで、実際に行動できているかを確認できる体制を作りましょう。

そして、紹介を依頼する取り組みの価値を社内で正しく認識することも大切です。紹介による集客は、売上を伸ばすだけでなく広告費をはじめとする集客コストや営業活動の負担を抑えることにもつながります。顧客、企業、営業担当者のそれぞれにメリットがあることを社員一人ひとりが理解できれば、紹介を依頼する心理的ハードルも下がり、取り組みを継続しやすくなるでしょう。

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コストをかけずに紹介経由の売上を仕組み化した中小企業の成功事例

紹介経由の売上を仕組み化した中小企業の事例をご紹介ください。

現在ご支援している、営業担当者が約30名の企業の例を紹介します。ご支援前から紹介自体は発生していたものの、件数を把握しておらず、紹介がどれだけ売上に貢献しているのかも見えていない状況でした。

そこでまず、現状の紹介件数を把握したうえで目標を設定し、予算と実績を管理する体制を構築しました。具体的には「だれが、いつ、何件の紹介を依頼したのか」「目標との差はどの程度あるのか」をチェックし、目標達成に向けて改善を行いました。

改善といっても、特別に難しい施策を行ったわけではなく、「対象者に紹介を依頼する」という行動を徹底したのです。顧客との接点を増やすための感謝祭や、インセンティブの設計を一部見直しましたが、中心となったのは、紹介を依頼できているかを確認し、できていなければ改善するという取り組みでした。その結果、取り組み開始からわずか1年ほどで、紹介件数は約2倍に増加する見込みです。

この事例から、他社が活かせるポイントは何でしょうか。

この事例からわかるのは、紹介は「依頼する」という行動を徹底するだけでも、増やせる可能性があるということです。これまで紹介が少なかった企業ほど改善の余地が大きく、早い段階で効果が現れやすい印象があります。

まずは、契約時など、あらかじめ決めたタイミングで漏れなく紹介を依頼することから始めてみましょう。難しい仕組みや特別なスキルが必要なわけではありません。紹介を依頼するタイミングと方法を決め、実行できているか確認する。この基本の徹底は、業種や企業規模を問いません。

さらに、定期的な感謝祭やイベントを通じて顧客との関係性を深めたり、複数回紹介してくれる顧客に手厚いインセンティブを用意したりすることで、紹介を生み出す力をさらに高められるでしょう。


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この記事の著者

弥報編集部

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この記事の監修者

本倉 裕大(株式会社船井総合研究所 住宅・リフォーム支援部 住宅ユニット マネージャー)

2018年船井総合研究所に新卒で入社。以来、住宅不動産業界のコンサルティングに従事。地域トップクラスのビルダーを中心に各企業の成長フェーズにおける適切な提案と実行支援に定評がある。特に注文住宅、分譲住宅における中長期経営計画策定、拠点戦略構築、新商品開発、マーケティングによる即時集客数アップを得意とし、地域No.1クラスの住宅会社の業績アップを多数サポートしている。

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