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「悪質」に注意! 資金調達コンサルタントの正しい選び方

2019.09.25

経営者のみなさんが企業財務や資金調達について金融系のコンサルタントや専門家に相談したい時、どうやって目当ての相手を探しますか?

顧問税理士や顧問弁護士など信頼できる人から紹介を受けるのが最も安心ですが、そうでなければインターネット検索を利用されるケースが多いのではないでしょうか。

今回は悪質なコンサルタントを避け、良質なコンサルタントと出会うための、その探し方や留意点についてご説明していきます。

コンサルタントの良し悪しが経営を左右する

金融系のコンサルタントといっても玉石混交、世の中にはいろいろな人がいます。

会社の資金調達や事業再生について誠心誠意、指導・サポートしてくれる良いコンサルタントもいれば、悪意を持って近づいてくる人も。最初は満面の笑みと甘い言葉ですり寄ってきて、会社がいざ資金調達できそうになると突然ひょう変して高額な成功報酬を要求してきたり、中には金融機関を騙して融資を引き出すために粉飾決算を持ちかけてくる悪質なコンサルタントもいます。

また、悪質とは違いますが、知識の乏しいコンサルタントと出会ってしまった時も大変です。たとえば事業再生をしている企業が中途半端なアドバイスをされ、不要な時に不要なお金をノンバンクから借りてしまった、などの話も聞かれます。

事業再生中の企業でも普段付き合いのある銀行や信用金庫などから融資を受けられる、その交渉の余地があるレアなケースもあります。おかしなところから融資を受けて事業が回らなくなれば、普段付き合いのある金融機関との関係もこじれますし、その後は様々な支援を受けづらくなります。

資金調達や事業再生には高い専門知識が求められますから、知識・経験の少ないコンサルタントもなるべく避けたいものです。

現在、政府が起業家や小規模・中小事業者向けの金融支援に多額の予算を投じています。また、成長戦略の趣旨(国、行政、支援機関、士業、専門家などが一丸となって起業家や中小事業者を支援する)を世間に強調しています。そうした社会的背景もあり、「(創業)融資」や「補助金」の専門家がここ数年で急増しているのです。企業からすると、コンサルタントを選べる状況にありますが、重要なのは「誰をどう選ぶか」という見極めの目を持つことです。

では、コンサルタントの良し悪しはどう判断したらいいのでしょうか? 次にコンサルタントの探し方や注意点について解説していきます。

ネット検索時は、大げさな数字や肩書に惑わされない

現在はネット検索で、なんでも探せるようになりました。経営者が資金調達をしたい時に、実績のあるコンサルタントを探すことも比較的容易にできます。しかし、ウェブサイトの情報はどこまで信用していいのでしょうか。ここではネット検索で注意したい2つのポイントを挙げます。

1)成功率などの見かけの数字に惑わされない

ウェブサイトで「私の支援成功率は99%です!」といったキャッチフレーズを掲げ、実績をアピールするコンサルタントをよく見かけます。仮にこの数字が嘘ではなかったとしても、こうした「大げさな数字のアピール」に惑わされないようにしてください。

たとえば、資金調達が成功する可能性の高い人しか支援しない(つまりお客様にしない)コンサルタントであれば、当然成功率は高まります。また、助成金に詳しい社会保険労務士に言わせると、「厚生労働省などの助成金の中には、要件さえ合致すればほぼ受給に至るものもある」そうです。これらが数字の根拠であれば、数字自体があてにならないのです。

他にも、コンサルタントが一人しかいないコンサルティング会社のウェブサイトで、「年間1,000人の起業家を支援しています」といったキャッチフレーズを見かけることがあります。この場合、コンサルタント一人で一日当たり2.7人を支援していることになり、こちらは数字の根拠も曖昧です。

2)資格や肩書などに惑わされない

ウェブサイトでコンサルタントのプロフィールを見ると、保有資格(税理士、行政書士、中小企業診断士、FPなど)や肩書などが掲載されており、「国家有資格者」=「能力の高い人」と認識してしまいがちです。また、「元銀行員」といった肩書きも魅力的に映りますが、元銀行員だからといって優秀とは限りません。銀行員とコンサルタントの仕事は全く違うからです。

企業の財務体質の改善、資金調達や資金繰りにおいては、銀行融資だけでなく、日本政策金融公庫、補助金・助成金、ノンバンクなどの活用、さらにはM&A、事業再生、事業承継といった様々な知識や経験が求められます。

経営者にとって役立つのは、「資格や肩書ではなく、課題を解決してくれるコンサルタント」という認識をしっかり持っていただきたいと思います。コンサルタント探しでは、自分たちの問いかけに対して誠実であるか、専門家ネットワークを持っているかなども良い判断材料になると思います。

ちなみに、企業財務や資金調達、資金繰り等を専門とする国家資格はありませんので、その点もあわせてご注意ください。

問い合わせでは、「実績」について具体的に、遠慮なく聞いてみる

コンサルタント選びで重要なのは、やはり「実績」です。メールや電話で問い合わせをする際には遠慮なく実績を聞いてみましょう。「成功率99%」とアピールするコンサルタントには具体的な内容について質問してみることです。

たとえば

「どのくらいの支援実績があるのか?」
「どういった業界・業種、また規模の企業を支援してきたのか?」
「銀行・信金・信組・日本政策金融公庫、あるいはノンバンク等、どういった相手との交渉が得意か?」
「補助金申請の支援はしてもらえるのか?」

など、根掘り葉掘り質問しても問題ありません。補助金を得意とするコンサルタントであれば、「ものづくり補助金や持続化補助金以外の実績はどうなのか?」などと質問してみるとよいでしょう。

メールでも電話でも、「1,000万円の資金調達が必要です。現状は赤字ですが可能性はありますか?」という質問の仕方では、コンサルタントも回答のしようがありません。よって、問い合わせ時点においても、簡単な業績(売上高、利益)や総資産額や純資産の部合計、現在の金融機関からの借入状況などについては、最低限、伝えるようにしてください。

こうした細かい質問に対して、経営者が納得できるように誠実に説明してくれるコンサルタントは信用に値するのではないでしょうか。

最終的には、「気が合うか」「誠実かどうか」「信頼できるか」

コンサルタント選びの最終的な判断は、経営者と「気が合うかどうか」、また「誠実かどうか」「信頼できるかどうか」だと思います。いくら実績のあるコンサルタントでも、気が合わない人から支援や指導を受けるのは嫌なものです。

候補が見つかったら、実際にコンサルタント本人と会って話し、雰囲気、服装、話を聞く姿勢などをチェックしてみてください。その上で、経営者が「この人なら!」と思えたら支援を依頼してもよいのではないでしょうか。

コンサルタントの見極めには様々な切り口やポイントがあります。まずは最低限、今回ご説明した内容をご参考にしていただければと思います。

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この記事の著者

吉田 学(よしだ まなぶ)

財務・資金調達コンサルタント
株式会社MBSコンサルティング 代表取締役。1998年の起業以来、「資金繰り・資金調達支援」に特化して創業者や中小事業者を支援。これまでに1,000 社以上の資金調達相談・支援を行い、その資金調達支援総額は20億円超。主な著書に、「社長のための資金調達100の方法」(ダイヤモンド社)、「究極の資金調達マニュアル」(こう書房)、「税理士・認定支援機関のための資金調達支援ガイド」(中央経済社)などがある。また、全国の経営者・士業などを対象にした会員制の資金調達勉強会「資金調達サポート会(FSS)」を主催している。

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