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クラウドファンディングを成功に導くためのポイント

高額調達や成功事例がメディアで多く取り上げられるクラウドファンディング。そのため、手軽に資金が集まるという認識をお持ちの方が多いのも事実でしょう。

しかし、現在は黎明期のような「出したら集まる」状態では決してありません。そこで、今回はクラウドファンディングを成功に導くためのポイントをお伝えしていきたいと思います。

酒匂 雄二(株式会社ユウキノイン 代表取締役)

ネット通販会社、ゲーム会社を経てアパレルD2Cに。EC店長時代にSNS活用で広告費をゼロにしながら売上を2年で400%まで拡大。大阪地域密着型クラウドファンディングのプラットフォームに設立から参画。資金調達支援の傍ら、自らもクラウドファンディングで9回の資金調達に成功。2020年1月起業し、セミナー講師、ECサイト・コーポレートサイトのSEO(検索対策)、資金調達のコンサルティングを行う。
過去9回のクラウドファンディング・プロジェクトの起案を行い、全件で目標額を達成。プラットフォーマーとしても200件近いプロジェクトに伴走。

資金調達の手段として市民権を得たクラウドファンディング

インターネットを介してプロジェクトに賛同してもらい、不特定多数の人々から少額ずつ資金を調達するクラウドファンディング。プロジェクトの賛同者にお礼としてリターン品(支援の返戻金)を用意するのも、クラウドファンディングの大きな特徴です。

数年前まではニュース番組でも「クラウドファンディングとは」という解説付きで報じられることも多いものでした。しかし最近では「クラウドファンディングを活用して支援をする試み」と普通に報じられるようになり、クラウドファンディング自体を説明するケースはほぼ無くなっています。

2015年ごろのシンクタンクの試算では、日本国内のクラウドファンディングの市場規模は800900億円が成熟規模と言われていましたが、2019年の国内市場規模は1,800億円を超えている状況です。またコロナ禍の20205月には、CAMPFIREが単月で40億円を超える支援があったと発表しており、クラウドファンディングの市場規模が軽く2,000億円を突破していることは想像に難くないでしょう。

当初は、クラウドファンディングという横文字と、インターネットを通じて不特定多数の人から資金を調達するしくみというイメージもあり、訝しげに見られていたこともありました。ですが、近年の自然災害や新型コロナウイルス感染症に際して活用事例も急増し、だれもが知るWebサービスになったことは非常に感慨深いものがあります。

プロジェクト設計・起案に必要な準備

いざクラウドファンディングに挑戦しようと思っても、「何から手を付けたらいいのか……」「起案するためには何が必要なのか分からない」という方は多いでしょう。本章では実際にプロジェクトを始めようとする場合、どのような準備が必要なのか解説します。

上図はクラウドファンディングの大まかな流れを表したものです。0日目から始まり、100日後に資金がお手元に入ってくるイメージになります。

まずクラウドファンディングのプラットフォームへの申し込みを行いましょう。必要に応じてオンラインでの打ち合わせや面談による、プラットフォーム側のスタッフからアドバイスを仰ぐことができます。スムーズに進めばここまでで、2週間ほどでしょう。

起案者によっては、SNSアカウントや特集サイトを自社で作成し、開始予告をかけるケースも見受けられます。この事前活動もプロジェクトの成否にかかわる大切な要素です。

その後、特集サイト内記事の表現チェックや誤字脱字の校正へ経て、公開へと進んでいきます。

一般的な募集期間は45日~60日で実行される方が多い印象です。詳しくは後述します。

プロジェクトが終了すると、終了月の月末締めの翌月末に手数料を差し引いた資金が振り込まれるパターンが一般的です。なお終了日が月中でも月末でも、手元に資金が届く日が変わらない場合もありますので、各プラットフォームにスケジュールをご確認ください。

そこからリターン品の発送を終えると、クラウドファンディングは無事終了。募集期間が45日程度であれば100日前後が1セットというイメージです。

では、ここからそれぞれの詳しい説明に入ります。

  • 勝負できる時間は90150

まずは何をおいてもプロジェクトの内容が大切です。今は掲載しただけで資金が集まるケースは、よほどのことがない限りありません。見ず知らずの人たちがプロジェクトを見て共感し、リターン品が欲しい、支援したいという想いへ繋げていく必要があります。

ネットショッピングやECサイトなど、Webページへの滞在時間は150秒程度であることがほとんどですから、クラウドファンディングでも同様に短い時間でプロジェクトの想いや熱意、意義を来訪者に伝えなくてはなりません。対面で長い時間をかけて話し「それはいい商品だね」と理解してもらう時間はなく、わずかな時間でプロジェクト概要からリターン品まで目を通してもらう必要があるのです。

  • 40文字程度でプロジェクトの魅力を訴求

クラウドファンディングのプラットフォームでは、各プロジェクトがパネルのように一覧で並びます。プロジェクトのメインビジュアルとタイトルが真っ先に目に留まることから、ここで気になるフックを用意し、プロジェクトページにアクセスしてもらいましょう。

多くのプラットフォームにおいて、タイトルは40文字程度しか入力できないことが一般的です。これは検索結果をクリックしてアクセスする、Webサイトのタイトル文字数とほぼ同じ文字数になっています。

つまりクラウドファンディングでは、40文字程度でプロジェクトの魅力を端的に示さなければならないのです。逆に言えばこの能力に長けてくると、インターネット上で戦うスモールビジネスにとっては心強い武器になることでしょう。

  • 見せ方にも工夫が必要

これまでに私自身が実行、あるいは見てきたプロジェクトでは、募集期間中に1人当たり平均34回来訪するのが普通です。そのため、先述の滞在時間から「150×34回」が来訪者との接触時間という仮説が成り立ちます。

クラウドファンディングのプラットフォームの特徴として、一覧画面では「タイトル」と「現在の支援金額」そして「達成率」が表示されることが一般的です。そしてこの画面上で見せるインパクトや印象が、プロジェクトにアクセスしてもらえるかどうかにも大きく影響します。

例えば目標額が100万円で、現在200万円の支援を集めているとしましょう。この場合達成率は200%となり、多くの方が支援していることが伺えます。ですが、目標額の設定を50万円でスタートして200万円の支援を集めている場合であれば、達成率は400%と表示されるわけです。数多のプロジェクトが並ぶなか、どちらがより「バズっている」と感じるでしょうか?

こうした見せ方の演出も、プロジェクトの成否に大きく関わってきます。

  • 資金調達における2つの方式

クラウドファンディングの資金調達には「All or Nothing 方式」と「All In 方式」という2つの方式があります。

All or Nothing 方式

→目標額を達成できなければ、支援額が1円も手に入らない方式

All In 方式

→集まった支援額分の金額が手に入る方式

プロジェクト起案者はどちらの方式で進めるか選択できますが、ほとんどのプロジェクトが「All In」で実行されています。

例えば、All or Nothing 方式では、

  • この金額が集まらないと新商品が開発できない
  • 出店費用をまかなうため、目標金額を必達する必要がある
  • 目標金額に達しない場合は、ニーズが合格点に至らないと判断する

といった、目標金額が集まらないとプロジェクトを実行できない場合におすすめの方法です。

一方、All In 方式は、

  • 100万円目標だが50万円で初期ロットを制作できる
  • 融資は降りているが手元に資金を残しておきたい
  • どのぐらい共感してもらえるのかテストマーケティングをしてみたい
  • 広報を兼ねて新商品を露出したい

など、目標金額を達成できなくても集まった分、または自己資金を足してプロジェクトを実行できる場合に利用される方法となっています。

どちらの方法においても、無理なく実行可能な目標額を設定することが重要です。目標額は次章のリターン設計にもシンクロします。

  • 最適な募集期間とは

プラットフォームによっても前後しますが、最長8090日間で設定でき、推奨実施期間は4560日です。

募集期間が長ければ、支援がたくさん集まるというわけではありません。また中だるみする可能性も高くなることから、あえて短めに設定するケースが多くなっています。

クラウドファンディングのプラットフォームでは、活動報告を行うTwitterFacebookの投稿に似た、ミニブログ機能が用意されている場合が多いです。期間中の活動や開発状況、終了後の返礼品の準備・発送状況などを発信できるようになっています。

プロジェクトの投稿を行うと、プラットフォームのトップページに新着の活動報告として掲載されるので、積極的に更新を行ってアクセス数を増やしましょう。実施期間中の活動内容の報告で、共感してくれる方が増えることもよくあります。

なおクラウドファンディングのプロジェクトは、準備期間から掲載までに23週間、実施期間は4560日程度、終了後の返礼品発送と調達金額の入金という、1セット100日程度のパターンが多いです。また、実施期間中は応援してくれた方へのお礼や活動報告を行うために、130分程度の時間を確保できるようにしておくとプロジェクトに活気を与えられるでしょう。

できるだけ実施期間が繁忙期と重ならないようにすることも、プロジェクト成功に近づけるコツです。例えば、飲食店は忘年会・新年会シーズンを避ける、通販サイトではクリスマスなど大型セール期間の実施を避けるべきでしょう。なおプラットフォームによっても異なりますが、調達額の12%~20%が手数料として差し引かれるので目標額に加味することをお忘れなく。

プロジェクトの成否を占う最重要項目「リターン品の設計」

プロジェクトの概要や目標金額、実施期間が決まったら、次に支援金額への対価である「リターン品」の詳細を詰める必要があります。代表的なリターンとしては、プロジェクトを通じて開発や販売に至る商品の先行販売や、飲食店であれば食券などが用意されるケースが多いですね。

  • リターン品のラインナップは段階的に

100万円を超える高額調達プロジェクトでは、リターン品が10品前後用意されていることも多く、そのうちのいくつかで段階的な先行割引を設定しているケースが一般的です。CDDVD、マンガの初回限定版のようなイメージになります。

例えば、商品化した後の販売価格が1口当たり10,000円を予定している商品であれば、

  1. 【限定口数10】クラウドファンディング先行割引30OFF
  2. 【限定口数20】クラウドファンディング先行割引25OFF
  3. 【限定口数25】クラウドファンディング先行割引20OFF
  4. 【限定口数なし】クラウドファンディング先行割引10OFF
  5. 【限定口数なし】クラウドファンディング先行割引2個セット12.5OFF

このように段階的に割引率の異なる返礼品を限定数用意し、口数が少なく割引率の高い限定感の強いリターンへの訴求を強める意図もあります。

調達目標額が100万円だった場合、12のコースが完売した時点で支援額は「10,000円×70%×1010,000円×75%×20」で22万円となり、プロジェクトの達成率は22%です。

一方、支援コース54に比べて割引率は高くなりますが、2つ支援していただくことで支援額が増え、客単価の底上げにつながります。限定感、お得感の強いリターンから支援が入る傾向にあり、ここでプロジェクトにスピード感を出すのも狙いです。

  • リターン額設定のコツ

家電やPC系など高単価なものを除き、これまで見てきたプロジェクトの多くが1人当たり、5,000円~10,000円のリターン額になっています。したがって「10,000円×支援目標人数」で目標設定額を決めるのが1つの指針です。

また、リターン額は11%以上になるように設定するのが良いでしょう。プロジェクトの期間中、支援ゲージが1%ごとにカウントされ、その動きがプロジェクトに臨場感を与えてくれる演出になるからです。

例えば、目標額50万円のプロジェクトで13,000円のリターンがあった場合、1口ではゲージは増えず26,000円で初めて1%のゲージが増えることになります。したがって、この場合は15,000円に設定しておくのがおすすめです。

しかしながら、高額目標のプロジェクトになると1%が数万円になってしまうため、そのあたりはプロジェクトで打ち出す商品やサービスとのバランスも大切になりますね。

一方、最近はリターン品を併せ買いのように設定するケースも増えてきました。

あくまでも一例ですが、

「新型のコーヒーミル15,000円+ドリッパー3,000円+交換フィルター1,000円」

といったリターン品を用意し、複数支援で1人当たりの支援額を引き上げるという設定方法もあります。

飲食店などでは「地域プレミアム券」のような、10,000円で12,000円分の飲食が可能になるリターン品を設定するケースが多いです。また、1,200万円以上の支援を集めた飲食店では、11回定食が生涯無料になるフリーパスを10,000円で出し、テレビの取材が入るなど大変話題になりました。

1人じゃ戦えない!活動とチームづくりが大切

新型コロナウイルスの影響で2020年以降、クラウドファンディングの起案数が飛躍的に増え、多い月では1,000件以上のプロジェクトが立ち上がるともいわれています。

繰り返しになりますが、プロジェクト内容を掲載するだけでは多くの支援は集まりません。

数億円を超えるビッグプロジェクトが誕生する一方で、0円フィニッシュするプロジェクトが多数あることも事実です。

プラットフォーム側も独自にSNSなどへ広告出稿もしていますが、その集客力に依存してばかりはいられません。実施期間中は自らプロジェクトを拡散し、より多くの人々に知ってもらい、興味をもってもらう必要があります。

そのためにはSNSやプレスリリース、リアルの活動などを通して、できる限り多くの告知活動を行うことが不可欠です。ただし1人では限界がありますので、社内外でのチームづくりがクラウドファンディングにチャレンジする、最初のタスクと言っても過言ではありません。

  • できるだけ多くの方に声がけをすることが重要

一生のお願いを聞き入れてくれそうな、見返りなしで応援してくれる友人や知人。また、仕入先や取引先、協業している方などに拡散をお願いするのも重要です。

クラウドファンディングは資金援助をお願いするという性質から、プライドが邪魔をして

ご自身のSNSで言及しない方もたくさんいらっしゃいましたが、その多くが未達に終わっています。そのため、チームに参加してくれる仲間集めは非常に重要です。私自身も経験しましたが、実施期間中に思うように支援額が伸びないと精神的に追い込まれますし、孤独になりそうなときもありました。SNSで発信する方や活動報告を更新する方といった、役割分担ができるチームづくりを心がけてください。

SNSはフォロワー数が少なくても拡散力があるTwitterは絶対に押さえておきましょう。起案に際して、プロジェクト用のアカウントを新設します。活動報告をそのアカウントで発信し、チームの個人アカウントでシェアするのがおすすめです。

アカウントのフォロワーが少なくても、数多くのリツイートや「いいね」で拡散され、目標額を達成した事例も存在します。

クラウドファンディングを成功させる6つのポイント

最後になりますが、クラウドファンディングを成功させるポイントをまとめました。

  1. わかりやすい活動紹介

訪問者の滞在時間は1回当たり最大150秒程度。数多のプロジェクトから見つけてもらうために、簡潔で目を引くキャッチコピーを付けることを意識してください。

  1. 納得できる資金の用途

おおよそのプロジェクトにかかわる開発費、店舗の改装費、生産の目安のコストを公言しておくことは支援者の信頼に繋がります。よって何にどれぐらいの資金が必要か、資金計画を明示しておくことが大切です。

  1. 魅力が伝わる写真

プロジェクトの内容やリターン品が確認できる魅力的な写真を豊富に用意し、共感してもらえる要素を増やすことも重要ですね。またプロジェクトのトップに、写真だけでなく動画を掲載するのも良いでしょう。

  1. 欲しいと思えるリターン

「新しい」「おもしろい」「美味しそう」「行ってみたい」「お得かも」など、クラウドファンディングで支援をする方たちは感度が高い方が多いです。そのため、そうした方たちがSNSで拡散してくれることもありますので、前例がないようなリターン品を用意できれば成功により近づきますね。

  1. 期間中の宣伝活動

クラウドファンディングの実施期間中は、できる限りの手段を使って宣伝活動を行いましょう。特に期間中のSNS投稿は共感を得る機会が増えるため、継続的に投稿する必要があります。

  1. プロジェクトへの熱意!

最後はやはり熱意です。2か月近くの実施期間を、中だるみなく走り切る熱意が重要になってきます。「絶対にやりきる!実現する!」という強い想いで挑んでいただければと思います。

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