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船井総研コンサルタントが教える「売れるネットショップ」の作り方

2021.03.10

新型コロナウイルス感染症の影響などで業績悪化に悩む企業が多い中、新たな販路として注目されているのがネットショップです。無料で立ち上げられるネットショップサービスもあり「うちの会社でも始めようかな?」と考えている経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、株式会社船井総合研究所の中渕 綾氏に「売れるネットショップ」の作り方を伺いました。ネットショップサービス選びや開設費用の目安はもちろん、集客方法・サイトの運用などについても解説します。

リアル店舗が伸び悩み……ネットショップを新たな売上の柱に!

中小企業や個人事業主がネットショップを始めるケースにはどのようなものがありますか?

大きく分けて3つのパターンがあります。1つ目は、メーカーが自社で主導権を持つために、BtoC-EC、BtoB-ECを始めるというものです。問屋さんに頼ってばかりもいられないけれど、今からリアル店舗を出すような投資はできないということで、ネットショップを開設する会社がこれにあたります。

2つ目は、まったくの異業種からドロップシッピングで無在庫通販を展開するパターン。新規事業として本業とは別の柱を設けるというイメージですね。そして3つ目、既存販売商品の販路拡大やSPA化(製造小売り化)を目指す会社が最近増加しています。飲食店などは人が来ないと売上が立ちません。でも、お店で出しているメニューを製品化して売ることはできます。

あとは経営者の代替わりのタイミングでデジタル化したい、システムまわりを見直したいというニーズも増えてきました。売上が伸び悩んでいて「どうにかしたいけれど、何を売っていいか分からない」というような相談も受けています。

新たにネットショップを始める目的も、リアルで売上が立たないからという理由が最も多いです。新型コロナウイルスの流行を受けて、さらにその傾向が加速しましたね。

中小企業や個人事業主がネットショップを始めるメリットとしては何がありますか?また、リスクはどのようなことが予想されるでしょうか。

まずメリットですが、うまくいけば販路・商圏が日本全国から世界にまで広がります。地元では有名だけれど全国的な知名度に欠けるというお店が、ネットショップを足掛かりに全国区になったというケースもありました。リアル店舗より固定費が低いので、損益分岐点売上をクリアすれば営業利益率も20%程度まで上げられます。

そしてリアル店舗との大きな違いが、顧客名簿をはじめとするデジタル資産を形成できるということです。ネットショップで買ってもらえれば、将来的にメルマガなどでの情報発信が可能となります。

リスクは、現状多くのネットショップが損益分岐点売上を超えていない、あるいは利益が出ていないという点です。利益が出ないから人も時間も掛けられず、その結果ただ商品を並べているだけの「自動販売機型ネットショップ」になってしまいます。

注意したいのが、リアル店舗とネットショップで商品に差があるというパターンです。例えば、ハンバーグで有名なレストランがあるとしましょう。そのお店で食べたら美味しいのに、ネットショップで買ったものはそうでもないなんてことになると、ブランドイメージを低下させかねません。

また最近は減ってきましたが、メーカー直販に対して卸や小売が難色を示すこともあります。しかしいずれのリスクも、うまく戦略を立てれば克服することが可能です。

ニーズ・商材・売上別のおすすめネットショップサービス

現在、さまざまなネットショップサービスがありますがおすすめはありますか?

それでは、ニーズ別にご紹介していきましょう。まず「とにかく始めたい」ということであれば無料で始められるBASEやSTORESが挙げられます。ただしランニングコストがかかるため、初期費用がかかってもその後の出費を抑えたいという場合はShopifyが良いでしょう。コンセプト型と呼ばれるネットショップサービスも出品は簡単で、ハンドメイドならCreema、農産物なら食べチョクといったものがこれに該当します。

ただしこれらのサービスは、顧客名簿を自社で確保するのが難しいというデメリットがあります。

そのため「自社保有の顧客を獲得したい」企業におすすめなのが、ecbeing・futureshop・ショップサーブ・カラーミーショップなどです。サイトの制作会社にWebサイトの構築を依頼する必要がありますが、BASEやSTORESなどよりショップ独自の機能を反映しやすくなっています。

「多店舗展開したい」なら、楽天・ヤフーが向いています。自社サイトを一度作っておけば、そこで使った素材を楽天やヤフーのようなモールにコピーして広げることができます。ただし、構築費はそれなりにかかります。「1アイテムから売りたい」場合はAmazonが良いでしょう。

商材や売上ごとに、それぞれ向いているネットショップサービスはどれでしょうか。

だれもが知っている商品のことを「型番商品」といいますが、型番商品を仕入れて販売する場合はAmazonが向いています。Amazonは、楽天・ヤフーと比べると検索しやすいというメリットがあります。ただし、型番商品は最安値でないと売れにくいです。

最近はどのショップも総合化を図っているため垣根はなくなりつつあるものの、食品・スイーツは楽天、男性に人気の商品はヤフーが強いというイメージはありますね。アパレルのようにトレンドが変動したり、ワンシーズンしか販売しなかったりするものは、商品登録が簡単なBASEやInstagramのショッピング機能(Shop Now)を使うとコストを抑えることができます。

売上に関しては、1つの事業として年商1億円を目指すのなら、ecbeingやカラーミーショップで公式通販サイトを立ち上げ、楽天・ヤフー・Amazonへ多店舗展開するのが良いでしょう。小規模事業者や、そこまでの売上は想定していないのであれば、まずはBASEやSTORESをテストマーケティング的に利用してみてはいかがでしょうか。

気をつけたいのが、Amazonや楽天・ヤフーなどのモール型ネットショップでは顧客情報を取れないということ。例えばリアル店舗でイベントをしたいと思っても、モールのお客さんにその情報を告知するのは難しいです。顧客管理をきちんと行うためにも、ネットショップは自社の公式サイトを基本にしましょう。

ネットショップ開設費用の目安は?どんなものが売れるの?

ネットショップ開設にかかる費用の目安を教えていただけますでしょうか。

BASEやSTORESを使って商品登録・撮影なども自力でやるのなら、無料で開設することも可能です。ただしそれだと、売上はなかなか付いてきません。うまくいっても月商100万円程度となる場合が多いでしょう。

費用の目安は、外注するかどうかだけでなく月商によってもかなり変わります。月商300万円程度を目指す場合は、Web制作会社へのサイト構築依頼費用に包装資材代などを含めて、トータル100万円くらいを見ておくと良いでしょう。月商1,000万円前後の規模になると、300万円程度はかけています。

ネットショップを開設する際に重要なことは何でしょう?また、注意点についても教えてください。

一番大切なのは、「売り方」ではなく「売り物」です。わざわざ送料を払ってでも欲しいものでないと、どんなにサイト構成を工夫したり広告を出したりしても売れません。

ではどんな品物が売れるのかというと、そこでしか買えないもの、例えば地方の名産のお取り寄せですね。あとは大きい・重いもの、まとめ買いしたら安いもの、有名店の商品のようにブランド認知が進んでいるものなどが挙げられます。

最近はコロナ禍で買い物に行く回数が減りましたよね。そのため必需品や乾麺・レトルト食品のように日持ちのするもの、心を満たすスイーツ・お肉などのプチ贅沢品、なかなか会えない人へのギフトも売上を伸ばしています。

そして同じ商品でも、さまざまな需要を想定して売ることが重要です。例えばお米一つ取ってみても「普段使いのお米」「少し贅沢なお米」「料理別に適したお米」「味を知ってもらうためのお試し品」「大切な人へのギフト」と複数の売り方が考えられます。

自社の商材が本当に売れるのか不安なときは、BASEやSTORESを使って最小限のコストでテストマーケティングを行うと良いでしょう。売れるかどうか見極めてから、モール型ネットショップなどにステップアップしていくこともできます。

注意点としては、リアル店舗とネットショップを分けて考えないことです。いつも店舗に来てくれているお客さまでも、忙しいときはネットショップを使いたいと思っているかもしれません。購入の選択肢が広がることで、顧客との接点も増えていきます。ネットショップ開設の際は店内にポスターを貼ったり、カード・リーフレットを配ったり告知するようにしてください。

あとは免許や届出ですね。リアル店舗とネットショップでは酒販免許の種類が違ったり、商材によっては古物商許可を取得したりしなければなりません。地域によって必要な許可の解釈が異なるので、税務署や保健所といった管轄の機関に確認する必要があります。

IT導入補助金などの助成金を活用してネットショップを立ち上げたケースはありますか?

とても多いですね。ただ、助成金が利用できるからとハイスペックすぎるネットショップを構築すると、使いこなせないこともあるので注意してください。IT導入補助金に関しては公募が終了していますが(2020年12月26日現在)、再度募集される可能性もあるので随時サイトをチェックすると良いでしょう。

「売れるネットショップ」にするための集客方法・サイト作り

マーケティングや広告など、集客の方法について教えてください。

まず原理原則は既存顧客への告知、つまりリアル店舗からネットショップへの誘導です。これを船井総合研究所では「地上戦」と呼んでいます。では「空中戦」が何かというと、コンテンツマーケティングといわれる検索エンジン対策やGoogle広告、InstagramやFacebookなどのSNS広告です。

これらにまずは少額で投資を行い、費用対効果を見て良いところを伸ばしていくようなイメージが良いと思います。マーケティングや広告に関しては専門的な知識が必要なので、コンサルティング会社や広告代理店に相談してみるのがおすすめです。

マーケティングや広告は主に新規顧客の獲得を目指すものですが、新規集めばかりやっているとお金がかかるし売上も安定しません。メルマガや、購入から一定の期間で自動的に送られるステップメール、商品同梱物での宣伝を活用してリピーターを集めることが大切です。リピーターが増えてくると、メルマガ1配信だけでも10~20万売れるようになることもあります。

販売価格はどのように決めれば良いですか?

小売の場合は自由に決められますが、メーカーは定価が多いです。ただし型番商品は比較購買されやすいので、可能であれば最安値に設定しましょう。難しいときは、保証や送料無料などの付加価値で差別化を図ります。

また、ネットショップでも販売管理費はかかるため、包装資材込で50%以上の粗利を確保しないと利益が出ません。粗利をそれ以下に設定するのであれば、数を売る必要があります。価格を決めるときは、顧客に対してだけでなく経営面のことも考慮してください。

大きく売るためのサイト作りや戦略はありますか?

「衛生要因」と「動機づけ要因」の2つで考えると良いと思います。

「衛生要因」とは顧客を不快にさせないことで、とにかくサイトは見やすさが大切です。スマホ・パソコン・タブレットそれぞれに最適化するか、あらゆるサイズに対応するレスポンシブウェブデザインで作るようにしてください。またサイトの読み込みが遅いと、Google検索でも不利になってしまいます。

決済方法もなるべく多い方が良いでしょう。クレジットカードやコード払いの種類を、できればコンビニと同じくらいに揃えるようにします。前払いや代引きは避けられる傾向があるため、後払い決済代行会社を利用するのも手です。

最近は高齢の方もネットショップを利用する機会が増えており、EFOと呼ばれる入力アシスト機能を備えていると記載漏れが少なくなります。お届け先の複数指定も、ギフトを贈る際に便利です。送料込みセットを用意したり送料無料条件を設定したりすると、送料がネックとなりません。

それでは「動機づけ要因」が何かというと、顧客を飽きさせないための施策を指します。例えばシーズン限定・ネットショップ限定の商品を用意するなど売り方・売り物を変えることで「今買わなくては」という意識への誘導が可能です。

船井総合研究所ではネットショップに限らず「今だけ」「これだけ」「あなただけ」という考え方を重要視しています。今だけは期間限定、これだけは数量限定、あなただけはシークレットセールということですね。一定の曜日にポイントを増やすなど、定期的に山を作るのは販売の基本です。シークレットセールのように非公開の販売ができるのは、ネットショップならではの利点といえます。

あとはサイトの分析です。売上は「セッション数(来店客数)×転換率(買い上げ率)×客単価」で導きますが、目標売上に対してこれをどう組み合わせるか考えます。例えばセッション数が足りなければ集客をしたり、転換率・客単価が低ければ商品やページを見直したりしなければなりません。分析には、無料のGoogleアナリティクスなどを活用できます。

中小企業や個人事業主がネットショップを始めて成功している事例があれば教えてください。

年商2億円の肉屋が、ブランド牛のネットショップで1億円の売上を付加したケースがあります。また、年商5,000万円の和菓子屋が冷凍和菓子専門のネットショップを立ち上げたところ、月平均で20万円ほど売り上げるようになりました。

個人事業主レベルだと、ご夫婦だけでやっている年商1,500万の焼き菓子店が、月にBASEで5万・Creemaで8万・Amazonで15万を売り上げています。お菓子が美味しいのはもちろんですが、ギフト需要もうまく引き出せました。もちろん、どこで売るか・どう売るかということも非常に重要です。

ネットショップは必須の販路に!マーケット増大の余地も十分

リアル店舗を閉めてネットショップにシフトしたというケースはありますか?

はい、あります。ケーキ屋のケースですが、ケーキ屋は朝が早くて人材の確保が大変なことが多いです。それで冷凍バースデーケーキ専門のネットショップにシフトしたという方がいらっしゃいました。あとは、釣具屋がネットショップだけにしたケースもありました。

複数店舗を抱えるところだと、旗艦店だけ残そうという会社も増えています。家賃と人件費、つまり固定費率を下げるためにネットショップに移行しようという考え方です。

最後に、今後のネットショップの見通しについて教えてください。

現状でいうとやはりコロナ禍の影響もあり、ネットショップを運営している会社は売上を伸ばしているところが多いですね。皆さんあまり外出しなくなりましたし、以前と比べると幅広い年齢層が利用するようになりました。マーケットはますます拡大しており、もはやネットショップは必須の販路といえるでしょう。

「好調なのはコロナ禍の今だけ」という見方もありますが、人は一度便利だと感じたらずっと使います。スマホ世代も増加していますし、今後もネットショップは定着すると見ています。日本は近隣諸国と比べてもEC化率が低いので、まだまだ伸びていく余地があると思います。

物流に関しても、大手の運送会社に加えて個人事業主の参入が増えています。お店を構えずにものだけを動かす、そういったビジネスの動きはさらに拡大するのではないでしょうか。

この記事の著者

弥報編集部

弥生ユーザーを応援する「いちばん身近なビジネス情報メディア」

この記事の監修者

中渕 綾(株式会社船井総合研究所 地方創生支援部 食品・観光グループ チーフコンサルタント)

同志社大学経済学部卒業後、株式会社船井総合研究所に入社。入社以来BtoB営業、飲食店、食品製造業、Web、設備工場などのコンサルティングを経て、現在は食品製造業のコンサルティングをメインに全国を飛び回っている。主に酒・味噌・醤油など醸造業における業績UPを得意とし、指導開始3か月以内に結果を出すことにコミットしている。Web制作会社、広告代理店、PR会社、海外販路拡大、レシピ開発、補助金・助成金取得など提携パートナーとの連携を深めているため、食品製造業の経営課題をワンストップで解決することが可能である。

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