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ゼロからはじめる!テレワーク導入の3ステップ

2018.11.25

著者:弥報編集部

パソコンやスマホなどのICT機器の普及によって、ますます身近になっているテレワーク。2018年7月には国と東京都、関係団体が連携してテレワークの全国一斉実施を呼びかける「テレワーク・デイズ」も実施され、1,600以上もの団体がこのイベントに参加するなど、その裾野は徐々に広がってきました。一方、中小企業ではなかなか導入が進んでいないのが現状です。

「テレワークなんて大企業に限った話。うちにはテレワークできるような仕事もないし、社員数も資金も少ない中小企業には導入できないんじゃないの?」

と尻込みしている中小企業も多いのではないでしょうか。

テレワーク導入に必要なのは、いままでの働き方と異なる点とどんな準備が必要なのかを理解すること。それさえできていれば、新たな人員も資金もほとんど必要ありません。また、接客業務やオフィスの設備にかかわる業務など、「その場にいないとできない仕事」以外は、ほぼすべての業務で導入が可能です。

働き方改革法案の施行に伴い、国としても積極的な導入を進めている今、労使双方にとってメリットが多いテレワークは、中小企業でも本格的に検討を進めていくべきでしょう。

そこで、本記事では、一般社団法人エコ・ペーパーレス協議会 テレワーク検定を運営している株式会社ダンクソフトのセミナー「テレワークはじめの一歩」から、テレワーク導入時に考えておきたい3つのポイントをご紹介します。

テレワーク導入のメリットって? はじめるには、まず何をすればいい?

テレワークとは、「ICT(情報通信技術)を活用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」のこと。インターネットを介したICTを利用することで、勤務地から離れ、自宅などで仕事をすることを指します。

こうした働き方が行えるようになると、以下のようなメリットが生まれます。

・従業員の育児や介護による離職を防ぐことができる
・遠隔地の優秀な人材を雇用することができる
・地震等の大規模災害により従業員が出社できない場合でも事業が止まりにくい

就業形態としては、「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライトオフィス勤務(施設利用型勤務)」の3つが一般的にテレワークとされています。

多くのメリットが会社側にもあり、会社全体の働き方を改革するための施策の1つとして期待されている一方で、

「テレワークを導入したいけれど、何からはじめればいいのかわからない」

こう考える経営者も多いのではないでしょうか。今までオフィスワークのみで業務を行っていた企業にとっては、テレワークはまったく新しい働き方。スムーズに導入するためには、しっかりとした準備が必要です。テレワーク導入のために準備しておくべきことは、大きく分けて3つです。

テレワーク導入時に準備するべき3つのこと
①ルールをつくる
②機器・ソフトを揃える
③テレワーカー(テレワークを行う人)の教育

まずはテレワークのルールづくりから

テレワーク導入時のルールづくりとは、就業規則や評価制度のこと。規則や制度自体はあっても、会社に来て働くことを前提としたものである場合が多いです。そのため、テレワーク用の規則や制度を加筆・作成するなど、各種ルールを見直すことから始めましょう。

就業規則を見直す

就業規則のなかでも重要なのが、労働時間とそれに付随する事項の取り決めです。始業や終業などの業務報告方法、上司からの指示に用いるツール、作業の中断や離席の伝達手段、オフィスにかかってきた電話の取り次ぎ方法など就業規則に記すには細かい内容もルールとして検討する必要があります。

テレワーカーはオフィスワーカーのように、会社で作業しているわけではありません。離れていても業務に支障をきたさず、社内の不公平感が起きないようしっかりとルールづくりと意思統一をしておくことが大切です。

また、意識しないとコミュニケーションが不足して、ちょっとした認識の違いがトラブルに発展することもあります。クラウドのシステムを活用するなどして日々の報告や連絡履歴を客観的な記録に残すと、トラブルを未然に防げ、また情報共有によりチームで業務をすることも可能になります。

評価制度を見直す

就業規則を見直したら次に検討すべきなのが、評価制度です。テレワーカーは上司と対面で接さず、単独で作業することが多いため、「自分の仕事は適切に評価されているのだろうか」「オフィスワーカーと比べて、人事評価で不利なのではないか」という不安を抱きがち。わかりやすく、配慮の行き届いた制度設計が必要になります。

働き方の性質上、テレワーカーには人事評価には成果主義が適用されやすくなります。しかし、成果を数値ではかりやすい営業などの部門はよくても、それが難しい総務や経理などの部門や、短期間で達成度を判断しにくい企画・開発などの部門には、適さない場合もあります。

そこでオススメしたいのが、目標管理制度による人事評価。従業員自身が設定した目標をどのくらい達成できたかを、本人の自己評価と上司の評価の二面から測るのです。短期的な数値のみで成果を測らず、上司が毎日の作業ぶりを対面で確認できなくても公正に評価できるので、テレワークを導入する多くの企業で採用されています。

テレワーク導入時にそろえておくべき「5種の神器」

ルールが固まったら、次はテレワークに必要な機器やソフトの準備です。テレワークに必要なのは、ノートパソコンやスマートフォンなど、ほとんどの人が日常的に使っている機器のみです。しかしセキュリティー面を考えると、使い方に注意したり、新たに購入した方が良い機器もあります。テレワーク導入を決めたらそろえておきたい「5種の神器」をご紹介しましょう。

①業務専用ノートパソコン・スマートフォン

まず、どんな業務にも必須のパソコンやスマートフォン。できるだけ会社で購入し、テレワーカーに貸与する形をとりましょう。テレワーカーの私物を使うと、データを危険にさらず可能性のあるソフトが入っていたり、家族に業務情報が漏れるリスクがあるためです。

やむをえずテレワーカーの私物を使う場合は、事前申請の仕組みを設け、業務に関係のないソフトが入っていないか確認しておく必要があります。また、業務用と個人用のログインアカウントは必ず別にするなど、公私混同や無用な情報漏えいを防ぐルールを決めておくことも必要です。

②専用モバイルルーター

インターネットのネットワーク回線にも注意が必要です。駅やカフェなどで提供されている無料のWi-Fiの中には、十分なセキュリティー対策をせずに使うと、部外者に業務情報をのぞき見や盗まれたりするリスクがある回線もあります。モバイルワークを行う可能性がある従業員には業務専用のモバイルルーターを貸与するなどして、特定の回線のみを使用してもらうようにしましょう。

③WEBカメラ

テレワークに必須のWEBカメラ。最近では多くのノートパソコンに標準で備え付けられていますが、テレワーカーの働きやすさを考えると、外付けのものを別途購入することもオススメです。ノートパソコンのWEBカメラは正面についているので、常時つないでいると圧迫感を感じやすいのです。
その点、外付けのWEBカメラなら角度を自由に調整できます。普段は少し斜めから映るように設置しておき、会議や打ち合わせのときはカメラのほうを向いてもらうなど、テレワーカーがストレスを感じないように配慮しましょう。

④3種類のソフト

ワーカー間の情報共有をスムーズにするために、ソフトも準備しておきましょう。

ぜひそろえておいてほしいのは、①WEB会議ができるもの、②データ管理ができるもの、③勤怠管理や業務報告ができるものの3種類。①はチャット機能だけでなく、WEBカメラを使った会議ができるものが最適です。

データ管理ができるものについては、個人のパソコンだけにデータを残したり紙で保存したりせず、社内で決められたファイルサーバーやクラウドアプリを利用しましょう。そうすることで、どのパソコンからでもデータにアクセスできるようになり、どれが最新のデータかも一目瞭然。ペーパーレス化や業務効率化を目指すときにも、必須のアイテムです。

⑤のぞき見防止用フィルター

テレワーカーはカフェなど、不特定多数の人が周りにいる環境で作業をすることもあります。悪意のある他者にディスプレイをのぞかれ、情報が漏えいすることもないとは言えません。そんなときに役立つのが、のぞき見防止用フィルター。ディスプレイに貼るだけで、正面以外の角度からは画面が見えなくなります。貸与用のノートパソコンやスマートフォンには、ぜひ貼っておいてください。

テレワーカーの業務効率を高める教育のコツって?

日々の業務の進め方を自分自身が判断することが多いテレワーカーには、オフィスワーカーよりも高いセルフマネジメント能力が必要になります。下記の3つのポイントを参考に企業側からも積極的な教育を行い、こうした能力を育てていくようにしましょう。

①コミュニケーションの意識

テレワークでよく懸念されるのが、コミュニケーションの難しさです。業務時間内は連絡用のチャットツールやWEBカメラを常にONにしておくことをルール化し、ワーカー間の積極的なコミュニケーションを促しましょう。コミュニケーションの活発化には、ワーカー間の意識も大切です。誰もが自分から発信することが、距離を感じさせないチームワークを実現します。

②身だしなみ

テレワークとはいえ、業務時間内は同僚やお客様とオンライン上での打ち合わせが入る可能性もあります。また、必要に応じて、出社の指示もないとはいえません。パジャマや部屋着のまま在宅勤務をしていたら、急な呼び出しに対応できるでしょうか。

在宅勤務とはいえ、業務時間内は社会人として適切な最低限度の身だしなみを整えておいてもらうようにしましょう。

③仕事をする環境

身だしなみと同じように、仕事をする環境にも気を配る必要があります。自宅内で作業を行う場合は、仕事部屋を設ける、パーテーションやカーテンで区切るなどして、生活空間と仕事スペースを分けてもらうようにしましょう。生活空間と仕事スペースが分けられていないと、家族やプライベートなものがWEBカメラに映り込んでしまうなど、思わぬ情報漏えいやセキュリティー侵害の原因にもなります。

https://marche.yayoi-kk.co.jp/column/6526/

業務効率化によって、時間や距離の制約から、今まではできなかったこと、あきらめざるをえなかったことを実現させてくれるテレワーク。その特徴を理解しつつ準備をしておけば、コストも導入後のトラブルも最小限に抑えられます。この記事を参考に、みなさんの会社でも導入を検討してみてはいかがでしょうか。

本記事は、一般社団法人エコ・ペーパーレス協議会が運営するテレワーク検定の公式テキストの内容をもとに記述しております。

取材協力
一般社団法人エコ・ペーパーレス協議会
テレワークのポイントを基本の「き」から習得できるEラーニング検定である「テレワーク検定」を実施。検定の普及により、場所や時間にとらわれない働き方の推進を目指している。

株式会社ダンクソフト
1983年創業。企業の業務システムの改善を中心に、ワークライフバランス・ペーパーレス・キャッシュレスを実現するソリューションを提供。企業向けの大規模Webサイトの構築・運用に加え、アプリ開発なども手がける。全国に7拠点のサテライトオフィスをもち、地方の雇用創出や課題解決に貢献する。時代に即した労働環境改善への取り組みが評価され、2011年と2017年の二度にわたり、「東京ライフ・ワーク・バランス認定企業」に選出された。

この記事の著者

弥報編集部

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