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うちの面接は大丈夫?自社に合った人材を見つける「正しい面接の方法」とは【船井総研が解説】
2024.04.18
採用活動において、ミスマッチを防ぐためにも自社に合った人材を確保することは重要です。しかし実際のところは難しく、採用活動に悩みを抱えている中小企業は9割にも上ると言われています。
特に中小企業の場合、欠員補充のための採用が多く、面接でも適切な双方向の理解を得ないまま入社に至るケースも多いでしょう。そのままでは結果として早期退職が増えるなど、人手不足の状態を悪化させてしまいかねません。
今回は株式会社船井総合研究所HRストラテジー支援部マネージング・ディレクターの宮花宙希さんに、適切な人材を見抜く「正しい面接方法」についてお話を伺いました。
候補者側からの辞退など、昨今起こりがちな事象についても対策をお伺いしました。ぜひ、人材採用のヒントにしてください。
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目次
上辺だけの面接が人材ミスマッチにつながる
面接をしたにもかかわらず、人材のミスマッチが起こる原因はなんでしょうか。
候補者の性質やスキルを面接で見抜けなかったり、候補者との認識合わせが足りなかったりすることが原因としてあげられます。また中小企業では、欠員募集のための緊急採用が多く、焦りを感じて即採用を繰り返してしまうことも、人材のミスマッチの誘因になりかねません。
直接候補者と対話ができる面接は、双方向の認識をすり合わせる貴重かつ重要な段階のため、面接の軌道修正を図ることが解決策となります。
良くない面接方法は、どのようなものがありますか。
経営者や採用担当者が1人で面接対応をする方法です。特に社長1人の場合、自らが面接官となり1回の面接で議論の余地なく採用することも多いと思いますが、できればその方法は避け、2名以上で採用活動を行っていただきたいです。異なるさまざまな視点から候補者を見ることによって、候補者の本質的な部分を見抜ける確率も高くなるためです。
また、1問1答形式で大量の質問をする方法も注意が必要です。上辺だけのやり取りになってしまいがちで、候補者の本質的な部分が見えにくいためです。候補者は質問内容をある程度予想し、回答も準備しているはずなので、決してその模範的な回答が本意であるとは限りませんよね。質問への回答に対して、さらに深掘りするような問いかけができるようになればよいでしょう。
例えば、面接時は印象も良く、受け答えにも問題ないと感じたのに、入社後に他の社員から「なぜあの人を雇ったんですか?」と不満が出たり、面接から数日後に候補者から「辞退します」とメールが届いたりする場合、これらの良くない面接を行っている可能性があります。今一度自社の面接方法を振り返ってみましょう。
面接前の「面談」で自社と候補者同士の理解を深める
実際の面接手順を教えてください。
基本的な流れは以下の通りです。手順自体はある程度周知されていると思いますが、1つずつ改めて確認してみましょう。
- 候補者の自己紹介
冒頭、お互いのあいさつが終わったら候補者に自己紹介してもらいましょう。
候補者本人に今までの職歴や経験で得たこと、強みや活かせるスキルなどの自己PRも兼ねてお話いただきます。
- 候補者への質問
履歴書や職務経歴書の内容も参考にしながら、発言を深掘りする形でヒアリングしていきます。特に価値観が自社と合っているか、想定している職場で能力を発揮できるかなど、事前に決めた採用基準に関して質問することが重要です。
- 会社紹介
自社について候補者に紹介する時間を設けてください。会社説明の資料としてPowerPointを1ページでもかまいませんので準備しましょう。ホームページを読んでも、候補者は事業内容を正しく理解できていない可能性もあるため、この時間で自社の理解を深めてもらいます。選考段階で正しく理解することは、お互いミスマッチを防ぐことにつながります。また、「候補者を気遣ってくれる会社」という好印象を与えられる時間でもあります。
- 候補者からの質問
自社に対する不安や疑問を少しでも解消するように、候補者からの質問には真摯な対応を心がけましょう。自社に対する興味度や関心の強さなどを知ることもできるので、質問内容は忘れずに書き留めておくとよいでしょう。
- 事務的内容の確認
最後に、双方向の事務的な確認を行います。転勤・異動の可不可、テレワークの有無、想定される給与額の再確認など、入社後にトラブルになりかねない具体的な認識のすり合わせはここで行い、その反応を含めて検討しましょう。
以上の流れを、40~60分で行いましょう。
採用活動に人手を割けない場合、どうすればよいのでしょうか。
どうしても1人で採用しなければいけないのであれば、面接の前段階で「面談」を行うようにしましょう。採用活動における面談とは、企業と候補者が情報を共有し、相互に理解を深める時間です。正式な選考過程ではないため、形式ばった雰囲気でなくてかまいません。履歴書なども必要なく、服装も自由で参加してもらいましょう。40分程度を目安に、Zoomなどを使いオンラインで行ったり、カフェでカジュアルに話したりします。候補者と話す機会を増やせるため、より判断材料が多くなり、精査の時間も確保できます。
具体的な内容としては、会社説明や「なぜうちに興味を持ったのですか」など、検討前に候補者に聞きたいことなどがあげられます。あくまで軽い質問に留めておきましょう。もちろん候補者からの質問も受け付けます。回答とともに自社の魅力を伝えることで、選考への動機付けを強めて面接精度も高められます。
面接の心構えは「クリティカルシンキング」
候補者が自社に適しているかを見抜く質問はありますか。
採用基準は各社で異なるため、一概に効果的な質問項目を断定することはできませんが、心構えとしては、物事をうのみにしない「クリティカルシンキング」で進行することをおすすめします。履歴書上の志望動機や実績、自己紹介での発言に対して言葉をそのまま受け取るのではなく、「本当にそうなのか?焦点を合わせていこう」と、ある種「前向きな疑いの目」を持って切り込んだ質問をしてください。
新卒の場合は価値観に、中途採用の場合はスキルに寄った質問が多くなるでしょう。価値観を知りたい場合は、直接的な性格の傾向を聞く以外にも、「最近のニュースで気になったことはありますか」「もし今10万円が手に入るなら、何に使いますか」といった、候補者が想定していないような質問をする企業もあるようです。スキルを知りたい場合は、前職での実績に関して、「何人でその数字を達成しましたか」「具体的にどこから手を付けてプロジェクトを進行しましたか」など実績を細かく分解する質問が効果的です。
面接で聞きたい項目をすべて網羅するのが難しい場合、どうすればよいでしょうか。
時間に限りがあるので、本当に聞きたいことに注力して質問を行う方法が効果的です。事前に採用基準に沿った質問事項を絞っておくと、面接時に迷わず質問できますよね。それだけでは不安な場合は、適性検査を活用するのもよいでしょう。適性検査の結果を参考に、面接で確認していく方法もおすすめです。最近では、知りたい項目によってさまざまな適性検査が用意されています。比較的少額で導入できるものもあるので、ぜひ活用してみてください。
その他、面接を行ううえで意識したいことなどはありますか。
価値観の多様化を認識することが大切です。創業社長であればなおさら、休日返上でがむしゃらに働き続けてきた方も多いと思いますが、現代は違います。どんなに意欲がある候補者でも「年間休日数はどれくらいですか」「残業はありますか」などといった逆質問をするケースが非常に増えています。これらの質問をすること自体が、仕事に対して消極的であるとは限らないという、新しい価値観を理解しておかなければ人材の確保は難しいでしょう。
応募者の志望度を上げて「辞退します」を防ごう
面接後に候補者側から辞退されることが多い場合、何を改善すべきでしょうか。
採用の売手市場により、候補者側も会社を選ぶ状況が続いているので、不可抗力で起こってしまう事象です。仕方ないこととはいえ、面接時に自社への志望度を上げてもらうことがある程度の予防策になります。
会社説明の際は概要の他に、採用職種についての詳細はもちろん、企業風土、社内の雰囲気なども詳しく伝えてみましょう。候補者は自身に合った会社かどうかを見極める判断材料が増え、合っていればより志望度は高くなります。また、入社の決め手の1つとして「面接担当者が良かったから」という点をあげる求職者は意外と多いものです。凛とした態度で接しつつ、丁寧に細やかな気配りを行うことも会社の印象を良くします。会社側も選ばれているという認識を持ちましょう。
また、候補者に会社を選ぶうえで何に重きを置いているのかを聞き、その回答に対して自社がどのようなことができるかを伝えるのも効果的です。
最近の傾向として、求職者は会社に何を求めているのでしょうか。
新卒は、会社の安定性や仕事のやりがいを求める傾向があります。会社説明に時間をかけて安心してもらう他、入社後に仕事で得られるスキルや成果を伝え、自社での自己成長を具体的にイメージしてもらえるように説明することがポイントとなるでしょう。
中途の場合は、裁量権の度合いが入社の決め手になることが多いです。社内でどのようなポジションになるのか、将来的にどこまで役職が付くのかなどという、先を見据えた現実的な面での説明を意識しましょう。
いずれも一方的な選考ではなく、双方向の認識や条件をすり合わせて納得のいく面接を行うことが、ミスマッチを防ぐために必要不可欠であると考えてください。
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この記事の著者
弥報編集部
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この記事の監修者
宮花 宙希(株式会社船井総合研究所 HRストラテジー支援部 マネージング・ディレクター)
2013年船井総合研究所に入社後、採用・育成・評価・組織活性といった人材・組織をテーマにさまざまな業界・規模の企業支援に携わる。現在は部署にて責任者をしており、人材採用から人を育てる評価制度構築支援など総合的なマネジメント強化による業績アップを得意としている。現在所属中のHR支援部において、人財や組織の観点からコンサルティングを実施。企業の持続的な成長は、事業戦略やマーケティングだけでは実現できず、人財・組織に関する戦略や施策も重要性が日に日に高まっているため、主に「採用」・「育成」・「定着」分野にてお客様の成長をサポート実施。
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