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辞めない・飛ばないアルバイトを育てるために!意識したいコミュニケーション術3選【老舗和食店の女将に聞く】

2024.03.05

著者:弥報編集部

監修者:小保下 グミ

人手不足の時代、店舗経営において若いアルバイトスタッフは貴重な存在ですが、定着率が悪く「すぐに辞めてしまう」「連絡が取れなくなった」などの悩みを抱える経営者も少なくありません。世代の違いからコミュニケーション方法がわからない、と放置しているとこれらの事象をさらに助長させてしまいかねませんが、実際にはどのように接すればよいのでしょうか。

実は、ポイントを押さえて接することでアルバイトスタッフが長く働く可能性を高めることができます。若いアルバイトスタッフとのかかわり方で意識したいのは「1、研修をしっかり行うこと」「2、社会人になるためのサポートをすること」「3、強制感のない食事会を開催すること」です。多くの学生バイトを雇用してきた老舗和食店の女将が1つずつ解説します。


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研修をしっかり行う。ポイントは「怒らない、強く否定しない」

現代の若者は失敗をなるべく回避しようとする傾向があると言われています。これは生まれたときから不景気で未来に希望が持てないことや、インターネットの発達によって事前にリスクを知ることができるようになったことが影響していると考えられています。

当店でもこれまで10〜20代の若者を数多く雇用してきましたが、現代の若者は以前と比べて間違えることを非常に恐れ、挑戦に対して慎重であるように感じます。失敗を過度に恐れている若者を雇用した際に、研修をおろそかにし、仕事内容をよく理解しないまま現場に出してしまうと、彼らは大きなプレッシャーに晒されます。ミスをして怒られ、恥をかいてしまう恐怖から、何も言わずに職場を去ってしまうケースも出てくるのです。

当店でも経験があります。十数年前まで当店は、新人のアルバイトスタッフが入店したら、現場に出ながら体で仕事を覚えてもらうのが基本スタイルでした。しかしこの方法だと、早い段階で辞めてしまう人がやや多いことに気付きました。

そこで研修の方法を変え、ある程度じっくり仕事を覚えてもらってからお客さまの接客にあたるスタイルに。例えば接客のロールプレイングをさまざまな状況を想定して何度も行ったり「こんなことがあったらどうする?」といった、ケーススタディを学ぶ時間を作るなどをして、事前学習の時間を多く持つようにしています。予算の関係から数週間みっちり研修だけに時間を使うというわけにはいかないのが現状ですが、少しでも自信をつけてからお客さまの元に送りだすことを心がけています。

研修をしっかり行えば不安が減り、また失敗しても対処法を知っていれば安心感が増します。安心できる場所には長くいたいと思うものです。当店は長年人手不足に喘いでいたのですが、近年になりスタッフの定着率が明らかによくなってきたのは、こうした改善を施してきた結果なのだと思っています。

注意したいのは、怒ったり強く否定したりしないことです。上から目線で怒ったり「それは違う!」と強く否定したりすると、現代の若者はすぐに心が折れてしまいがちです。もしも彼らが間違った行動を取ることがあれば「あ、ちょっと待って。これは〇〇じゃないかな?」とやんわり変更を促したり、「そういうやり方もあるよね。でも今回はこういうやり方でお願いできるかな?」とお願い姿勢で伝えるなどをすると、心折れずに聞き入れてくれる場合があるのでおすすめです。

管理者の立場になるとついアルバイトに対して偉そうな態度を取ってしまいがちですが、若者に対しては特に、対等な立場になることを心がけて接するようにしてみてください。

社会人になるための準備をサポートしよう。雇用主にできるのはスキルアップとコミュニケーション力の向上

また、多くの若者が売手市場なのにもかかわらず、社会に出てから会社でうまくやっていけるかどうかを異常に心配している傾向があります。ですので、アルバイト先で社会人になるための準備ができるかどうかは、職場を離れるか続けるかを判断する重要な指標だと言えます。

当店でも、面接した若者に志望動機を問うと3人に1人ぐらいの割合で「就職する前準備のため」だと答えます。就職する前に一度働いておきたい、大人としゃべることに慣れたいなど、社会人になるための用意をしておきたいのです。

そこで就職前の学生には、スキルアップのためのトレーニング時間を設けたり、大人とのコミュニケーションが活発にできる環境を与えるようにしています。

例えば、当店はどちらかというとカジュアルな雰囲気なので、これまではアルバイトスタッフに対して厳格に接客マナーを守ることは求めてきませんでした。しかし、一部の若いスタッフの中から、それを実際に使うかどうかは別として、正しい接客マナーを知っておきたいという意見が出てきました。そこで希望のあるアルバイトスタッフには、業務に必要な研修とは別に正式なマナーを伝える時間を作りました。

さらに、こちらも業務とは無関係ですが、食事をするときのマナーなども知っておきたいという要望があったので、知り得る限り伝えました。新しいことに挑戦するのは慎重な若者が多い一方で、自分が知りたい、学びたいと思ったことに対しては非常に真面目で真摯に取り組む姿が印象的でした。

また当店では、コミュニケーション力を付けるという目的で、お客さまがいないときに限り、仕事中であっても同僚や経営者らと雑談など業務と関係のない会話をすることを良しとしています。大人と躊躇なく会話できるようになるスキルは就職に向けて彼らが鍛錬したいことの1つですし、お客さまビジネスである当店にとっても悪いことではありません。アルバイトスタッフ同士の仲が深まれば離職率の低下にもつながります。話に夢中になりすぎて作業の手が止まってしまうようなことがあれば少し声を掛けていはいますが、基本的に自由に会話することを許容しています。

注意点としては、経営者や大人のスタッフも交えて会話をする場合、自分の話や昔話をしすぎないようにすることです。こうした話題は若いアルバイトスタッフにとって疎ましいと感じることが多いようです。皆さんが若かったときもきっと同じだったのではないでしょうか。自分の話を聞かせるよりも、なるべく相手に話をしてもらうように心がけるとよいでしょう。ただし恋人の有無などプライベートな話題はこちらから振らないようにしてください。たくさん自分の話をすることで、大人と会話をすることは何も怖くないと知ることができれば、自然とコミュニケーション力がついてくるはずです。

食事会への参加は「無理強いしない&終了時間を決める」のが肝

アルバイトスタッフを雇っている経営者が多く抱える悩みといえば、食事会などを開催するべきなのかということでしょう。私は離職を防ぐという観点から考えてみても、半年〜1年に1回ぐらいは皆で集まる機会を設けることをおすすめしたいです。

仕事を辞める最も大きな要因は人間関係だといわれます。その人間関係を良好なものにするためには、仕事以外で交流できる時間を作ることです。プライベートな時間を一緒に過ごせばお互いのことがわかります。相手のことがわかれば誤解が生まれにくく、仲良くなれば職場に行くのも楽しみになるものです。良好なコミュニケーションが築ければ仕事中も協力しあうことができます。仕事がうまくいけば自信になり、離職を防ぐことにつながるでしょう。

プライベートの時間を共有することで、アルバイトスタッフの本音が聞き出しやすくなるというメリットもあります。特に仕事で困っていることや、改善してほしいことを聞くのには絶好のチャンス。不満を丁寧に聞くと、ちゃんと自分たちの意見も聞いてくれるのだと経営側に対する信頼感が増します。意見を採用してお店作りに活かせばスタッフの士気も上がり、仕事を続けたい気持ちが増すことでしょう。

ただし、こちらも注意点があります。スケジュールを決める際、先約があるので参加できないと言ってきたスタッフの予定に無理に合わせようとしないようにしてください。「先約がある」は行きたくないことの理由付けかもしれませんし、彼らの都合に合わせすぎると参加しなければならないプレッシャーを感じさせてしまいます。あくまでも自由参加であることを強調することが大切です。

また、参加できなかったアルバイトスタッフへ嫌味を言ったり、参加しなかったことを理由に仕事の評価や態度を変えたりしないことにも要注意です。逆に参加した人をシフトに多く入れるなど有利に働かせるようなこともないようにしてください。不公平感を生めばお店に不満を持つ原因になりますし、アルバイト同士に軋轢を生む可能性もあります。

食事会を開催することが決まったら、終了時間も同時に決めておくとよいです。時間が来たら盛り上がっていても解散しましょう。食事会に長時間付き合うのは嫌だなと思っているアルバイトスタッフも、終わる時間がわかっていれば参加しやすくなります。遊び足りない人は解散したあとにアルバイトスタッフ同士で2次会に参加すればよいのです。

ひと昔前ならアルバイト先というのは、欲しいものを買うために働いてお金を稼ぐ場所でした。ですので多少きつい仕事でも耐え忍んで続ける若者はたくさんいました。

しかし、今は単にお金を稼ぐためだけではなく、何かを学ぶためであったり、社会人になるための予行演習のためであったりもします。また、高いお給料よりも、心の安全が保たれる場所で働きたいと考える若者も多いようです。その辺りをふまえたうえで私たち経営者は、彼らに家でも学校でもない第3の場となるような、安心できる環境を提供することを目指すとよいのではないかと思います。


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この記事の著者

弥報編集部

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この記事の監修者

小保下 グミ(老舗和食店の女将)

老舗和食店の女将。夫が後を継いだ家業で経営全般に関わる。現在は休業中。
noteにて定期購読マガジン「小さなお店のちいさな女将」を運営。飲食店経営や自営業の生き方・働き方について発信中。

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