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政府が中小企業の資金繰りを全力サポート!「コロナ資金繰り支援継続プログラム」とは【教えて!吉田先生】
2023.06.27
著者:弥報編集部
著者:吉田 学
新型コロナウイルス感染症や物価高騰などが及ぼした経済へのダメージは、まだ回復してはいません。今後、自社の経営状況を新型コロナウイルス前まで戻し、それ以上へと改善していくためには、政府の支援策等をしっかりと活用することが大切です。そのためには、政府や自治体の支援策にアンテナを張り、利用できそうなものは積極的に申請しましょう。
最近の政府の支援策の1つとして、2023年3月7日に公表された「コロナ資金繰り支援継続プログラム」というものがあります。また、同時に官民金融関係機関等などに対して「(配慮要請文)年度末における事業者に対する金融の円滑化等について」も発せられ、その積極的な活用が促されています。
財務・資金調達コンサルタントの吉田 学先生が「コロナ資金繰り支援継続プログラム」と「(配慮要請文)年度末における事業者に対する金融の円滑化等について」の概要を解説します。
※本記事は2023年5月17日時点の情報を基に作成しております。法令などの最新情報については、政府から出ている文書をご確認ください。
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目次
「コロナ資金繰り支援継続プログラム」とは何ですか?
3月末で終了予定であった資金繰り支援策等の申込期間延長などの対策を講じるため、経済産業省より公表されたのが「コロナ資金繰り支援継続プログラム」です。これにより、今後も日本政策金融公庫等によるコロナ資金繰り対策が継続することとなりました。
また、同日に官民金融機関に向けて配慮要請文「年度末における事業者に対する金融の円滑化等について」も発せられていますので、後述します。
具体的に「コロナ資金繰り支援継続プログラム」について教えてください
「コロナ資金繰り支援継続プログラム」の支援策については、以下の通りです。
1については「日本公庫のスーパー低利融資」の申込期限が2023年9月末まで延長となりました。民間金融機関のゼロゼロ融資は「コロナ借換保証」にて借換などが可能ですが、日本政策金融公庫においては、本制度によって借換が可能となっています。スーパー低利という名の通り、低利息で利用できる点が大きなメリットです。
2については「日本公庫の資本性劣後ローン」の申し込み期限が2023年9月末まで延長となりました。「日本公庫のコロナ無利子融資」を劣後ローンへと借換えることも可能です。劣後ローンとは、債権でありながらも他の負債よりも返済順位が劣るように設定され、金融機関からは自己資本とみなされるローンです。こちらを利用するメリットとしては、期限一括返済であること、利息負担が抑えられること(毎年直近決算の業績に応じて、2区分の利率が適用)、そして無担保・無保証人で申請が可能な点が挙げられます。小規模事業者などの場合は、少々ハードルが高いと思われますが、相談することは可能ですので積極的に問い合わせてみましょう。
(参考)
新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付(新型コロナ対策資本性劣後ローン)|日本政策金融公庫
3については「セーフティネット貸付」の申し込み期限が2023年9月末まで延長となります。原油価格上昇による原材料・エネルギーコスト増の影響、またはウクライナ情勢の変化の影響を受けている事業者は低利となっています。
(参考)
経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)|日本政策金融公庫
4については、民間金融機関を窓口とする「セーフティネット4号」の申し込み期限が2023年6月末まで延長となりました。「セーフティネット4号」とは、突発的災害発生に起因して売上高などが減少した中小企業者を支援するための措置です。セーフティネット4号は、既に利用している「一般保証枠」とは別に「別枠保証枠」が設定されているため、一般保証枠を限度まで利用している事業者の方でも利用可能となります。こちらの制度は、コロナ借換保証制度の対象にもなっています。
(参考)
セーフティネット保証制度(4号:突発的災害(自然災害等))|中小企業庁
民間ゼロゼロ融資等の返済負担軽減のための保証制度(コロナ借換保証)を開始します。|中小企業庁
5については、2023年3月15日から「スタートアップ創出促進保証」の申し込みが開始されています。本制度は、特に「コロナ対策」に限ったものではありませんが、創業5年未満の法人向けに、3,500万円、無保証人で融資を受けることができる制度です。対象になる方は積極的に検討してください。
(参考)
経営者の個人保証を不要とする創業時の新しい保証制度(スタートアップ創出促進保証)を開始します。|中小企業庁
官民金融機関に向けた配慮要請文「年度末における事業者に対する金融の円滑化等について」とは、どのような内容なのですか?
経済産業省および金融庁などより、官民金融機関など(政府系金融機関、信用保証協会、民間金融機関等)に対して「年度末における金融の円滑化等について」が発せられました。そのなかで「コロナ資金繰り支援継続プログラム」の内容を受け、以下のような要請が出されています。
〈主な内容〉
- 民間ゼロゼロ融資からの借換えに加え、既往の信用保証付き融資からの借換えや新たな資金需要にも対応したコロナ借換え保証の活用を積極的に提案し、伴走支援に努めるなど、事業者に寄り添った対応を徹底すること。
- 申込期限が延長された日本公庫によるスーパー低利融資、資本性劣後ローン、セーフティネット貸付(物価高騰対策)等の積極的な活用に努め、借換えや新規融資の円滑化を図ること。
- 増大する債務に苦しむ事業者には、日本公庫によるスーパー低利融資について、債務償還年数が13年以上であれば、売上減少要件を満たしていなくても融資対象となるよう要件を緩和したことを周知の上、活用を促すこと。
- 日本公庫の資本性劣後ローンについて、コロナ無利子融資からの借換え促進を念頭に、民間金融機関との協調融資の拡大に努めるとともに、民間金融機関からの協調支援を希望しなくても、認定支援機関の支援を受けて計画を策定していれば対象となることを周知の上、活用を促すこと。
出典:年度末における事業者に対する金融の円滑化等について要請しました|経済産業省
上記の主な内容を読んでいただけるとわかりますが、官民金融機関に対して「コロナ資金繰り支援継続プログラム」の活用・促進を促しています。
また3については、日本政策金融公庫のコロナ貸付による借換を促進している内容となっています。従来は「売上高5%以上の減少」などの要件でしたが、2月1日以降は「債務償還年数が13年以上であれば、売上減少要件を満たしていなくても融資対象」となります。
コロナ貸付はこれまでは「売上高が減少している」ことが要件となっていますが、何とかギリギリ黒字に回復させている状況だと対象になりません。しかしながら、そういう事業者の方でも返済するのが困難な状況の方は多いと思われます。この要件緩和により多くの事業者が対象となる可能性があります。
(参考)
新型コロナウイルス感染症特別貸付 |日本政策金融公庫
もっと借りられる?自分の会社の借入限度額を知るには?(ページ内「債務償還年数について」)|弥報Online
「コロナ資金繰り支援継続プログラム」および「官民の金融機関等への要請」の活用をするにはどうすればいいのでしょうか?
まずは、実施されている制度などの概要をしっかりと理解しましょう。そのうえで、自社が利用できるのかについて、すぐに日本政策金融公庫などに相談してみてください。商工会などや取引先の金融機関等に相談するのも一つの方法です。
思うような回答を得ることができない場合は、顧問税理士や専門家に相談してください。まずは顧問税理士に相談するというのも、もちろんいいでしょう。
「官民の金融機関等への要請」については、あくまでも要請であって命令・強制ではありません。支援するかどうかの最終判断は、金融機関しだいです。しかし、本要請の主旨に反するような対応をされた場合は「本要請に基づいて対応してほしい」旨を伝えて粘り強く交渉しましょう。対応に疑問を感じた場合は、顧問税理士または専門家に相談することをおすすめします。
※本記事は2023年5月17日時点の情報を基に作成しております。法令などの最新情報については、政府から出ている文書をご確認ください。
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吉田 学(よしだ まなぶ)
財務・資金調達コンサルタント
株式会社MBSコンサルティング 代表取締役。1998年の起業以来、「資金繰り・資金調達支援」に特化して創業者や中小事業者を支援。これまでに1,000 社以上の資金調達相談・支援を行い、その資金調達支援総額は20億円超。主な著書に、「社長のための資金調達100の方法」(ダイヤモンド社)、「究極の資金調達マニュアル」(こう書房)、「税理士・認定支援機関のための資金調達支援ガイド」(中央経済社)、「税理士だからできる会社設立サポートブック」(第一法規)などがある。
また、全国の経営者・士業などを対象にした会員制の資金調達勉強会「資金調達サポート会(FSS)」を主催している。
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