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厳しい経済状況下を生き抜く助けに!政府による「中小企業活性化パッケージNEXT」を活用しよう【教えて吉田先生!】

2023.05.24

著者:弥報編集部

著者:吉田 学

2022年9月8日に「中小企業活性化パッケージNEXT」が公表されました。これは新型コロナウイルス感染症の影響や、物価高などによる経済環境の変化を踏まえ、厳しい状況下にある中小企業を支援すること、そして収益力改善や事業再生、再チャレンジといった前向きな企業努力を続ける中小企業のサポートを目的としたものです。

今回は、ポストコロナを中小企業が生き抜くために活用したい中小企業活性化パッケージNEXTについて、財務・資金調達コンサルタントの吉田 学先生に伺いました。

※本記事は2023年3月8日時点の情報を基に作成しております。法令などの最新情報については、政府から出ている文書をご確認ください。

(参考記事)
新型コロナウイルスで売上高減少……苦戦中の企業を支える「中小企業活性化パッケージ」とは【教えて吉田先生!】|弥報Online


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「中小企業活性化パッケージNEXT」とはどのような内容なのですか?

中小企業活性化パッケージNEXTは「経済環境の変化をふまえた資金繰り支援の拡充」および「中小企業の収益力改善・事業再生・再チャレンジの総合的支援の更なる加速」の二部構成の施策となっています。

小規模・中小事業者の皆さんに知ってほしいのは、前者「経済環境の変化をふまえた資金繰り支援の拡充」です。ここに「ポストコロナに向けた段階的移行」と「コロナ資金繰り支援等の継続・拡充」について書かれていますから、今回はこの2点について簡潔に解説いたします。

〈全体イメージ〉

出典:中小企業活性化パッケージNEXTを策定しました|経済産業省

「ポストコロナに向けた段階的移行」とはどのようなものですか?

「ポストコロナに向けた段階的移行」の内容は、以下の2点とされています。

  1. 伴走支援型特別保証の拡充
  2. 日本公庫などのスーパー低利・無担保融資の継続【来年3月末まで】・拡充+無利子・危機対応融資(商工中金・政投銀)の終了(9月末申し込み分まで)

1についてですが、伴走支援型特別保証制度とは、一定の要件(売上減少▲15%以上など)を満たした中小企業者などが、金融機関による継続的な伴走支援を受けることなどを条件に、信用保証料が大幅に引き下げられる保証制度です。

今回の拡充では、伴走支援型特別保証制度の保証限度額は6,000万円から1億円に引き上げられています。既に利用されている事業者の方も、改めて取引先金融機関などに追加融資の可能性について相談をしてみてください。

(参考)
【教えて吉田先生!】運転資金が足りない場合の最適な資金調達方法・伴走支援型特別保証制度|弥報Online

2についてですが、小規模・中小事業者の方を対象として簡潔に説明します。日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」の実質無利子の対応は2022年9月30日の受付分にて終了となりましたが、制度自体は「2023年3月末」まで延長されることになりました。既に利用されている方も、資金が必要な場合は改めて日本政策金融公庫に追加融資、借換などのご相談をすることをおすすめします。

(参考)
新型コロナウイルス感染症特別貸付|日本政策金融公庫

「コロナ資金繰り支援等の継続・拡充」とはどのようなものですか?

「コロナ資金繰り支援等の継続・拡充」の内容は、以下の4点となっています。

  1. セーフティネット保証4号(別枠(上限2.8億円)、100%保証)の期限延長【9月末→12月末まで】
  2. セーフティネット貸付(物価高騰対策)の金利引き下げ(▲0.4%)期限延長【9月末→12月末まで】※貸付期間5年 中小事業:0.66%、国民事業:1.41%
  3. 借換保証など、中小企業の返済負担軽減策の検討
  4. 事業者の資金繰り支援等のための金融機関等への要請

1についてですが、セーフティネット保証4号の期限が延長されました。公表当時では2022年12月末となっていますが、さらに延長されていますので中小企業庁のHPなどで確認するようにしてください。

(参考)セーフティネット保証4号関連
セーフティネット保証制度(4号:突発的災害(自然災害など))|中小企業庁
セーフティネット保証制度 中小企業信用保険法第2条第5項及び第6項|中小企業庁

2についてですが、日本政策金融公庫の「セーフティネット貸付(物価高騰対策)」の金利引き下げが延長されました。こちらも公表当時では2022年12月末となっていますが、さらに延長されています。中小企業庁や日本政策金融公庫のHPなどで最新情報について確認するようにしてください。

(参考)
ウクライナ情勢関連 資金繰り支援|経済産業省

3については、ゼロゼロ融資(実質無利子・無担保)などの、返済が困難な事業者向けの借換制度が検討されていましたが、2023年1月10日よりコロナ借換保証制度が開始されています。

(参考)
コロナ借換保証について|中小企業庁

4では、2022年9月9日に各所管大臣から官民金融機関等に対して「中小企業活性化パッケージNEXTを踏まえた事業者支援の徹底について」という要請がされています。

〈要請内容〉(一部抜粋)

  • 事業者の業況を積極的に把握し、資金繰り相談に丁寧に対応するなど、事業者のニーズに応じて、事業者に最大限寄り添ったきめ細かな支援を引き続き徹底すること。
  • 事業者からの返済期間・据置期間延長の事前の相談において、すでに元金返済を開始している事業者も含め、申込みを断念させるような対応を取らないこと。
  • 返済期間・据置期間の長期の延長等を積極的に提案するなど、既往債務の条件変更や借換等について、事業者の実情に応じた迅速かつ柔軟な対応を継続すること。
  • ポストコロナに向けた設備投資資金などについて、保証限度額が拡充された伴走支援型特別保証や、上限額が引き上げられた日本政策金融公庫等によるスーパー低利・無担保融資を活用すること。

出典:「中小企業活性化パッケージNEXT」を踏まえた要請をしました|経済産業省

また、中小企業活性化パッケージNEXTとは直接関連しておりませんが、2023年3月7日に「年度末における事業者に対する金融の円滑化等について要請しました」が公表されていますので、こちらの内容についても確認してください。

(参考)
年度末における事業者に対する金融の円滑化等について要請しました|経済産業省

もし、金融機関などに相談をして無下に断られるような対応をされた場合は、上記のよう内容が金融機関には発信されていますので、顧問税理士等の力を借りながらでも粘り強く相談、交渉するようにしてください。

これらの支援策を積極的に活用したいのですが、どうすればよいのでしょうか?

まずは顧問税理士に相談してください。また、日本政策金融公庫や取引先金融機関にも、遠慮せずに相談してみましょう。特に著しく業績の回復が思わしくない事業者の方は、中小企業活性化協議会にも相談してみる価値はあります。

(参考)
経営サポート「中小企業活性化協議会(収益力改善・再生支援・再チャレンジ支援)」|中小企業庁

今後、新型コロナウイルス融資などの元本返済が始まる事業者が増えてきます。返済できる事業者の方は問題ありませんが、業績の回復が思うように進んでいない事業者の方は、無理に返済を開始するとさらに資金繰りが悪化します。事前に元本返済ができるかどうかに関して、自社の資金繰り状況を精査・確認するようにしてください。

※本記事は2023年3月8日時点の情報を基に作成しております。法令などの最新情報については、政府から出ている文書をご確認ください。


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この記事の著者

弥報編集部

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吉田 学(よしだ まなぶ)

財務・資金調達コンサルタント
株式会社MBSコンサルティング 代表取締役。1998年の起業以来、「資金繰り・資金調達支援」に特化して創業者や中小事業者を支援。これまでに1,000 社以上の資金調達相談・支援を行い、その資金調達支援総額は20億円超。主な著書に、「社長のための資金調達100の方法」(ダイヤモンド社)、「究極の資金調達マニュアル」(こう書房)、「税理士・認定支援機関のための資金調達支援ガイド」(中央経済社)などがある。また、全国の経営者・士業などを対象にした会員制の資金調達勉強会「資金調達サポート会(FSS)」を主催している。

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