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これをやったら銀行員に嫌われます!銀行との付き合い方【教えて吉田先生!】

2023.05.24

著者:吉田 学

「金融機関の付き合い方って、難しい」と感じている事業者の方も多いと思います。

気持ちはわかりますが、基本的には人と人の付き合いです。必要以上に難しく考える必要は、ありません。しっかりとしたコミュニケーションを図ることが、とても重要です。

しかし、つい銀行員から嫌われてしまうような言動をとってしまう経営者も、少なからずいます。今回は「これをやったら銀行員に嫌われます!」というお話をさせていただきます。


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金融機関(担当者)から「これをしたら嫌われる」という注意すべき言動ってありますか?

当たり前のことですが、銀行員も私たちと同じ「人間」です。私たちがされたら嫌だと思うことは、銀行員も嫌だと感じています。極端に度が過ぎると、嫌われるかもしれません。

私の経験上、気を付けてほしいと感じる言動はたくさんありますが、今回は、以下の3つをピックアップしてお話しします。

  • 担当者を飛ばして上司、支店長などに直接連絡をする
  • 若い担当者を「小間使い」のように扱う
  • 資金繰りにひっぱくした時にだけ連絡をする

「担当者を飛ばして上司、支店長などに直接連絡をする」というのは、マナー違反なのですか?

「担当者を飛ばして上司、支店長などに直接連絡をする」ことが、絶対的にダメということでありません。この行動を避けた方がいい時の例として、人事異動で担当者が変更になった場合などが挙げられるでしょう。「今度の担当者は“使えない”」というレッテルを貼り、担当者を飛ばして上司や支店長に連絡をするようなことはしない方がいいです。

逆の立場に立って、常識的に考えてみてください。担当者としては、いつも自分を飛ばして上司に連絡をされるとやはり気分はよくないですよね。経営者としてもストレスを感じているのかもしれませんが、社会のルールとして、まずは担当者を通してくれないと金融機関も困ってしまいます。

経営者側としては、まずは担当者に融資相談などをするべきです。いきなり上司や支店長に連絡をしたとしても「それでは担当から改めて連絡をさせます」と言われてしまいます。

これを繰り返していると、印象が悪くなるのは想像が付きますよね。担当者としては、そういう取引先企業に対して「何としてでも融資をしてあげたい(応援したい)」と思わなくなる可能性もあります。

まずは、筋を通して融資などの相談は担当者にしましょう。どうしても上司や支店長にも相談したいのであれば、担当者に「支店長さんにも一緒にお話を聞いてほしい」とお願いしてみてください。

若い担当者には相談しやすいため、いろいろと依頼しがちです。このようなことを続けていると、嫌われますか?

結論から言うと、このような態度がひどく行き過ぎた場合は嫌われる可能性があります。「一流企業を退職して起業された中高年の起業家」、また「業績が良くて、金融機関から『お金を借りてください』とお願いされている社長」の場合は、注意したほうがいいでしょう。

例えば、ベテラン経営者の企業担当に、20代の若い銀行員が着任したとします。そうなると、まるで親子ほどの年の差となりますから、経営者によっては、いろいろと気軽に依頼してしまう方もいるかもしれません。

しかし、担当者からすると「ちょっと話があるので、来てもらえないか?」とすぐに呼び出されたり、融資手続きに少し時間がかかっただけで怒鳴られる日々が続くと「小間使いのような扱いを受けている」と感じてしまうかもしれません。

一般的には「銀行が威張っていて、経営者が虐められている」というイメージを持っている方が多いと思いますが、この逆パターンも少なからずあります。新人の銀行員さんからすると、こういう経営者とコミュニケーションをとるのはとても嫌でしょうね。

また、こういう経営者は、第三者に対しても「今の担当者は使えない」とすぐに口に出す傾向があります。最悪なのは、他の銀行の担当者に対して言ってしまうケースです。「あっ、この社長って、もしかしたら自分のことも、他行さんにこのように(悪口を)言っているのでは」と、銀行員としては感じてしまいます。

見方を変えてみると「新人で使えない」担当者に代わったとしたら、もしかしたら、金融機関にとってはさほど重要視されていない取引先(融資先)として認識された可能性もあります。もしそういう状況で、このような偉そうな態度をとったとしたらどうでしょうか。

これは、十分に注意するべき事項として捉えてください。

ほとんどの経営者は問題ないかもしれませんが、このような言動を続けていると、いずれ金融機関から応援してもらえなくなってしまいます。

金融機関と企業の取引に、上下はありません。どっちも対等なはずなのです。

「資金繰りにひっ迫した時にだけ連絡をする」というのは、問題ないですか?

極端な例ですが、10年ぶりに知人から連絡がきて「お金貸してくれ」って言われたらどうでしょうか。安心して貸せますか。貸せませんよね。しかしながら、懇意にしている知人から「実はこういう理由でお金が必要となったので貸してもらえないだろうか?」ってお願いされたらどうでしょうか?「いろいろと事情も知っている……何とか助けてあげたい」とは思いませんか?

基本的に金融機関も同じだと思ってください。決算が終わっても報告がない。経営計画も事業計画の話もない。いつも資金繰りに困った時にだけ、決算書を持ってきて「融資をお願いします。急いでいます!」と言われても、金融機関は困ってしまいます。

それでも、金融機関は融資をする場合が多々あるのも事実ですが、やはり日ごろのコミュニケーションは重要です。たとえ小規模事業者でも、将来的には金融機関から支援を受けながら事業を拡大させていきたいという希望があるのなら、定期的に連絡を取るようにしてください。

可能であれば、四半期ごとに試算表での業績報告と決算報告をすることをお勧めします。小規模事業者の場合、中間報告と決算報告だけでも十分です。そして報告時に、今後の資金繰りや資金調達の計画などの相談をしましょう。

そうすれば、担当者も「この時期になれば融資の支援が必要になるのだな」と、理解しやすくなります。担当者が忙しくて時間が取れないという場合は、これらのデータや資料を送るだけでもよいでしょう。

長い目で見て、金融機関から支援を受けて事業を拡大させていきたいというのであれば、担当者とのコミュニケーションがとても重要と考えてくださいね。


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この記事の著者

吉田 学(よしだ まなぶ)

財務・資金調達コンサルタント
株式会社MBSコンサルティング 代表取締役。1998年の起業以来、「資金繰り・資金調達支援」に特化して創業者や中小事業者を支援。これまでに1,000 社以上の資金調達相談・支援を行い、その資金調達支援総額は20億円超。主な著書に、「社長のための資金調達100の方法」(ダイヤモンド社)、「究極の資金調達マニュアル」(こう書房)、「税理士・認定支援機関のための資金調達支援ガイド」(中央経済社)などがある。また、全国の経営者・士業などを対象にした会員制の資金調達勉強会「資金調達サポート会(FSS)」を主催している。

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