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クラウドファンディングで失敗したくない!専門家に聞く成功の秘訣とは?

中小企業やベンチャー、個人が企業やプロダクトを開発するための資金調達の手段として、最近利用者が増えているクラウドファンディング。「CAMPFIRE」のCMも後押しして「クラウドファンディング」というサービスが、ようやく市民権を得た感があります。

しかし実際にはまだ多くの方が、その詳しい内容や利用方法が分かっていないというのが現状です。そこで今回は、税理士など士業を対象としたクラウドファンディングのノウハウ提供を手掛けている、士業クラウドファンディング支援協会の伊東 修平氏に、クラウドファンディングを活用した資金調達方法や事例、成功のポイントについてお話を伺いました。

伊東 修平(黒船イノベーションズ株式会社代表、税理士)

結婚を機にシステム開発会社に入社し、アパレル業界を中心に受発注・POSレジ・在庫管理など、さまざまなシステムの受託開発を行う。エンジニアとしての付加価値を高めるため税理士受験を志すが、会社の経営悪化により退職。これを機に、経営危機防止に貢献できる税理士になろうと決意する。その後、売上140億円規模の食品卸売商社に入社。
社内SE、経理、総務、人事、経営企画などに携わりながら、2016年に税理士試験合格(3科目独学)、2017年開業。現在は、法人・個人の経営コンサルティング業務、税務会計業務を行う傍らIT企業を自ら立上げ、販路拡大サービスや「士業クラウドファンディング支援協会」などを展開する。また小学校でのプログラミング教室、大学のビジネスコンテストの審査員など、「夢を応援」するためのさまざまな取り組みを行っている。

士業クラウドファンディング支援協会黒船イノベーションズ株式会社

クラウドファンディングを使った資金調達

――まず、クラウドファンディングがどのようなものなのか、簡単に教えてください。

クラウドファンディングとは、一般の方から広く資金を集めるしくみです。まず、インターネット上に自分のやりたいことのPRページなどを作り、資金提供を呼びかけます。そのPRページを見て志やストーリー、込められた思いに共感したり、リターン品に興味を持ったりしてくれた人が出資します。これがクラウドファンディングというサービスの基本的なしくみです。

――クラウドファンディングを資金調達に活用している方は多いのでしょうか?

はい、最近は増えています。ただし、クラウドファンディングには合わない経営者の方がいらっしゃるのも事実です。

例えば、クラウドファンディングを実施する場合は、顔を出して積極的にPRをすることが大前提になります。よって、あまり顔を出したくない方は、なかなかうまくいかない可能性があります。

またページさえ作れば、どこからともなくお金が集まってくるわけではないことも理解しておきましょう。自分たちでTwitterFacebookInstagramなどのSNSを使って、積極的に拡散していくことが基本的な戦略となります。したがって、私がクラウドファンディングの支援活動をする際には、SNSのフォロワー数がチーム合計でどの程度いるのかについては、早い段階で確認するようにしています。

――ちなみに、どれくらいのフォロワー数が必要なのでしょうか?

いくら集めたいかにもよりますが、実際にお金を出してくれる人は、だいたいページを見てくれた方のPV数のうち1%程度といわれています。1,000,000円を集めたい場合は、だいたい1人当たりの支援額が10,000円程度なので、1万人へのアプローチが必要となります。まずはそれが達成できるかどうかを確認します。

通常、3分の1が知り合いからの支援といわれているため、チームのフォロワー合計が3分の1である3千人程度いると良いと思います。

このように簡単に逆算ができますので、1,000,000円を集めるために1万人にページを見てもらいましょうという話をします。この話が出た瞬間に「ごめんなさい、難しいです……」となるケースもたくさんあります。PV数を集めるための支援が、非常に重要になるということですね。

――クラウドファンディングで起業する方は、年間でどれくらいいるのですか?

相談件数でいえば2020年は300件くらいでした。ただし、実際に起案まで進む案件は1~2割程度で、年間で4050件くらいです。

――利用者の属性に傾向はありますか?

私が支援するお客さまに関していえば、起業段階の方が23割程度です。あとの78割は既に事業をやっていて、新商品の開発や新店舗を出すタイミングでクラウドファンディングを利用する方が多くなっています。

また対象領域や分野でいうと、一般的な購入型クラウドファンディングであれば、やはりB to Cのほうが圧倒的にウケはいいです。基本的にはリターンを期待してお金を出すという構造なので、そのリターンを受け取る方が多ければ多いほど、有利に働く部分はあります。

ですからクラウドファンディングによる資金調達は、飲食店や美容室といった店舗型のビジネスに向いているといえるでしょう。一方で新しい自転車を作るなど、日常で使うものを開発するような案件にも適しています。

――B to Bの場合はどうなのでしょうか?

B to Bの場合は、本当にストーリーしだいですね。そもそもリターン品に何を出すのかという点が課題で、そのリターンを受け取る人数が少ないものは、どうしてもお金を集めにくい傾向があります。

しかし、まったく集まらないわけではありません。例えば「ホリエモンロケット」はどちらかというとB to B寄りですが、毎回クラウドファンディングで大量の資金を集めています。ストーリーと参加者の面白さがあれば、お金が集まる可能性は充分にあるといえるでしょう。

――クラウドファンディングの成功率は、どの程度なのでしょうか?

昔は67割程度でしたが、最近は5割前後となっていて、若干、下がり気味となっています。クラウドファンディングに挑戦するハードルが下がったからか、準備不足なプロジェクトが増えたことが原因だと思います。なかには大化けするプロジェクトも、1割程度あります。

最終的に、実際にクラウドファンディングにトライした5割程度がなんとか目標金額に着地して、残りの4割程度は目標金額に到達せず終わります。0円のまま、終わるケースもあります。

クラウドファンディングの資金調達事例

――クラウドファンディングの資金調達や起業の事例をいくつか紹介してください。成功のポイントなども解説していただければ幸いです。

 

コロナ禍「廃鶏」から鶏を救え!命をふたたび輝かせる!そして最高に美味しい卵を!

障がいを持つ方を雇用し、栃木県の新たな特産品を作る「ハコニワ・ファーム」は、新型コロナウイルス感染症の影響で倒産・閉鎖した養鶏場の約1,200羽の廃鶏予定の鶏を引き取るために、クラウドファンディングを実施しました。幸せな環境で卵を産める鶏を増やし、さらに障がいを持つ方へ雇用の場を創出することが本プロジェクトの目的です。

初期費用の約半分である1,950,000円を目標に実施したところ、最初の目標は達成。その後、3,900,000円のネクストゴールを目指すことになりました。

成功のポイントは、まず700名の方に個別でお願いのメッセージを送ったことが挙げられます。またプレスリリースやFacebook、Twitter、InstagramなどSNSをフル活用し、活動報告は3日に1度更新していました。メディア情報や養鶏場のようすなどを掲載することで、支援者の方にプロジェクトの進捗を分かりやすく伝えたことが成功のポイントだったといえるでしょう。

さらにリターン品は数千円の食品や雑貨をはじめ、なかには通常参加費1,000,000円のコンサルティングまであるなど、バラエティが豊かな点もプロジェクトの成功に大きく起因したと思われます。

『木ャンプで、木軽に、木持ちいい音を聴こう』ウッディスピーカーARIGUMI

注文家具の製作を行っている、有限会社八槻木工所(やつきもっこうしょ)が端材を使ってスマホのスピーカーを作るプロジェクトです。新型コロナウイルスで社会が大きく変化するなか、受け身の仕事だけでなく「発信していくこと」の大切さを実感されて、プロジェクト発足に踏み切りました。

家具の製造過程上どうしても出てしまう使えない木材である「端材」をいかに活用するかが、八槻木工所における長年の課題でした。そして試行錯誤の末、材料の廃棄を減らし、かつオリジナル製品を作り出すという発想で生まれたのがスマホスピーカー「ARIGUMI」です。結果として、目標金額の200,000円を大幅に上回る383,600円の成果を実現しました。

成功のポイントは、1級家具製作技能士の資格を有したスタッフが日本伝統の技術である「蟻組」工法で作ったインテリア映えするデザインであることに加え、音質にもこだわった点が挙げられます。また告知に関してもSNSでの発信はもちろん、知り合いにメールやLINEでお願いをした点も大きいでしょう。特にSNSでの反響が大きく、プレスリリースを打つ前から電話やホームページの問い合わせが多くあったそうです。

リターン品にはすべてクラウドファンディング発の新製品であるキーホルダーとコースター、スマホスピーカーの3種類を用意。早割&セット商品にお得な価格設定をしたことも、成功のポイントだったといえるでしょう。もちろん一番人気は、メイン商品のスマホスピーカー「ARIGUMI」でした。

本蓮沼&志村坂上の飲食店を「未来に使えるクーポン」購入で助けたい!

新型コロナウイルスの影響で大きなダメージを被った、本蓮沼・志村坂上の飲食店オーナーが多数集まって起案した本プロジェクトは、参加店で使える未来の金券をリターン品にしたユニークなものでした。今回のピンチを乗り切るため急遽結成された「おいしい未来実行委員会」に参加した店舗は、地元で愛されてきた飲食店ばかりです。

「地元との絆を大切にしたい」「おいしいもので街を笑顔にしたい」という実行委員会の想いが届き、目標金額である2,000,000円を超える2,296,000円を実現できました。

成功のポイントは、賛同してくれた方々が「これはお得だな!」と思ってもらえるように、本プロジェクトの趣旨をていねいに説明したことでしょう。各店舗のオーナーが常連のお客さまに告知したことはもちろん、SNSを活用して積極的な告知活動も行いました。

さらに本プロジェクトは商店街といった「枠」に囚われず、同じ想いを持った方たちが一致団結することでピンチを乗り切ろうという前向きな取り組みだったこともあり、各種メディアが注目した点も成功のポイントだったといえるでしょう。

そして、リターン品である未来のチケットは1,000円~10,000円という豊富な価格設定となっており、賛同してくれた方のライフスタイルやニーズに合わせて選べるうえに、500円単位で使える利便性のよさも魅力でした。

クラウドファンディングプロジェクト成功の秘訣

――クラウドファンディングのプロジェクトを成功させるコツはありますか?

成功させるコツではありませんが、逆にクラウドファンディングで失敗するプロジェクトに関する共通点は少しずつわかってきています。

失敗しているのは、

  • スタートしてから動いていないプロジェクト
  • 事前準備ができていないプロジェクト

2つです。

クラウドファンディングでは「1週間以内に30%集めたい」と各プラットフォームでもよくいわれるように、スタートダッシュが成功の鍵となります。やはり盛り上がっているプロジェクトは、その後も人が集まりやすいからです。

最初に盛り上がらないプロジェクトは、うまくいかないことが多いです。したがってスタートダッシュでどれだけ頑張れるかが、プロジェクト成功の秘訣といえるでしょう。

そしてプロジェクトの公開前から、すべての知り合いに「クラウドファンディングをいつから始めるので応援よろしくお願いします」と告知しておくことも必須です。公開前でも、資金はまだ募れない状態であっても、見せるだけのページは作成可能です。とにかく1人でも多くの方に、プロジェクトの存在を知ってもらう努力をすることが重要だとアドバイスしています。

――クラウドファンディングのプロジェクトを公開したからといって、すぐに知らない方が支援してくれるわけではないのですね。

そうです。そこが本当に難しいところで、プロジェクトスタートまで至らず、相談で終わることが多いのも、この点を理解していないことが原因となっています。SNSのフォロワー数などにより拡散力が十分でない方に対して、プロジェクトの成功のためにどれだけ予算かけますかとたずねると「えっ?」と戸惑われる方がほとんどです。

つまり自分で頑張って拡散するか、お金をかけるかの2択になるのですが、お金をかけるという方は多くありません。この時点でアクションしないまま、諦めてしまう方が多いのも事実です。

――リターン品の設定はどのような点に注意するべきでしょうか?

リターン品に関しては「どのような人がそのページを見てくれますか?」「どういう人に見てもらいたいですか?」「どのような人に支援してもらいたいですか?」といった点をヒアリングをします。

「その人たちが、本当にそのリターン品をもらって喜びますか?」という話をして、喜ぶということであれば、それをリターン品として設定するのが一般的です。ここがずれてしまうと、的外れなリターン品になる可能性が高くなります。つまり、ペルソナをどこに設定するかいう作業と同じです。

――最近、クラウドファンディングのプロジェクトもかなり増えているため、埋もれてしまう可能性もあると思います。プロモーションやマーケティング効果を上げる方法はありますか?

クラウドファンディングで実現したいことが、多くの方々に共感されることがまず必要です。「どれだけ多くの人が共感するストーリーか」「多くの人が欲しいと思うリターンか」という部分がしっかり確立されていて、初めて資金を集められるのだと思います。

多くの方が共感するストーリーであるとしたら、そういう方々が見る媒体は何かを調査し、最適なアプローチを見極めることが必要です。プロモーション戦略は、かなり重要と考えてください。

クラウドファンディングをしようと思うなら、単純に知人や友人に向けてSNSで発信するだけではなく、もう一歩踏み込んだマーケティング戦略が必要と考えましょう。

――クラウドファンディングを資金調達に利用する際に、気をつける点があれば教えてください。

履行可能なリターン品か、という点には注意が必要です。2020年のことですが、あるプロジェクトが大炎上したことをご記憶の方もいると思います。定食の「生涯無料パス」というリターン品の提供ができなくなり、支援者から多くのクレームが寄せられたといいます。お金を集めるだけ集めて何も返さないと、本当に炎上するということです。

クラウドファンディングではプロジェクト主催者の身元が必ず分かるので、「本当にそのリターンは履行できますか?」と、よく検討する必要があります。プロジェクト主催者はもちろんできると考えて思ってリターン品を設定していますが、そこを見誤ってはいけません。その点は特にプラットフォーム側はもちろん、我々も気をつけるようにしています。

――履行できないリターン品を設定される方は多いのでしょうか?

はい、結構多いです。例えば、飲食店などで「20%オフ券」といったリターン品がよくあります。ですがアイディア段階では、いつまで利用可能かという期限が想定されていない方も多くいらっしゃいます。

また1,000円のコーヒーチケットを配布するというリターン品でも、トラブルがありました。お店で飲む場合は問題なかったのですが、コーヒー豆のテイクアウトになると赤字になることが、後になって判明したのです。自分の商品とそのリターン品が、本当にマッチしているかどうかは注意深く検討する必要があると考えてください。

資金支援してくれた人たちにはリターン品はもちろんですが、プロジェクト進行中にはその進捗状況を細かく伝え、信頼関係を構築していきましょう。資金支援を得て新しいビジネスやサービスにチャレンジできるクラウドファンディングを上手に取り入れて、商品やサービス、企業の成長につなげてください。

 


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