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【小室淑恵に聞く】経営者自身の「意識・行動」改革〜生産人口減少「オーナス期」に生き残るための組織づくり〜
2021.10.21
コロナ禍で世の中の常識が変化していくなか、社内の連携がこれまでより希薄になった気がする、あるいはコロナ以前から、世代の違う社員と意思疎通が図りにくい気がしていた。未曾有の社会情勢の中で、今の経営方法で本当に良いのだろうか、と立ち止まって振り返る経営者も多いのではないでしょうか。
今回は働き方に関して独自の見解を持ち、さまざまなシーンで活躍する株式会社ワーク・ライフバランス 代表取締役社長 小室 淑恵氏に「リーダーシップ」をテーマにお話を伺いました。
効率的に働ける仕組みづくりに迷っている中小企業経営者が、迷わず進むためのヒントとしてご活用ください。
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目次
少子高齢化時代の「人口オーナス期」に適した働き方とは
昨今の未曾有の状況において、世の中の価値観や常識の変化が見受けられますが、小室さんは以前から働き方改革を推奨・実践されていました。その理由を教えてください。
あらゆる業界で新しい働き方が広がり、マネジメントに悩んでいるトップも多いのではないでしょうか。もっとも、働き方が大きな転換期を迎えた昨今の流れを見ると、「オーナス期」のマネジメントに適応する良い機会と捉えることもできます。
オーナス期とは、生産年齢人口(15~64歳)に対し、従属人口(14歳以下の子供や65歳以上の高齢者)の割合がきわめて高い人口構造の状態を指します。
日本の高度経済成長期は生産年齢人口が潤沢な「ボーナス期」でした。当時のマネジメントの成功の法則は、長時間労働で同質性の高い組織を作り、均一的な商品を大量生産すること。一方、育児や介護などさまざまな事情を抱えた社員が働くオーナス期は成功の法則も異なります。多様性を持つ社員たちが、限られた労働時間内でいかに成果を出すか、イノベーションを生み出すかが問われます。オーナス期に適した思想や施策を打ち出す企業だけが生き残る時代と言えます。
生き残るためには、経営者自身の「意識・行動改革」から
オーナス期に適したマネジメントや、働き方改革を始めるにあたって、経営者はまずどこから手を付ければよいのでしょうか
最初にやるべきは「トップ自身の意識を変えること」です。
以前は私も寝る間を惜しんで、育児と仕事を両立していました。しかし、私自身のコンディションが整えられず業務効率を下げてしまったり、周りを疲弊させたりしました。自分自身を大切にし、1日のアウトプットを最大化することもトップの大事な仕事です。リーダーシップをとってテレワークを徹底するなどの「意識・行動改革」を行い、社内に新しい働き方を促しましょう。
株式会社ワーク・ライフバランスでは「カエル会議」という働き方改革のためのツールを提供されていると伺いました。
働き方改革の一例として、弊社がサービス提供する「カエル会議」は、トップと社員がフラットな関係性で会社の長所や改善点を言い合う会議で、社員の満足度を上げ、生産性を高めるのが目的です。
重要なのは、全社員の意見を反映させること。最近は無記名で意見を投稿できる「カエル会議オンライン」システムも弊社社員の要望から生まれ、多くの企業でご利用いただいています。なお、サービス名には「早く帰る」「仕事のやり方を変える」「人生を変える」「仕事を振り返る」という4つの意味を込めています。
「多様性」の力を武器に、オーナス期を生き抜く強い組織へ
オーナス期の社員組織との関係性はどのように構築すればよいのでしょうか。気を付けるべきことや、実際に小室さんが実践されている方法などありましたら教えてください。
オーナス期の組織づくりに欠かせないのが、トップを含む「全員が対等な関係性で、互いのメッセージや思いを共有すること」です。ボーナス期は指示命令型のマネジメントが最適でした。現在はむしろ多様性を受容するマネジメントを行うことにより、社員の個性を武器に変えられます。
過去には私も社員の特徴や行動を把握できなかった苦い経験があります。その教訓から、現在は1日の業務が始まる前と終わった後に「朝夜メール」を実施しています。ここで社員には日常のできごとを共有してもらい、コメントも返しています。社員の業務状況やコンディションを把握することで、一人一人に合ったマネジメントが可能となります。
他にも、売上数字をバックオフィスも含めた全社員で共有し意見を交わす機会を設けたり、360度評価制度を導入するなど、風通しの良い社風づくりに努めてきた結果、創業以来ほとんどの社員が退職していません。また徹底したテレワークを実施し、大幅なコストカットにつなげました。本質的な物事に投資を集中するためには、徹底した合理化も必要です。少ない時間やコストで高い成果を出す、新しいマネジメントスタイルです。
さまざまな事情を抱えた社員たちが、その能力を十分に発揮できるように、仕事に集中できる「心理的安全性」を確保する。多様性を受容し、個々の能力を最大限に活かした組織づくりを行うことが、トップの最も重要な役割です。そして、社員同士も互いに多様性を認め合うことが最終的に会社を繁栄に導くのです。
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この記事の著者
弥報編集部
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この記事の監修者
小室 淑恵(株式会社ワーク・ライフバランス 代表取締役社長)
2006年に株式会社ワーク・ライフバランスを設立。多種多様な価値観が受け入れられる日本社会を目指して、多数の企業・自治体などに働き方改革コンサルティングを提供し、多くの成果を出している。自らも子育てをしながら、会社としても全社員が残業ゼロと有給取得100%を実現したうえで、増収増益を達成し続けている。
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