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「会社の空気が確実に変わった!」採用・営業・社内活性化【小さな会社だからこそ成果が出るPRの考え方】
2019.07.01
「PR? 広報? うちには関係ないよ」そんな声をよく聞きます。「小さな普通の会社だから」「OEMしかやってないから」……自社内に発信できることなんて何もない。
でも、ちょっと待って! 本当にそうでしょうか?
「いえいえ、発信できることがない会社なんてありませんよ!」――そう断言するのは、企業広報専門の編集プロダクションを営む大島悠(おおしま・ゆう)さん。
「どんな会社にも、必ず広報素材はあります。眠らせておくなんてもったいない」
10年間に1,000社におよぶ企業を取材した経験から、編集の視点をいかした「小さな会社のための長期伴走型広報支援」事業を展開しておられる大島さん。「もったいない会社をなくしたい」という想いと実績をベースに「そもそもPR、広報って何?」に始まり、PR/広報がなぜ大切なのか、まずは何から実践していけばいいのかを丁寧に解説していただきました。
目次
“うまくいっている会社”の共通点
「『あること』に注力したら、会社の空気が確実に変わってきたんですよね」
とある経営者の方から、うかがったことがあります。
数名いる社員は、淡々と日々の仕事をこなすだけ。経営なんてどこか他人ごと。社員同士の連携もうまくいっていない。営業も採用も課題だらけ……。
そんな小さな会社を変えた「あること」とは?
その答えをお伝えする前に、まず会社が“うまくいっている”とはどのような状況か、具体的にイメージしてみましょう。
例えば、採用。求人を出せば採用候補者が一定数集まるだけではなく、今いる社員の紹介によって、優秀な人が入社を希望してくれる。会社の事業説明や面談など、採用のプロセスで活躍してくれるのは社長や役員以外のメンバー。
それは、対顧客でも同じ。自社事業の強みは何か、どんな人や企業に最適なサービス・製品なのか、会社として大切にすることは何なのか、全社員が共通理解をもって行動できる。
当然のことながら社員同士は常に連携し、それぞれ適切なコミュニケーションを取りつつ「今やるべきこと」に向き合い続けている——。
少々、理想がすぎるでしょうか。でも、きっとこれは、業種業態や会社規模に関わらず、多くの経営者の方が望む「理想の会社像」に近いのではないかと思います。
「そんなこといわれても、一体どこから手をつけたらいいのか……」
そう思われる方もいるかもしれません。でも、採用も営業も社内活性化も、根本のところではすべてがつながっている課題なのです。
そして、これらの課題すべてを一本の横串で貫く考え方があります。それが「PR(=Public Relations)」です。
そう。冒頭にご紹介した小さな会社が注力した「あること」とは「PRの実践」だったのです。
PR・広報の役割は「自社アピール」だけではない
「PR」や「広報」について、日本では「プロモーション」や「パブリシティ(=メディアに取り上げてもらうための活動)」など、広告に近いもののように思われているフシがあります。
小さな会社には、縁がない。そう思っている方も多いかもしれませんね。
しかしPRの本来の意味は「Public Relations」――企業が社会との間に良好な関係を構築すること。
イメージしにくいのでもう少し意訳すると「自社と接点をもつ人たちすべてとの関係性を一つひとつ良好にする努力をし、それを維持していくこと」といったところでしょうか。ですから、会社の規模はまったく関係ありません。
自社と接点をもつ、取引先、提携先、学生を含めた採用候補者(不採用になった候補者も含む)、地域社会の人たち。上場企業になると、ここに株主や投資家、行政、自治体なども加わります。
そして、企業にとっては「社員」も極めて重要な“関係者”です。特に社員が少なければ少ないほど、一人ひとりとの関係性が経営に与える影響は大きくなります。
インターネット上の口コミサイトやSNSの普及により、社内と社外は「別モノ」ではなくなりました。今や情報は完全に地続きであり、社員が語る情報が、良くも悪くもそのまま社外に広く伝わってしまう時代です。
社員の方との関係性が良いものであれば、お客さまや採用候補者はもちろんのこと、社員の家族やその知人・友人、自社OB・OG(退職者)が会社に対して抱くイメージも相対的に良くなっていきます。
このように、PR・広報は「接点をもつ人たちすべて」が対象の活動であり、決して、お客さまやメディアに対する自社アピールを指すだけではないのです。
専任担当者がいなくてもできるPR・広報のベースづくり
たとえ社員が数名の会社であっても、PR・広報の専任担当者がいなくても、できることはたくさんあります。むしろ小さな会社だからこそ、全員が共通の理解をもってPRを実践したときの成果が、より大きなものになるはずです。
先に紹介した「小さな会社」のように、うまくいっている会社がどんな「PR」を実践しているのか追ってみましょう。
まずは会社としての“意思”を再確認するところから。社内に対しても社外に対しても、会社の意思表示が、すべてのPR・広報活動のベースになります。
Step 1:会社の現在、過去、未来について整理する
- 現在:「今何をしている会社なのか」
- 過去:「これまでどんな歴史をたどってきたのか」
- 未来:「これからどんな会社にしたいのか(どんなことに貢献したいのか)」
シンプルなようでいて、これらを簡潔に説明できる企業の方はどれほどいるでしょうか。特に社内外すべての関係者に対し、会社の走っている方向性を示す未来のビジョンは大事です。
基本的には、まず経営者が改めてこの3つのポイントを整理し、自分の想いも合わせて言語化できることがベスト。
【整理の例】
- 現在: 大手企業からITシステムの構築を受託で請け負っている会社で、基幹系システムを得意とする
- 過去: 10年前、創業者が社会のIT効率化を促進することを目指して設立。1人ではじめ、地道に受託規模を拡大してきた
- 未来: 10年間の受託制作で得た知見やノウハウ、増えたメンバーと共に、次の10年で高齢者の社会参加をサポートする自社サービスの開発を目指している
PRの成果が生まれ、社員の方の意識が変わってきたら、次は社員の方と一緒に「どんな会社にしたいか」をディスカッションしていくのもよいですね。社員のモチベーションが低い状態のまま、いきなり全員で取り組もうとすると逆効果になってしまうこともあるので、段階的に巻き込む範囲を広げていくことをオススメします。
Step 2:整理した情報を、まずは社内で共有する
対外的な発信も大事ですが、まずは一番近い社員の理解を深めていく必要があります。ただ社員の方は、往々にして目の前の仕事に追われていることが多いもの。だからこそ意識的に、会社の成り立ちや今後のビジョンについて、経営者が伝える時間を確保したいところです。
メンバーが数名〜十数人規模ならば、一人ひとりに対面で丁寧に伝えることができますね。これは大企業には絶対できないことです。そして一度ではなく、全社会議や日々行うミーティングでも必ずふれるなど、とにかく「繰り返し伝える」ことが重要。
口頭ベースだけでは内容が少しずつ変わってしまったり、人によって違う受け取り方をされてしまうこともあるので、テキスト化も必須です。
全社員へ定期的にメールを送ってもよいですし、携帯できるリーフレットやカードを作成するのもよいでしょう。オフィス内の目立つところに書き出して貼り出す方法もあります。
Step 3:伝えた相手の反応をみてブラッシュアップしていく
伝える内容は、はじめから完璧なものでなくてもいいのです。自分なりにまとめたポイントを対面で社員の方に話すとき、「よくわからないこと、疑問に思ったことは遠慮せず言ってほしい」と伝えてみてください。
すると社員目線のフィードバックが集まります。出てきた質問にどう答えるかを考え、また話す内容をブラッシュアップしていく。最初はその繰り返しです。
社内に一通りのことが伝えられたら、次は社外へ。営業や採用面接の際に伝えたとき、相手にきちんと理解してもらえるか。相手の反応をしっかり見て、ブラッシュアップしていきましょう。
漢方薬やサプリのように、会社を変えていく
ここまで読んでいただければわかるように、「PRの実践」は中長期的な取り組みであり、けっして経営課題を瞬時に解決する特効薬になるわけではありません。
でも、それは確実に、じわじわと効いてくる漢方薬やサプリメントのように、かならず会社を良い状態に変えてくれます。
今の時代、商品・サービスの機能性や質で、他社との差別化をはかることがほとんどできなくなっています。
では、何が問われるのかといえば「どんなビジョンを掲げていて、実際どんな取り組みをしているのか」「社員がモチベーション高く、イキイキ働けているか」など、ハードではなくソフト面の“在り方”。
そうした会社のソフト部分を良好に維持するために重要なヒントが、PR(Public Relations)に詰まっています。自分たちにできることから一つずつ、着実に取り組みを重ねることで、「強い会社」「良い会社」を目指していただきたいと思います。
この記事の著者
大島 悠
企業広報を専門とする編集パートナー、 合同会社ほとりび代表
デザイン制作会社勤務を経て、2013年より「企業広報支援ライター」として活動。BtoBビ ジネス領域の広報ツール、各種コンテンツの編集・制作に多数携わる。2018年7月に法人化し、現在は中小企業向けに、編集の技術をいかした伴走型の広報支援サービスを提供している
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