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中小企業のための、売上につながる「自走型EC導線」のつくり方

2026.05.27

著者:弥報編集部

監修者:安藤 優

「SNSを毎日更新しているのに、なかなか売上につながらない」と悩んでいる企業も多いのではないでしょうか。SNS運用やSEO対策は、かけた労力に対する成果が見えにくく、取り組み方によっては疲弊してしまうこともあります。

今回、日本生産性本部の安藤さんに、SNS運用やSEO対策だけに依存せず、店舗・SNS・ECサイトを自然につなげ、自走するオムニチャネル設計の考え方についてお聞きしました。ぜひ参考にしてみてください。


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なぜSNSや検索施策は「売上につながらない」のか

企業がSNS運用をしても、売上につながらないケースをよく聞きます。問題点は何でしょうか。

理由の1つは、SNSを「点」で運用してしまっていることです。つまり1つ1つの投稿が直接売上につながると考えてしまうケースです。

SNSは情報消費の場になりやすい傾向があります。継続的に投稿しなければ認知されにくく、仮に目に止まっても、その接点が単発で終わってしまうことも少なくありません。

また、1回の投稿だけで購買に必要な情報を十分に伝えるのは難しく、購入までの導線が設計されていなければ成果にはつながりにくくなります。売上につなげるためには、他の販売チャネルも組み合わせて使うことが求められます。

例えばSNS投稿からECサイトへ誘導して会員登録につなげたり、公式LINEに登録してもらうなど、SNSと他の販売チャネルを連携させる視点が重要です。

売上につなげるために、どのようにSNSを活用すべきでしょうか?

商品を購入するまでには、認知から始まり、興味を持ち、メリットを感じ、実際の購入に至るまでのいくつかの過程があります。SNS投稿をどの過程のために行うのか、目的を明確にしましょう。

例えば、公式LINEへ誘導し、継続的な関係構築を図っていくのか、販売方法を案内するため店舗やECサイトへ誘導するのか、など、さまざまな例が考えられます。

SEO対策の効果も、売上につながらないというケースを聞きます。この理由を教えてください。

SEO対策とは、検索エンジンで自社のECサイトや情報を上位に表示させる施策です。しかし、アクセス数が増えても、売上にはつながりにくい場合があります。主な理由としては、検索意図と一致しない、売上につながる導線の不足、商品やメリットの説明不足などがあげられます。つまりサイトに人を集めることはできても、その後の購買行動までうまくつなげられていない状態といえます。

この点はSNS運用とも共通しており、SEO対策も単体で完結させるのではなく、複数の販売チャネルと組み合わせて設計することが効果的です。

アルゴリズム対策は、企業のSNS運用やSEO対策でも重要ですか?

アルゴリズム対策は確かに大切ですが、それに過度に依存する必要はありません。特にGoogleなどは定期的にアップデートが行われるため、あまり対策に注力すると疲弊しかねません。費用対効果を見極めながら、アルゴリズム対策に偏りすぎず、本質的な価値提供や売上への導線の設計に注力することが大切だと考えます。

集客を安定させる鍵は「オムニチャネル設計」

「オムニチャネル設計」の概要を教えてください。

オムニチャネル設計とは、SNSやECサイト、店舗など複数の販売チャネルを、個別ではなく、相互につながった状態で設計する考え方です。いわゆる「シームレスな状態」とも表現され、顧客が販売チャネルをまたいでも切れ目のない一貫した顧客体験が提供される状態を指します。

先ほどお話したように、SNS運用だけ、SEO対策だけといった単体での施策では、売上につながりにくいケースがあります。実店舗やECサイト、コールセンター、アプリなど、顧客とのさまざまな接点を連携させ、どの販売チャネルからでも一貫したサービスを受けられる状態に設計することが、売上増加に効果的です。

顧客とのさまざまな接点である販売チャネルを連携させる、という点をもう少し詳しく教えてください。

顧客は、商品を知った後に情報収集や比較・検討を行い、購入に至るケースが一般的です。店頭で商品を見てすぐに購入する場合もありますが、多くは複数のチャネルを行き来しながら意思決定しています。

例えばSNSで商品を知り、ECサイトでメリットや詳細を確認、店舗で実物を見て購入するといった流れです。こうした購買行動を分析して、どの販売チャネルがどの役割を担うのかを整理し、売上につながる導線を設計するとよいでしょう。

今お話したような購買行動を取る顧客がターゲットであれば、SNSで商品を認知させ、投稿から口コミやレビューを確認できるようにし、さらにECサイトへの導線を設ける方法が考えられます。そしてECサイトでは商品の詳細やメリットに加えて購入方法や店舗情報もわかるようにし、次の行動につなげます。また、公式LINEへ誘導し、見込み顧客と継続的にコミュニケーションを取れるようにする施策も有効です。

重要なのは、どのチャネルにおいても情報に一貫性を持たせることです。価格や内容にばらつきがあると、不信感につながりかねません。

オムニチャネル設計ができていると、どのチャネルに接しても自然に次の行動へ進めるため、顧客が迷わず購入までたどり着けるようになります。

自走する集客導線のつくり方(実務ステップ)

自走できるオムニチャネルの設計方法を具体的に教えてください。

設計は、大きく7つのステップに分けて進めます。まず、設計段階の4つのステップをご紹介します。

ステップ1.目的を設定する

新規顧客の獲得なのか、既存顧客のリピート促進なのかといった方向性を定めたうえで「店舗への来店数を増やす」といった具体的なゴールを明確にします。

ステップ2.導線を設定する

顧客ターゲットを明確にし、売上につながる主となる導線を一本決めます。

例えば、店舗を軸にしつつECサイトの売上も伸ばしたい場合は、来店客に対してECサイトや公式LINEの利用を促すなど、基本となる流れを決めておきます。

ステップ3.販売チャネルの役割を整理する

自社が持つ販売チャネルを洗い出し、それぞれの役割を明確にします。例えば、SNSは認知、公式LINEは関係構築といった形で役割を定義し、売上につながる導線を設計します。

ステップ4.接続ポイントを設計する

例えば店頭に公式LINEやECサイトのQRコードを置いたり、SNS発信では、プロフィールや投稿の中に公式LINEやECサイトへのリンクを貼ったりするなど、他の販売チャネルへ自然に移行できるしくみを整えます。

このように設計することで、SNS運用や広告だけに依存せず、各販売チャネルが連携しながら顧客を次の行動へ導くしくみが構築できます。結果として、継続的に売上につながる「自走型」の集客導線を実現できるでしょう。

ここまでが設計段階ですね。次は実際の運用になるでしょうか。

はい。運用段階のステップをご紹介します。

ステップ5.小さく始めてみる

いきなり複数の販売チャネルを同時に運用するのではなく、まずは主力となる導線を1つ決めて着手します。例えば、店頭の顧客に公式LINEへ登録してもらう導線から始める、といった形です。

オムニチャネル設計というと、多くの販売チャネルを一度に連携させるイメージがありますが、最初から広げすぎる必要はありません。小さく始めて、効果を見ながら段階的に拡大していくとよいでしょう。

ステップ6.運用結果を確認する

単なるサイトのアクセス数などではなく、売上につながる指標を見ることが大切です。

公式LINEの登録数やECサイトの会員登録数、顧客のリピート率など、設計した導線が機能しているかを判断できる指標を選びましょう。

ステップ7.数値に基づく分析と改善

うまくいっていない箇所を特定し、原因を分析したうえで対策を講じます。数値は週に一度程度、改善の方向性は月に一度程度で見直すなど、定期的に運用サイクルを回していきましょう。

費用があまりかけられない中小企業におすすめの販売チャネルはありますか?

近年はSNSをはじめ、初期費用を抑えて始められるツールが増えており、工夫次第で成果を出すことが可能です。

中でも有効な販売チャネルの1つが公式LINEです。顧客と直接やり取りができるだけでなく、企業側から継続的に情報発信を行える点が強みです。発信内容については戦略的に設計する必要がありますが、経験則として、顧客に有益な情報を6〜7割、キャンペーンやサービス案内を3〜4割といったバランスが、顧客との関係構築と売上の両立に効果的だと感じています。

また、店舗を持つ企業は、Google ビジネス プロフィールの活用が効果的です。無料から始められるため、ぜひ検討しましょう。

成果を出すための実践ポイントと注意点

オムニチャネル設計を行い、成果を出すためのポイントを教えてください。

オムニチャネル設計では、まず顧客の行動を正確に把握することが大切です。そのうえで販売チャネルを洗い出し、実際の購買行動に沿った導線を設計していきます。

実態に即した設計にするためには、顧客アンケートの実施が効果的です。

  • どこで商品を認知したか
  • どの点にメリットを感じたか
  • どのような流れで、どこで購入したか

といった情報を収集することで、実際の行動プロセスを把握できます。

また、リピートを増やすための施策も欠かせません。その1つが公式LINEの活用です。登録してもらうことで継続的なコミュニケーションが可能になり、やり取りを重ねていく中で信頼関係を築きやすくなります。

さらに、店舗販売の強みを他の販売チャネルで再現する視点も効果的です。実店舗のスタッフとのコミュニケーションによる安心感や、商品への想いが伝わる体験を、オンライン上でもできる限り表現することで、顧客満足度と購買意欲の向上につながります。

失敗しがちなポイントがあれば教えてください。

失敗例として多いのは、販売チャネルを一気に広げすぎてしまうケースです。例えばSNS運用では、Instagram、YouTube、TikTokなど複数の媒体を同時に展開すると、限られたリソースでは継続が難しくなります。その結果、各チャネルの運用が分断されやすくなってしまいます。まずはチャネルを絞り、売上につながる導線をしっかり構築していきましょう。

また、販売チャネルへの流入数ばかりを重視してしまう点もよくある失敗のポイントです。SNSだと閲覧数やフォロワー数の増加に注力しがちですが、その先のECサイトや店舗への誘導、購入後のフォローまで設計できていなければ、最終的な売上にはつながりにくくなります。そのため、流入後の受け皿となるランディングページやECサイトの内容を充実させ、購入までの流れを意識した設計が求められます。

大切なのは、SNSを伸ばす、広告を多く掲載するという「集める施策」だけに偏るのではなく、販売チャネルを「つなぐ設計」へ発想を転換することです。全体を通じて売上につながる導線を構築することが、成果につながります。また、SNS投稿も単発で終わらせるのではなく、反応の良いコンテンツを蓄積・活用することで、効率的な運用が可能になるでしょう。


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この記事の著者

弥報編集部

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この記事の監修者

安藤 優(公益財団法人日本生産性本部 コンサルティング部 経営コンサルタント)

大学卒業後、広告・製薬・化粧品業界でEC・通販事業に約12年間従事。EC統括部長として戦略立案からマーケティング、IT、財務、組織開発まで広く経験。その後、IPビジネスを営む企業の実店舗事業で戦略ディレクターを務め、事業戦略立案・実行、DX推進などを牽引した。
現在は経営コンサルタントとして、企業の診断指導や人材育成に従事。実務経験に基づいた多角的な視点から、事業成長の実行支援を強みとする。

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