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融資の審査に通りやすい「経営改善計画書」の書き方【教えて吉田先生!】

2024.02.27

著者:弥報編集部

著者:吉田 学

融資の審査用に書類を作成する際、「何を書けばいいのか」「どんな書き方をすればよいのか」と悩むことはありませんか?もしも融資の審査に通りやすい書類の書き方があるなら知っておきたいですよね。

今回は、財務・資金調達コンサルタントの吉田 学先生に、経営改善計画書や損益計算書、資金繰り表を作成する際のポイントや融資審査が通りやすくなるようなコツなどについて伺いました。

大切なのは金融機関が「これなら融資してもよい」と納得できるように、端的かつ具体的に数字を使って説明すること。具体例を交えて解説していきます。

※本記事は2024年1月29日時点の情報を基に作成しております。法令などの最新情報については、政府から出ている文書をご確認ください。


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経営改善計画書とは何ですか?

経営改善計画書とは、その名の通り「経営」を「改善」するための方策などを記した書類です。呼び方はさまざまあり、「事業計画書」や「再生(再建)計画書」と呼ばれることもあります。

具体的な内容としては、自社の現状と今後の対応策について記載します。「現状の当社の状況は……です。今後はこのような対策を講じて業績回復をします。そのための融資が必要です」というようなイメージです。

経営改善計画書を作成するときのポイントを教えてください。

重要なのは「どのように業績を改善するのか」について、根性論ではなく端的かつ具体的に数字を使って説明されているかどうかです。

例えばコロナ禍以降、物価高などの影響を受けている事業者の場合、「コロナ禍においてやれることはやり(どういう対策を講じたのか?)回復しつつあったが、物価や燃料費の高騰、インフレなどの影響を受けて、やはり売上回復が厳しくなった。よって、今回も業績回復させることは可能なので支援をお願いします」という流れや経緯を明確に示しましょう。

「事業計画書」というと、PowerPointなどを使ってプレゼンテーションできるような、ビジュアル的できれいな体裁をイメージされる方もいるかもしれませんが、Wordなどを使った文字中心の計画書で問題ありません。枚数も5~10枚くらいで、わかりやすくまとめることが重要です。

金融機関が「これなら融資してもよい」と、納得できる内容にしましょう。

具体的にどのような体裁にすればよいですか?

全国の金融機関が共通としている雛型などはありませんので、その事業者の状況に応じて作成する必要があります。あくまでも一例ですが、「コロナ禍後の物価上昇などでさらに業績が悪化してしまって、コロナ融資の借換などの申請をする」というようなケースですと、以下のようなイメージになります。

〈一例 経営改善計画書のイメージ〉

なお、体裁については専門家によっても意見が多少異なるでしょうし、すべてのケースでこの通りにしないといけない、ということではありません。

また、繰り返しますが、ポイントは「具体的」に「数字」で説明することです。例えば、単に「売上をアップさせます」という表現ではなく、「今期は売上高を●●、翌期は●●。その根拠(営業戦略、販促方法)は●●」というように具体的に説明して、金融機関の担当者が納得できるような内容にしてください。

その他、作成時に参考になる情報があれば教えてください。

公的融資制度においては、さまざまな雛型などが公表されていますので、参考にしてみてください。

(参考)
・国民生活事業「各種書式(46 経営改善計画書)」|日本政策金融公庫
・中小企業事業「●経営計画策定に役立つ各種資料について(3 経営改善計画書)」|日本政策金融公庫
・コロナ借換保証について「経営行動計画書」(様式)|中小企業庁

しかしながら、中にはどうしても記載する情報量が少ない雛型もあり、事業者の業績などの状況によっては先ほど解説した〈一例 経営改善計画書のイメージ〉のような、詳細を記載する必要がある場合もあります。

独力で作成できない場合は、まずは顧問税理士に相談してみましょう。顧問税理士も対応が難しい場合は、資金調達の専門家や認定支援機関に相談してみてください。

また、事業計画書の作成ソフトについては、必ずしも金融機関向けの融資申請に対応しているものではないので、参考にはなると思われますが、そのまま利用できない場合があるかもしれません。よって事業計画ソフトの内容について事前に確認するようにしてください。

損益計画や資金繰り計画なども必要でしょうか?

はい、原則として作成することをおすすめします。

「経営改善計画書」の内容については、数字で説明する必要がありますから、その根拠となる「損益計画書」や「資金繰り表」が必要です。イメージとしては、「損益計画書」や「資金繰り表」を作成して、その定量的な内容について「経営改善計画書」で端的に説明するという流れです。

損益計画書については今後3~5か年ほど資金繰り表については今後12か月ほど作成したいですね。さらに、過去5年くらいの損益実績についても用意しておきたいです。実績については、会計ソフトを作成していればアウトプットできると思われますので、顧問税理士にご相談してみてください。

「損益計画書」と「資金繰り表」を作成するときのポイントを教えてください。

例えば、取引先別や単価や客数などが、どういう積み上げで売上高を予想する仕組みになっているか、という内訳がわかるようにExcel等で作成することが大切です。

そして、この2つの書類で「融資が実行されれば、このように損益を改善することができます」ということを訴えます。もちろん、その改善される根拠や方策については、経営改善計画書でしっかりと説明してください。

「損益計画書」と「資金繰り表」などについても、金融機関の共通フォーマットなどがあるわけではありません。「損益計画書」については、自社の損益計算書が参考になります。また「資金繰り表」については、日本政策金融公庫が公表している雛型などを参考にしてみてください。

(参考)
・国民生活事業「各種書式(16 資金繰り表)」|日本政策金融公庫


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この記事の著者

弥報編集部

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吉田 学(よしだ まなぶ)

財務・資金調達コンサルタント
株式会社MBSコンサルティング 代表取締役。1998年の起業以来、「資金繰り・資金調達支援」に特化して創業者や中小事業者を支援。これまでに1,000 社以上の資金調達相談・支援を行い、その資金調達支援総額は20億円超。主な著書に、「社長のための資金調達100の方法」(ダイヤモンド社)、「究極の資金調達マニュアル」(こう書房)、「税理士・認定支援機関のための資金調達支援ガイド」(中央経済社)などがある。また、全国の経営者・士業などを対象にした会員制の資金調達勉強会「資金調達サポート会(FSS)」を主催している。

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