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人材定着率を上げるには?今日からできる経営者がすべき3つの対策

2023.09.12

著者:弥報編集部

監修者:平井 彩子

弥報Magazineの読者アンケートにて、多くの方からお声をいただいた「⼈材不⾜」の課題解決に役立つ情報をお伝えします。

人材にまつわる課題は、業界を問わず多くの企業が直面していることと思います。特に、せっかく採用してもすぐに離職してしまうなどの事象に頭を抱える経営者も多いのではないでしょうか。

今回は、株式会社平井彩子事務所の代表取締役であり、中小企業診断士でもある平井 彩子さんに、人材定着率を上げるために経営者が行うべき3つのことなどをお伺いしました。ぜひ、人材定着のヒントにしてください。


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人材定着率の低さが、会社の成長を妨げる

直近の日本における人材定着率について教えてください。

厚生労働省の雇用動向調査結果によると、近年における日本企業の離職率は約13〜15%、逆に言えば定着率は約85~87%です。新型コロナウイルス感染症の影響もあり、離職率は低めの傾向が見られました。とはいえ、中小企業では1人の退職だけでも大きな影響があります。企業の安定と成長、従業員の安心のためには、定着率を上げる施策が必要です。

なお、人材の定着率を算出するための計算方法は下記の通りです。

定着率=(入社人数−退職人数)÷ 入社人数×100

例えば、今年の4月に10人が入社して、翌年3月までに2人が退職している場合、計算式は「(10-2)÷10×100」となり、定着率は80%、離職率は20%と割り出すことができます。

人材の定着率が高いと、どのようなメリットがあるのでしょうか。

人材の定着率が高いことによるメリットは、採用コスト・教育コストが削減できることです。両者のコストを回収するためには、少なくとも従業員に3年間は就業してもらう必要があります。また中小企業では特に、退職者が多いと残っている従業員の不安感につながってしまうのです。定着率を高めることで従業員は安心でき、仕事へのモチベーションも維持できるようになるでしょう。

一方で、定着率が低いことのデメリットは、メリットの正反対です。離職率が高いと採用コスト・教育コストが余計に掛かりますし、従業員が不安を感じることも多くなります。それ以外にも、定着率が低い企業では、優秀な人材がすぐに辞める一方で、あまり優秀ではない人材が残る傾向にあるのです。優秀な人材が定着しないと会社の成長が鈍化します。これは非常に深刻な問題です。アクセルを踏める人材が不足することで、新しい事業などに取り組むことも難しくなるでしょう。

定着率を上げるために経営者がやるべき3つのこと

人材定着率を上げるためには、何をすべきなのでしょうか。

大きく分けて、対応すべきことは「社内コミュニケーションの活性化」「評価制度の見直し」「キャリアパスの明確化」の3つがあります。順番に解説していきましょう。

社内コミュニケーションの活性化
コミュニケーションを適切に取れていない会社では、従業員がパフォーマンスを発揮しにくくなったり、人間関係が悪くなったりするケースがあります。その結果、定着率の低下につながってしまいます。そのため、上司との1 on 1やグループでのミーティングなど、1対1と1対多の両方でコミュニケーションを取れる、雑談ではないオフィシャルな場を準備することが重要です。最初は1日に5分だけでもよいので、積極的にコミュニケーションが取れる機会を作るようにしましょう。

評価制度の見直し
仕事の成果がしっかりと評価につながる仕組みを整えることは、従業員と会社が共に成長できる健全な企業体質の土台となり、従業員の定着率アップにもつながります。人事評価は本来、給与や賞与を決めるためのツールではなく、従業員の成長を促すためのツールです。そのため、業績評価と能力評価という2つの評価を実施する必要があります。

業績評価では、目標を数値で設定することが望ましいものの、無理に定量化する必要はありません。例えば、営業職では売上などの数値を目標にしやすい一方で、事務職などでは成果を数値にしにくくなります。後者の場合、新システムの導入や業務マニュアルの作成、後任への引き継ぎ完了など、成果が可視化できる目標を設定するとよいでしょう。もちろん、業務を何%効率化する、ペーパーレス化するといった目標があれば、数値化してもかまいません。一方の能力評価では、業務のプロセスを評価する必要があります。業績目標の結果を鑑みたうえで、ドライに判断するという社内風土を作らなくてはいけません。

目標設定を行う際は、基本的に上から与えるのではなく、従業員本人に考えてもらうようにしましょう。自分で目標を考えられないと、従業員が自発的に動けなくなり、評価制度自体が形骸化してしまいます。評価制度が正しく機能しないと、あまり優秀ではない従業員がいつまでも社内に残ってしまうリスクが高くなります。

経営者がワンマンすぎる企業では、従業員の定着率が低くなります。上からすぐに答えを言いたくなっても我慢して、コーチングを意識することが大切です。まずは自分なりに考えてもらった後、軌道修正したい部分を、コミュニケーションを通じてフォローするようにしましょう。どうしても期待した内容が出てこない場合は、「君の考えは良かったけど、少しだけアドバイスさせてもらっていいかな」「君にはこういう人材になってほしいから、こういう目標を持ってほしい」などと伝えて、本人に納得してもらってから目標を設定しましょう。

キャリアパスの明確化
従業員のキャリアパスを明確にすることも、人材の定着につながります。これは特に若手の従業員に対して効果的です。「この会社に入ったらどのように成長できるのか」を可視化することで、将来に対する不安を減らすことができるからです。キャリアパスを設定する際には、「マネジメント」「スペシャリスト」など、業種によって複数のコースを準備しておきましょう。

若手従業員のキャリアパスを設定する際は、3年目・5年目・10年目といったステップごとに設定しましょう。ポイントは、どのような人材になってほしいのか従業員本人と意識合わせを行うことです。なお、中堅・ベテランの従業員に対しては、経営理念や事業方針を共有したうえで、自身の仕事がどのように会社や世の中と結びつくのかを明確にすることがポイントになります。

評価は「フェア」と「ケア」のバランスが重要

対応をするなかで、留意すべきポイントがあれば教えてください。

特に、評価制度の適正に関しては「フェア」と「ケア」の概念を意識しなくてはいけません。成果を出した人材が高く評価され、成果を出せなかった人材がそれなりに評価を下げられることは、従業員にとってフェアな状況です。また、すべての従業員に対して、チャレンジする機会を均等に与えることもフェアだと言えるでしょう。

すべての従業員が優秀なわけではないため、会社側がフォローする仕組み作りも大切です。ただし、従業員ができないことを代わりに実施するヘルプという形ではなく、コーチングやティーチングといったサポートを心掛ける必要があります。

例えば、メンタルヘルスの不調などが原因で長期間病欠した従業員に対して、「病気だから仕方がないよね」と接することは、フェアではありません。「病気によって結果を残せていないよね」と伝えたうえで、「どのようなサポートがあれば、結果を上げられるのか」「どこまでであれば働けるのか」をたずねて必要なサポートを提供することが、フェアな対応だと言えるでしょう。

フェアとケアのバランスを取ることが、非常に重要です。ケアだけを手厚くして結果を大事にしない会社は、従業員の居心地は良くなる半面、成長が見込めません。

社内にどのように展開すると従業員に受け入れられやすいのでしょうか?

定着率を上げるための施策に取り組む際、いきなり「1 on 1を実施しましょう」「キャリアパスを設定しましょう」などと伝えても、思いつきで始めたと受け取られる可能性が高く、説得力に欠けます。そのため、近年の時代背景なども踏まえて経営理念の見直しを行い、事業計画を作ったうえで、アクションプランの1つとして展開すると、従業員に納得して受け入れられるでしょう。

また、世間的にリスキリングが推進されていることもあり、従業員の教育に注力することも大切です。この場合も、場当たり的な教育制度ではなく、長期的な教育プランを策定したうえで、適切な研修やeラーニングなどにお金を掛けましょう。


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この記事の著者

弥報編集部

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この記事の監修者

平井 彩子(株式会社平井彩子事務所 代表取締役 中小企業診断士)

システム開発、コンサルティング会社を経て2012年に独立。組織活性化、人事評価制度の構築・運用、業務の改善を通じた組織活性化を主軸に活動。最近は働き方改革、ダイバーシティ推進に向けた活動も多い。経営者と従業員の意識改革をもって、自走できる企業にするための仕組み作りから組織支援を実施している。

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