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ITツール導入でDXを実現した中小企業の成功事例3選

2021.09.07

DX(デジタル・トランスフォーメーション)の必要性はわかっていても、DXを推進するには大々的なITツールの導入が必要で、費用がかかるという先入観から「DXは大企業のもの、中小企業には関係ない」と思い込んでいる方も多いのではないでしょうか。しかし、ちょっとしたITツールを導入することで生産性向上や、受注数アップを実現することも可能です。

「DXは進めたいけれども、手間やコストはかけられない」という経営者の皆さん。今回は中小企業がDXを推進して成功した事例を紹介します。ぜひ、自社DX実現の参考にしてみてください。

紙ベース・電話ベースの業務をデジタル化することで生産性が向上したDX事例

1909年の創業以来、約110年にわたり会計事務所を運営してきたのが、兵庫県・高砂市にある梅谷事務所です。公認会計士や税理士をはじめ、司法書士、土地家屋調査士、行政書士、社会福祉士が計14名在籍している同事務所では、個人事業や会社の経営において、直面するさまざまな問題にワンストップで対応できる総合事務所を目指し、地域社会と共に成長しています。

これまで同事務所における仕事の進め方は、紙でのやり取りのほか、ホワイトボードでの予定共有や口頭での報連相など、アナログベースでした。

しかし、それでは「聞いた」「聞いていない」といったトラブルや、資料を書架から探しだすだけでも時間がかかるといった課題が生じるようになっていました。

そこで、業務効率化と売上向上の実現に向けてDX化への取り組みを始めたのです。従業員の予定共有にはGoogleが提供するスケジュール管理ツール「Googleカレンダー」を利用し、従業員間やお客さまとのコミュニケーションにはビジネスチャットツールである「Chatwork」を利用するように変更しました。また資料検索をすばやくできるよう、書類などはすべてPDF化して保存するようにしています。

さらに受電前の顧客情報の把握や着歴管理、通話録音などができ、業務処理をスピード化する顧客コミュニケーションクラウドツールである「カイクラ」を導入しました。

このようなデジタルツールやクラウドの導入により、業務効率が向上し、生産性はこれまでの1.4倍となったほか、社内における顧客対応の向上にも寄与するようになっています。

紙ベースや電話ベース主体という業務課題を持つスモールビジネス事業者でも、過大なIT投資の必要がないデジタルツールを上手く導入することで、業務効率と生産性を同時に向上できるということのヒントとなるDX事例です。

顧客満足度を下げることなくテレワークでヘルプデスク業務を進めていったDX事例

2010年7月に設立された株式会社ビーブリッドは、介護・福祉・医療業界の顧客からICT関連のヘルプデスク業務を請け負っている従業員数16名の企業です。

そんな同社では、2020年4月に発令された緊急事態宣言に即して、ヘルプデスク業務をテレワークへと切り替えました。ヘルプデスク業務のテレワーク化を実現できたのは、顧客コミュニケーションクラウドツール「カイクラ」を導入していたからでした。

このツールを導入していたことで、会社の固定電話に受電された際には「緊急事態宣言発令中はテレワークになっています」と自動音声で状況を説明し、続けて「折り返し電話をします」という内容を発信。従業員のPCには、受電と同時に発信者の顧客情報がポップアップ表示されるようにできました。

顧客コミュニケーションを一元管理できるクラウドツールを導入していたことで、ヘルプデスク業務をテレワーク対応へと変更しても、顧客満足度に影響は出ていません。

テレワークでは対応できないと思われがちなヘルプデスク業務ですが、デジタルツール活用で、顧客満足度を下げることなくテレワーク化を実現しました。

アナログ的な営業手法をデジタルで刷新。お問い合わせ件数が13件→104件、商談化率が9.6%→44.7%へとアップしたDX事例

株式会社キャンバスは2012年5月に設立し、デジタルコンテンツの制作やデジタルソリューションの提供を行っている従業員数50名の企業です。

同社がこれまで行っていた営業手法は、飛び込み営業での名刺獲得や、展示会に参加してのお客さまから名刺獲得。そこから営業担当がお客さまのもとへとお伺いし、何度も商談を繰り返して新規顧客につなげていくといったアナログ的なスタイルでした。

そこで、社内にデジタルマーケティング事業を立ち上げ、この課題解決のために体制を再構築。ビジネスチャットツール「Chatwork」やWeb会議ツール「Zoom」を導入して、意思決定スピードやコミュニケーションなどの課題を解決したところ、お問い合わせ数が約8倍へと大幅にアップしました。

また、営業支援のためのマーケティングオートメーションツール「Kairos3」を導入したことにより、商談化率を9.6%→44.7%へと向上させることができました。同時に、従業員の月間平均残業時間を20時間まで削減させることにも成功しています。

従来のアナログ的な営業手法をDXで刷新し、営業効率を大幅に向上させ残業時間削減にもつなげたDX事例です。

DXは大企業だけのものではない

本記事では、DXを推進して成功しているスモールビジネス事業者を紹介しました。DXは大企業だけのものではありません。中小企業でもDXを推進できますし、DXの実現によって業務効率化や経営改善、働き方改革などへとつなげていくことができます。

なお弥報Onlineでは、本記事以外でも部門・業界ごとのDX関連記事や専門家からの提言によるDX関連記事なども掲載しています。確認してみてください。

【小売業界関連】
【激変する小売業界】船井総研コンサルタントに聞く「なぜ今後、DXが必要なのか?」

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経理部門をプレッシャーから救う!業務ミスの重圧軽減を実現する「RPA」
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【専門家からの提言】
5人の専門家に聞く!新しい時代、経営者はどう「変化」していくべきか

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弥生製品を使ってテレワークする方法まとめ【デスクトップ】【クラウド】【自社サーバー】

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この記事の著者

弥報編集部

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