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いよいよ2022年4月から中小企業も対象に!「パワハラ防止法」で企業がすべき対策は?

現在、ハラスメントは何十種類もあるといわれています。そのうち職場で起きやすいハラスメントは「パワハラ・セクハラ・マタハラ」の3つです。中でも多いのはパワハラで、統計調査によれば企業の相談窓口に寄せられる相談の約3割がパワハラに関するものでした。

そして20224月、「パワハラ防止法」が大企業だけでなく中小企業にも適用されます。企業はパワハラ防止のために、「パワハラを行った者に対する処分」などの方針の周知や相談窓口の設置をしなければなりません。それでももしパワハラが発生してしまったら、どのような対応を取ればよいのでしょうか。

今回は社会保険労務士の篠田 恭子氏にパワハラ防止法の内容や、企業がやるべき対策について詳しく伺いました。パワハラが起きない職場作りのカギは、経営者の意識そのものです。今すぐに気づきを得られる、ハラスメント対策の情報サイトもご紹介します。

篠田 恭子 氏(社会保険労務士)

1977年埼玉県川越市生まれ。システムエンジニアとして約10年勤務。仕事・子育てをしながら、2011年社会保険労務士試験に合格。2013年1月社会保険労務士事務所を開業。2014年4月特定社会保険労務士付記。 2018年5月移転を機に事務所名を「おひさま社会保険労務士事務所」に変更。 働くすべての人が「楽しい」と思える職場づくりを応援します!を経営理念に掲げ、地域の企業を元気にするために、日々活動している。(所属)全国社会保険労務士会連合会、埼玉県社会保険労務士会、埼玉県社会保険労務士会 川越支部
おひさま社会保険労務士事務所  https://k4-da.net/

2022年4月から、中小企業もパワハラ防止措置を義務化

――パワハラ防止法とはどんな法律ですか?

正式な名称は「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」といいます。20206月、職場でのパワハラ対策を企業に義務付ける改正が施行されたことで「パワハラ防止法」と呼ばれるようになりました。

パワハラ防止法に基づき、企業はパワハラに関する方針の周知・啓発や相談窓口の設置を行う必要があります。もしパワハラが発生してしまった場合は、事実関係を確認のうえ迅速かつ適切に対応しなければなりません。現在パワハラ防止法の対象となっているのは大企業だけで、中小企業には20224月から適用されます。

――パワハラの種類や、パワハラにあたるかどうかの基準を教えてください。

代表的なものが「身体的な攻撃」「精神的な攻撃」「人間関係からの切り離し」「過大な要求」「過小な要求」「個の侵害」の6つです。厚生労働省のパンフレットに、それぞれのパワハラに該当する例・しない例が詳しく記載されています。

基準となるのは「平均的な労働者の感じ方」です。そのうえで、言動の経緯や継続性といった個別の事情を加味して判断しなければなりません。必ずしも「受け手がパワハラと感じたらパワハラ」ということではなく、客観性が重要です。

例えば仕事上のミスへの注意は、パワハラとはいえません。育児休暇の取得を希望している従業員に対して、出産予定日や復帰予定日を聞く行為も、マタハラには該当しないと思います。

――では、どんなケースがパワハラといえるのでしょうか?

中小企業だといわゆるワンマン社長で、「自分がルールだ」というような人もいらっしゃるかと思います。従業員がいくら正しい指摘をしても聞き入れず、逆に叱責してしまうようなケースも多いのではないでしょうか。

このような場合、厚生労働省がパワハラの例として挙げている「精神的な攻撃」に該当する可能性があります。中小企業で最もパワハラについて勉強しなければならないのは、経営者自身ということもあるかもしれません。

まずはパワハラ対策の担当者を選定。周知&相談窓口の設置を

――パワハラ防止法対策として企業がやるべきことを具体的に教えてください。

基本となるのが「会社の方針を決めて周知する」「相談窓口を設置する」2点です。まずは、パワハラに関する担当者を決めてください。中小企業だと専任は難しいですから、人事や総務の人が兼任するか、経営者・役員が担当するケースが多いのではないでしょうか。

その後「パワハラを行ってはならない」ことや「パワハラを行った者に対する処分」について就業規則などで規定し、社内に周知します。就業規則を変更する前に従業員から意見を聞いて、その内容を反映するのもよいでしょう。

相談窓口としては、担当者しか見られないメールアドレスの公開や、専用のチャット・LINEなどを設置します。特に少人数の会社は直接相談しづらいため、対面以外の手段を用意するといいでしょう。プライバシーの保護という観点でいえば、窓口は外部に設けるのがベスト。弁護士・社会保険労務士・産業医や、ハラスメント対策のコンサルティング会社を利用するのも手です。

料金は従業員数などの条件によっても異なりますが、社会保険労務士の場合は月1万円くらいのところが多いようです。パワハラ防止法への対策を専門家に聞いてみたいときは、労働局の相談コーナーなら従業員だけでなく事業主も無料で相談できますよ。

――もし社内でパワハラが発生してしまったら、どうすればよいですか?

厚生労働省のガイドラインでは「迅速かつ適切な対応」が義務付けられており、速やかに事実関係を把握し、当事者への措置や再発防止を行うよう求められています。まずは相談内容を検証して、個別に対応を考えていくことになるでしょう。

特定の人にだけパワハラを行うといった場合は、配置換えが有効だと思います。処分に関しては、いきなり懲戒解雇という事例はほとんどありません。1回目は厳重注意、2回目は始末書……と段階を踏むような感じですね。

――パワハラ防止法に違反した場合、罰則はあるのでしょうか。

パワハラ防止法には罰則がなく、実効性が薄いともいわれています。ただし厚生労働大臣が事業主に対して助言・指導・勧告を行うことや、勧告に従わない場合は企業名を公表することは可能です。もしそのような事態になったら、企業イメージが低下しかねません。当然、人材流出のリスクも高まります。

「パワハラは許さない」という姿勢を示し体制を整備することは、結束力・チーム力の向上に寄与するのではないでしょうか。従業員同士がお互いに譲り合ったり協力したりと、より強い組織になれるチャンスだと思います。そういう会社は、売上も自ずと上がっていくでしょう。

「ずっと働きたくなる」職場作りは、経営者の意識改革から

――セクハラ・マタハラ対策についてはすべての企業で2020年より法制化されていますが、中小企業での対応状況はどうでしょう。 

対応はまだ不十分だと思いますが、世の中の流れとしては中小企業でも産休は取りやすくなってきています。男性の育児休暇や介護休暇への理解は進んでいないものの、いずれ時間が解決していくのかもしれません。

ただし、中小企業の多くが採用難という問題を抱えています。産休や育休をきちんと取れる会社にすることで、人材の確保につながるのではないでしょうか。経営者も、どんどん新しい考え方を取り入れる必要があります。

企業がセクハラ・マタハラ対策を進める過程で課題となるのが、世代による価値観の違いです。「育児・家事は女性がやるもの」という性別役割分担の意識も根強く残っています。特に経営者がそういう感覚だと、男性育休などは取りづらいですよね。

ちなみにマタハラは、妊娠・出産した労働者へのハラスメントですが、男性の育児休暇を妨げるような言動は「パタハラ」と呼ばれています。

――経営者の意識改革への第一歩として、何か今すぐにできることはありますか?

厚生労働省が作った「あかるい職場応援団」というサイトで、ハラスメント対策に関するさまざまな情報を得ることができます。自分がパワハラの行為者になってしまう可能性や、パワハラが発生しやすい職場かどうかを調べるチェックリストは特におすすめです。きっと新しい「気づき」があるはずです。

人材流出を防ぐためにも、ハラスメントの防止に努めるべし

――ハラスメントを放置すると、企業にはどのようなリスクがありますか。

最も多いのは、従業員のモチベーションの低下です。ハラスメントを受けた本人だけでなく、周囲の人に影響が及ぶことも。ハラスメントの結果うつ病などの精神疾患になってしまうと、労災認定されたり傷害罪に問われたりする可能性もあります。

「ハラスメントが蔓延しているような職場にはいたくない」ということで、人材の流出にもつながりかねません。最近よくあるのは、求人サイトのクチコミやSNSにハラスメントなどの悪評を書かれてしまうというケースです。こうなると従業員が辞めていくだけでなく、入ってもこないという事態に陥ります。

そうならないためにも、経営者自らパワハラに関する意識改革をし、人材を大切にした経営を行うことで、ハラスメントのない環境を作り上げていくといいでしょう。

弥報編集部
著者:弥報編集部
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