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「事業再構築補助金」は今までにない大型補助金!国のサポートを受けて新規事業にチャレンジしよう

2021.06.01

現在、最大1億円の「事業再構築補助金」の公募が開始されていることを知っていますか?今回の補助金は、コロナ禍に実施されてきた赤字補填を目的とする補助金とは質が異なります。ポストコロナ・ウィズコロナ時代を生き抜こうと、既存の事業に捉われずに新しい分野や業態転換などにチャレンジする企業に、その資金を国がサポートする補助金制度です。

飲食店がテイクアウトやネット販売などの新規事業にチャレンジする場合や、タクシーが新たに宅配サービスを始める、というケースで申請できる補助金となります。今回は、ピンチをチャンスと捉え、事業再構築を前向きに考えている事業者にぜひ挑戦してほしい事業再構築補助金について詳しく解説します。

押さえておきたい事業再構築補助金の基本要件、補助額、補助率について

事業再構築補助金とは新分野への展開や業態転換、事業・業種転換、事業再編などを行うことによって、事業再構築に意欲のある中小企業等を支援する補助事業です。本補助金の基本要件は以下の3点となっています。

  1. 申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、新型コロナウイルス感染症流行以前の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少している中小企業など
  2. 事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組む中小企業など
  3. 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(1部5.0%)以上増加、または従業員1人当たり付加価値額の年率平均3.0%(1部5.0%)以上増加する見込みの事業計画を策定する

2.に関しては、補助金額が3,000万円を超える場合は金融機関も参加して策定する必要があります。なお、金融機関が認定経営革新等支援機関を兼ねる場合は、金融機関のみでもかまいません。申請を検討している事業者は、まず顧問税理士や取引先の金融機関に相談してください。

次に補助額、補助対象経費については以下の通りです。それぞれの「枠」によって異なるということを、理解しておいてください。

また、1.~3.の基本要件に加え、2021年の国による緊急事態宣言の影響を受けたことにより、2021年1~6月のいずれかの月の売上高が対前年、または前々年の同月比で30%以上減少している事業者には「緊急事態宣言特別枠」が用意されています。

従業員数に応じて補助金額が設定されていますが、中小企業の場合は、3/4という補助率になっています。また、「特別枠」で不採択となった場合は、加点のうえ、「通常枠」で再審査を受けることが可能です。特別枠へ応募した事業者は、通常枠において採択率が高くなる可能性があるとされています。

自社の取り組みは対象になる?事業再構築の定義とは

事業再構築指針とは、事業再構築補助金の支援の対象を明確化するため、「事業再構築」の定義などについて明らかにしたものです。「事業再構築」とは「新分野展開」や「事業転換」、「業種転換」、「業態転換」または「事業再編」の5つを指します。また、やや規模の大きい中小企業などを対象とした「中小企業卒業枠」「中堅企業グローバルV字回復枠」の要件についても定めています。

事業再構築指針の全体像

5類型については、中小企業庁事業再構築補助金ホームページに「活用イメージ集」が掲載されていますので、ぜひご確認ください。

〈参考〉
活用イメージ集|事業再構築補助金

事業再構築指針については、以下からダウンロードできます。申請する事業者の方は必ず精読することをお勧めします。

〈参考〉
事業再構築指針|経済産業省

補助対象となる経費とは

事業再構築補助金は、以下のように幅広い経費を補助対象としています。

補助対象経費の例

  • 建物費
  • 機械装置・システム構築費、クラウドサービス利用費、運搬費
  • 技術導入費、知的財産権等関連経費
  • 外注費、専門家経費
  • 広告宣伝費・販売促進費
  • 研修費

なお、補助対象企業の従業員の人件費や従業員の旅費、不動産、株式、公道を走る車両、汎用品(パソコンやスマートフォン、家具など)の購入費、フランチャイズ加盟料、販売する商品の原材料費、消耗品費、光熱水費、通信費などは補助対象外となっていますので注意してください。

申請に必要な書類

事業再構築補助金は電子申請になっていますが、以下の書類などを添付書類として送信する必要があります。

添付書類

  1. 事業計画書
  2. 認定経営革新等支援機関・金融機関による確認書
  3. 新型コロナウイルスの流行以前に比べて売上高が減少したことを示す書類
  4. 決算書など
  5. ミラサポplus「活動レポート(ローカルベンチマーク)」の事業財務情報
  6. 海外事業の準備状況を示す書類
  7. 労働者名簿
  8. 緊急事態宣言の影響により30%以上減少していることを証明する書類
  9. 2021年1~3月の固定費が同期間に受給した協力金の額を上回ることを証明する書類
  10. 加点書類
    【加点1】:緊急事態宣言の影響により30%以上減少していることを証明する書類
    【加点2】:2021年1~3月の固定費が同期間に受給した協力金の額を上回ることを証明する書類

上記添付書類の一部関しては、中小企業庁の事業再構築補助金ホームページ内にある「ダウンロード資料/その他の参考書類」から入手できます。

〈参考〉
ダウンロード資料(その他の参考書類)|事業再構築補助金

事業計画書作成の注意点と審査項目

事業再構築補助金の審査は主に事業計画を基に行われ、事業再構築指針に沿った「事業計画書」を作成する必要があります。事業計画は、以下の4つの項目について記載してください。

事業計画書の項目

  1. 補助事業の具体的取組内容
  2. 将来の展望(事業化に向けて想定している市場および期待される効果)
  3. 本事業で取得する主な資産
  4. 収益計画

次に審査項目についてですが、主に以下の5点について審査されます。

審査項目

  1. 補助対象事業としての適格性(補助対象事業の要件を満たしている?など)
  2. 事業化点(事業化の可能性は?市場ニーズは?費用対効果は?など)
  3. 再構築点(事業再構築指針に沿った取組みであるか?など)
  4. 政策点(地域の経済成長を牽引し得るか?など)
  5. 加点項目(※審査が有利になる)

上記の詳細については、中小企業庁事業再構築補助金ホームページにある「公募要領はこちら」からダウンロードできる公募要領「10.事業計画作成における注意事項」に掲載されていますので、必ず確認してください。

〈参考〉
公募要領はこちら|事業再構築補助金

なお、事業計画はA4サイズで計15ページ以内「様式自由」となっています。特に事業計画書の雛形などは用意されていませんので、認定支援機関や専門家などに相談しながら作成しましょう。

電子申請の手順

事業再構築補助金の、電子申請の主な流れは以下の通りです。

電子申請の基本的な流れ

  1. GビズIDホームページにてGビズIDプライムを取得します
  2. 事業再構築補助金サイトの電子申請システムにGビズIDプライムでログインします。
  3. 電子申請システムにて申請を開始し、申請内容を入力します。
  4. 応募申請者の概要、事業実施場所、事業内容、実績、経費・資金調達内訳、加点項目などを入力後、必要書類(電子ファイル)の添付を行います。
  5. 申請内容を送信します。
  6. 「申請」ボタンをクリックし、申請内容を送信します。

なお、事業再構築補助金の申請には「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要となっています。現在、GビズIDプライムアカウントの発行までに時間を要することが見込まれることから、「暫定GビズIDプライムアカウント」による応募申請が可能です。

詳細については、GビズIDホームページにてご確認ください。

また、関連記事として「中小企業が業務手続上おさえるべき『手続きのデジタル化』―GビズIDやミラサポPlusを活用しよう」も参考にしてみてください。

公募スケジュールおよび事務局・相談窓口

第2回公募について公募開始は5月20日、申請受付開始は5月26日、応募締切は7月2日となっています。なお、今後、さらに3回程度の公募が実施される予定です。

また、緊急事態宣言特別枠については、第2回の公募で終了を予定しているようですので、申請を検討されている方はご注意ください。

事業再構築補助金の詳細については、経済産業省「事業再構築補助金」および中小企業庁「事務局」ホームページを参考にしてください。中小企業庁事業再構築補助金ホームページ下部にある「公募要領はこちら」からダウンロードできますので、申請される事業者は必ず精読してください。

また、下記の通り「お問い合わせ先」や「コールセンター」が開設されていますので、ご活用ください。

〈事業再構築補助金事務局コールセンター〉

  • 受付時間 9:00~18:00(日・祝日を除く)
  • 電話番号 【ナビダイヤル】0570-012-088

 【IP電話用】03-4216-4080


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この記事の著者

吉田 学(よしだ まなぶ)

財務・資金調達コンサルタント
株式会社MBSコンサルティング 代表取締役。1998年の起業以来、「資金繰り・資金調達支援」に特化して創業者や中小事業者を支援。これまでに1,000 社以上の資金調達相談・支援を行い、その資金調達支援総額は20億円超。主な著書に、「社長のための資金調達100の方法」(ダイヤモンド社)、「究極の資金調達マニュアル」(こう書房)、「税理士・認定支援機関のための資金調達支援ガイド」(中央経済社)などがある。また、全国の経営者・士業などを対象にした会員制の資金調達勉強会「資金調達サポート会(FSS)」を主催している。

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