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経営者なら知っておきたい!いざという時に役立つ「災害時の融資支援」

2021.01.07

自然災害の多い日本において、企業が災害への対策を行う「企業防災」への注目が再び高まっています。直近においては「令和6年能登半島地震」が発生し、一刻も早い復興が望まれています。

万が一、自社が災害などの被災を受けた場合、政府はどのような資金調達支援を実施するのか?事前に知っておくことは、とても重要なことです。知っておけば、いざというときに素早い対応・行動をとることができます。

※(2024年1月編集部追記)2021年1月に公開した内容を一部修正・加筆いたしました。

被災時には具体的にどのような支援が実施されるのか?

万が一、自社が被災した際には、事業の再生に向けて迅速に対応しなければなりません。そのため大前提として、自社が「地震」「水害(洪水・高潮・津波)」「火山・土砂災害」「ウイルス、細菌」「テロ」などにより被災した場合の対応策は、事前に検討、準備しておきましょう。可能であれば、平時に「BCP(緊急時企業存続計画または事業継続計画)」の策定をお勧めします。
〈参考〉中小企業BCP策定運用指針|中小企業庁

さて、自然災害などが発生して中小企業が被災を受けた場合にも、国が実施する金融施策などについてあらかじめ知っておくと、迅速な対応ができます。まずは「災害救助法」および「激甚災害」に基づく中小企業対策が実施されるということを、知っておきましょう。

災害救助法に基づく支援について

災害などが発生して事業者が被災した場合、災害救助法に基づいて中小企業支援が実施されます。災害救助法とは、災害直後の応急的な生活の救済などを定めた法律です。

具体的には、災害救助法が適用された地域に対して、経済産業省は一般的に以下の被災中小企業・小規模事業者対策を実施します。

1)特別相談窓口の設置

適用地域の日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、信用保証協会、商工会議所、商工会連合会、中小企業団体中央会およびよろず支援拠点、並びに全国商店街振興組合連合会、中小企業基盤整備機構、経済産業局に特別相談窓口が設置されます。

2)災害復旧貸付の実施

災害を受けた中小企業・小規模事業者を対象に、適用地域の日本政策金融公庫及び商工組合中央金庫が運転資金又は設備資金を融資する災害復旧貸付が実施されます。

3)セーフティネット保証4号の適用

災害救助法が適用された適用地域において、災害の影響により売上高等が減少している中小企業・小規模事業者を対象に、信用保証協会が一般保証とは別枠の限度額で融資額の100%を保証するセーフティネット保証4号が適用されます。

4)既往債務の返済条件緩和等の対応

適用地域の日本政策金融公庫、商工組合中央金庫および信用保証協会に対して、返済猶予等の既往債務の条件変更、貸出手続きの迅速化、担保徴求の弾力化などについて、災害により被害を受けた中小企業・小規模事業者の実情に応じて対応するよう要請がされます。

5)小規模企業共済「災害時貸付」の適用

災害救助法が適用された適用地域において被害を受けた小規模企業共済契約者に対し、中小企業基盤整備機構が原則として即日で低利で融資を行う災害時貸付が適用されます。

そして、さらに被災が拡大し、災害規模が甚大であると判断されると「激甚災害」制度による対応策が実施される場合があります。

激甚災害制度による支援について

激甚災害制度とは地方財政の負担を緩和し、被災者に対する特別の助成を行うことが特に必要と認められる災害が発生した場合に、中央防災会議の意見を聴いたうえで当該災害を激甚災害として指定し、併せて当該災害に対して適用すべき災害復旧事業等に係る国庫補助の特別措置等を指定するものです。

具体的には以下の通り、中小企業信用保険の特例措置や災害復旧貸付の金利引下げなどが実施されます。

1)中小企業信用保険の特例措置

市町村長などから事業所または主要な事業用資産に係る「罹災証明」を受けた中小企業者が事業の再建に必要な資金を借り入れる際、一般保証とは別枠での信用保証を利用することのできる特例措置が実施されます。これは、借入債務の額の100%を保証する制度です。

2)日本政策金融公庫による災害復旧貸付の金利引下げ

市町村長などから事業所または主要な事業用資産に係る「罹災証明」を受けた中小企業者などを対象に、日本政策金融公庫が実施している災害復旧貸付について、特段の措置として金利の引下げが実施されます。

激甚災害指定後に実施される金融施策については「罹災証明」が必要になります。甚大な被害を受けた際には、すぐに「罹災証明」の手続きをするようにしてください。

【参考事例】令和2年7月豪雨における施策

それでは実際にどのような対策が実施されているのか、2020年7月に発生した「令和2年7月豪雨」を参考に確認してみると、災害救助法及び激甚災害指定制度による対策が実施されています。
〈参考〉「令和2年7月豪雨による災害」対応に関する経済産業省関連の予備費|経済産業省

1.災害救助法による支援の概要

2020年7月4日の時点で、山形県、長野県、岐阜県、島根県、福岡県、佐賀県、熊本県、大分県および鹿児島県の49市36町13村に災害救助法が適用されたことを踏まえ、以下の対策が実施されました。

1.特別相談窓口の設置

〈参考〉令和2年7月3日からの大雨による災害に関する特別相談窓口
経済産業省ホームページニュースリリース内の、ニュースリリースアーカイブ2020年度7月一覧にある「令和2年7月3日からの大雨による災害に関して被災中小企業・小規模事業者対策を行います」ページ下部関連資料の参考資料1「令和2年7月3日からの大雨による災害に関する特別相談窓口」でご確認ください。

2.災害復旧貸付の実施

〈参考〉日本政策金融公庫の災害復旧貸付の概要
経済産業省ホームページニュースリリース内の、ニュースリリースアーカイブ2020年度7月一覧にある「令和2年7月3日からの大雨による災害に関して被災中小企業・小規模事業者対策を行います」ページ下部関連資料の参考資料2「日本政策金融公庫の災害復旧貸付の概要」でご確認ください。

3.セーフティネット保証4号の適用

〈参考〉セーフティネット保証4号
経済産業省ホームページニュースリリース内の、ニュースリリースアーカイブ2020年度7月一覧にある「令和2年7月3日からの大雨による災害に関して被災中小企業・小規模事業者対策を行います」ページ下部関連資料の参考資料3「日本政策金融公庫の災害復旧貸付の概要」でご確認ください。
「(参考資料)セーフティネット保証4号の概要」をご確認ください。

4.既往債務の返済条件緩和等の対応

日本政策金融公庫、商工組合中央金庫及び信用保証協会に対して、返済猶予等の既往債務の条件変更、貸出手続きの迅速化及び担保徴求の弾力化などについて要請が発せられています。

5.小規模企業共済災害時貸付の適用

〈参考〉小規模企業共済災害時貸付概要
詳しくは、経済産業省ホームページ内、ニュースリリースの中小企業・地域経済産業カテゴリ一覧の7月10日分「令和2年7月3日からの大雨による災害に関して被災中小企業・小規模事業者対策を行います」をご確認ください。

出典:令和2年7月3日からの大雨による災害に関して被災中小企業・小規模事業者対策を行います|経済産業省

2.激甚災害指定制度による支援の概要

激甚災害法に基づき、令和2年7月豪雨による災害により被害を受けた災害救助法適用地域の中小企業者等に対し、中小企業信用保険の特例措置(一般保証とは別枠)が講じられました。2020年8月31日時点では、罹災証明を受けた中小企業者が対象となりました。

3.令和2年7月豪雨に関する融資制度の拡充

日本政策金融公庫では、2020年8月27日に「令和2年7月豪雨に関する融資制度の拡充」が公表されました。このように災害救助法や激甚災害制度に基づく支援以外においても政府系金融機関などにおいては、さまざまな支援策が実施される場合もあります。

〈参考〉詳しくは、日本政策金融公庫のニュースリリース内、2020年8月のなかにある「令和2年7月豪雨に関する融資制度の拡充について」のPDFファイルをご確認ください。

経営者の必須知識!事業存続に欠かせない政府支援策や相談窓口

このように被災した企業に対して、必ず何かしらの支援策が実施されます。たとえ災害救助法による支援策が実施されなくても、政府系金融機関や信用保証協会などでは相談窓口が開設されて柔軟な姿勢で対応してくれます。

また、東日本大震災のような尋常でない被害の場合は「特別貸付」(例:東日本大震災復興特別貸付)や「特別保証制度」(例:東日本大震災復興緊急保証制度)が創設される場合もあります。諦めずに、手を尽くしましょう。

なお、中小企業庁では「中小企業向け支援策ガイドブック」を配布しています。一読しておくと、いざというときに大変役立ちますので、可能な範囲で普段からこういった資料に目を通しておくように心がけましょう。

〈参考〉中小企業向け支援策ガイドブック|中小企業庁

【関連記事】

【更新】「令和6年能登半島地震」関連リンク集

令和6年能登半島地震に関連する中小企業支援策・情報(2024年2月現在)をまとめました。

〈経済産業省〉

〈中小企業庁〉

〈金融庁〉

〈金融機関への要請について〉

〈日本公庫〉

〈全国信用保証協会連合会〉

〈石川県 信用保証協会〉

〈新潟県 信用保証協会〉

〈富山県 信用保証協会〉

〈福井県 信用保証協会〉

〈全銀協〉

〈商工中金〉

〈地元の商工会など〉

〈中小機構〉

〈日本銀行〉

〈生命保険協会〉

〈損害保険協会〉

〈首相官邸〉

〈国税庁〉

〈厚生労働省〉

〈日本年金機構〉

この記事の著者

吉田 学(よしだ まなぶ)

財務・資金調達コンサルタント
株式会社MBSコンサルティング 代表取締役。1998年の起業以来、「資金繰り・資金調達支援」に特化して創業者や中小事業者を支援。これまでに1,000 社以上の資金調達相談・支援を行い、その資金調達支援総額は20億円超。主な著書に、「社長のための資金調達100の方法」(ダイヤモンド社)、「究極の資金調達マニュアル」(こう書房)、「税理士・認定支援機関のための資金調達支援ガイド」(中央経済社)、「税理士だからできる会社設立サポートブック」(第一法規)などがある。
また、全国の経営者・士業などを対象にした会員制の資金調達勉強会「資金調達サポート会(FSS)」を主催している。

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