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アフターコロナの時代、中小企業が生き抜くために備えておくべきこと

新型コロナウイルス感染症の影響によって働き方やマーケット、顧客ニーズが大きく変化する中、今後どのように活動していくべきか頭を悩ませている経営者の方も多いと思います。特に中小企業や小規模事業者は深刻なダメージを受けたものと思われ、ビジネスモデルの見直しや企業内の構造改革などは急務な課題といえるでしょう。

しかし、私たちの予想を超えるスピードで変わっていく環境に付いていくのは、容易なことではありません。そこで今回は、eビジネス分野における戦略コンサルテーションや事業開発支援を行うD4DR株式会社の松井文音(まついあやね)氏に、アフターコロナに向け中小企業が備えておくべきことについてお話を伺いました。アフターコロナの時代にスタートダッシュを切るためにも、ぜひ参考にしてみてください。


松井 文音 氏(D4DR株式会社 分析コンサルティング部アナリスト)

大学卒業後、証券会社への就職を経て2019年よりD4DR株式会社 分析コンサルティング部アナリストとして勤務。D4DR株式会社ホームページ

アフターコロナの世界でビジネスはどうなっていくのか

――アフターコロナ、ウィズコロナとも言われるこれからの時代のビジネスの変化や、予兆などについて教えてください。

生活者の中でもともと起こりつつあったライフスタイルやワークスタイルの変化が、ウィズコロナにおいて一気に加速すると予想できます。具体的にはECを中心にした購買行動や飲食店でのテイクアウトの定着、業務の「DX」(Digital Transformation ※後述で詳しく解説)推進とリモートワークの浸透にともなって「ワーケーション」(「ワーク」と「バケーション」を組み合わせた造語。リゾート地などで、休暇を兼ねてリモートワークを行う労働形態のことを指すケースが多い)も拡大すると言われています。そして、それらはさらに生活者に不可逆な価値観の変化をももたらします。

すると、これまでは固定化されたサービスの中でライフスタイルを形作っていたところにおいて、ますますリスクの違いが顕著になり、個人のライフスタイルに合わせたパーソナライズが求められるようになります。

例えば「若年層か」「高齢者と同居しているか」「小学生以下の子供がいるか」といった属性ごとに、サービスへのニーズがますます多様化することが考えられるでしょう。また先が見えない不安感から柔軟性が重視され、個人経営の店舗が期間や場所に縛られないポップアップ型になったり、収入源を増やすために副業をしたりする方が増える可能性もあります。

そのようなニーズに個別で対応するため、DXを推進させる企業が増えると予想されます。これは新サービスをはじめるチャンスでもあり、新たなスタートアップ企業も次々と登場することになるでしょう。

――ビジネス構造はどのように変わると予想されますか?

新型コロナウイルスの感染者数やクラスターの追跡で明らかになったように、ビジネスにおいても「可視化」の重要性が改めて見直されることになります。

例えば生体認証や映像分析などによる顧客のID化だけでなく、店内状況の把握やトイレットペーパーやマスクで問題が露見したように、商品の在庫管理におけるデータ活用が重要な課題です。またそのようなデータを活用するために、これまで競合していた企業間においても連携する動きが活発になることが予想されます。

ビジネスにおけるあらゆるものの可視化によって、より顧客の「LTV」(Life Time Value の略語で「顧客生涯価値」のこと。顧客1人あたりが取引期間を通じて企業にもたらす利益)を最大化する方向に進むでしょう。

――アフターコロナで、働き方はどのように変わっていくのでしょうか?

リモートワークは今回のパンデミックをきっかけに「外出しない」ことを目的として拡大しましたが、結果としてこれまでの業務で無駄だった部分や、DX推進の必要性が炙り出されることになりました。

アフターコロナでの働き方は生産性をいかに最大化できるかを軸に置き、アナログのまま残しておくべき業務とそうでない業務の棚卸しが必要です。そのうえでリモートワークでも問題ない業務と判断できれば、積極的に多拠点生活やワーケーションを認めていくといった施策を進めることになります。

アフターコロナで成長する企業・衰退する企業

――アフターコロナで成長・拡大する可能性がある企業・産業については、どのようにお考えですか?

先ほど説明したような柔軟性や多様性に対応した企業、またそのようなサービス・体制を支える産業が、今後は成長・拡大していくことでしょう。

情報化社会を迎えてからというもの、人も社会もこれまで以上に早いサイクルでアップデートを重ねることが求められるようになりました。今回のパンデミックをきっかけに、新陳代謝しやすい体制を確立することができれば、その先の成長にもつながるのではないかと思います。

――では逆に、アフターコロナで衰退・消滅する可能性がある企業・産業については、どのようにお考えでしょうか?

顧客と直接的なつながりを築いていなかった企業や、もともと市場からの退出が時間の問題だった企業は、この機会に淘汰されていくことになると思います。

産業に関しては、もし従来通りのやり方を変えられなければスポーツやエンタメなどの業種は厳しくなる一方です。そのため、今後はどのような業種であれDXは避けられないと考えられます。

平時から顧客と直接的なつながりを築いていれば、このような緊急事態にも助けてもらうことができますが、それがなければ今回のような非常時に頼るところがありません。もともと市場の変化についていけていなかった企業は言わずもがなです。業種レベルで考えると消えていくかどうかはやり方次第であり、DXを進めるなど打ち出し方を工夫することによって生き残っていくことは可能と考えます。

――今話題のDXですが、人によって理解度や認識が異なるケースが多いので、もう少し内容を簡単に咀嚼していただくことは可能でしょうか?

DXとは、直訳すると「デジタルによる変革」という意味で、IT技術を有効活用することで新たなサービスやビジネスモデルを確立し、コストの削減や働き方改革、社会変革を推し進めることです。

また経済産業省から発表されている「DX推進ガイドライン」の定義で、DXとは「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」とされています。

つまりDXとは、AIIoTといったデジタル技術を有効活用することで、

  • 製品、サービスやビジネスモデルの変革
  • 業務そのものや組織、プロセス、企業文化、風土の変革

を実践して、企業自体が生まれ変わることだといえるでしょう。

したがって単に業務をデジタル化するだけではなく、デジタルを導入することによって新たな価値を提供することが重要です。例えば顧客をID化して購買記録などのデータを管理したり、その情報をもとにコミュニケーションを取ったり、ECを整備して来店しなくても購入できるようにすることなどが挙げられます。

――顧客とのエンゲージメントが強い企業や、DXを推進している企業や業種はアフターコロナの世界でも生き残れるような印象を受けましたが、いかがでしょうか。

顧客とのエンゲージメントやDXによって衰退は免れても、必ずしも成長・拡大に結びつくわけではないと考えます。顧客との関係を維持するために、またはDX推進によって柔軟性や多様性を持つに至った企業が、成長・拡大への道を拓くことができるのです。

アフターコロナで中小企業が生き抜く方法

――アフターコロナに向け、今企業に必要な考え方を教えてください。

柔軟性や多様性に対応するということは、日常の延長線上に非常時があると意識することでもあります。例としては、宿泊施設が非常時に感染者や医療従事者を受け入れるような契約を平時から自治体と結んでおくことなどが挙げられます。またリスク管理の観点からは、効率至上主義や株主至上主義からの脱却も必要です。それによってDXが進んだり内部留保という形で非常時に備えたりすることが可能になります。

企業がアフターコロナで取り組むべき具体的な施策としては

  • 可能な限り固定費を変動費化する
  • 株主至上主義を改めて内部留保を増やす
  • 従業員の働き方を見直す段階で極力DXを進める

といった方法が考えられます。

――最後に、アフターコロナの世界を生き抜くために、中小企業が取り組むべき施策についてアドバイスをいただけますか?

業種などによって異なりますが、顧客との関係維持や顧客体験価値の最大化にデジタル技術は欠かせないものとなっています。そのためには、まず従業員の働きやすい環境を整えるために業務のデジタル化を進めることです。

例えばオペレーション面であれば、紙をPDFにしたり従業員やクライアントとのコミュニケーションツールを取り入れたり、古いシステムを利便性の高いものに変えるといった施策が考えられるでしょう。またCRMツールを導入する、ECを整備する、店舗でもさまざまな決済方法を使えるようにするなどの施策も考えられます。

しかしアフターコロナだから変わるというよりも、必要に応じてすぐに変われる体制づくりこそが急務です。こうした災禍のたびに積み上げられる社会のアップデートに置いていかれない企業になる。つまり企業における自浄作用や新陳代謝といった仕組みを確立し、柔軟性や多様性を重視した経営にしていくことが必要です。生産体制でいうならば海外と国内の両方に生産拠点を維持し、非常時には片方の稼働だけで賄えるような体制を整備することがそれにあたります。

アフターコロナのビジネスにはスピーディで柔軟な対応が求められる

今回は、アフターコロナに向け中小企業が備えておくべきことについてお話を伺いました。アフターコロナの世界は不可逆的な流れと考えられているため、ビフォーコロナの市場状況にそのまま戻ることはないといわれています。それどころか第二波が来ることも予想されるので、今後もスピーディで柔軟な対応が求められることでしょう。

まだまだ出口が見えず不安がぬぐえない部分もあるとは思いますが、市場の変化を逆にチャンスと捉えて貪欲にチャレンジしてもらえれば幸いです。

弥報編集部
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