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従業員やその家族が新型コロナウイルスに感染の疑い⁉︎企業側に求められる対応とは?

感染者数は減少傾向にあるものの、まだまだ新型コロナウイルス感染症の脅威は予断を許さない状況です。従業員が新型コロナウイルスに感染することはもちろん、その家族などが感染した場合はどうするのかなど、今後も企業側には広い視野での迅速な対応が求められるでしょう。しかし不測な事態への対応といわれても、具体的にどうすればよいのか分からない経営者の方も多いと思います。

そこで今回はあらためて、従業員やその家族などが新型コロナウイルスに感染した、またその疑いがある場合、企業はどのように対応するべきなのかについて、新宿駅前クリニック院長である蓮池林太郎氏にお話しをうかがってきました。

蓮池林太郎氏(新宿駅前クリニック院長・医療法人社団SEC理事長)

1981年生まれ。医師。作家。帝京大学医学部卒業。病院勤務を経て、2009年新宿駅前クリニックを開設。著書に『患者に選ばれるクリニック:クリニック経営ガイドライン』(合同フォレスト)、『なぜ、あなたは結婚できないのか:医者が教える幸せな結婚』『医者が教える病院・医者の選び方』『新型コロナを乗り越える』(セルバ出版)がある。蓮池林太郎公式ホームページ 新宿駅前クリニックホームページ 医療法人社団SECホームページ

従業員に新型コロナウイルス感染の疑いがある場合の対応

――高熱が続くなど感染が疑われる従業員に対しては、どのような対応をするべきでしょうか?休んでもらう以外にも、必要な対応はあるのでしょうか?

蓮池:「新型コロナウイルスが疑われる症状があり、検査適応の場合、新型コロナウイルスのPCR検査を受けてもらってください。その結果、陽性であった場合には会社に報告するようにお伝えください。

PCR検査を受けるまでの具体的な流れについても簡単に説明しておきます。少なくとも以下のいずれかに該当する場合には、各都道府県の帰国者・接触者相談センター、医師会や診療所などにご相談ください。

  • 息苦しさ(呼吸困難)、強いだるさ(倦怠感)、高熱などの強い症状ある場合
  • 高齢者、糖尿病、心不全、呼吸器疾患といった基礎疾患がある方や透析を受けている方。また免疫抑制剤や抗がん剤などを用いているなど、重症化しやすい方で発熱や咳といった比較的軽い風邪の症状がある場合
  • 上記以外の方で発熱や咳など比較的軽い風邪の症状が続く場合

なお症状には個人差がありますので、解熱剤などを飲み続けなければならないなど強い症状と思う場合にはすぐに相談してください。もちろん、これらに該当しない症状の方でも相談することは可能です。このとき『感染の疑いがある』と判断された方は、次に『帰国者・接触者外来』への相談が必要になります。

そこで『感染の疑いがある』と判断された後、さらに保健所に相談し『検査を認める』と判断されることで、ようやく行政や保険診療によるPCR検査が受けられる流れです」

――こうしてみると、現状PCR検査を受けるまでのハードルは非常に高い気がするのですが、企業側で何かサポートできることはないのでしょうか?

蓮池:「企業側でサポートは難しいですが個人としては、保健所ではPCR検査を行うかどうかはある一定の判断の基準があるので、正確に症状の経過などを伝えた方がよいでしょう」

――発熱症状があった従業員と濃厚接触した可能性がある従業員に対しては、どのように対応するべきでしょうか?

蓮池:「発熱した従業員がPCR検査で陽性、新型コロナウイルスに感染していると診断された場合は、濃厚接触の可能性がある従業員が『濃厚接触者』になります。そのため濃厚接触の可能性がある他の従業員には、そちらの従業員が発熱してお休みしていることを伝えておいてください。なお新型コロナウイルスの主な感染経路は、飛沫感染と接触感染などが挙げられます」

――飛沫感染と接触感染について、あらためて詳しく教えてください。

蓮池:「まず『飛沫感染』とは、感染者の飛沫(くしゃみ、咳、つば など)と一緒にウイルスが放出され、他者がそのウイルスを口や鼻から吸い込んで感染することです。飛沫感染は集団感染を起こすこともあり、換気の悪い密閉空間である『密閉』、多くの人が密集している『密集』、互いに手を伸ばしたら届く距離での会話や発声が行われる『密接』の、いわゆる『3密』条件が同時に重なる場では感染拡大のリスクが高いとされています。

一方、感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後などに、周りの物に触れることで感染者のウイルスが付着することがあるのですが、その部分に未感染者が接触してウイルスに感染するのが『接触感染』です。つまり接触感染であれば、感染者に直接接触しなくてもウイルスに感染します」

――接触感染のリスクが高い場所を、具体的に教えてください。

蓮池:「接触感染しやすい場所としては、ドアノブやエスカレーターの手すり、スイッチ、共有で使用しているデスク・パソコンなどが挙げられますので、定期的に消毒してください。

一方で、廊下ですれ違っただけ、席が遠く同じフロアで仕事している、共有スペースを利用したというだけでは濃厚接触とはいえません。

濃厚接触者の定義は、患者の感染可能期間(新型コロナウイルスの感染を疑う症状を呈した2日前から隔離開始までの期間)に接触した方のうち、以下に該当する方とされています。

  • 患者と同居あるいは長時間の接触(車内・航空機内など)があった方
  • 適切な感染防護無しに患者を診察、看護、または介護していた方
  • 患者の気道分泌物、または体液などの汚染物質に直接触れた可能性が高い方
  • 手で触れることのできる距離(目安として1m)で、必要な感染予防策無しで、患者と15分以上の接触があった方

これらの条件に加えて、周辺環境や接触状況、個々の状況などから感染性を総合的に判断することになります」

――どうなれば「新型コロナウイルス感染の疑いが晴れた」といえる状態といえるのでしょうか?出社OKといえる基準はありますか?

蓮池:「発熱者が新型コロナウイルスに感染していて、濃厚接触者となった場合、厚生労働省ではこれまでの情報なども踏まえて、14日間にわたり健康状態を観察するべきとしています。現時点において潜伏期間は1~14日(一般的には約5日)とされています。したがって感染者と最後に接触した日から14日間過ぎて濃厚接触者の体調に異変がなければ、出社しても問題ありません。

なお、発熱した従業員が新型コロナウイルスへの感染が確認できていない場合、濃厚接触した可能性がある従業員は、自宅待機までは必要ありません」

――その際、従業員が診断書を準備する必要はあるのでしょうか?

蓮池:「濃厚接触者であっても症状がなかった場合は、自己判断になります。そのため、病院などに受診して診断書をもらう必要はありません」

濃厚接触者の従業員が再び出社する場合は、企業側が妥当であると判断できる基準も設けておきたいところです。

新型コロナウイルスに感染した従業員に取らせるべき対応

次に、実際に従業員が新型コロナウイルスに感染した場合の対応について、お話をうかがいました。

――新型コロナウイルスに感染した従業員には、どのような対応をお願いするべきでしょうか?

蓮池:「差し支えない範囲で、いつ頃からどのような症状があったのか報告してもらいます。会社内での濃厚接触者の特定に繋がります。会社で把握できない取引先などの濃厚接触者がいれば、濃厚接触者と感染した従業員から教えてもらい、会社より連絡します」

――新型コロナウイルスに感染した従業員に対して、休業中に実施させるべきことはありますか?

蓮池:「保健所の指示に従い、軽症であれば自宅やホテル、中等症以上であれば病院で療養するのは当然ですが、症状が悪化した場合は速やかに保健所に相談するようにお伝えください。

また咳やくしゃみなどの症状がある人は、咳エチケットを守ってもらってください。『咳エチケット』とは、感染症を他者に感染させないために、咳、くしゃみをする際、マスクやティッシュ、ハンカチ、袖、肘の内側などを使って口や鼻を押さえ、飛沫ができるだけ飛ばないようにすることです」

――濃厚接触の可能性がある従業員に対しては、どのように対応するべきでしょうか?

蓮池:「まず、会社から濃厚接触者の従業員へ伝達します。潜伏期間を考慮し、14日間は就業を控えさせてください。就業を控えている期間に発熱、呼吸器症状、倦怠感などが現れた場合は、帰国者・接触者相談センターに相談して、保健管理センターにもその相談結果を報告してもらってください。通常、濃厚接触者全員を検査するわけではなく、発熱や呼吸器症状が現れた場合が検査対象者になります。

健康観察期間中は濃厚接触者に、咳エチケットおよび手洗いを徹底するよう常に健康状態に注意してもらいましょう。不要不急の外出はできる限り控え、外出時のマスク着用、手指衛生などを徹底させます。やむを得ず移動する際にも、公共交通機関の利用は避けるように伝えてください」

なお従業員が感染したことを社外に公表しなくてはならないという明確なルールは存在しないため、あくまでも実施判断は企業側に委ねられます。ただし、複数の方と触れ合う可能性が高かった場合や業務内容によっては、二次感染を防止するためにも、影響範囲や実施済みの感染防止措置の内容などを含め速やかに公表するべきでしょう。

一方で社内への告知に関しても明確なルールはありませんが、従業員の安全を守るためにも、本人の同意を得たうえで速やかに対応することが求められます。

従業員の家族・取引先の方が感染の疑い・感染した場合の対応

新型コロナウイルスの怖いところは、従業員以外からも感染するという点です。そのため従業員の家族や取引先などの感染有無についても配慮する必要があります。

――従業員の家族に新型コロナウイルスに感染の疑いがある場合は、どのように対応するべきでしょうか? 

蓮池:「先ほど説明した、発熱症状があった従業員と濃厚接触した可能性がある従業員への対応と同様です。したがって従業員に対しては、14日間健康状態を観察・報告してもらい、体調に異変がなければ出社しても問題ありません」

――当該従業員と接触した可能性がある従業員の洗い出しや対応は?

蓮池:「こちらも従業員が新型コロナウイルスに感染した場合の対応と同じです。差し支えない範囲で、いつ頃からどのような症状があったのか報告してもらいましょう。また休業中は保健所の指示に従い、軽症であれば自宅やホテル、中等症以上であれば病院で療養、症状が悪化した場合はすぐに保健所へ相談するようにしてもらってください」

――従業員の家族が新型コロナウイルスに感染した場合の対応はどうするべきでしょうか?

蓮池:「濃厚接触者になりますので就業を控えて、先ほど説明した通り14日間にわたり健康状態を観察することになります」

――直近で接触した取引先やお客さまが、新型コロナウイルスに感染の疑いがあることと分かった場合は、どのように対応するべきでしょうか?

蓮池:「基本的に、取引先企業の従業員が感染したと公表している場合など、先方より報告があれば、従業員に対して先ほど説明した濃厚接触者・感染者対応を行うべきでしょう。しかしながら先方から何も連絡がない場合には、残念ながらどうすることもできません」

すべての企業が従業員の感染を公表するわけではないため、従業員への行動規制が重要になってきます。そのため直接会って打ち合わせを行ったり、取引先に直接訪問したりする行為は当面禁止するべきでしょう。

まだまだ予断を許さぬ状況。迅速に対応フローの整備を

今回は従業員やその家族などが新型コロナウイルスに感染した、またその疑いがある場合にどのように対応するべきか蓮池林太郎氏にアドバイスをいただきました。新型コロナウイルスの影響は、部分的な収束はあるものの今後数年単位で続くと予想されており、ワクチンや自然感染による集団免疫が成立するまでは余談を許さない状況といえるでしょう。

したがって企業側も、長期的な対応になることを覚悟しておく必要があるのです。そのため今回のアドバイスいただいた内容を参考に、迅速に対応フローを整備しておくことをおすすめします。

本記事の内容は、20205月20日現在の情報に基づいています。

 

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