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RPAって何? 導入コストや注意点は?【中小企業のためのRPA超入門】
2018.10.10
このところ、ニュースや新聞などで「RPA」という単語がよく登場します。しかし「そもそもRPAって何? 気にはなっているけど調べる時間がない。業務にどう活用できるの?」と感じている方も少なくないのではないでしょうか。今回は「RPA超入門」と題して、いったいRPAで何ができるのか、Excelマクロとの違いとは、導入コストや注意点など、初心者に向けてRPAの概要を説明いたします。
RPAって何ができるものなの?
RPAを正確に表現すると、
「Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」
という単語となります。
ただこれだけですと何がなんだかわからないと思いますので、概念をつかむためにかみ砕いて表現すると、
「ロボットを使ってパソコンの作業を自動化すること」
と言うことができるでしょう。
ロボットというのは工場にあるようなロボットのことではなく、「パソコンの中にいて、いろいろな処理を代わりにしてくれるソフトウェアのひとつ」というイメージです。
このロボットに命令してさまざまな処理を自動化し、人手をかけないようにする(作業の効率化をはかる)というのが、RPAに最も期待されていることです。
目次
RPAを使って何ができる?
では、このロボットは具体的にどんなことをしてくれるものなのでしょうか?これはあくまでも一例ですが、このロボットに命令を出しておくことで、Excelの加工をしてもらうこともできます。
たとえば、
- Aのファイルのデータを読み取って、
- Bのファイルに必要な部分だけ貼り付ける
というような処理です。
ここで「Excelの加工」というと、詳しい方は「何を言っているんだ、Excelにはマクロという便利な機能があるじゃないか」と思われるかもしれません。もちろんExcelのマクロでの定型的な自動化は可能ですが、RPAの場合はそれだけではありません。たとえば
- Excelでつくった請求書をPDFにし、
- そのPDFをメールで送付する
といったことができたり、
皆さんが普段使っている弥生会計に代表される専用ソフトに、
- Excelのデータを読み込んで
- 弥生会計に入力する
と、いったことができたりもします。
つまり、Excelに限らずさまざまなソフトと連携することができる、というのがRPAの大きな特徴です。
会社を運営するときには、経理を行うための会計ソフトや販売管理のシステムなど、いろいろな種類の専用ソフトを横断して使わざるを得ないケースが多いものです。
このような既存のソフトはそのままに、他のソフトと連携をすることでさまざまな作業を自動化できることがRPA導入の利点です。
ほぼすべての会社には、日々繰り返している単調な作業があるはずです。
よくRPA業界で挙げられる事例には、
- 定型のデータ入力業務
- 交通費の経路のチェック
- インターネットでのデータ収集
といったものがあります。
税理士事務所を運営している私の場合は、
- 電子申告の番号を取得するロボット
- 会計ソフトのデータを出力し、別の専用ソフトに転記するロボット
- インターネットバンキングでの支払い処理をするロボット
といった一連の動きをRPAで動かしています。
Excelのマクロだけではだめですか?
上記の例の中には、実際のところExcelマクロ(VBA)を使うことでも同様の処理をこなすことができるものもあります。しかし、Excelマクロは誰でも簡単に使えるというわけではありません。特にExcel以外のものを横断的に操作するには、それなりに勉強を重ねた人でないと難しいのが現実なところです。
それに対してRPAは、ロボットに
- まずExcelを開いて
- 請求書をPDFにして
- そのPDFをメールに添付して送ってね
といった命令をすることにより動かすことができますので、プログラミングを一から勉強するよりも取り組むためのハードルが低いということが特徴として挙げられます。(ただし、プログラミングの勉強がまったく不要というわけではありません)
AIっぽいけどRPAとの違いは?
ここまで読んで、
「ということは、AIみたいなものかな」
と思われた方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれません。
ただ、AIとRPAには明確な違いがあります。
AIは、たとえるなら頭脳のようなものであり、「こういうときはこうしたらいいのかな?」ということを、過去の事例などをもとに自分で考えることができるのがAIです。
それに対して、RPAは自分で考えるといったことをしません。あくまでも事前に設定された命令(プログラム)に従った処理をする、というだけです。
そのため、RPAには適切な命令を事前にしっかりと設定してあげる、といったことが大切になります。
RPAの導入コストなど、導入の注意点
これまで見てきたように、RPAは基本的に「単調な作業を自動化すること」を目的としています。そのため、導入を考えるときには、「どれくらいの人件費が削減できるのか」が基準になるともいえます。もしくは、「人手不足でそもそも対応できる人材がいない」といった問題へ対応するために導入することもあるでしょう。
RPAのソフトのことを「RPAツール」と表現することが多いのですが、海外製も日本製もさまざまな種類のツールが出ています。日本製ですとNTTデータをはじめ、複数社が提供しています。RPAツールのそのほとんどは年間利用料が必要で、安いもので年間100万円程度、高いもので年間1,000万円以上と、それぞれが可能とする機能によって、その金額の幅は大きく違います。
このほか、本当にパソコン1台から入れられるような小さなものは、無料~10万円程度(買い切り)で操作可能なものもあります。これらの比較的安価なソフトウェアは「RDA」(「Robotic Desktop Automation『ロボティック・デスクトップ・オートメーション』」)と呼ばれ、厳密にはRPAとは区別がされています。
各種ツールは金額の高いものは機能が豊富な分、取り扱いにも高度な知識を要するという傾向にあるようで、「どうせならと思って値段の高いツールを導入してみたはいいものの、結局使いこなせなかった」といった事例も耳にしたことがあります。
導入にあたっては、問題整理などのコンサルティングを行った上で、きちんと疑問点を解消したうえで適切なツールを導入されることをおすすめします。
RPA導入を真剣に検討している場合、まずこのRDAツールから導入して自動化を体感してみるのもひとつでしょう。
RPA導入の注意点
上のほうで、私は「RPAは、プログラミングを一から勉強するよりも取り組むためのハードルが低い」と書きました。
ただこれは「プログラミングの知識が不要」という意味ではありません。
よくRPA業界では「プログラミングの知識不要で使える!」という営業がされることがあるのですが、実際に使ってみた私の実感も含め、詳しい人にお聞きするとほとんどの方が「現時点ではある程度プログラミングの勉強は必要」と答えます。なぜかというと、
- 自分でロボットをつくるとき、プログラミングの考え方が使われている
- そのロボットを、ソフトのアップデートなどにより微修正していく必要があるためです。
「すでにつくられたロボットを動かすだけ」ならプログラミングの知識はまったくいらないのですが、多くのソフトでは定期的にアップデートがあるため、「修正がまったく不要」ということはまずありません。アップデートによって、今まで動いていたロボットが動かなくなった場合の修正など、どのような動作をしているのか、どこが動かなくなったポイントになるのか、といったことを知ることができる知識は、最低限知っておく必要があります。
ここは誤解のないようにしておきましょう。
ただ、プログラミング言語を一から記述する必要はなく、
- とあるソフトを指定
- 特定の場所へマウスを移動
- そこを左クリック
などの命令を積み重ねることでロボットがつくれるので、そういう意味でプログラミングよりはハードルが低いと言われています。
たとえば経営者の方から事務の担当者に「これで効率化しといて」と依頼したところで、すぐに使いこなせるようになるといった単純なものでは必ずしもない、という認識は必要でしょう。
一方で、RPAの導入後、従業員がおのおの好き勝手にロボットをつくってしまった結果「どんなロボットが存在するか管理できていない」といった問題が起こっている企業もあります。(「野良ロボットの問題」と呼ばれています)
RPAツールは、どのように導入していくか、またどのように管理や調整をしていくか、といったことをしっかりと組み立てていくことをおすすめします。
まとめ
今回は、
- RPAとは?
- RPAで何ができるのか?
- RPAとAIの違い
- RPAの導入コストや、注意点
について書いてきました。
注意点なども率直に書きましたが、実際にRPAを使っている感想として、
- ソフトを問わずに使うことができ、
- プログラミングよりはハードルが低い
ということで、うまく使いこなすことさえできればとても有用なツールであることは間違いありません。
日本では人手不足の深刻化もあり、今後少しずつ広がっていくことが予想されますので、気になる方はぜひ検討してみてください。
この記事の著者
弥報編集部
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この記事の監修者
谷口 孔陛(たにぐちこうへい)
合同会社MGNコンサルティング代表社員。31歳で独立後、ブログや雑誌の執筆を中心に、わかりにくい税務や会計のことを図を使ってわかりやすく伝えている。決算書も図解にし、数字に苦手意識を持つ中小企業やひとり社長をサポート。クラウド会計やRPAなど先端技術にも興味があり、自身で試してみたことをブログで公表している。著書(共著)「できる税理士は知っている これならうまくいくクラウド会計」(第一法規)。2誌で短期連載中。
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