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取引前に知っておきたい!未入金トラブルを予防するテクニック

2018.10.07

著者:弥報編集部

監修者:竹蓋 賢太

個人事業主や中小企業を経営されている方の中には、取引先とのトラブルで困った経験があるという方も多いのではないでしょうか。特に、商品やサービスを納品したにも関わらず、代金が支払われないといった「未入金トラブル」はスモールビジネスにとって致命的となるだけに、できれば避けたいもの。

そこで、今回は「未入金を予防するにはどうすればいいのか」について、企業が保有する売掛債権を保証し、取引先の信用リスクを回避するサービスである「URIHO」を提供する株式会社トラスト&グロースの竹蓋 賢太氏に解説していただきました。

本記事は、弥生株式会社と株式会社トラスト&グロースの共催セミナー『~起業家のための経理【特別編】~ 取引を始める前に押さえておきたい3つのテクニック』(2018年6月5日開催)の講演をもとに改めて寄稿いただきました。当日のイベントレポートは「弥生コーポレートブログ」にも掲載しておりますので、ご参照ください。

そもそも、かけ取引はどうして必要?

今回は、未入金が起こらないように取引前にやるべき「支払条件の交渉」と「5分でできる取引先チェック」についてお話しさせていただきます。

そもそも、なぜ未入金が発生するのでしょうか。それは、代金の支払いや回収を商品の購入時や販売時ではなく、一定期間たってから行う「かけ取引」を行うためです。

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かけ取引は、売り手としては「売上が伸ばせる」、「細かく何度も納品する場合に1回で済む」、買い手には「今お金がなくても商品が手に入る」「細かく何度も支払いする場合に1回で済む」などのメリットがあります。一方、デメリットとして、支払いを忘れてしまったり、支払うタイミングでお金がないなどの理由で「未入金」が発生するリスクもあります。

こうしたトラブルを回避するために、できれば支払条件を決める段階で、最低でも「原価は前金で先払いしてもらう」といった契約を結び、必ずメールでやり取りのエビデンスを残すことが大切です。

また、仕事を請け負う立場だと、自分から支払条件を提示してもいいのか不安に思う方もいるかもしれませんが、商談時に当たり前の取り決めとして行って大丈夫です。ここもエビデンスをしっかり残しましょう。

新規取引は「知人の紹介」と「業歴が浅い」相手は念入りに確認!

未入金が特に起こりやすいのは「新規取引」のケースです。そのため初めて取引をする相手は、支払い能力があるかどうか、情報を集めて判断する必要があります。

さらに「知り合いの紹介」の場合は、紹介だから大丈夫だろうと安易な取引につながりやすく、未回収の可能性が通常の取引先より高まります。また、創業したばかりの企業、業歴が浅い企業も実績がわからないため、念入りな確認をオススメします。

確認は商談の時から始まります。これは確認すべき!というポイントを3つ説明します。

1.「なぜあなたの会社を選んだのか」という理由

例えば、他の取引先に断られてあなたの会社に来たのかもしれませんし、仕入れ先がなくて困っている可能性もあります。

2.これまでの「取扱商品(サービス)」と「取引先」

わかりやすいところでは、大手企業との取引があるかどうかを確認してみてください。大手企業が取引先として認めているということは、与信審査を通過していると考えられます。大手企業との取引がない場合も、取引先が順調に増えているか、継続した取引が行われているかなど、相手を図るヒントになるので取引実績を聞いてみると良いでしょう。

3.会社が実在しているかどうか

会社の住所を調べたら実は赤の他人の住居だった、ということが詐欺会社ではよくあります。また対面で話をしていても、取り扱っている商品について専門的な話が出てこないと不安に感じますよね。そういった直感も大事にしてください。

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それでは次の項目で、実在確認の具体的な方法「5分でできる取引先チェック」についてお伝えします。

5分でできる「ウェブ検索」&「登記簿謄本」チェック術

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1. 会社名や代表者名で検索をする

Googleなどの検索エンジンで、会社名もしくは代表者名を入力するとサジェストキーワード(*)が表示されます。ここでネガティブな検索が行われていないかどうかを確認します。
(*)予測変換。検索したワードと一緒に検索される可能性が高いワードが表示される

2.ホームページで会社概要をチェックする

相手のホームページを見てみましょう。特に注目したいポイントは以下です。

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①設立年数

例えば、「社歴が浅いのに過剰な設備投資をしている」「社歴が長いのに実績が載っていない」など、ちょっとした違和感のベースになる情報なのでチェック。

②資本金

自己資本金が大きいほど資金繰りが安定していると考えられる。金融機関からの借入も少ないと予測ができる。

③主要取引先

大手企業が主要取引先であれば信用度が高まる。(商談時の確認ポイント「2」を参照)

④取引銀行数

数が多いと多額の借入をしている可能性がある。(会社の規模が拡大してきて取引銀行が増えたのが理由であれば問題なし)

3.ホームページに使われている画像をチェックする

ホームページは会社の顔です。そこに使われている画像が、他のサイトから適当に流用されたものではないかどうか確認をします。

確認の手順

・Google Chromeで画像の上にカーソルを合わせて右クリックして、「Google 画像検索」を選択
・他のサイトから画像を流用していないか確認する

オリジナル画像なのか、フリー素材を利用しているのか、また他のサイトの写真を拾ってきていないかなど画像の出どころがある程度わかります。確認するポイントは、雑に作られていないかどうか。例えば、詐欺会社のホームページは最後には消してしまいますので、いちいち丁寧に作らないことが多いのです。

逆に私たちが自社ホームページを作る際も、使用する画像はきちんとしたものを使ったほうが良いといえるでしょう。

続いて、登記簿謄本の確認方法をご紹介します。

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登記簿謄本とは、企業の「法人名、所在地、役員」などが記載されている書類のことです。確認することで、取引する相手が何者であるかが予測でき、取引の安全と円滑化を図ることができるというメリットがあります。

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特に注目したいのは「変更」がある部分です。サンプルをもとに説明します。

①商号:社名が「電子販売」→「フード販売」へと異業種に変わっている

通常は事業内容に伴う社名変更が多いが、休眠会社を買い取った場合もこのような商号変更が行われる。なぜ変更したのか理由が大事。

②目的:以前の目的とは全く異なる業種に変わっている

商号と同様の確認ポイント。仮に異業種の事業を始めた場合には、商号は変更しなくても問題ないが、目的は変更せざるを得ない。目的のほうがより確実な情報といえる。

③ 役員:変更があった日付、代表者が全く関係のない人になっている

短期間での頻繁な役員の変更など、怪しい動きはここで見て取れる。

なお、登記簿謄本の情報を閲覧するには「登記情報提供サービス」がオススメです。

もしものために、リスクヘッジも重要!

これまで未入金トラブルを予防するテクニックについて解説してきましたが、どんな事業であれ、絶対に未入金を防ぐことができるとは言い切れません。

皆さんあまり話したがりませんが、実は未入金トラブルの経験がある方は周りにも結構いるはずです。自分には関係ないと思わずにリスクヘッジを図ることは重要です。

年商5億円以下向け売掛保証「URIHO」は、取引先の倒産や支払いの遅れで入金がなかった場合に、取引先に代わり代金を支払います。月額定額制で何社でも保証がかけられます。取引先の簡単な情報を登録するだけでURIHOが与信審査を行うため、ここまで解説してきたような企業の信用調査の手間も省けるサービスです。

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未入金トラブルを気にするあまり、むやみに相手を疑ったり不安に思って取引を諦めてしまっては機会損失につながります。安心して新規取引を進めるためには、商談時から確認をしっかり行うことが大事です。上手に未入金トラブルを予防して事業を成長させていきましょう。

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未払いの不安がある取引先への請求には、「Misoca回収保証」をご利用いただくと便利です。

この記事の著者

弥報編集部

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この記事の監修者

竹蓋 賢太(たけふた けんた)

大学卒業後、新卒でトラスト&グロースに入社。入社後は売掛金の保証の提案からフォロー業務を担当し年間100社の中小企業を訪問。現在は金融機関との業務提携や紹介代理店の新規開拓に従事。代理店に対する勉強会やセミナーを定期的に開催し啓蒙活動に努める。年商5億円以下向け売掛保証「URIHO」

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