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新型コロナウイルスで売上高減少……苦戦中の企業を支える「中小企業活性化パッケージ」とは【教えて吉田先生!】

2022.07.12

2022年3月4日にコロナ禍対策の一環として経済産業省は「中小企業活性化パッケージ」を策定、公表しました。今後はこのパッケージに基づき、新型コロナウイルス感染症の影響で売上高などが減少し、苦戦している中小企業の活性化に向けた施策が展開されます。コロナ資金繰り支援継続や、中小企業の収益力改善や事業再生、再チャレンジを総合的に支援する中小企業活性化パッケージとは何か、具体的に解説します。


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吉田 学(よしだ まなぶ)氏 財務・資金調達コンサルタント

執筆者:吉田 学(財務・資金調達コンサルタント)

株式会社MBSコンサルティング 代表取締役。1998年の起業以来、「資金繰り・資金調達支援」に特化して創業者や中小事業者を支援。これまでに1,000 社以上の資金調達相談・支援を行い、その資金調達支援総額は20億円超。主な著書に、「社長のための資金調達100の方法」(ダイヤモンド社)、「究極の資金調達マニュアル」(こう書房)、「税理士・認定支援機関のための資金調達支援ガイド」(中央経済社)などがある。また、全国の経営者・士業などを対象にした会員制の資金調達勉強会「資金調達サポート会(FSS)」を主催している。
吉田学ブログ「融資・資金調達支援を武器にして法人顧問を獲得しよう!」


中小企業活性化パッケージとは何ですか?

「中小企業活性化パッケージ」とは、コロナ資金繰り支援の継続増大する債務に苦しむ中小企業の、収益力改善・事業再生・再チャレンジを促す総合的な支援を展開するために、経済産業省が2022年3月4日に公表した施策です。新型コロナウイルスの影響を受け、ダメージが継続している事業者への資金繰り支援や、事業再生の支援を総合的にサポートする内容となっています。

なお「中小企業活性化パッケージ」に基づき、2022年4月1日に中小企業活性化協議会、および本協議会の業務を支援する、中小企業活性化全国本部が設置されています。こちらが、中小企業活性化パッケージの主な窓口になります。

中小企業活性化協議会

「中小企業活性化パッケージ」の具体的な支援内容を教えてください。

中小企業活性化パッケージの支援内容としては、コロナ資金繰り支援の継続および、中小企業の収益力改善・事業再生・再チャレンジの総合的支援の2つが柱となっています。

コロナ資金繰り支援の継続は「資金繰り支援の徹底を金融機関に要請し、融資期間の延長をしたうえで、実質無利子・無担保融資、危機対応融資を継続する」など、コロナ資金繰り支援を継続するというものです。

中小企業の収益力改善・事業再生・再チャレンジの総合的支援は「事業者のフェーズ(収益力改善フェーズ・事業再生フェーズ・再チャレンジフェーズ)に応じて、きめ細やかな支援を一元的に行う体制を構築する」という内容となっています。以降、それぞれの具体的な内容について解説します。

「コロナ資金繰り支援の継続」について、詳しく教えてください。

コロナ資金繰り支援の継続は「年度末の資金需要への対応」および「来年度以降の資金需要への対応」について公表されました。ここでは、後者について説明いたします。

〈来年度以降の資金需要への対応〉

  1. 実質無利子・無担保融資、危機対応融資の継続など
  2. 日本政策金融公庫の資本性劣後ローンの継続
  3. 納税や社会保険料支払いの猶予制度の積極活用・柔軟な運用

1.実質無利子・無担保融資、危機対応融資の継続などについては、新型コロナウイルス対策である実質無利子・無担保融資、危機対応融資を6月末まで延長するというものです。なお公表当時は6月末まででしたが、2022年4月26日に公表された総合緊急対策によって、9月末まで継続されることになりました。

さらに、返済負担を軽減するための運転資金返済期間が15年から20年に延長されています。

(参考)
新型コロナウイルス感染症特別貸付|日本政策金融公庫

2.日本政策金融公庫の資本性劣後ローンの継続については、日本政策金融公庫の資本性劣後ローンを「来年度末」まで継続することになりました。

(参考)
新型コロナ対策資本性劣後ローン|日本政策金融公庫

3.納税や社会保険料支払いの猶予制度の積極活用・柔軟な運用については、延滞税や延滞金を0.9%に軽減するといった納税緩和制度に基づく猶予、および社会保険料の支払猶予制度の運用は、原則担保不要もしくは口頭での事情説明も可と柔軟な対応も継続となっています。

〈コロナ資金繰り支援の継続〉

「中小企業の収益力改善・事業再生・再チャレンジの総合的支援」について詳しく教えてください。

「収益力改善支援」「事業再生支援」「再チャレンジの総合的支援」、それぞれについて見ていきましょう。

収益力改善支援では「認定支援機関による伴走支援の強化」および「中小企業活性化協議会による収益力改善支援の強化」が実施されます。まだまだコロナ禍で苦しんでいる事業者の収益を今後どうやって確保していくのか、などに対応する支援になります。

事業再生支援については、再生ファンドの拡充、事業再構築補助金に回復・再生応援枠を創設、中小企業の事業再生等のガイドラインの策定(2022年3月4日公表)などが実施されます。事業再構築補助金の対象となる方は、ぜひ活用しましょう。

「中小企業の事業再生等のガイドライン」については、本ガイドラインに基づいて事業再生を図る場合は、計画策定費用などに対して最大700万円(補助率2/3)の補助金が実施されます。

再チャレンジの総合的支援については「経営者の個人破産回避のル-ルの明確化」が公表されています。「経営者保証ガイドラインに基づく場合、金融機関は誠実に対応する」との考え方が明確化されました。また再チャレンジに向けた支援も各種実施されます。

「収益力改善・事業再生・再チャレンジの総合的支援」は、小規模・中小事業者でも利用できますか?

利用可能なものもあります。

「収益力改善・事業再生・再チャレンジの総合的支援」の窓口である中小企業活性化協議会において実施される支援体系は、以下のようになっています。

小規模・中小事業者が利用可能なものは、図表右側の「中小企業活性化協議会自身による支援」となるでしょう。

図表右側の他にも、図表左側の「民間プレーヤーを活用した支援」欄にある「早期経営改善計画策定支援」策も利用できる可能性があります。「早期経営改善計画策定支援」については、既に経験を積まれている税理士や認定支援機関などの方もいるので、まずは顧問税理士に質問・相談してみてください。

なお「経営改善計画策定支援/中小版GL枠」については、小規模事業者は対象になりにくいと思われますが、中小版GL枠については小規模事業者向けに要件が一部緩和されていますので、活用方法などについて税理士や認定支援機関、中小企業活性化協議会などに相談してみましょう。

「コロナ資金繰り支援の継続」や「収益力改善・再生支援・再チャレンジ支援」の詳細はどこで調べられますか?支援を活用したい場合は、どこに相談すればよい?

「コロナ資金繰り支援の継続」の窓口は、日本政策金融公庫などがあります。
日本政策金融公庫

「コロナ資金繰り支援の継続」の概要に関しては、以下の中小企業庁の「概要紙」(P1)、「施策集」(P2~P4)にて確認できます。
「概要紙」「施策集」|中小企業庁

「収益力改善・再生支援・再チャレンジ支援」の詳細については、以下の中小企業庁HPより確認できます。
中小企業活性化協議会(収益力改善・再生支援・再チャレンジ支援)|中小企業庁

「中小企業の収益力改善・事業再生・再チャレンジ支援」については、中小企業活性化協議会が窓口です。
中小企業活性化協議会のお問い合わせ先(経営サポート「収益力改善・再生支援・再チャレンジ支援」」ページ内)|中小企業庁

なお、中小企業活性化協議会への相談はハードルが高いと感じる事業者の方は、まず顧問税理士や認定支援機関などに相談してください。ただし、本パッケージは公表されたばかりですので、顧問税理士や認定支援機関も対応できていない可能性もあります。顧問税理士などに相談しても思うような回答が得られない場合は、気軽に中小企業活性化協議会に相談してみましょう(2022年5月執筆時点)。

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