- 顧客獲得・売上アップ
SNSマーケティングで「バズる」チャンスを呼び寄せる6つの要素
2018.09.10
連載1回目の「コアなファンの獲得がカギ!成功事例から学ぶ、SNSマーケティング」でもお話ししてきたとおり、SNSマーケティングを本当の意味で成功させるためには、単にフォロワー数を増やすのではなく、「ファン」を増殖させ、ファンと一緒にブランドを創り上げていくことを目標にすべきだと考えます。
私たちBOKURAでは、さまざまな業種の企業を対象に、SNSを使ったマーケティング、集客、ファンベースづくりの支援を行っていますが、今回はこれまで実際に行ってきたSNSマーケティングについて、その流れと具体的な進め方をお伝えします。
本記事は、 宍戸崇裕『ファンと一緒にブランドを育てるSNSマーケティング実践法』(リスナーズ株式会社)の一部を再編集したものです。
目次
コンセプトを定め、自社の商品特性、ターゲットに適した集客・運用手段を選ぶ
SNSマーケティングを行うにあたっては、まず「コンセプト」を決定します。コンセプトの決定とは、目的、ゴールを決めるということです。知名度を上げればいいのか、ブランド力を高めるのか、販売につなげるのか。あるいは、商品企画に活かすためのマーケットリサーチや、顧客とのコミュニケーションの活性化のために使うこともできます。
次に「集客」=認知を高める施策を検討します。主な手段としては、自社のターゲット層が集まるSNSに広告を出稿する、SNS上でキャンペーンを実施する、自動ツールを使って自社商品に興味を持ちそうなSNSユーザーに向けて自動投稿・集客する、自社スタッフ自ら地道に投稿する……などがあります。
目的と方法が決まれば、実際に「運用」していきます。具体的な行動としては、定期的に投稿するほか、ユーザーとのコミュニケーションを図ります。ユーザーに対して「いいね」を押したりフォローしたりするのです。ここでは「共感」を得ることが重要となります。そして効果を検証し、継続するか、別の手段を検討します。
そして「刈り取り」。SNS上でつながったユーザーが「顧客」になってくれて、売り上げに結び付くようにします。来店してもらうよう働きかける、通販サイトに誘導する、リアルイベントを開催する、といった方法があります。
それぞれのフェーズにおいて、目的、自社の業種・商品の特性、ターゲット層にマッチした手段を選ぶことが大切です。
「投稿」においてはブレることのないルールを設ける
どのような手段を使うにしても、SNSを活用するかぎりは「情報の投稿」「ユーザーとのコミュニケーション」は必須項目です。
こうした発信を行うにあたり、ブランドの世界観と発信のトーン&マナーにギャップがないよう、初期の段階で方向性を決めておく必要があります。投稿作業を複数のスタッフが交代で行う場合などは特に、ブレがないように統一を図らなければなりません。
例えば、次のような項目について検討します。
- 一人称の表現:「私」「僕」「我々」「弊社」など。
- 言葉遣い:「です・ます」調が良いのか、友達のようにカジュアルなトーンがいいのか。
- 温度感:表現を固めにするのか、緩めにするのか、普通にするのか。
- 顔文字:顔文字を使うか使わないか。使う場合でも、例えば(*^_^*))といったポピュラーなものと、珍しい記号を組み合わせた高度なものでは、醸し出す空気が変わってきます。「何でもOK」「くだけ過ぎない程度に」「一部のみOK」など線引きをします。使用の具体例をリストするといいでしょう。
ハッシュタグや返信コメントでは「ファンとの親和性・温度感」を意識!
SNS運用においてハッシュタグはとても重要です。公式アカウントからの投稿に添えるハッシュタグだけではなく、こちらからコミュニケーションを取りたい、潜在ファン層を探しにいくためのキーワードを何にするかを考えます。
「#ブランド名」というハッシュタグだと、ブランドの認知度がさほど高くない場合、あるいはつづりが難しい場合など、投稿が少ないのが現実です。その場合は、「#ブランド名」だけでなく、ブランドに関連するようなワードを入れるのが得策です。
例えば、シャツやブラウスを得意とするアパレルブランドであれば「#シャツコーデ」や「#ぬけ感」など、ファン層に親和性の高そうなキーワードを使うことで、広い層へのリーチを狙います。
大枠が決まれば、運用を開始します。初めのうちは社内で相談しながら、微調整を行っていくのがいいでしょう。迷うことがあれば、「こんな感じのコメントで大丈夫ですか?」「OKです」とそのつど確認し、数週間仮運用しながら温度感をつかみましょう。
そして、ブランド側の意向で言葉遣いを変えることはもちろんですが、同時に、ユーザー側の言葉遣いもチェックしてみましょう。
例えば、「ゆうこすが着てた〇〇のワンピをGET! うれしみ~♡」といった投稿があったとしましょう。そうしたユーザーに、「この度はご購入いただき誠にありがとうございます。社員一同、これからもお客様にご満足いただけるよう精進いたします」などとコンタクトをとっても、明らかに空気感に乖離があるわけです。
こうした場合、そのユーザーの投稿に対するコメントを見ることで、普段友達とどんなコミュニケーションをとっているのか把握することができます。そのトーンをつかみ、その人が親近感を持つ言葉遣いでコメントをするのです。
「バズる」チャンスを呼び寄せる6つの要素
正直なところ、このようにSNSを通して地道にコミュニケーションをとるという活動自体は、影響範囲も小さく、すぐに売上大幅増とはならないケースが大半です。それでも、当分はコツコツやっていくことが重要です。続けていれば、どこかのタイミングで有名人やインフルエンサーに紹介してもらえたり、メディアに取り上げられたりして、一気に拡散される可能性があります。
メディアをはじめ、バラエティやトーク番組で活動する芸能人などは、日頃から「ネタ探し」をしており、SNSにもアンテナを張っています。SNS投稿がネタとして取り上げられ、「バズる」チャンスがあるというわけです。
そのチャンスをつかめるどうかは、日々の小さな発信にかかっています。「ご購入ありがとうございます」を連呼していても、面白みがありません。ユーモア、誠実さ、専門家っぽさ、何でもいいのですが、そのブランドの「キャラクター」がにじみ出るような発信をしていくことが、PR効果につながります。
PRパーソンやマーケティング担当者であれば、「バズを仕掛けられないか」と画策したことがあるのではないかと思います。
話題に上るためには重要な要素が6つあります。
① トレンドに乗っているか
SNSでは日々さまざまなハッシュタグが登場しますが、突発的に話題になるハッシュタグがあります。バズったハッシュタグに便乗することもSNS上で話題になるための手法のひとつになります。これは短期的なトレンドですが、長期的なところでは、ここ数年「インスタ映え」という切り口で特定のスポットや商品が紹介されているのが目につきます。いずれも「今っぽさ」が重要です。
② バックグラウンドがしっかりしているか
老舗として歴史を重ねていたり、商品開発で権威ある団体が監修していたり、といったものが自社のバックグラウンドとなります。特に「誕生秘話」や、創業者が苦労を乗り越えた経験談などは鉄板。商品が生まれた背景、歴史を積み重ねてきた経緯などのエピソードは人の心に響きやすいものです。
③ サイドストーリーが面白いか
これは、付随している事例のことです。例えば、連載第1回目で紹介したユースキン製薬の場合は、ユースキンを愛用しているアイドルをファンに認定したり、同じくユースキンユーザーのプロバスケットボール選手とSNS上で交流する、といった「アイドルをファンに認定」「バスケ選手が愛用」といったエピソードがこれにあたります。
④ ビジュアルが良いか、または面白いか
画像や動画がシェアされる時代ですので、自社の世界観を表すようなビジュアル素材で訴求できると、ユーザーの目に留まりやすくなります。
⑤ データがあるか
ここ数年でどれだけ売上が伸びているか、何割の人が使っているかなど。効果が数値化されているものがあれば説得力があります。メディアなど、取材を依頼する立場からしても安心でき、喜ばれます。
⑥ ソーシャルな影響力があるか
情報番組では、街のトレンドを調査するようなコーナーがあり、ハッシュタグ数やフォロワー数を紹介しています。番組を作るディレクターは、SNSで情報収集することが多いため、SNS上でのバズワードや急上昇ワードは取り上げられやすいのです。メディアに取り上げられれば売上アップへの近道になりますので、「取材者はどんなネタを求めているか」をきちんと分析して発信することが大切です。
世の中には「PR」の支援を専門とする会社も多数ありますが、有能なコンサルタントと、必ずしもそうとは言えないコンサルタントが混在しています。いけてないコンサルタントは「何かネタありますか? あれば売り込みますよ」というスタンスです。一方、有能なコンサルタントは、こうした6要素を踏まえ、切り口を探して提案します。
SNSの運用においても、こうした要素を意識し、自社ならではのコンテンツを探して発信していくといいでしょう。
次回は最終回です。締めくくりとして、これからのSNSマーケティングに必要なこととは何かについてお話ししたいと思います。
この記事の著者
株式会社BOKURA
2015年8月創業。『企業と生活者の距離を縮める』をテーマに、ユーザー目線での、ブランドとユーザーの距離を縮めるためのマーケティング支援およびSNSソリューションの展開を行っている。FacebookやInstagramなどのSNSを使ったマーケティング支援からWEB構築、リアルイベントの開催など幅広く支援を展開。『マーケターミーティング』という企業の広報担当者やマーケティング担当者を集めた勉強会&交流会を定期的に実施している。
この記事の監修者
宍戸 崇裕(ししど たかひろ)
株式会社BOKURA 代表取締役。自動車業界、不動産業界での営業経験を経て、2009年、モバイルSEOを手がける株式会社Speeeに入社。2011年よりイー・ガーディアン株式会社にてソーシャルメディア運用事業の立ち上げを行う。その後、2012年アライドアーキテクツ株式会社にてソーシャルメディアマーケティング事業部マネージャーとして200以上のクライアントのマーケティング支援、コンサルティングなどを行う。2015年にSNSマーケティング支援を行う株式会社BOKURAを設立、代表に就任。マーケターMTGというSNS運用担当者を集めたワークショップを月一で開催。リテラシーを上げながら、担当者同士の横のつながりを生み出す活動も行っている。
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