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原油・物価高騰やコロナによる売り上げ減少にも使える!政府の中小企業向け資金繰り支援策まとめ【教えて吉田先生!】

2022.08.23

現在、政府はウクライナ情勢や原油価格、物価高騰などの影響を受けている小規模・中小事業者を対象にさまざまな支援策を実施しています。具体的には、官民金融機関に対する資金繰り支援や、中小企業等に対する事業再構築支援、小規模事業者持続化補助金での優先採択などです。

今回は、「政府の中小企業向け資金繰り支援策」について、財務・資金調達コンサルタントの吉田 学先生に詳しく解説していただきました。


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吉田 学(よしだ まなぶ)氏 財務・資金調達コンサルタント

執筆者:吉田 学(財務・資金調達コンサルタント)

株式会社MBSコンサルティング 代表取締役。1998年の起業以来、「資金繰り・資金調達支援」に特化して創業者や中小事業者を支援。これまでに1,000 社以上の資金調達相談・支援を行い、その資金調達支援総額は20億円超。主な著書に、「社長のための資金調達100の方法」(ダイヤモンド社)、「究極の資金調達マニュアル」(こう書房)、「税理士・認定支援機関のための資金調達支援ガイド」(中央経済社)などがある。また、全国の経営者・士業などを対象にした会員制の資金調達勉強会「資金調達サポート会(FSS)」を主催している。
吉田学ブログ「融資・資金調達支援を武器にして法人顧問を獲得しよう!」


政府はウクライナ情勢による円安や原油価格・物価高騰などに対して、政府は中小企業事業者向けにどのような支援を実施していますか?

現在、政府は以下のような支援策を実施しています(2022年8月時点)。ちなみに、国内事業者向け支援の窓口は経済産業省です。

〈経済産業省による支援策・措置(一部)〉

・燃料油価格激変緩和対策
・貿易保険による対応策
・JETROの相談窓口・情報提供
・資金繰り支援
・官民金融機関に対する資金繰り支援についての要請
・中小企業等に対する事業再構築支援
・小規模事業者持続化補助金での優先採択
・サイバーセキュリティ対策
・価格転嫁対策
など

今回は小規模・中小事業者向けの資金繰り支援に関連する、上記太字の支援策・措置について説明いたします。

その他の支援策について、興味のある方は経済産業省のホームページにてご確認ください。

(参考)
ロシア等によるウクライナの侵略をめぐる国際情勢に関連した経済産業省による支援策・措置|経済産業省

「資金繰り支援」の具体的な内容を教えてください。

具体的な資金繰り支援策としては、日本政策金融公庫において「セーフティネット貸付」の要件緩和が実施されています。利益率が5%以上減少した中小事業者・小規模事業者に対する金利が、0.4%引き下げられています。

出典:経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)|日本政策金融公庫

また、日本政策金融公庫以外においても、自治体制度融資や信用保証協会などによる相談窓口が設置され、融資制度および保証制度などが創設されている場合があります。地域の自治体および信用保証協会などのホームページにて確認してください。

一例ですが、東京都においては、「新型コロナウイルス感染症・ウクライナ情勢・円安等対応緊急融資」が実施されています。

(参考)
新型コロナウイルス感染症・ウクライナ情勢・円安等対応緊急融資|東京都産業労働局
原油価格上昇に関する特別相談窓口|東京信用保証協会

また、現在小規模・中小事業者を対象とした「特別相談窓口」も、全国に設置されています。主に、日本政策金融公庫や商工組合中央金庫、商工会・商工会議所などが窓口として対応しています。

(参考)
ウクライナ情勢・原油価格上昇等に関する特別相談窓口一覧|経済産業省

「官民金融機関に対する資金繰り支援についての要請」とは、具体的にはどのような要請内容ですか?

2022年2月25日に政府から官民金融機関に対し、コロナ融資の返済期限延長措置として事業者に対する「資金繰り支援の要請」が早々に発せられました。その後も何度か要請が発せられており、現時点(2022年8月時点)における最新の要請は2022年5月11日のものとなっています。

具体的には、「事業者からの2度目、3度目の返済期間・据置期間延長の相談を含め、申し込みを断念させるような対応を取らないことは勿論のこと、返済期間・据置期間の長期の延長などを積極的に提案するなど、既往債務の条件変更や借換などについて、事業者の実情に応じた迅速かつ柔軟な対応を継続すること」という内容です(一部抜粋)。

金融機関に対しては柔軟な対応が要請されていますので、資金繰りに苦慮している事業者の方は、遠慮せずに取引先の金融機関などに相談してください。

(参考)
「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」を踏まえた資金繰り支援の徹底等について(2022年5月11日)|金融庁

「中小企業等に対する事業再構築支援」とは、具体的にどのような支援策ですか?

「中小企業等に対する事業再構築支援」の代表格である事業再構築補助金において、新型コロナウイルスの影響、さらにウクライナ情勢の緊迫化等による原油価格・物価高騰などにより影響を受けていて、事業再構築を図ろうとする中小事業者を対象に「特別枠の創設」や「加点措置」による支援を実施するという内容です。

第6回公募(2022年6月30日締切)においては「加点措置」、第7回以降は「原油価格・物価高騰等緊急対策枠(緊急対策枠)」の公募が実施されます。従業員数によって補助金額は異なりますが、100万円~4,000万円になります。中小企業の補助率は3/4と優遇されています。

(参考)
事業再構築補助金 事務局

「小規模事業者持続化補助金での優先採択」の内容を教えてください。

小規模事業者持続化補助金の採択審査時に、ウクライナ情勢や原油価格、LPガス価格などの高騰による影響を受けている事業者に対して、政策的観点から加点(事業環境変化加点)が実施されます。結果として採択される可能性が高くなります。

ちなみに申請受付の締切は、第9回公募は「2022年9月20日」、第10回公募は「2022年12月上旬」、第11回公募は「2023年2月下旬」の予定となっています。

(参考)小規模事業者持続化補助金

資金繰りに困ったら、どこに相談すればよいでしょうか?

資金繰り対策については、具体的には取引先の金融機関や政府系金融機関に相談することになりますが、その前にまずは顧問税理士に相談してみてください。税理士の中には、こういった情報を収集していて、相談・支援してくれる方もいます。まずは顧問税理士に相談してから、取引先の金融機関などに相談をするようにしましょう。必要に応じて補助金などの利用も検討してください。

以下のリーフレットに支援策がまとまっていますので、よろしければ参考にしてください。

(参考)
ウクライナ情勢の影響で輸出入にお困りのみなさまへ|経済産業省

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