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企業にダメージを与える「SNSの炎上」を防ぐ方法

2018.08.20

著者:株式会社BOKURA

監修者:宍戸 崇裕

第1回:「コアなファンの獲得がカギ!成功事例から学ぶ、SNSマーケティング」では宝塚歌劇団のFacebookページとユースキン製薬のInstagram/Twitterを例に、情報発信によって「ファン」を獲得するためのアプローチについて紹介しました。企業でSNSを運営するにあたって、多くの皆さんが心配されるのは「もし自社のSNSで炎上が起きてしまったら」ではないでしょうか。

私は以前に、SNSでの「炎上」や「風評被害」を防ぐサービスを手がけてきました。そのときに得た知見をふまえ、今回は企業にダメージを与える「炎上」の発生パターンやその防御策について、実際の事例を挙げながらお話しをしたいと思います。


本記事は、 宍戸崇裕 著『ファンと一緒にブランドを育てるSNSマーケティング実践法』(リスナーズ株式会社・刊)の一部を再編集したものです。

企業にダメージを与える「SNSの炎上」には3種類のパターンがある

企業でも個人でもSNSの活用が活発化していますが、不適切な発信をすることによって、企業がダメージを受ける事件が増えています。企業がどんなに注意を払っていても、従業員の安易な発信により企業に矛先が向くことも少なくありません。一部から出た批判が広がり、「炎上」となってしまうこともあります。

まずは「炎上」の代表的な発生パターンを3つご紹介します。自社の従業員に注意を促すためにも、ぜひどんなリスクが潜んでいるのかを知っておいていただきたいと思います。

炎上発生パターン① 企業の公式アカウントからの不適切な発言

1つめは、企業の公式アカウントで不適切な発言をしてしまうことです。SNSの運営担当者が悪気もなく発信したことが、思いがけず世間の反感を買ってしまうことがあります。

例えば、プロ野球で広島カープが優勝を果たしたとしましょう。そこで、広島カープのオフィシャルスポンサーでもなく、チームとは縁もゆかりもない企業の公式アカウントから、

「広島カープ、優勝おめでとう!」

――と発信されたとしたらどうでしょう。

カープ以外のチームのファンの中には「イラッ」とする人もいるはずです。またカープファンからも「オフィシャルスポンサーでもないのに、カープ優勝に便乗している」と反感を持たれる可能性もあるのです。

炎上発生パターン② 従業員によるプライベートアカウントでの不適切な発言

2つめは、従業員が個人のアカウントで不適切な投稿をした結果、雇用している企業に批判が寄せられるパターンです。

「飲酒運転しちゃった」
「ケンカをふっかけられたんで、相手をボコボコにしてやった」

――など、身内しか見ていないものと思い、違法行為や暴力的・非倫理的な行為を告白。それをたまたま見つけたユーザーが当人の過去のツイートなどをたどっていき、所属先企業が判明する、というパターンです。

「このような人間を雇用している企業は信用できない」といったクレームが所属先企業に寄せられ、その批判はやはりネット上で拡散していきます。世の中で起こっている炎上で圧倒的に多いのが、このタイプです。

炎上発生パターン③ いたずら・悪ふざけ投稿

3つめの炎上発生パターンは、常識外れな悪ふざけ投稿です。寿司屋でお客さんが醤油差しの注ぎ口を直接舐めたり、コンビニの冷蔵庫の中に入ったりする様子をSNSや動画サイトに投稿した、という報道をご記憶の方も多いのではないでしょうか。

このような事例では、企業側は衛生的な信用を失い、投稿した本人にとってもトラブルを起こした過去が実名とともにネット上に残るわけですから、就職活動などにも影響を及ぼすことになります。ちょっとした悪ふざけのつもりだった発信が、その後の人生を大きく狂わせることにもなるのです。

雇用する従業員が炎上対象となった場合、企業にも火の粉が降りかかります。抗議の電話やメールに対して、事態を把握しないままに煮え切らない対応をしたり、ましてや無視したり不遜な態度をとったりすると、それまでもがネット上にさらされます。

クレーム電話への受け答えが録音され、ネット上に投稿された事例もありました。その対応が真摯さや誠意を欠くものであった場合、「企業姿勢」への糾弾が始まります。攻撃対象が個人から企業へ移っていくのです。そしてその経緯は、ネット上でさらされ続けることとなります。

企業としては、自社が炎上に巻き込まれるリスクも踏まえた上で、対応方針を決めて従業員に周知させることも重要です。

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炎上に対して企業がやらなければならないことは2つだけ

企業がひとたび炎上に巻き込まれると、対応に追われて通常業務の遂行ができなくなるばかりか、対応を誤った場合は企業イメージを損ない、売上にもマイナス影響を及ぼしてしまいます。自社の炎上は何としても避けたいものです。

炎上に対して企業がやらなければならないこと。それは、

  • 事前に防ぐこと
  • 事後に誠実に対応すること

この2つだけです。

当たり前のように聞こえるかもしれませんが、私の感覚でいうと、事が起こった際にしっかりと対応できた企業はそう多くはないのでしょうか。「自社に限って、そんなことが起こるはずがない」という慢心から事前の対策を怠る企業。そして、炎上後に「これ以上ダメージを大きくしたくない」という自己防衛の意識が働き、少し事実を隠すつもりが、つじつまが合わなくなり嘘に嘘を重ねてしまう企業――こう聞くと、他人事のようには思えないのではないでしょうか。

まず、事前の対策はSNSリテラシーを高める「教育」につきます。日常生活とSNSは、切っても切り離せない関係になってきました。ならばSNSを禁止するのではなく、上手に付き合っていく方法を考えた方がいい。そんな考え方が浸透し、最近では企業だけでなく、高校生へのSNSリスク講座のニーズも増えてきています。

「教育」といっても、発信内容の善悪の判断は、個人の道徳観によるところが大きいといえます。人の道徳観を正すのは難しいこと。しかし、方法論を学べば、情報を知らなかったことで起こる炎上は避けることができます。

例えば、個人が画像をアップする前に、不都合なものが写り込んでいないかチェックすること。背景に写ったダンボールの文字から所属企業を特定されたり、車のミラーに写った背景で住所を特定されたりと、思わぬところから情報が漏れていくからです。軽いノリのつもりが、SNSの拡散力で一気に広がってしまう。その一度の炎上が、個人や企業の運命を左右するという意識を持ってもらうことが大切です。

そして、思いがけず炎上してしまったときはどうするか。あれこれと言い訳をしたり、自社をかばいたくなったりする気持ちもわかりますが、まずは誠実に謝ること。これ以外にありません。

謝る際の基本のスタンスは以下の3点です。

  • 真摯に謝罪すること
  • 謝り続けること(「一度謝ったからもう大丈夫なのでは?」という姿勢は絶対にNG)
  • どのように改善できるか提示し、約束すること

直接的な被害を受けた人以外は、時間の経過と共に、怒りは収まっていくもの。この基本を徹底的に守れば、事態は沈静化していくのです。

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ユーザー、消費者と信頼を築いておけば、炎上も乗り切れる

ここまで、企業が炎上を防ぐためにできることをお話ししてきましたが、最も重要なのは「消費者と信頼を築いておく」ことです。ファンが多くいるブランドには、自浄作用があるからです。

たとえ、企業のメディアが発信すべき情報を誤るなどして「炎上」したとても、その運営者に人望があって、普段から信頼を築いていれば、過ちを受け入れてかつ応援を続けてくれる人はたくさんいます。「炎上した」という事実よりも、そのメディアのブランドや運営者の人となり、それまでやってきたことが評価されるようになるのではないかと感じています。

以前、炎上した食品会社を例に考えてみましょう。

まるか食品株式会社のインスタント焼きそば「ペヤング」が、消費者から異物混入の指摘を受け、自主回収をした事案がありました。ペヤングは昔から愛されてきた商品。販売停止が決まると、悲しみ嘆く声がTwitter上に溢れました。それだけでなく、異物混入を訴えたTwitterユーザーにまで批判が寄せられる事態となりました。

八つ当たりのように、被害者にまで批判の矛先を向けるのは間違っていると思います。ですが、ペヤングの販売が再開されたとき、「本当に大丈夫かよ」といった懐疑的な声より「待っていました!」といったポジティブな声の方が大きかったのが印象的でした。

これはやはり、そのカップ麺のファンがそれだけ多かったということになります。会社がそれまで、味の追求を続けるなどしてファンを大切にしてきたからこそ、たとえ炎上しても、顧客が離れなかったのです。

ファンを獲得しておくと、炎上とまではいかないにしても、否定的な意見やクレームを、ファンが打ち消してくれるという作用が働きます。

例えば、とあるWebサービスがリリースされたとき、入力フォームに不備があり、スマートフォンからアクセスしづらい状態が何時間か続きました。ネット上に「できないじゃん」という不満が噴出する中、とあるユーザーさんが「iPhoneだったら〇〇のやり方でできる」と、対処法を自主的にシェアしたのです。企業が考え及ばないようなトラブルが起きたとき、ファンが自ら火消しをしてくれる。企業にとっては、本当にありがたい存在です。

次回は、実際にSNSを使ったマーケティングについて、その流れと具体的な進め方をお伝えします。

■連載「事例から学ぶ、SNSマーケティング実践法」

第1回 コアなファンの獲得がカギ!成功事例から学ぶ、SNSマーケティング

第3回 SNSマーケティングで「バズる」チャンスを呼び寄せる6つの要素

第4回 SNSマーケティングの狙いは拡散ではなく、ファンとの距離を近づけるもの

この記事の著者

株式会社BOKURA

2015年8月創業。『企業と生活者の距離を縮める』をテーマに、ユーザー目線での、ブランドとユーザーの距離を縮めるためのマーケティング支援およびSNSソリューションの展開を行っている。FacebookやInstagramなどのSNSを使ったマーケティング支援からWEB構築、リアルイベントの開催など幅広く支援を展開。『マーケターミーティング』という企業の広報担当者やマーケティング担当者を集めた勉強会&交流会を定期的に実施している。

この記事の監修者

宍戸 崇裕(ししど たかひろ)

株式会社BOKURA 代表取締役。自動車業界、不動産業界での営業経験を経て、2009年、モバイルSEOを手がける株式会社Speeeに入社。2011年よりイー・ガーディアン株式会社にてソーシャルメディア運用事業の立ち上げを行う。その後、2012年アライドアーキテクツ株式会社にてソーシャルメディアマーケティング事業部マネージャーとして200以上のクライアントのマーケティング支援、コンサルティングなどを行う。2015年にSNSマーケティング支援を行う株式会社BOKURAを設立、代表に就任。マーケターMTGというSNS運用担当者を集めたワークショップを月一で開催。リテラシーを上げながら、担当者同士の横のつながりを生み出す活動も行っている。

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