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あるある!経理vs営業の対立、解決するポイントは?【中小企業お悩み相談室Vol.7】

2018.09.03

著者:株式会社スコラ・コンサルト

著者:簔原 麻穂

「中小企業お悩み相談室」では、中小企業や小規模事業者のような「小さな組織」によく見られる実際の悩み事をピックアップ。組織風土改革のパイオニアとして30年以上の実績を持つ「株式会社スコラ・コンサルト」が回答します。

第7回は、業務を進める上で、いつも「経理vs営業」という対立構造になってしまいがち、という悩みについて回答します。

Q:経理のベテラン社員A子さんの悩み「業務上必要な要求に対して『経理が細かくてうるさい』と言われてしまう」

私は衣服を扱う中小企業で経理をしているのですが、経理は部署というより担当者個人で見られがちで、業務として社員に対して依頼をしても、その必要性を理解してもらえないことが多いです。

たとえば、営業部の社員に「来週までにお願いします」「この内容は何ですか?」と、ごく当たり前のことを言っても「経理のA子がうるさい!」とか言われます。「これ、金額が違っていますよ」などと指摘すれば「経理のA子は細かい!」と受け取られたりもします。

確かに、経理は営業など他部署から見れば売上を上げているわけでもなく、守りの役割が多いのですが「何をそんなに残業しているの?」とか「いつもピリピリしているね」などと周りの社員たちから言われると、いったい私は誰のために仕事をしているのだろう……と情けなくなってしまいます。どう解決すればいいでしょうか?

A:犬猿の仲?経理と営業がうまくいかないわけ

そもそも経理は会社を経営する上で必要不可欠な機能であり、経営や株主への説明責任といった役割もあります。その数値データや結果によって経営が投資判断をすることもあるだけに「正確さと厳格さ」が第一の仕事です。

また、会社は正しい会計処理をした上での納税責任があるため、数字を取りまとめる締切がある、必要書類の記入方法が決まっている、内容を細かく把握する必要がある、といった形式的な決まりごとも多くあります。いわゆる堅い仕事なのです。

一方、営業などの現場部門は、会社が存続、成長するための利益を生み出すことが仕事です。営業と経理とでは、それぞれの強みや求められる役割が全く異なるために「犬猿の仲だ」なんていう会社もあったり、相互理解が進まないケースが多いのです。

営業は経理のために、経理は営業のためにと、お互いの立場や事情を考えながら仕事ができると良いのですが、いずれも部署相互の異動が少ない上に、日々の仕事に忙殺されがちです。相手に対するイライラが積み重なるばかりで、なかなか互いの仕事の理解が進まず、関係が修復されにくいのです。

経理あるある「こんな営業にイライラ!」

①平気で締切日を破る、メールなどの反応、返信がない!

「間に合わなそうです」とか、ひとことでもあればいいのですが、何の連絡もなく締切日を破られると、軽視、無視されているときと同じような感覚になってしまいます。ひとこと言ってくれれば、それなりの準備ができるのに!

②見込みや数値報告など情報収集に非協力

営業が積極的に売上や見込み情報の入力に協力してくれず、結果的に予算等の数字がずれると、親会社や上司に「もっと精度を上げてくれ」と言われるはめに。みんながもっと協力してくれれば精度の高いものをつくれるのに!

③請求書や精算書などをため込んで出してくる

後処理する私たちのことを考えず、平気で古い請求書や精算など日付もぐちゃぐちゃのものを出してくる。こんな人のために残業しているのか、と思ってしまいます。

お互いが楽になる目線で考えてみる

お互いに忙しく、相互理解ができていない中、「もっとこうしてくれないと困る!」と相手に求めても思い通りに動いてくれるとは限りません。

そんなときは「自分も相手も楽になるにはどうしたらいいのか」という視点で考えるようにすると、相手に期待する一方の状態から少し視点をずらして考えることができるので、イライラが収まり心も仕事も楽になります。

ただし、お互いが楽になる目線で考えるためには、お互いの仕事の中身をしっかり理解しておくことが大切です。次の3つのSTEPを参考にしてみてください。

STEP1.仕事の目的と流れをつかむ

自分の仕事は「何のためにやっているのか」「どこに影響するのか」、全体の流れを理解する。経理の仕事は、自分で考えて始める仕事は少ないからこそ、なぜこれが必要なのか、目的や意味をしっかり考えてみる。

「経理部のためにやるのではなく、よりよい会社運営のためにやる」と、考え方をワンランク高めてみましょう。

STEP2.必要根拠をきちんと伝える

相手がやってくれない、でもやらないといけないことについては「なぜ必要なのか」の根拠を理解し、相手にも丁寧に伝える。現行の書類や項目、期限などは本当に必要なのか、なぜこれをやらないといけないのかを考えてみる。

たとえば、日常で当たり前のように行なっている申請処理の工程も、何のために必要で、各項目がどのような意味を持つのか、記入や作業の目的を理解する。何のためにしてもらわなければいけないのかを自分自身が理解せず「営業は○○を守ってくれない!」と言っているだけでは、相手に必要性は伝わりません。まずは、自分自身が理解することで、他部署に対しても丁寧に必要性を伝えることができます。

STEP3.お互い楽して日々改善

STEP1、2で仕事の流れと必要である根拠が理解できると、やらなくてもいい仕事や工程、項目が見えてくる。仕事の目的をしっかり理解し、相手目線でさらにお互い楽になる仕事の仕方を見つけ出し、不必要なことはそぎ落とす。

このようなステップを踏んで仕事をしていくと、今まで営業に要求していたことも、本当に必要なのかな?と考え直すことも出てくるでしょう。

また、昔から当たり前のようにやってきた項目を埋める作業も、なぜ埋めないといけないのか、やらなくて良いことをやっているのではないか、 相手にやらせているのではないか、など疑問が湧いてくることで、見直しや工夫や改善につながります。

「みんなのために、会社のために」と、視点を変えて工夫することで、知恵が生まれ、お互い気持ちよくラクに仕事ができるようになって、みんなに役立っている実感も得られます。

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目指せ!クリエイティブな「右脳経理」

経理とは、会社経営の重要な基盤であるものの、直接的にお金を生まない仕事であるということを理解した上で、なるべく依頼する業務を簡単に、見やすく、楽しくすることが、結果的にみんなに役立つことにつながります。

自分が行っている業務の目的や意味が理解できると、相手の苦手や「つまらない」という気持ちも理解ができるようになり、イライラせずに、やり方の工夫や改善が進みやすくなります。結果的に自分も楽になり、仕事がワクワク楽しくなることに。

ぜひ、そんなクリエイティブな右脳経理を目指してみてください。

この記事の著者

株式会社スコラ・コンサルト

組織風土改革のパイオニアとして企業・公的機関の支援に30年の実績をもち、実践を目的とした〈プロセスデザイン〉という独自の変革手法に特徴がある。「コンサルタントのいないコンサルティング会社」のスタンスを貫き、「プロセスデザイナー」が現地で現場の人たちと一緒に考える伴走型の支援を行う。本音でまじめな話ができる対話の場、職場や立場を離れてフラットな関係で行う「オフサイトミーティング」は、スコラ・コンサルトの代名詞になっている。

この記事の著者

簔原 麻穂(みのはら あさほ)

「株式会社スコラ・コンサルト」の組織変革プロセスデザイナー。国家資格キャリアコンサルタント、女性労働協会認定講師。経営層の参謀役育成やマネジメント改革、女性ならではの強みを仕事の成果につなげる支援を得意とする。

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