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【上限4,000万円の補助金】原油・物価高騰などに使える「事業再構築補助金の緊急対策枠」を活用しよう【教えて吉田先生!】

2022.10.04

新型コロナウイルス感染症に加えて、ウクライナ情勢による物価・原油価格高騰の影響を受け、さらなるダメージに苦しんでいる企業も多いと思います。こうした状況を打開すべく、ぜひ活用してほしい補助金があります。それが「事業再構築補助金」です。

もともとは新型コロナウイルスの影響で業績悪化した企業が、思いきった事業再構築を実施する際に、その支援するための補助金として設立されたものですが、社会情勢を受け第7回の公募より「原油価格・物価高騰等緊急対策枠(緊急対策枠)」が創設されました。原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響を受けている事業者がある程度優遇されることが期待できます。

今回は「原油価格・物価高騰等緊急対策枠(緊急対策枠)」について「回復・再生応援枠」との相違点などを明らかにしながら、詳しく解説いたします。なお「回復・再生応援枠」については、弥報Online「事業再構築補助金の見直し・拡充!新設枠「回復・再生応援枠」について【教えて吉田先生!】」で解説しているので、ぜひご覧ください。

※本記事は2022年9月22日時点の情報を基に作成しております。法令などの最新情報については、政府から出ている文書をご確認ください。


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吉田 学(よしだ まなぶ)氏 財務・資金調達コンサルタント

執筆者:吉田 学(財務・資金調達コンサルタント)

株式会社MBSコンサルティング 代表取締役。1998年の起業以来、「資金繰り・資金調達支援」に特化して創業者や中小事業者を支援。これまでに1,000 社以上の資金調達相談・支援を行い、その資金調達支援総額は20億円超。主な著書に、「社長のための資金調達100の方法」(ダイヤモンド社)、「究極の資金調達マニュアル」(こう書房)、「税理士・認定支援機関のための資金調達支援ガイド」(中央経済社)などがある。また、全国の経営者・士業などを対象にした会員制の資金調達勉強会「資金調達サポート会(FSS)」を主催している。
吉田学ブログ「融資・資金調達支援を武器にして法人顧問を獲得しよう!」


そもそも「事業再構築補助金」とは何ですか?

「事業再構築補助金」は、新型コロナウイルスによる影響を受けた中小企業が新分野への展開や業態転換、事業・業態転換、事業再編などに挑戦するのを支援する補助金です。第7回公募が2022年7月1日よりスタートしています。

事業再構築補助金の通常枠は「(特定期間の)売上が減っている」「新分野展開や事業再編などに取り組む 」「支援機関と事業計画を策定する」ことを条件に申請できます。通常枠の他にも、大規模賃金引上枠や最低賃金枠、グリーン成長枠、原油価格・物価高騰等緊急対策枠、回復・再生応援枠といった特別枠が存在します。今回は特別枠のうちの1つである「原油価格・物価高騰等緊急対策枠(緊急対策枠)」について解説します。

原油高や物価高騰に使える「原油価格・物価高騰等緊急対策枠(緊急対策枠)」はどのようなものですか?

原油価格・物価高騰等緊急対策枠(緊急対策枠)は、新型コロナウイルスの影響に加えて、さらに追い打ちをかけるようにウクライナ情勢による原油価格・物価などが高騰し、経営がよりいっそう厳しい状態に陥っている企業に対する補助金として創設されたものです。

なお、緊急対策枠で不採択となった場合は、通常枠での再審査を希望することも可能です。再審査となった場合は、指定の「売上高等減少要件を満たすことを示す書類」を提出する必要があります。

「原油価格・物価高騰等緊急対策枠(緊急対策枠)」の応募要件について、教えてください。

主に以下の4つの要件があります。

  1. 事業再構築要件
    事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること
  2. 緊急対策要件
    足許で原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響を受けたことにより、2022年1月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、2019~2021年の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること。また、新型コロナウイルスによって影響を受けていること。 など 
  3. 認定支援機関要件
    事業計画を認定経営革新等支援機関と策定していること。補助金額が3,000万円を超える案件は認定経営革新等支援機関および、金融機関(金融機関が認定経営革新等支援機関であれば当該金融機関のみでも可)と策定していること
  4. 付加価値額要件
    補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加、または従業員1人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること  

1の事業再構築指針については、以下の資料をご参考にしてください。特に「手引き」はわかりやすく解説してくれています。

(事業再構築指針)
制度説明資料「事業再構築指針(pdf)」|事業再構築補助金サイト

(事業再構築指針の手引き)
制度説明資料「事業再構築指針の手引き(pdf)」|事業再構築補助金サイト

2に関しては、売上高に代えて付加価値額を用いることも可能です。付加価値額とは「営業利益」「人件費」「減価償却費」を足したものをいいます。詳細は公募要領などで確認してください。

どれくらいの補助金額を受けることができるのですか?また補助率はどれくらいですか?

補助上限額および補助率は、以下の通りです。

従業員数によって補助額は異なります。また、補助率は原則として3/4ですが、段階的に従業員数によって2/3になります。

申請した場合の採択率を教えてください。

新たに新設された申請枠ですので現時点(2022年9月上旬時点)では何とも言い難いのですが、第5回まで実施されていた同じ緊急枠の「緊急事態宣言特別枠」を参考にしますと、平均して66~67%という高採択率でした。「原油価格・物価高騰等緊急対策枠(緊急対策枠)」に関しても、相当の高採択率になることが予測されます。

なお、第6回公募より「緊急事態宣言特別枠」は廃止されて「回復・再生応援枠」が実施されています。「回復・再生応援枠」については以下の記事をご確認ください。

(参考)
弥報Online「事業再構築補助金の見直し・拡充!新設枠「回復・再生応援枠」について【教えて吉田先生!】

「回復・再生応援枠」と「原油価格・物価高騰等緊急対策枠(緊急対策枠)」の要件や補助額などの相違点について教えてください。

売上減少の要件に関しては、以下のような違いがあります。

〈回復・再生応援枠〉

2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、新型コロナウイルス以前(2019年または2020年1~3月)の同3か月の合計売上高と比較して、10%以上減少していることなど

〈原油価格・物価高騰等緊急対策枠(緊急対策枠)〉

2022年1月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、2019~2021年の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していることなど。

両申請枠とも売上高10%減少は同じですが、回復・再生応援枠は「2020年4月以降」、原油価格・物価高騰等緊急対策枠(緊急対策枠)は「2022年1月以降」という大きな違いがあります。

なお、回復・再生応援枠や通常枠などの場合、新型コロナウイルス前の売上高が要件となっていますので、2021年以降に創業した事業者は補助対象になりません。しかしながら「原油価格・物価高騰等緊急対策枠(緊急対策枠)」においては、2022年と2021年の売上高を比較しますので補助対象になる可能性があります。

次に、補助額については、以下のような違いがあります。補助率については、両枠とも中小企業の場合は3/4となっています。

※補助率は原則として3/4ですが、段階的に従業員数によって2/3になります。

両申請枠を比較しますと、従業員数によっての補助限度額が異なります。回復・再生応援枠においては上限1,500万円となっていますが、原油価格・物価高騰等緊急対策枠(緊急対策枠)においては「従業員数51人以上」という基準があり、補助上限が4,000万円となっています。

小規模・中小事業者にとって「回復・再生応援枠」と「原油価格・物価高騰等緊急対策枠(緊急対策枠)」はどちらがおすすめですか?

「原油価格・物価高騰等緊急対策枠(緊急対策枠)」については「原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響を受けている」、また「新型コロナウイルスの影響を受けている」という要件がありますので、このような条件に合致する事業者の方は「原油価格・物価高騰等緊急対策枠(緊急対策枠)」に申請することをおすすめします。

原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響を受けていない事業者の方は「回復・再生応援枠」に申請することになります。

「原油価格・物価高騰等緊急対策枠(緊急対策枠)」に関しては、予算も確保され、第7回公募より新たに創設された申請枠ですのである程度優遇される可能性は大きいと予測できます。

自分で事業計画書などを作成し、申請することはできるのでしょうか?

事業再構築補助金を申請するためには、多くの書類が必要で、指定の申請書(事業計画書など)の他、それらの申請書類を提出(電子申請)する必要があります。事業者が自分ですべての書類を用意するのは非常に困難かと思います。

電子申請用資料|事業再構築補助金サイト

また、本補助金は「事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組むこと」という要件もあるため、その条件を満たすためにも顧問税理士や金融機関との相談は必須となります。

まずは、顧問税理士または取引先の金融機関などに相談してみてください。それが難しい場合は、最寄りの認定経営革新等支援機関を検索して相談することをおすすめします。

認定経営革新等支援機関検索システム|中小企業庁

具体的な申請の流れと、今後の公募のスケジュールを教えてください。

電子申請の主な流れは、以下の通りです。

  1. 事業再構築補助金サイトの電子申請システムにGビズIDプライムでログインします。
    ※「GビズIDプライム」を取得されていない方は事前に取得してください。発行に時間を要する場合がありますので、早めにIDを取得してください。
    ※電子申請は事業再構築補助金サイトよりログインできます。
  2. 電子申請システムにて申請を開始し、申請内容を入力します。
  3. 応募申請者の概要、事業実施場所、事業内容、実績、経費・資金調達内訳、加点項目などを入力後、必要書類(電子ファイル)の添付を行います。
  4. 申請内容を送信します。
    「申請」ボタンをクリックし、申請内容を送信します

第7回の公募スケジュールは、以下の通りです。

  • 公募開始:2022年7月1日(金)
  • 応募締切:2022年9月30日(金)18:00

その後の公募については、事業再構築補助金事務局HPにて公表されますので、各自ご確認ください。

(参考)
事業再構築補助金サイト

※本記事は2022年9月22日時点の情報を基に作成しております。法令などの最新情報については、政府から出ている文書をご確認ください。


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