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経理担当者へのあいまいな評価は今すぐ変えるべき!「評価制度」に役立つツールを紹介

「自分がどんな基準で評価されているのかわからない」「ミスの数しか見ていない減点方式の評価なのでは?」

以前、弥報Onlineで開催した経理担当者の方の座談会で、このような意見が寄せられました。皆さん経理という仕事に誇りを持って取り組みつつも、評価に関しては疑問を感じることが多いようです。

このように経理担当者への評価基準があいまいな状態では、現場のモチベーションが低下しかねません。今回は株式会社中央人事総研代表取締役 大竹 英紀氏に、評価基準の作り方や目標設定の方法を伺いました。実際の作成例なども交えつつ、具体的にご紹介します。

大竹 英紀(株式会社中央人事総研 代表取締役)

南山大学経営学部卒業。大手信販会社勤務後、アタックスグループにて様々な業種の経営コンサルティングに従事。2004年、中央人事総合研究所設立。2010年、株式会社中央人事総研代表取締役就任。病院、住宅販売業、食品製造販売業、運送業、メガネチェーン店など120社以上のコンサルティングの実績あり。経営理念「人財育成を通じて、日本の中小企業を元気にする」を実現のため、人事制度構築と運用、経営計画策定、社員教育などの支援を展開中。離職率が下がり、定着率が2桁以上アップの多くの成果を実現。書籍「今いる社員で成果を上げる中小企業の社員成長支援制度」2019年3月合同フォレストより発刊、他ビジネスパブリッシング、近代中小企業などの全国紙に記事掲載中。

経理の評価制度がある中小企業は、まだ3割程度なのが実情

――経理の方から「評価基準がよくわからない」という声が多く聞かれるのですが、中小企業における経理への評価の実態はどうなっているのでしょうか。

社員が1015名規模の会社の場合、評価をしっかり行っている会社は少ないというのが現状です。経理を経営者の配偶者がやっていたり、管理職と実務担当者の2名体制だったりする会社が多く、そうするといかに業務をこなすかという点に主眼が置かれてしまいますから。

明確な基準がない評価制度を含めても、実施しているところは3割程度ではないでしょうか。評価制度がある会社では、積極性や協調性といった取り組み姿勢と、仕事の質・量を半々で見ているような感じですね。ただし基準があいまいで、評価をするほうもされるほうも苦労しているケースが目立ちます。

経理と他部署との比較でいえば、営業部はわかりやすく数字で営業成績が出るのに対して経理はそうもいきません。営業部員は成績によって賃金が上下する一方で、経理担当者は会社全体の平均となる賃金を当てはめられがちです。特にボーナスは、差が出やすいのではないでしょうか。

――評価制度の設定や見直しをする会社は増えていますか?

ちゃんとした評価制度を作る会社は増えてきていて、その第一の要因がコロナ禍でのテレワークの導入です。社員間のコミュニケーションが難しくなり、上司は部下の仕事をチェックしきれず、部下も自分の仕事をきちんと見てもらえているか不安に感じるようになりました。現場で上司が指示を行い、それに従って作業するといった仕事の進め方もできなくなってきています。そのため、評価制度や目標管理を見直す必要に迫られているという状況ですね。

また、日本企業に多く見られるチーム型の雇用から、ジョブ型の雇用に転換する会社が増えているという背景もあります。チーム型では人を採用してから仕事を割り当てますが、ジョブ型では仕事に対して契約が決まります。ジョブ型雇用を導入することで、結果的に人事評価は数値化・具体化していきます。ただ中小企業で、そこまでやっているところはまだ少ないです。

ポイントは4つだけ!「社員チャレンジ制度」を参考に評価基準を作成しよう

――経理の評価基準はどのように作ればよいですか。項目などを具体的に教えてください。

評価制度を作るにあたっては、社員が納得できる評価項目と社員個々人の成長につながる目標を設定することが必要です。私はこれを達成するために「社員チャレンジ制度」という評価制度を作りました。評価のポイントは「役割成果」「重点プロセス業務」「チャレンジ目標」「取り組み姿勢」の4つです。これを縦軸とし、横軸に「初級(一般職/〜入社3年)」「中級(中堅職/310年)」「上級(管理職/入社10年以上)」という階層を設定します。

役割成果」とは、その部門に求められる役割のことで、数値で表せるものが適しています。経理でいえば、資料作成時間短縮率・経費削減率・売掛金回収率などがその例です。

「重点プロセス業務」は、役割成果を挙げるための要となるプロセスを指します。例えば役割成果に資料作成時間短縮率を設定した場合、月次の試算表の提出期限を早めるために支払先に支払いを早くしてもらうとか、会計ソフトをはじめとするパソコンの操作技術を上げて経理作業をスピードアップさせるといったものです。

「チャレンジ目標」では、社員本人がチャレンジしたいことを自由に設定してもらいます。自由といっても何でもいいわけではなく、評価できる目標にすることが重要です。経理なら簿記の資格を取るとか、〇〇業務のマニュアル化、他に社内での役割に応じたものがよいでしょう。

「取り組み姿勢」は、積極性・責任性・協調性といった企業風土のベースとなる要素で、全社員共通の項目です。自発的に仕事を行えるか、時間を守れるかなど、そういった基本的なことですね。

――目標を決めるというと「頑張ります」「努力します」のように漠然とした内容になることがあります。具体的な目標を設定してもらうためのポイントは何ですか?

目標があいまいだと、評価するほうも困ってしまいます。目標を明確化するための3原則が「数値化」「状態化」「スケジュール化」です。

「数値化」においては、円・時間・件数のように計測できる経済単位を用います。例えば5時間かけていた作業を4時間に短縮するとか、具体的な数字で比較できる目標を設定するということですね。

「状態化」は、現状からあるべき状態へと到達させるための目標で「今はエクセルが使えないけれど、3か月後には覚えるようにする」「今は上司の指導下でやっている作業を、半年後には1人で行えるようになる」といったものです。

「スケジュール化」とは、目標に期日を設けることで、「〇年〇月末日までに業務マニュアルを作成する」などの例があたります。これら3つの原則に沿って目標を作成すると、おのずと内容が明確化・具体化していきますよ。

もう1つぜひやっていただきたいのが「業務の棚卸し」で、これは経理のように数値目標を設定しにくい部門では特におすすめです。表を使って業務の洗い出しと追加を行い、担当者を決めることで目標の作成が容易になります。やるべき業務が確定したら、初級・中級・上級の階層別に「実行責任者」「主担当」「場合によって実行」の3レベルで担当者を設定してください。

中小企業では、上司がいろいろな仕事を請け負ってしまいがちです。部下にやらせると心配だとか、自分がやったほうが早いというマインドの人が管理職には多いのです。でも、それを続けているとパンク状態になりますし、部下も成長しません。下記の図の例のように業務の棚卸しを行ってみて、仕事量が偏っているようだったら部下に少しずつ任せるようにしてみてください。そうすると、本来自分のやるべき業務に集中することができ、パフォーマンスも上がります。

この棚卸し表は、評価欄を追加すればそのまま評価に使えます。つまり目標設定・人材育成・評価の一石三鳥というわけです。業務改善にも役立ちますしね。

――評価基準を作成する際の責任者は誰にすればよいですか。また、社員への周知の方法は?

15人規模の会社だと経営者がやることが多いと思います。もちろん、経理部長でもいいと思います。評価基準や変更点を周知する際は、評価基準や変更点を明らかにして書面化し、なおかつデータをきちんと残しておくようにしましょう。その書類をもとに社員を集めて説明を行うか、11の面談で伝えるという流れです。

口頭だけで周知すると言った言わないのトラブルを引き起こしますし、いつから実施されるのかもよくわかりません。かえって社員のモチベーションを下げる原因となるため注意してください。

――評価基準を設けることで、デメリットはありますか?

評価基準を作ることは「あなたをちゃんと見ている」という会社からのメッセージになりますから、基本的には社員のやる気アップにつながるはずです。ただし評価基準を作ってもそれがあいまいだと、適切な評価ができません。社員の不満を招き、場合によっては離職してしまうこともあります。

ミスをカウントし発生率を出すのも、あまりおすすめしませんね。マイナスの評価基準を入れると意欲が削がれますし、ビクビクしながら仕事をするような状況になってしまいます。どうしてもミスや失敗を評価の対象にしたいのであれば、その後の改善件数や改善提案件数を盛り込むようにするとよいと思います。

――仮に評価制度の整備を外部の専門家に依頼する場合、どこに頼めばよいですか?

人事制度の構築と運用に実績のあるコンサルタントを選ぶとよいでしょう。社会保険労務士に依頼するケースも多いですが、社労士は労務の専門家なので、人事のプロに頼むのがベターだと思います。

そして人事コンサルタントの中でも、アフターフォローが充実しているところを探すようにしてください。制度を作って提示するだけで、運用面の相談には乗ってくれないこともありますから。

作成した評価基準を使って、いざ実践!指導観察ノートの活用も

――経理担当者を評価する際の流れや、注意すべきことを教えてください。

流れとしてはまず業務の棚卸しを行い、その後は目標設定および面談、評価および再び面談という順序です。評価を行うのは半年に一度が基本となりますから、このフローを年2回実施することになります。

注意したいのは、担当者によって評価にクセやバラツキが出てしまうことです。5段階の真ん中の3に評価が集中する「中央化傾向」もよくあります。クセ・バラツキを減らすために役立つのが「指導観察ノート」をつけることです。

大学ノートでもなんでもいいですから、日付・社員名・褒めたこと・注意したことを書いておきましょう。毎日ではなく、書くべきことがあったときだけでかまいません。この作業を普段から繰り返すことで、ブレることなく評価が定まっていきます。

重要なのは、評価のタイミングだけでなく毎日部下を見てあげることです。日々の報告・連絡・相談をきちんと行い、問題があればその都度指導する。これが本当の意味での評価だと思っています。

――面談を行うときの注意点も教えてください。

面談には目標設定の面談と、評価の面談があります。目標は「頑張ります」のようにあいまいな内容で提出されることもあるので、具体的かつできれば数値化できるものに導くようコーチングしてください。評価に関しては結論だけを伝えるのではなく、理由や改善すべき方向性をきちんと説明するようにします。

評価面談で気づきを得て、次の目標に反映するというのが理想的な循環といえるでしょう。時間はかかりますが、上司も部下も確実にステップアップしていきます。

社員・会社が成長することこそが、評価制度の目的

――これから評価制度の整備や見直しを考えている経営者の方に向けて、メッセージをお願いします。

評価制度を構築することで、社員は自分が何を求められているかが明確になります。当然モチベーションも上がりますし、「役割を果たすために来期からはこういうことをしよう」という自主性の部分も伸びてくるでしょう。特にコロナ禍においてはテレワークが増えたこともあり、自分で考え行動するという社風・風土を作ることはとても大切です。

そして評価制度における本来の目的はあくまでも「成長」ですから、結果を伝えるだけで終わらせるのはもったいないですよ。社員が次につながる気づきを得てもらうことで会社も共に大きくなれる、貴重な機会だととらえてみてはいかがでしょうか。

著者:弥報編集部
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