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1時間当たり最大3,500円の補助!テレワークやEC構築を IT専門家が支援「中小企業デジタル化応援隊事業」とは?

2021.01.06

新型コロナウイルス感染症の影響もあり、テレワークなどデジタル化の流れが一気に進みつつあります。デジタル化への課題は感じていても「何をしてよいかわからない」という経営者の方も多いのではないでしょうか。

そこでご紹介したいのが「中小企業デジタル化応援隊事業」です。2020年9月より始まった取り組みで、中小企業へのIT専門家の支援を人材・費用の両面からサポートしてくれます。

今回はこの事業の広報活動を行っている、一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会の山口 あす香氏に、制度の概要をお伺いしました。

一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会

「誰もが自律的なキャリアを築ける世の中へ」というビジョンを掲げ、自分の名前で仕事をしたい人のためのインフラ&コミュニティ。年会費1万円で賠償責任補償や所得補償制度、各種優待が使えるベネフィットプラン(福利厚生制度)の提供のほか、キャリア支援、ジョブ創出、信用資産、地方創生、政策提言、フェアパートナーシップなど、さまざまなプロジェクトが進行し、実態調査や政策提言、多彩なイベント運営などを行っている。

1時間500円からの費用負担で、IT専門家がアドバイス

「中小企業デジタル化応援隊事業」とはどんな制度ですか?

2020年9月に始まった中小企業基盤整備機構(以下、中小機構とする)による施策で、中小企業のデジタル化・IT活用に向けた取組みを支援するものです。中小企業がフリーランスや兼業・副業人材等を含むIT専門家にデジタル化の相談や実務を依頼する際のコンサルフィーや謝金を、中小機構事務局が補助してくれるのです。既に付き合いがあるフリーランスに頼んでも良いですし、事務局にマッチングを依頼することもできます。

デジタル化やIT活用とは、どのようなケースが対象となるのでしょうか。

テレワークやWeb会議のための準備、ホームぺージの作成、ECサイトのオンライン構築などが代表的な例です。デジタル化に関連した幅広いコンサルティングが対象となっていて、例えば「デジタル化したいけれど何をしてよいかわからない」といったお悩みでもかまいません。

分析や把握検討、既に導入しているシステムの活用も対象ですし、適用範囲は本当に広いと思います。なお、支援の対象となるのは準委任契約に基づいた業務で、コンテンツ制作やデザイン制作などの請負契約は含まれません。

支援を依頼した中小企業ではどれくらいの費用がかかりますか?

事務局からIT専門家に対して最大3,500円/時間(税込)の謝金を支払ってくれます。時間単価は、中小企業とIT専門家の間で自由に決定できますが、中小企業は最低でも500円/時間(税込)は自己負担にする必要があります。

例:時間単価4,000円のIT専門家に40時間の支援をお願いする場合、
  中小企業の費用負担は500円(税込)×40時間=20,000円(税込)、
  事務局から専門家へ支払われる謝金額は140,000円(税込)

※一企業当たり謝金合計30万円まで

中小企業がこの制度を利用する際の流れを教えてください。

まずは「中小企業デジタル化応援隊事業」のホームページから事業者名・代表者・担当者の顔写真などを登録してください。その情報に基づき、事務局がIT専門家とのマッチング支援を行います。受付の締切は2021年1月31日で、案件は2021年2月28日までに完了する案件が対象です。

この制度を利用するにあたり、何か注意点はありますか?

請負契約は対象とならないため、いわゆる丸投げというか「モノを作って納品してもらう」ようなことはできません。ただ、IT専門家のアドバイスを受けながらデジタル化などを進めることで、自然にITスキルが身に付いていくのでは。そこはむしろメリットにつながると思います。

あとは登録してからの審査にはそれなりの時間がかかるため、ある程度時間には余裕を持って登録してください。スマートフォンも利用できますが、登録に関していうとパソコンのほうが操作はラクかもしれないですね。

IT導入補助金やテレワーク関連の助成金との併用は可能でしょうか。

基本的には併用できませんが、対象となる事業内容・人が重複しない場合は申請可能です。切り分けが難しい部分でもあるので、各補助金・助成金の問い合わせ窓口にご相談ください。

資格は不要。スキルさえあればIT専門家として登録できる

IT専門家として登録するには、どのようなスキル・資格が必要ですか?

現在、この事業では中小企業の相談に乗ってくれるIT専門家を大募集しています。専門家というと敷居が高いですが、オンラインミーティングやクラウド会計サービスの利用方法など、デジタル化に関する相談に対応できる知識さえあれば資格は不要です。副業・兼業でもかまいませんし、必ずしも依頼元に出向く必要はなく、オンライン支援も対象となります。詳しい基準は「IT専門家向け手引書」の「2.本事業の対象となるIT専門家の範囲と基準」を参照してください。

IT専門家としての登録の流れを教えてください。

こちらも「中小企業デジタル化応援隊事業」ホームページにて氏名・職歴や希望時間単価などを登録します。その際、顔写真・身分証明書写真・口座通帳写真も必要です。

法人格がない場合は、登録申請後に開業届や確定申告書類などの書類を提出してください。IT専門家として登録するときも中小企業側と同様、受付の締切は2021年1月31日、案件完了は2021年2月28日までとなっています。

サービス業・小売業を中心に、幅広い業界の企業が導入

どういった企業が利用しているのですか?

新型コロナウイルスの流行をきっかけにテレワーク環境を構築したり、ネット販売に移行したいという企業が多いのかなと感じています。その他、集客のためにイベント告知やFacebookの使い方を知りたいという声もありました。業界はサービス業や小売業、経営者の年代は40代が中心という印象があります。

実際の導入事例を教えてください。

販路拡大のために食品製造会社でオーガニックジュースのECサイトを構築したりだとか、外回りの多い不動産会社で円滑にコミュニケーションを行うためのチャットツール導入などの事例があります。詳しくは以下のサイトでご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

<参考>
中小企業デジタル化応援隊事業 支援事例一覧

まずは「何をしたらいい?」でOK!信頼できるパートナー探しを

一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会と、中小企業デジタル化応援隊とのかかわりを教えてください。

事務局から依頼を受け、IT専門家の登録推進のパートナーという立ち位置でおもに広報活動をお手伝いしています。

プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会はどのような活動を行っているのですか?

プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会は、あらゆるフリーランスや副業ワーカーのための非営利団体です。無料会員登録をすれば、キャリアアップに役立つさまざまな情報やイベントの案内が届くほか、「フリーランスDB」というデータベースにプロフィールを掲載できます。フリーランスDBはフリーランス版イエローページとも言えるもので、営業ツール・問い合わせ窓口として活用できます。実際ここから仕事の依頼があったという声はよく聞きますね。

年会費1万円の有料会員になると、さらに賠償責任保険や怪我や病気で収入が得られなくなった際の所得保障に守られるほか、コワーキングやフリーランス向け各種サービスのお得な優待など特典多数です。

これからは中小企業も含め、どんな企業もデジタル化を進める必要があると思います。なかなか最初の一歩を踏み出せない中小企業の経営者に向けて、メッセージをお願いできますか。

デジタル化に手を付けていなかった企業でも、コロナショックや少子高齢化による働き手の減少で、既存のビジネスモデルや販路の転換が目の前に迫ってきていることは実感していると思います。でも、どうしたらよいか分からないという経営者の方が多いのではないでしょうか。

中小企業デジタル化応援隊事業は、その「何をしたらいいの?」というお悩みにも対応しています。私自身も最近開業したので、中小企業側で登録してみたんですね。そして「何からやればいいのか分からない」ということを、IT専門家に相談しています。

そういったざっくりした依頼でも受け付けてもらえるのが、今回の事業の強みです。中小企業の経営者の方には「今後のために、まずはだれか相談できるパートナーを見つけましょう」というメッセージを送りたいですね。プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会としても、雇用によらない人材活用があることを知っていただければと思います。

〈参考〉
IT専門家登録フォーム
中小企業登録フォーム

なお、下記のフリーランス協会ブログでも登録方法についてご案内しているので、ご確認ください。
フリーランス協会ブログ

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