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社長面接はヒアリングを重視し、間違いのないジャッジを!「小さくても最強の会社」をつくる人材戦略講座

中小企業の人材採用において、社長が最終面接を行うことは多いものです。しかし面接のトレーニングの経験もなく、自己流の面接を行っても合否の最終的な判断ができない、というケースは少なくありません。社長は最終面接者としての対応力が問われます。

今回はアイスブレイク、ヒアリング、ジャッジメント、フォローの4要素から構成される面接のポイントをお伝えします。

執筆者:田中 和彦

株式会社プラネットファイブ代表取締役、人材コンサルタント/コンテンツプロデューサー。1958年、大分県生まれ。一橋大学社会学部卒業後、リクルートに入社し、4つの情報誌の編集長を歴任。その後、映画配給会社のプロデューサー、出版社代表取締役を経て、現在は「企業の人材採用・教育研修・組織活性」などをテーマに、“今までに2万人以上の面接を行ってきた”人材コンサルタント兼コンテンツプロデューサーとして活躍中。新入社員研修、キャリアデザイン研修、管理職研修などの講師や講演は年間100回以上。著書に、『課長の時間術』『課長の会話術』(日本実業出版社)、『あたりまえだけどなかなかできない42歳からのルール』(明日香出版社)、『時間に追われない39歳からの仕事術』(PHP文庫)、『仕事で眠れぬ夜に勇気をくれた言葉』(WAVE出版)など多数。

熱い思いがあるゆえに、社長面接は「一方的なラブコール」になりがち

中小企業が人材採用で成功を収めるために、今回は「面接」に焦点を当ててお伝えします。

以前の記事で「採用業務には、『会社の顔』となる優秀な人材を充てるべし」とお伝えしました。最も本来の「会社の顔」といえば社長であり、採用業務には社長の積極的な関与があってしかるべきです。

しかし、中小企業の採用の現場では人事担当者の思惑から逸れるかたちで、経営者が暴走(?)してしまうことが少なくありません。とりわけ最終面接は、社長が独りよがりで一方通行の思いを発する独壇場になってしまうこともあります。

例えば「社長が応募者の話を聞かずに(応募者に質問もせず)、一方的に会社のことや自分のことをしゃべり続ける」という状況。これでは相手について何も判断しようがありません。

私はオブザーバー的に中小企業の採用面接に立ち合うことが多いのですが、社長が思いの丈をぶつけてしゃべり続けた結果、応募者は何も話さないまま面接を終えてしまうケースに何度も遭遇しました。

そういう社長ほど面接が終わると「田中さん、今の人どうでした? 採用してもいい人かな?」と聞いてきます。採用するもしないも十分なヒアリングができていないため、判断材料がまったくありません。結局、社長に代わって人事担当者が面接をもう一度やり直すという手間が、往々にして生じます。

社長は優秀な人材が欲しいという熱い思いを持っている分、話せば話すほど「一方的なラブコール」になりがちです。しかし、ヒアリングを重視することで、自社にふさわしい人材かどうかを判断する材料が集まります。

採用面接は4つのパートで構成されていることを意識すべし

採用する立場の会社側から見ると、面接は次の4つのパートに分かれます。

  1. アイスブレイク
  2. ヒアリング
  3. ジャッジメント
  4. フォロー

順に説明していきます。

1.アイスブレイク

文字どおり、氷を解かすように応募者の心身の緊張をほぐすのが目的です。ベテランの面接担当者ともなると、たいていは深く考えなくていい次のような質問から始めます。

「自宅からわが社までどれくらい時間がかかりましたか?」「交通機関は何を利用しましたか?」「今朝は何時に起きましたか?」などです。こういう質問には、応募者も深慮することなく即座に答えられますから、まず声を発して落ち着いてもらうことができます。

緊張のあまりガチガチになっている人に対しては「緊張していますか? 落ち着いてくださいね。ここで深呼吸してもいいですよ」というように、応募者が安心できるアプローチを考えましょう。

2.ヒアリング

ヒアリングは面接で最も重要なパートです。「YES/NO」で答えられる質問ではなく、より突っ込んだ質問が求められます。

面接担当者にとっても応募者にとっても真剣勝負の場です。応募者の基本的な考え方、働くことへの価値観、意欲、将来の展望、感情面の傾向などをあぶり出す質問をしなくてはなりません。その受け答えの仕方によって、会社は採用すべきかどうかを判断するからです。

「志望動機は?」「今までどんな仕事をしてきたのか?」「最もやりがいを感じるときは?」「将来の夢は?」「今までで悔しかった経験は?」など、あらゆる角度から応募者を掘り下げることが重要です。

ここで大事なことは、応募者の話の内容が真実かどうかを見抜くことです。うわべを取り繕った言葉ではなく、心の底から湧き出る言葉かどうかを見極めるのです。そのためにも抽象的な話ではなく、日常の行動が目に浮かぶような話の流れを意識的に作り「具体的には?」「それを裏づけるエピソードには?」などと突っ込んで聞くようにしましょう。

3.ジャッジメント

ジャッジメントとは、つまり合否を決めることです。面接の場で応募者に悟られないように自分の頭の中で判断します。

人間が判断することですから、合否はいつも明確とは限りません。一例として、ジャッジメントの5パターンを紹介します。

  1. 比較的早い段階で「合格」と判断するパターン
  2. 「おそらく合格だろう」と思いながら、それを裏づける材料を探し、確信しようとするパターン
  3. 「合格は厳しいだろう」と思いながら、それを裏づける材料を探し、自分を納得させようとするパターン
  4. 比較的早い段階で「不合格」と判断するパターン
  5. 最後まで迷って判断できないパターン。この場合は次の面接に委ねます。

また最終面接者が合否を判断できない場合は、1次・2次面接担当者と合議して判断するといいでしょう。

4.フォロー

フォローには2通りあります。1つ目は、合格と判断した人(面接の場ではまだ、応募者に合否は伝えていないと思いますが)に対し、入社を快諾してもらうよう動機づけを行うことです。言うまでもなく、会社がより魅力的に伝わるような話をするといいでしょう。

2つ目は、不合格者に対するフォローです。採用担当者の教訓として「不合格者にこそ丁寧な対応を」と言われます。企業にとってはたまたま応募してきた1人にすぎませんが、その不合格者が将来の顧客や事業パートナーになる可能性は否定できません。不合格になった応募者が「あそこには受からなかったけど、いい会社だったなあ」という終わり方が望まれます。

中小企業の社長はジャッジメントの材料不足に陥りやすい

先述の4つのパートを例に挙げると中小企業の社長面接で多いのは、アイスブレイクもヒアリングもなしでいきなりフォローからスタートし、一方的に会社や自分の話を続け、結局フォローのないまま終わってしまうというケースです。これではジャッジメントのための材料を入手できないわけですから、合否を決めることはできません。

応募者からしても自分の話は一切ヒアリングされず、社長から会社の話を聞かされるだけでは、面接を受けたという実感は持てません。仮にそれで合格になっても「自分のことを理解しようとする姿勢が感じられなかったけれど、まさか合格が出るなんて。この会社、本当に大丈夫?」と不安が募ります。

恋愛を例に挙げると、自分のことを十分に理解していない異性から一方的に「好きだ! 愛している‼︎」と言われても、そんな言葉は信用できませんし、ましてやその人のことを好きにはなりませんよね。

冒頭でも触れましたが、熱い思いがあるゆえに社長面接は一方的なラブコールになりがちです。社長という存在はただでさえ思いが溢れており、その思いをとにかくたくさんしゃべろうとします。最もそれが社長の大きな魅力であることは間違いありません。

これを十分に理解したうえで社長面接を設定するのであれば、社長と応募者の1対1の面接ではなく、人事担当者が面接の運営を受け持ち、アイスブレイクとヒアリングを行い、適切なタイミングになったら社長からフォローをしてもらうというやり方が現実的かもしれません。

本来入社させてはいけない人を合格にすることを罪とせよ

最後に、面接担当者と社長への教訓をお伝えします。

1次面接者は、本来落としてはいけない人を不合格にすることを罪とせよ。
最終面接者は、本来入社させてはいけない人を合格にすることを罪とせよ。

1次面接者は、厳しくジャッジしてふるいにかけるのではなく、良いところを探し出し、拾い上げる姿勢で面接に臨んでください。

1次面接は若手社員が行う場合、経験不足で応募者の人間性の掘り下げ方が浅かったり、一面的なモノの見方しかできなかったりします。だからこそ、採用すべき人を1次面接で不合格にするのは絶対に避けなくてはなりません。

一方、最終面接者(社長)はいい加減な甘いジャッジをしてしまうと、取り返しのつかないことになります。1人の働き手の人生に対する責任を負うわけですから、曖昧な合格判定は絶対に避けてください。採用された人が軽い気持ちで入社した結果、本人も会社も不幸になるケースを私も見ています。

最終面接者は強い責任感を持って最終面接に臨んでこそ、将来にわたって会社の力となり活躍し続ける優秀な人材と巡り会えるのです。

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田中 和彦(たなか かずひこ)/ 人材コンサルタント
著者:田中 和彦(たなか かずひこ)/ 人材コンサルタント
株式会社プラネットファイブ代表取締役。人材コンサルタント/コンテンツプロデューサー。1958年、大分県生まれ。一橋大学社会学部卒業後、リクルートに入社し、4つの情報誌の編集長を歴任。その後、映画配給会社のプロデューサー、出版社代表取締役を経て、現在は、「企業の人材採用・教育研修・組織活性」などをテーマに、“今までに2万人以上の面接を行ってきた”人材コンサルタント兼コンテンツプロデューサーとして活躍中。新入社員研修、キャリアデザイン研修、管理職研修などの講師や講演は、年間100回以上。著書に、『課長の時間術』『課長の会話術』(日本実業出版社)、『あたりまえだけどなかなかできない42歳からのルール』(明日香出版社)、『時間に追われない39歳からの仕事術』(PHP文庫)、『仕事で眠れぬ夜に勇気をくれた言葉』(WAVE出版)など多数。

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