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三大補助金(ものづくり・持続化・IT)の公募がスタート!【新型コロナウイルス緊急対応策】

2020.03.30

現在(2020年3月時点)、新型コロナウイルスにおける小規模・中小企業事業者向けの資金繰り支援策が公表されています。まず、2020年2月13日に第1弾となる「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策」、そして3月10日に第2弾の緊急対応策が講じられました。

今回は補助金に関する情報支援策の更新情報(3月24日時点)などについて説明します。特に「三大補助金(ものづくり・持続化・IT)」の公募が開始されていますので、中小企業事業者の方はぜひ参考にしてください。

なお、これまでの支援策に関する記事は以下をご参照ください。

三大補助金(ものづくり・持続化・IT)の公募が開始!

第1弾となる「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策」にて、生産性革命推進事業として「三大補助金」による優先的支援が公表されました。

具体的には新型コロナウイルス感染症による影響を受け、サプライチェーンの毀損などに対応するための設備投資や販路開拓を行っている事業者、また事業継続力強化につながるテレワークツールの導入に取り組む事業者に対して、加点を設けて特例措置が実施されます。

すでに公募が実施されていますので、該当のホームページなどで詳細について確認してください。

予定
ものづくり・商業・サービス補助金

・公募開始:2020年3月10日(火)17時~
・電子申請受付:2020年3月26日(木)17時~
・応募締切り:2020年3月31日(火)17時(1次締切)※1次締切り後も申請受付を継続し、2020年度内には5月(2次)、8月(3次)、11月(4次)、2021年2月(5次)に締切りを設け、それまでに申請のあった分を審査し、採択発表を行います(予定は変更される場合があります)<詳細>
・令和元年度補正「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の公募について(全国中小企業団体中央会)

持続化補助金・公募開始:2020年3月10日(火)18時~
・電子申請:準備中
・応募締切り:2020年3月31日(火)当日消印有効(1次締切)

※1次締切り後も申請受付を継続し、2020年度内には6月(2次)、10月(3次)、2021年2月(4次)に 締切りを設け、それまでに申請のあった分を審査し、採択発表を行います(予定は変更される場合があります)

<詳細>
小規模事業者持続化補助金<一般型>(全国商工会連合会)
小規模事業者持続化補助金(日本商工会議所)

IT導入補助金・公募開始:2020年3月13日(金)15時~
・電子申請受付:2020年3月13日(金)15時~
・公募締切り:2020年3月31日(火)17時(臨時分:1次締切り)

※2020年度内には6月、9月、12月に締切りを設け、それまでに申請のあった分を審査し、交付決定を行います(予定は変更される場合があります)

<詳細>
IT導入補助金2020 1次公募(臨時対応)(一般社団法人 サービスデザイン推進協議会)

また厚生労働省においては、第1弾からさらに追加の助成金支援が公表されています。現時点においては、以下の内容が公表されています。

・新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の特例措置について
・時間外労働等改善助成金(テレワークコース、職場意識改善コース)の特例
・小学校等の臨時休業等に伴う保護者の休暇取得支援(雇用者向け)
・小学校等の臨時休業に対応する保護者支援(委託を受けて個人で仕事をする方向け)

出典:働く方と経営者の皆さまへ(厚生労働省)

制度の詳細や手続きについては、最寄りの労働局やハローワークなどが窓口となっています。また、この分野の専門家は「社会保険労務士」になります。社会保険労務士と顧問契約されている事業者の方は、ぜひ顧問社労士にお問い合わせください。

次章からはこれまでに紹介した支援策以外で、小規模・中小企業事業者に役立つ支援策や、新たに更新された情報について説明します。

セーフティネット5号の指定業種が400以上追加

セーフティネット5号の業種が新たに追加されました。2020年3月6日に緊急的に40業種を追加指定していますが、3月13日に316業種を追加。そして3月23日にもさらに業種が追加され、現在(3月24日時点)対象業種として587業種が指定されています。

今後も以下の該当ホームページにて更新されますので、ご確認ください。

■経済産業省
資金繰り支援(貸付・保証)/セーフティネット保証4号・5号
セーフティネット保証5号の対象業種を指定します(令和2年度第1四半期分)

■中小企業庁
セーフティネット保証制度(5号:業況の悪化している業種【全国的】)

また、これらセーフティネット保証(危機関連保証も同様)については、地元の市区町村が利子補給や信用保証料の補助を実施しているところもあります。「〇〇市 セーフティネット保証」などで検索してみることをおすすめします。ホームページが見つからない場合は電話で確認してみましょう。

商工中金も「新型コロナウイルス感染症特別貸付」を実施

商工組合中央金庫(商工中金)は、3月19日より危機対応業務として「新型コロナウイルス感染症特別貸付」の受付を開始しています。

これは経済環境の大きな変化や大規模な災害など、民間金融機関による資金供給が十分になされない事態に際して、中小企業などに対する必要な資金の貸付などを行うものです。

融資に関しては4月中旬を目途に開始することになっています(3月24日時点)。4月中旬までに資金が必要な事業者に対しては、一時的に商工中金所定利率にてつなぎ融資を行い、その後、新型コロナウイルス感染症特別貸付への借り換え手続を実施することになっています。

商工中金と取引のある中小企業の方は、以下のホームページを参照いただくか、支店・担当者などに直接お問い合わせください。

■商工中金
新型コロナウイルス感染症に関する特別相談窓口

政府による「金融機関等への4回の配慮要請」について

次に「金融機関等への配慮要請」についてまとめておきます。現時点(3月24日)において、事業者の資金繰りに重大な支障が生じることがないよう政府は関係機関と連携し、政府系金融機関等に対し以下のような4回の支援要請を行っています。

【当面の貸付業務について(2020年2月7日)】
①適時適切な貸出
②返済猶予等の既往債務の条件変更
③企業の実績に応じた十分な対応
④セーフティネット貸付の活用(日本政策金融公庫および沖縄振興開発金融公庫に対して)

【年度末の繁忙期を控えて(2月28日)】
①迅速かつ積極的に対応
②個々の実情に応じた柔軟かつ積極的な対応
③顧客の理解と納得を得ることを目的とした十分な説明

【影響拡大を踏まえた資金繰り支援について(3月6日)】
① 全力を挙げて最大限のスピードで万全の対応を行うこと
②赤字、債務超過等の形式でなく実情に最大限配慮すること

【経済産業大臣と政府系金融機関・信用保証協会連合会のトップとの面談(3月16日)】
大臣から政府系金融機関と信用保証協会連合会のトップに対して融資現場の実態把握を行い、最大限の対応を直接要請

なお、民間金融機関に対しても、金融庁から事業者への積極的な支援(事業者を訪問するなどの丁寧な経営相談、経営の継続に必要な資金の供給、既存融資の条件変更等)を実施するよう計4回要請を行っています。

特に注目してほしいのは、3月6日の「②赤字、債務超過等の形式でなく実情に最大限配慮すること」の要請です。つまり赤字や債務超過の事業者でも諦めずに、ひとまずは日本政策金融公庫に相談するようにしてください。

日本年金機構は「厚生年金保険料等の猶予制度」を実地

厚生年金保険料等を一時に納付することにより事業の継続などを困難にするおそれがあり、一定の要件に該当する場合、分割納付できる仕組みがあります。事業主は納付すべき厚生年金保険料等の納期限から6か月以内に「換価の猶予」の申請ができます。

この「換価の猶予」が認められた場合は、納付すべき厚生年金保険料等を一定の期間(猶予期間)内に分割して納付することができるようになります。また猶予期間における延滞金の一部も免除されます。

■日本年金機構
【事業主の皆様へ】新型コロナウイルス感染症の影響により厚生年金保険料等の納付が困難となった場合の猶予制度について

詳細については最寄りの年金事務所、または社会保険労務士に相談するようにしてください。

■日本年金機構
最寄りの年金事務所

なお「換価の猶予」は国税においても実施されており、3月24日に地方税の猶予制度についても公表されました。これらの制度については資金繰りの改善には寄与しますが、やはり顧問税理士などの専門家に十分に相談をしてから手続きするかどうかについての意思決定をするようにしてください。

■経済産業省
新型コロナウイルス感染症関連(支援策パンフレット)

今、事業者がすべきは「手元資金を増やすこと」

新型コロナウイルスがさらに拡大して収束する時期が遅くなればなるほど、事業者の方々の資金繰りはさらに悪化する可能性があります。「あと数か月は何とか資金繰りは大丈夫だ」という事業者の方もいることでしょう。しかし、少しでも新型コロナウイルスの拡大の影響を受けているならば、ぜひとも「手元資金を増やすこと」を心がけてください。

今、事業者の皆さまがすべきことは「手元資金を増やすこと」です。あらゆる制度を駆使して資金調達活動を行ってください。事業者の中には「借りたとしても万が一返済できなかったらどうするのか?」「資金を借りてもお客様の消費が戻らなければ意味がない!」「資金を借りれば借りるほど利息の支払いが増えるではないか!」「すぐにコロナウイルスが収束したら借りた資金はどうすればよいのか?」など、さまざまなお考えやご意見があると思います。

しかしながら、手元の資金がなくなれば資金ショートしてしまいます。資金ショートすれば事実上の「倒産」状態に陥ります。特に甚大な影響を受けている飲食店は、確かに資金を借りたからといってお客様が戻ってくる、というわけではありません。資金を借りればよいというものでもないというご意見にも一理あります。

そうは言うものの手元資金が潤沢にあれば、次に打つ一手を考える時間が生まれます。「そんな一手などはない」と思われるかもしれませんが、手元の資金がなければ資金繰りに追われて精神的にも肉体的にも参ってしまいます。そうなったら何かしら物事を考える余裕など生まれません。

本当は不適切なアドバイスなのかもしれませんが、まずは資金を借りてから考えましょう。政府は「金融機関等への配慮要請」として、条件変更(リスケジュール)なども柔軟に対応するように求めています。資金を借りて返済が困難になれば、このような対応も可能なのです。

今は資金を借りると決めたら、迅速な行動をとってください。すぐに日本政策金融公庫、および取引先の金融機関などに相談・手続きをしてください。セーフティネット保証を申請する場合は、迅速に市区町村に認定申請の手続きを行ってください。

現時点においては一部の窓口、支店などへの電話がつながりにくい状況になっているようです。日に日に窓口や問い合わせ先などが混雑してくれば、手続きに相当の時間が必要になります。今は「悩むより行動」してください。

どうしても不安で迅速な行動がとれないという事業者の方は、顧問税理士や資金調達の専門家に相談することをおすすめします。

【関連サイト】

新型コロナウイルスに関する中小企業・小規模事業者支援について(弥生株式会社)

この記事の著者

吉田 学(よしだ まなぶ)

財務・資金調達コンサルタント
株式会社MBSコンサルティング 代表取締役。1998年の起業以来、「資金繰り・資金調達支援」に特化して創業者や中小事業者を支援。これまでに1,000 社以上の資金調達相談・支援を行い、その資金調達支援総額は20億円超。主な著書に、「社長のための資金調達100の方法」(ダイヤモンド社)、「究極の資金調達マニュアル」(こう書房)、「税理士・認定支援機関のための資金調達支援ガイド」(中央経済社)などがある。また、全国の経営者・士業などを対象にした会員制の資金調達勉強会「資金調達サポート会(FSS)」を主催している。

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