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訴えられたときには既に手遅れ?!中小企業のリストラで注意すべきポイントとは
2022.01.20
日本の法律では、企業規模にかかわらず正社員を簡単に解雇できません。しかし、新型コロナウイルス感染症や自然災害によるダメージで、リストラを余儀なくされる企業も多いことでしょう。
リストラは慎重に実施しなければ、大きなリスクが生じる可能性があります。裁判沙汰になったときには既に手遅れという場合も多いため、弁護士などに相談して慎重に実施する必要があることを、認識しておきましょう。
今回は中小企業におけるリストラの方法や注意点、日本においてリストラが難しい理由、リストラできる条件などについて、弁護士法人咲くやこの花法律事務所 代表弁護士の西川 暢春(にしかわ のぶはる)さんにお話を伺いました。
目次
日本企業でリストラがしづらい理由
海外と比べて日本企業では正社員を解雇することは非常に難しいと言われていますが、その理由を教えてください。
本件については若干誤解されている部分も多いと思います。確かに米国では、厳格な解雇規制はありません。しかしフランスやドイツなどの先進国では、日本と同程度の解雇規制があります。よって先進国の中で、日本が特に正社員を解雇しづらいというわけではありません。
もちろん、日本の会社で正社員を解雇するのが難しいことは事実なのですが、その背景は終身雇用制度の実施があります。
もともと民法では、従業員の解雇は自由であると規定されていました。しかし裁判所によって従業員を解雇する際、客観的に見て合理的な理由がない場合には解雇を無効にするという「解雇権濫用の法理」が適用され、解雇について厳しい制限を加えるという判例が出た結果、現在のような状況になっているのです。
現在では、その内容が労働契約法という条文に盛り込まれており、法律上も解雇について明確な制限が加えられています。
解雇にはいくつか種類が存在すると思いますが、どのようなものがあるか教えてください。
解雇には、大きく分けて「普通解雇」「懲戒解雇」「整理解雇」の3つの種類があります。
普通解雇
従業員の能力不足や協調性の欠如、病気などの理由によって、雇用の継続が困難になった場合に実施する解雇
懲戒解雇
セクハラや規律違反など、従業員に何らかの非違行為があった際に、制裁を加えるという意味で実施される解雇
整理解雇
経営状況の悪化など会社側の事情で、余剰人員を整理しなくてはいけない場合に実施される解雇
普通解雇や懲戒解雇は従業員側の問題で解雇を実施するものですが、整理解雇は会社側の事情で実施されます。「会社側の都合であり、従業員側に落ち度がない」という点が、ポイントとなります。
普通解雇、懲戒解雇、整理解雇についてはそれぞれ以下の解説もご参照ください。
企業側はどのような状況であれば、従業員を解雇できるのでしょうか?不当な解雇との線引きも含めて教えてください。
まず従業員側に問題がある場合は、その問題が解雇するにふさわしい客観的な理由に値するかどうかが問われます。
例えば、従業員の能力不足が原因の解雇であれば、会社として十分な指導を行ったうえで、今後継続しても能力の改善が見込まれないことを明確に立証できなければ、解雇は無効となります。よって、ペーパーテストの結果が悪かった程度では正当な理由とは認められません。ただし1週間後に同じ内容で再テストを行った結果、まったく改善が見られないといった場合であれば、能力不足を説明する根拠の1つになり得ます。
ただし未経験入社の社員については、そもそも会社で育成することが前提になっているため、能力不足を理由とする解雇を有効になるためには高いハードルがあります。「未経験で能力不足なのは当たり前」というのが裁判所の発想なので、能力不足であれば「頑張って育成しましょう」という話になるからです。
一方、従業員側に落ち度がない場合は、さらにハードルが上がります。解雇回避努力義務を果たしたかどうかが、会社に問われるからです。
例えば解雇する前に、経費削減や昇給・賞与の調整、希望退職者の募集、従業員や労働組合との十分な話し合いなどを実施しなくてはいけません。また、余剰人員がいて解雇という場合は、だれを解雇するのか選定する問題も生じます。
解雇回避の努力や話し合いを、どこまでやればよいのかという明確な線引きはありませんが、これらの点を考慮して解雇が有効か無効か判断されます。
リストラを検討する場合の注意点
リストラを実施しようとする際、社内で検討しておくべきことを教えてください。
まず「リストラの方法」を決めましょう。ただし、非常にハードルが高く法的な紛争にもつながりやすい一方的な整理解雇は、できる限り実施しないことが原則です。
合意を得て退職してもらうのが、リストラの基本です。従業員と話をして納得してもらって辞めてもらうほうが、法的なリスクが低くなります。
次に検討するべきことは「リストラの計画」です。リストラで会社を辞めてもらう人を決めます。その際「残った人だけで事業が回るのか」「残った人の人件費を支払って収益が成り立つのか」といった部分を考慮しておかなくてはいけません。
「人が減りすぎて事業が回らない」「リストラ後の人件費がまだ高くて、もう1回リストラが必要」となると、最悪の事態になります。リストラを2回実施すると、従業員から「この会社はヤバい……」と見限られる可能性が高くなるので、1回で終わらせるためにも慎重に計画を立案することが重要です。
さらには、リストラするための説得材料の準備も入念に行う必要があります。
例えば、会社経営が厳しいことを従業員に理解してもらうためには、実際に仕事が減って厳しい状態であることを皆が納得できる下地作りが必要です。
またリストラに至った原因は経営者側にもあるので、きちんと責任をとったことを証明できなければ、従業員の納得を得ることは難しいでしょう。
例えば家族経営の会社などで、特に働いていないのに給料をもらっている役員などがいた場合には、率先して辞めてもらうなど、経営者自身が身を切る姿を見せることも大切です。
リストラの実施は「個別に退職勧奨する」または「希望退職者を募集する」のが一般的です。それぞれのメリットとデメリットを教えてください。
会社からアクションを起こして辞めてもらうという点においては、個別の退職勧奨も希望退職者の募集も大きな差はないでしょう。両者の大きな違いは、リストラを社員全員に公表するか否かという点です。
まず、希望退職者を募集する方法では、必ずしも本当に退職を希望する人を募集するわけではありません。
なぜならば、会社は事前に辞めてほしい人と辞めてほしくない人を選別したうえで、希望退職者を募集するからです。
会社側から「あなたはこの会社にいてもなかなか難しいので、今度希望退職者の募集があるのでぜひ応募して転職を検討してください」とプッシュする対象者がいる一方で、辞めてほしくない従業員に対しては「今回希望退職者の募集があるけど、ぜひウチの会社に残って一緒に頑張りましょう」と選別します。従業員の選別をしない状態で希望退職者を募集してしまうと、優秀な人からどんどん辞めてしまうからです。
従業員全員と面談を実施し上記のような話をしたうえで、希望退職者の募集を発表します。そのうえで、辞めてほしい人にもう1回プッシュをかける2回目の面談をして、合意につなげていくのが一般的です。
また、辞めてほしくない人に対しては、リストラ後も仕事が続くようなプロジェクトに参加させるなど、辞めない工夫をすることも必要でしょう。
希望退職者募集のメリットは、やめる場合の条件が社内でオープンになることです。「あの人は良い条件が出たらしいぞ」といった、従業員同士が疑心暗鬼になることが少なくなります。ただし、社内全体で「会社が危ない」と言わなければならない点は、希望退職者募集のデメリットだと言えるでしょう。残ってほしい人も、会社を見限って辞めてしまう可能性があるためです。
ですから従業員が10名以下の会社は、希望退職者を募集しないケースが多い傾向にあります。希望退職者を募集する方法は、従業員数が30名を超えている会社でこそ実施するべきでしょう。30名以下の規模の会社は、個別に退職勧奨する方法でリストラを実施するのが賢明です。
一方、個別で退職勧奨する場合は、リストラの事実を社内で公にしなくてよい点がメリットです。ただし、情報が開示されずブラックボックスになるため、会社がまともな提案をしていた場合でも、従業員側からみれば何もわからず不安になることが多い点はデメリットだと言えます。また疑心暗鬼になった従業員が、労働者側の弁護士や労働組合などへ相談した結果、第三者が介入してくる可能性がある点もデメリットと言えるでしょう。
希望退職者募集と退職勧奨については以下もご参照ください。
希望退職の募集の進め方や面談の注意点5つ
退職勧奨(退職勧告)とは?適法な進め方や言い方・注意点を弁護士が解説
「明日からこなくていいよ」がトラブルに!リストラに伴うトラブル回避方法とは?
リストラを実施する際、よくあるトラブルなどがあれば教えてください。
よく裁判になるのは希望退職者の募集が始まる前に、退職してしまった人とのトラブルです。希望退職者の募集の際には、割増退職金を渡すことが普通なのですが、その直前に退職してしまうと通常の退職金しかもらえません。
退職金の金額が大きいため、諦めがつかない人も多く、それがトラブルに発展するケースがあります。したがって希望退職者の募集を検討段階から、秘密にすることが大切です。万が一情報が漏れてしまうと、知っている人と知らない人の間で不公平が生じ、トラブルの原因になり得るでしょう。
また、従業員が10名程度の会社の場合、個別の退職勧奨を実施するケースが多いのですが、社長がうまく説得できずトラブルに発展することがあります。例えばワンマン社長の会社などで、机を叩いたり暴言を浴びせたりするケースがあるのですが、もちろん違法です。退職強要に該当し、これが原因で裁判を起こされるケースがあります。
もう1つ、やってはいけないことの王道が「退職に合意してくれないなら解雇しますよ」というパターンです。こちらも退職強要に該当します。小さな会社にはありがちなので、注意しましょう。
従業員に退職勧奨をしても、なかなか了承してもらえない場合には、社長自身が焦ってしまい強引な手段にでるケースも多いです。しかし従業員と対等に話をしたうえで進めることが、リストラでは不可欠と考えてください。
リストラ時によくあるトラブルの回避方法を教えてください。
リストラをトラブルに発展させないために、以下の3点には特に注意が必要です。
- 「辞めなかったら解雇するぞ」という趣旨の話をしないこと
- 机を叩く行為や、長時間執拗な退職勧奨をしないこと
- 追い出し部屋による退職強要をしないこと
1と2については先ほどお話しした通りで、退職強要に該当する行為となるので避けましょう。退職勧奨の面談を2~3時間続けるのは絶対NGです。30分以内での実施をおすすめします。
一方、3の「追い出し部屋」というのは、仕事を取り上げることです。例えば、システムエンジニアなのに退職させる目的で倉庫へ配転するなど、従業員に嫌がらせ的なことを実施して辞める方向へ仕向けます。中小企業の場合、従業員に辞めてもらうのが心苦しく、辞めてほしいと言えない社長さんも多いです。そのため違う方法で自分から辞めるように仕向けるために、追い出し部屋を用意する場合があります。このようなやり方は違法です。
また退職させる目的で僻地に転勤させたり、本人がやりたがらないような仕事をさせたりするなど、本人のキャリアに見合わない仕事をさせることによって自発的にやめさせようとする行為も、トラブルの元になる可能性が高いでしょう。辞めてほしいなら、正々堂々辞めてほしいと言うべきです。
リストラに関するトラブルが発生したときに、中小企業はだれに相談するべきですか?
リストラを検討する際には、事前に弁護士へ相談することをおすすめします。
実際にトラブルが発生したときは弁護士に相談するべきですが、社労士の先生でも良いかもしれません。最近は「特定社労士」と呼ばれる、紛争解決の代理をお願いできる社労士さんもいます。労働局のあっせんなどを代理できるようです。
個別に退職勧奨を実施する場合は、リストラの告知方法に悩む経営者も多いと思いますが、どのような方法で実施するべきでしょうか?
個別の退職勧奨では、能力が低い、業務指示に従わないといった理由が考えられるでしょう。その中でよくあるのが、経営者は悩んでいるにも関わらず、従業員自身が能力不足であることをまったく認識していないケースです。
普段から能力不足であることを指摘されていない従業員が、いきなり能力不足を理由に会社を辞めてくれと言われても、青天の霹靂となってしまいます。「いやいや全然違うし、自分はできるから」と、理解してもらえない場合が多いでしょう。
会社が従業員を育成して状況が改善すればよいのですが、改善されない場合は、その旨をきちんと従業員に伝える必要があります。そうでないと本人は納得できません。
一方でお金の話も大切です。いくら能力不足や業務指示に従わないといった場合でも、タダで辞めてくれということであれば、従業員側に合意するメリットがまったくありません。
従業員を解雇する場合、予告手当ということで30日分の給与を支払う必要があります。そのことと比較しても、タダで退職に同意してくれというのは、従業員側から見れば不当だと思われても仕方がないでしょう。
目安としては、3か月分の給料を支払うようにアドバイスしています。なんの支給もなければ、退職について従業員の合意を得るのは困難です。
リストラした社員から訴訟を起こされる可能性もあると思います。そのような場合に、小規模・中小企業が長期間裁判を実施するのは現実的ではないと考えられますが、どのような解決方法を検討するべきでしょうか?
基本的に弁護士と相談してリストラの実施方法を決めている場合は、大きなトラブルには発展しないことがほとんどです。私が担当して合意で解決したケースについて、訴えられたことは一度もありません。
しかし、会社だけで独自にリストラを進めるパターンは、トラブルに発展する可能性が高くなります。そもそも弁護士に相談していない時点で、リストラのやり方も間違っていることが多いので、裁判になったら負ける可能性が高いのです。
小さな会社で弁護士と相談せずに、適切な形でリストラを実施できている会社はほとんどないと思います。トラブルになったときは裁判の前に、内容証明郵便等が届くことが多いですが、その場合は裁判になる前の段階で交渉して和解で終わらせるべきです。裁判になれば、高い確率で負けるからです。
そのため、裁判になる予兆がある時点で弁護士に相談し、話し合いで決着を付けるしかありません。そもそも最初のやり方が間違っているので、いくらかお金を支払ってでも裁判になる前に終わらせるべきです。裁判には多くの費用が必要なうえに、判決が出るまでに2年程度の期間を要することもあります。
したがって中小企業が裁判を行うのは、デメリットが非常に大きいのでできる限り避けるべきでしょう。
これまでに相談があったリストラ関連の雇用問題・紛争の事例を紹介してください。
日本で従業員を解雇するのは非常に難しいため、基本的には解雇しないようにとお客さまには伝えていますが、独断で解雇してしまい、後になってトラブルへ発展するケースもあります。
さらにこの場合は、従業員がかなりの問題社員だったとしても、不当解雇と判断される可能性も高いのが実情です。会社側が従業員に対して、きちんと指導をした形跡が残っていない場合が多いためです。
不当解雇に該当した場合、法的には解雇が無効となります。解雇が無効ということは雇用を継続するということなので、解雇した後の期間中の給与を支払わなくてはいけません。裁判で不当解雇の判決が出るまでには、2年程度の期間が必要になるので、2年分の給料を支払う必要があります。例えば年収500万円だった場合は、1,000万円の支払いが必要です。
さらに、解雇が無効になるため「もう一度会社で働いてもらいなさい」ということになります。経営者側からみれば、業務命令に従わなかったので解雇したら、1,000万円も払わされたうえに、その従業員が会社へ戻ってくるという悲惨な状況と言えるでしょう。
もちろん裁判をする側も大変なので、解雇した人全員が裁判を起こすわけではありません。しかし普段から業務命令に従わないような人は、反発してくる可能性が高いので、裁判に発展するケースも多いです。また、次の転職先がなかなか見つからない中高年層の人なども、トラブルに発展する場合が多いです。
不当解雇についての解説は以下もご参照ください。
パート社員やアルバイトといった雇用形態によっても、対応は変わるのでしょうか?
現在の日本の法律においては、パート社員やアルバイト、契約社員だからといって簡単に解雇できるわけではありません。しかし従業員の多くは、そのような認識を持たない場合のほうが多いでしょう。
経営者側もパート社員やアルバイトであれば、すぐに解雇できると思いがちです。しかし、パート社員でも契約期限が無期限だった場合には、基本的には正社員と同じ解雇のルールが適用されます。
また、パート社員はだいたい1年契約などが多いと思うのですが、これを途中で解雇する場合には、正社員よりも厳しくきわめて高いハードルが適用されます。1年雇用すると約束していたにもかかわらず、その約束を破ってまで解雇する必要があったのかという部分が問われるからです。
さらに1年契約になっているパート社員でも、臨時の仕事ではなく恒久的に続く仕事に従事しており、毎年契約更新をしているようなケースがあります。例えば、スーパーのレジ打ちなどを行うパート社員です。このような場合、1年が経過したからといってすぐに契約を終了することは、基本的にできないルールになっています。
「明日から来なくていいよ」などとバイトに言う場合は、こちらも退職勧奨に該当するのでしょうか?
こうした裁判の事例は、結構あります。これは退職勧奨ではなく解雇です。退職勧奨は従業員と話しあった結果、明日から出社しないと合意することです。これに対して「明日から来なくていいよ」というのは、話し合いをする気がありません。つまり一方的に解雇したことになるので、訴えられた場合は不当解雇かどうかという議論へ発展します。
もちろん無断欠勤を連続14日間続けた場合など、正当な解雇と認められる場合もあるでしょう。しかし能力不足の場合は、注意指導を十分に行ったうえで解雇する必要があるので、それをしないで「明日から来なくていいよ」とバイトに告げるのは不当解雇に該当します。
リストラに詳しい弁護士の探し方と経営者が今すぐ準備できること
リストラなど雇用問題に詳しい弁護士を探す方法を教えてください。
弁護士の業界も、さまざまなジャンルに細分化が進んでいる状況です。例えば離婚や相続、交通事故など、得意なジャンルが弁護士ごとに異なります。
すべての弁護士が、リストラなどの雇用問題に適切な対応はできません。離婚や相続が専門の弁護士に、どうやって従業員に辞めてもらうかという相談をしても難しいでしょう。そのため、雇用問題を専門にしている弁護士にお願いする必要があります。
弁護士を探す方法は、人からの紹介とネット検索の2種類が主流です。中小企業の場合は税理士に紹介してもらうことや、経営者仲間に紹介してもらうことがほとんどだと思います。しかし、雇用問題に強い弁護士にたどり着ける可能性は、低いというのが現状です。
人から紹介してもらうデメリットは、本当に雇用問題に強い弁護士を紹介してもらえるかわからない点です。弁護士の中でも会社側の立場で、雇用問題に特化している方は少ないので、紹介によって最適な人を見つけられる可能性は低いでしょう。また、雇用問題に疎い弁護士だった場合でも紹介された手前、断りづらいのもデメリットです。よって、紹介はあまりおすすめできません。
中小企業の場合はネットで「弁護士 リストラ」など、今困っている問題で検索する方法が良いと思います。また、中小企業向けにリストラのセミナーを実施している弁護士事務所などもあるので、そこで相談してみるのもよいでしょう。
万が一のリストラに備え、経営者が今すぐに準備しておけることはありますか?
就業規則を工夫することで、従業員をリストラしやすくなることはありません。リストラを検討しており、そのための準備が必要な場合は、まずリストラに納得してもらうための環境整備が重要です。
会社の経営が厳しい場合は、いきなり厳しいから辞めてくれと言っても納得してもらえないので、普段から会社の経営状況をしっかりと従業員に説明しておく必要があります。従業員が数名の中小企業の場合は、普段従業員に対して会社の経営状況を話していないケースも多いので、状況の厳しさを適宜共有しておきましょう。
また能力不足の場合は、普段からその点を従業員に指摘しておくことが大切です。さらに、リストラにはお金も必要なので、そちらも準備しておく必要があります。「リストラがあっても、仕方がない」と従業員が納得する状況かどうかが、リストラ成功の鍵と言えるでしょう。
この記事の著者
弥報編集部
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この記事の監修者
西川 暢春(弁護士法人咲くやこの花法律事務所 代表弁護士)
企業側弁護士として、問題社員対応を中心に解雇紛争、残業代紛争、労災紛争など、労務紛争の予防や解決に取り組む。紛争を訴訟に発展させず、交渉で解決することに尽力してきた。全国の企業や社会保険労務士から相談を受け、事務所顧問先は約400社。YouTubeやTwitterでも情報を発信中。問題社員対応の経験を踏まえた新刊『問題社員トラブル円満解決の実践的手法〜訴訟発展リスクを9割減らせる退職勧奨の進め方』(日本法令)が、2021年10月から発売中。
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