- 業務効率化
会社の外線も内線も自分のスマホで受けられる!中小企業にこそ活用してほしいクラウドPBX
2021.05.25
最近は、会社の内線や外線を自分のスマホで使えるようにする、PBXを導入する企業が多くなっています。導入が簡単で安価かつ、多機能なサービスが登場したこともその理由でしょう。
内線や外線といった電話機能以外に、テレワークの生産性を上げる機能が追加できる点も、PBXの導入企業が増えている一つの要因です。そこで今回は、クラウド型PBXのサービスを提供している株式会社三通の佐藤 明奈氏に、クラウドPBXのメリットや有効な活用法などについてお話を伺いました。
目次
聞きなれない「クラウドPBX」とはどんなもの?
そもそもPBXとはどのようなサービスなのでしょうか?
「PBX」とは「Private Branch eXchanger」の略語で、「構内交換機」という意味です。「主装置」と呼ぶこともあります。
具体的に言うと、企業の内線などで使われる1つの電話機で受けた電話を複数の内線端末に転送したり、1つの電話機で複数の電話番号が利用できたりといった機能が使えます。
PBXはいわゆるビジネスフォンと何が違うのでしょうか。
PBXとビジネスフォンは、内線転送や複数番号を利用できる部分は同じです。違いはPBXの場合、大規模なオフィスや、電話機が数千台あっても問題なく対応できる点になります。
障害にも強く安定性もあるため、これまでは大企業に利用されるのが一般的でした。また、PBXはパソコンや OA 機器と接続が可能で、カスタム性が高い点も特徴です。
クラウドPBXのメリットは「自社にシステム担当がいなくても手軽に導入できること」
クラウドPBXと従来型PBXとの違いを教えてください。
導入費用の面でいえば圧倒的にクラウドPBXが安いです。しかし月額費用がかかる分、自社での使い方やサービスの特性を検討したうえで導入しないと、結果として割高になってしまうこともあります。
例えば、1,000個分のアカウントを発行する場合には、当然毎月の月額費用もその分だけ発生するため、月額費用が高額になります。
導入までの時間はどのくらいかかりますか?
従来型のPBXの場合、配線工事が大規模かつ大がかりなため、導入障壁は高いです。また、配線工事の日程調整もあるため、開通までに1か月以上は見積もる必要があります。
一方、クラウドPBXは条件さえ整っていれば、即日や数日での開通も可能です。インターネット光回線の使用が条件となっているサービスやWi-Fi環境、使用する端末の用意が必要な場合は準備期間が発生します。しかし、それでも数週間以内の開通が可能です。
クラウドPBXならではのメリットを教えてください。
クラウドPBXの導入メリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 導入費用が安い
- スピーディな開通
- 設定を簡単に変更できる
- スマートフォン・PCで会社電話の発着信ができる
- オフィス移転や席替えの時、配線を変える必要がない
- オフィスが被災してもクラウド上のPBXが存続していれば連絡が取れる
先ほどもお話した通り、クラウドPBXは導入ハードルが低く、すぐに利用できる点が大きなメリットです。
次に、従来のPBXは変更があった場合、自社の技術者が対応するか業者に変更してもらう必要がありました。しかしクラウドPBXは管理画面から簡単に設定変更が可能で、内線数の追加や音声録音機能などのオプション機能の申し込み、時間外アナウンスの設定などさまざまな機能を簡単に設定・変更できます。
また、アプリをインストールするだけでクラウドPBX機能がスマートフォンで利用できるため、外出先や自宅でもオフィスと変わらない電話対応が可能です。さらにWi-Fiで通信をおこないますから、引越や座席の移動などをおこなった場合でも、配線しなおす必要がありません。
最後に、従来のPBXの場合は、地震などでオフィスに設置してある主装置が破損してしまうと、利用不可となるリスクがあります。しかし、クラウドPBXはクラウド上にシステムがあるため、オフィスが被害にあったとしてもそのまま利用可能ですから、事業継続計画対策にも有効です。
逆にクラウドPBXのデメリットはあるのでしょうか。
クラウドPBXのデメリットとしては、以下のようなものが考えられます。
- 環境によって通話の質が落ちる
- 希望の市外局番が利用できない場合がある
- 緊急通報など特殊番号にかけられない場合がある
- 今までの電話番号から変わる場合がある
- データ通信料金は個人に請求されるので注意が必要
まず、クラウドPBXはWi-Fiを使って通話機能を実現しているため、オフィスのWi-Fi環境がよくない場合は通話の質が低下する可能性があります。またベンダーによっては希望する市外局番や、これまで使っていた電話番号が使えない場合があるため、注意が必要です。109や110といった特殊番号にもかけられません。
最後に、料金の請求について気をつけておきたい点があります。クラウドPBX経由の通話料金は会社に請求されます。ですが、データ通信料金であるパケット代は個人請求が基本ですので、その振り分けに注意が必要であることを知っておいてください。
中小企業のクラウドPBX活用方法
中小企業におけるクラウドPBXの活用方法を教えてください。
例えば中小企業のオフィスなどであれば、Web上で内線設定や管理が可能です。人事異動があった場合や新しい社員が入社したときにも、簡単に内線の増減、ダイヤルインの設定ができます。またPBXの主装置を社内に置く必要がないため、キャパシティがあまりないオフィスでも導入可能です。さらに会社の電話を自宅でも受けられますから、テレワークにも最適でしょう。
営業担当が多い中小企業でも利用するシーンは多そうですね。
はい、スマホで固定電話の発着信や内線転送を受けられますので、外回りの多い営業の方でも電話を取ることが可能です。
本来であれば営業判断ですぐに解決できた案件も、折り返し対応になることで顧客の熱が冷めてしまい、ビジネスチャンスを逃してしまう場面も多くあるかと思います。しかし、クラウドPBXならスマホでの利用も可能なので、ビジネスチャンスを逃すことがありません。
最近はフリーアドレスを導入した企業も多いと思いますが、クラウドPBXを活用できる方法はあるのでしょうか?
クラウドPBXはパソコンやスマホで電話の発着信ができるため、Wi-Fi環境さえあれば配線をめぐらす必要がありません。また受付にクラウドPBXを導入した端末を置けば、簡易的な受付システムにもなります。
担当者がどこにいても来客を把握できるため、非常に便利です。自席が決められていないフリーアドレスを導入している企業の場合、クラウドPBXは必須のサービスといえるでしょう。
その他にもクラウドPBXの活用方法があれば教えてください。
個人事業主やレンタルオフィスなどを利用している方でも、気軽に利用できます。特に副業で個人事業主をされている方は、自身の携帯電話番号を事業用に使っている場合もあるのではないでしょうか。
しかし、「私用と仕事用の電話番号を分けたい」「信用を得るため固定電話番号を取得したい」というニーズもあると思います。従来であれば固定電話番号が欲しい場合、自宅に回線工事を施す必要がありましたが、クラウドPBXであれば簡単に仕事用の電話番号を増設可能です。
クラウドPBXが中小企業に向いているポイントは、どのような点でしょうか。
クラウドPBXが中小企業に最適だと思われる理由は、以下の3点です。
導入コスト・月額費用が安い
負担にならない導入費用、月額費用で、ビジネスフォンと変わらない機能を使えるようになるので、中小企業に向いています。また、私用スマホや普段利用しているパソコンを活用できるため、新しく機器を買いそろえる必要もありません。
会社規模に応じて内線数や電話番号などをすぐに増設できる柔軟性
内線の増減、新しい電話番号の取得がオンライン上で24時間いつでもご自身で行えます。そのため配置変えやお客さま窓口の設置など、さまざまなシーンに対応可能です。柔軟にカスタマイズできるクラウドPBXは、今後の成長が見込める中小企業に適しています。
限られたリソースを最大限に活用できる
テレワーク中の社員でも会社電話の発信・受信ができるクラウドPBXは、人員が限られている中小企業にこそ活用していただきたいツールです。顧客とのコミュニケーションもタイムラグなくでき、従業員同士の引き継ぎなどにも便利です。
クラウドPBXを導入時に「代表電話の番号が変わるのでは?」と懸念される方もいると思うのですが、番号はそのまま維持できるのでしょうか。
維持できるケースと、維持できないケースの2パターンあります。
今使っている代表電話番号を維持できるケース
- ゲートウェイ設備を導入するサービスを提供している場合
- 電話番号が「0120」「0800」などのフリーダイヤルの場合
上記の場合でも、固定電話回線の契約により維持できないこともあります。よって、電話番号の維持が必須事項の場合は、検討しているベンダーに確認してから契約するようにしてください。
今使っている電話番号を維持できないケース
- 工事不要・端末不要などのサービスを提供している場合
- 現在利用している電話番号がIP電話に対応していない場合
上記に該当する場合は、新規の電話番号を発行する必要があります。今使っている代表電話番号の維持にこだわりがない、初期費用を抑えたい、開通を急いでいる場合には番号の新規発行も選択の一つと考えましょう。
クラウドPBXは、ニューノーマルにおける業務効率化に役立ちます。中小企業や個人事業主の方は、新たなワークツールとして検討してみてください。
この記事の著者
弥報編集部
弥生ユーザーを応援する「いちばん身近なビジネス情報メディア」
この記事の監修者
佐藤 明奈(株式会社三通 商品企画課 Webマーケティング担当)
大学卒業後、PCサプライメーカーに入社。ITベンチャー企業でのプロジェクト立ち上げを経て、2020年に株式会社三通に入社。現在はWebマーケティングと広報活動を統括。入社当初からコロナ禍におけるリモートワークを経験し、社内外における次世代コミュニケーションの重要性を実感。ニューノーマルな働き方の提案に邁進する。
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