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専門家に聞く「有給取得義務化対応の注意点とポイント」違反すれば罰則も!

2019.03.20

著者:弥報編集部

監修者:篠田 恭子

働き方改革関連法の一つ、有給取得義務化。中小企業・個人事業主も2019年4月から施行です。対応を怠れば罰金や懲役の対象になる可能性もあります。法令のポイントと、業務に負担をかけず確実な取得を実現するためのアドバイスを社会保険労務士の篠田恭子(しのだ・きょうこ)先生にうかがいました。

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年5日の取得義務付け。パート、管理監督者も対象。違反すれば罰則も!

働き方改革関連法の施行で、有給休暇について何が変わるのでしょうか?中小企業経営者や個人事業主はいつから何をやらないといけないのでしょうか?

篠田恭子先生(以下、篠田):2019年4月から、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年次有給休暇のうち5日は確実に取得させることが義務付けられます。すべての企業が対象となります。個人事業でパートタイムのみを雇用している場合であっても義務付けの対象になりえます。

また、管理監督者や労働時間管理が本人に任されている労働者も有給取得義務の対象になります。週4日以下勤務の短時間労働者も、勤続年数によっては対象になりますので、注意してください。

パートタイム勤務の場合の有給付与日数 【出典】年5日の年次有給休暇の確実な取得「わかりやすい解説」(厚生労働省)
取得させなかった場合は罰則があると聞きましたが、どんな罰が誰に科されるのでしょうか?労働者が罰を受けることもあるのでしょうか?

篠田:違反した場合は、30万円以下の罰金、重い場合は6か月以下の懲役が科されることもあります。罰則の対象になるのは経営者、代表取締役、会社に加え、業務命令者も含まれます。業務命令者とは役職や肩書に関わらず、「労働者に関する事項(人事、給与、労務管理等)について、実質的な権限を有している者」を指します。業務命令者であれば、労働者も罰則の対象になることもあるのです。

違反条項違反内容罰則規定罰則内容
労働基準法
第39条7項
年5日の年次有給休暇を取得させなかった場合(※)労働基準法
第120条
30万円以下の罰金
労働基準法
第89条
使用者による時季指定を行う場合において、就業規則に記載していない場合労働基準法
第120条
30万円以下の罰金
労働基準法
第39条(第7項を除く)
労働者の請求する時季に所定の年次有給休暇を与えなかった場合(※)労働基準法
第119条
6か月以下の懲役または30万円以下の罰金
※罰則による違反は、対象となる労働者1人につき1罪として扱われるが、労働基準監督署の監督指導においては、原則としてその是正に向けて丁寧に指導がなされ、改善を図ることとなる【出典】年5日の年次有給休暇の確実な取得「わかりやすい解説」(厚生労働省)

労働者の希望を聞いた上で、必要に応じて時季を指定して取得させる

確実に取得させる方法については決まりがあるのでしょうか?

篠田:労働者ごとに年次有給休暇の基準日(付与した日)から1年以内に、5日分を時季を指定して取得させます。一方的に指定するのではなく、本人の希望を聞き、それを尊重して指定します。もちろん、自分から請求して5日以上の有給休暇を取得している労働者に対しては時季指定をする必要はありません。

時季指定のタイミングについてはどうなのでしょう?「基準日から一定期間が経っても取得していない人を対象にする」などでしょうか?

篠田:時季指定のタイミングに関して法律上の規定はありません。実務上は、まず基準日に各労働者に取得希望時季をヒヤリングする方法がやりやすいと思います。

今回の取得義務化と同時に、労働者ごとの「年次有給休暇管理簿の作成」と「3年間の保存」が義務付けられました。有給休暇管理簿として、取得予定や希望時季と実績を書き込むシートを作成し、基準日に各自が希望を書き込み、チーム内で調整して取得時季を決定するのがよいと思います。さらに、メンバーの取得計画をチーム内で共有することが重要です。

予定は変更になることもありますからフォローをしっかり行い、一定期間、例えば半年経過後にも取得日数が5日未満となっている労働者には時季指定を行うようにすれば、労働者からの請求を妨げることなく、効率的に管理ができます。

従業員の希望に沿えない場合、例えば「その日ではなく別の日にして欲しい」という場合はどうすべきでしょうか?

篠田:有給休暇の取得は労働者の権利なので、希望を尊重するのが原則です。その人がいないと仕事が進まない、人手が足りないという理由で希望を受け入れないのではなく、他の人でも代わりができるように情報やノウハウを共有したり、業務効率化を進めることが大切ですね。「休んでも大丈夫な仕事の仕方」を目指しましょう。

計画的付与制度や半日休暇制度を活用して確実な取得を

製造業などでは飛び石連休の中日を一斉有給取得日として大型連休にするケースもあるようですが、そういう方法で5日以上取得してもよいのでしょうか?

篠田:それは年次有給休暇の計画的付与制度(計画年休)と呼ばれているものです。付与日数から5日を除いた残りの日数を、計画的付与の対象にできます。企業や事業場全体の休業での一斉付与の他に、チーム毎に交替で付与する方式もあります。個人別に付与することも可能で、誕生日休暇などの形で導入されています。年間で繁忙期と閑散期があらかじめ予想できる場合は、閑散期に計画的付与をすることも可能です。

計画的に休むので、使用者側も計画的に業務を進められますし、労働者も気兼ねなく休むことができるので、よい方法だと思います。

【出典】年5日の年次有給休暇の確実な取得「わかりやすい解説」(厚生労働省)

計画年休の導入にあたっては、就業規則で規定することに加えて、労使協定を結ぶことが必要です。また、会社や事業場全体、チーム毎に計画的付与を行う場合、有給休暇のないメンバーや少ない(計画的付与日数を引いた残りが5日未満の)メンバーの扱いについても検討する必要があります。

その他に、有給休暇の取得を進めるためのよい方法はありますか?

篠田:半日休暇制度を導入していない場合は、導入されるとよいと思います。半日休暇も時季指定取得の対象になりますので。一方、慶弔休暇のような法定外特別休暇、時間単位休暇は対象とならないので、気をつけてください。

法令の細かい規定や実施方法についてわからないことがあれば、各都道府県に設置されている「働き方改革推進支援センター」の無料相談や、社労士会が開催している無料相談を利用してみてください。

2020年「残業時間上限規制」の開始も見据えて、労務管理をしっかりと!

働き方改革関連法対策として、このタイミングで併せて開始すべきことはありますか?

篠田:有給休暇の取得状況に加え、労働時間の管理も必要になります。業務の開始・終了時間、休憩時間などの管理があいまいになっている企業も多数見受けられます。近頃は、退職後に未払い残業代の支払い請求訴訟を起こされることもあります。基本的な労務管理をしっかりやることが労働者との信頼関係を築くことにも繋がります。

人手不足の時代、労働者は働く場を場所や賃金、福利厚生だけではなく、働きがいやワークライフバランスも重視しながら多面的に見て選んでいます。採用難に対処するためはもちろん、定着率をあげるためにも、労務管理をきちんとして有給の取得を進め、より働きやすい職場を創っていきましょう。

【参考サイト】
厚生労働省 働き方改革特設サイト
弥生株式会社 働き方改革への取り組みガイド

<働き方改革に関するその他の記事は【こちら】から>

この記事の著者

弥報編集部

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この記事の監修者

篠田 恭子(社会保険労務士)

1977年埼玉県川越市生まれ。システムエンジニアとして約10年勤務。仕事・子育てをしながら、2011年社会保険労務士試験に合格。2013年1月社会保険労務士事務所を開業。2014年4月特定社会保険労務士付記。 2018年5月移転を機に事務所名を「おひさま社会保険労務士事務所」に変更。 働くすべての人が「楽しい」と思える職場づくりを応援します!を経営理念に掲げ、地域の企業を元気にするために、日々活動している。(所属)全国社会保険労務士会連合会、埼玉県社会保険労務士会、埼玉県社会保険労務士会 川越支部

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