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【工場潜入レポート】廃棄処分で回収されたパソコンや携帯電話、その後どうなるの?
2019.03.10
著者:大住 奈保子
突然ですが皆さん、古くなった携帯電話やスマホ、パソコンって、どうやって処分していますか? 携帯電話やスマホのメモリー、パソコンのハードディスクには機密情報もギッシリ。処分の仕方によっては大事なデータが流出し、会社の信用問題にかかわるトラブルに発展することもないとは言い切れません。
インターネットで検索するとたくさんの回収業者が出てきます。各社のホームページには「回収後のデータ消去に完全対応」「セキュリティ対策も万全」などの言葉が並んでいます。中にはデータ消去のやり方まで、丁寧に説明しているところもありました。
でも……でも……、実際に廃棄された機器のデータが本当にちゃんと消去されているのか、情報が流出しないようになっているのか、この目で見ないと安心できない!
弥生のあんしん保守サポートに加入されているお客さまに無償でご利用いただける「不用パソコン無償回収サービス」は、現在6,100件以上のお申し込みをいただいている大人気サービスですが、本当に無償でもきちんとデータを消去してくれるのでしょうか?
心配性のライター大住、あんしん保守サポートで回収された機器の処理をしている工場を突き止め、回収・処理の現場を見に行ってきました!
目次
携帯電話やスマホ、パソコンを適当に捨ててはいけないワケ
今回見学したのは、OAやIT機器を中心とした廃棄物の処理を行う、オリックス環境株式会社の船橋工場。携帯電話やスマホ、パソコンのほかに、複合機や自動販売機、空調機器などの処理も行われています。
金属系廃棄物を専門としているだけあって、敷地内には大きなプレス機や破砕機がいっぱい。カタくて大きな金属の塊がガンガンと音を立てて砕かれ、重機で次々と運ばれていきます。なんかカッコいい……!
いろいろな工程を経て、最終的にはこんなに小さい破片になっている!丁寧に処理してくれているのはうれしいけど、ただ捨てるだけなのにこんなに手間をかけて砕く必要あるのかな?オリックス環境株式会社の深谷幸彦工場長にお話をうかがいました。
深谷:絶対に砕かなくちゃダメなんですよ。
大住:えっ、そうなんですか?
深谷:携帯電話やスマホ、パソコンは、さまざまな材質の部品からできています。鉄もあれば金や銅、アルミもあるし、プラスチックなど、いろいろな種類の素材があります。それぞれを適切な方法で処理しないと効率よくリサイクルできず、資源のムダづかいにつながります。
携帯電話やスマホ、パソコンは鉄やアルミなど多くの種類の金属部品でつくられています。このうち鉄は製鋼原料、アルミはアルミ原料、それ以外のステンレスや銅などの非鉄は非鉄原料として再利用されます。このほか基板には金や銀、今話題のレアメタルと呼ばれる希少な金属も含まれているので、これらも原料として再利用されます。
深谷:携帯電話やスマホ、パソコンは、法律によってリサイクル前提の産業廃棄物として処分しなければならないと定められています。正しく処分しないと、法律に抵触する可能性もあるんですよ。
大住:えっ、そうなんですか(汗)!? 危なかった~。
ただ捨てるだけかと思いきや、話はそう単純ではない模様。今やほとんどの会社で携帯電話やスマホ、パソコンを使っていると思いますが、捨て方までしっかり責任を持たないといけないってことは、知っておくべきことですよね。
ハードディスクのデータはどうやって消去されている?
大住:そういえば、機密情報がたくさん入っているような携帯電話やスマホ、パソコンのデータ消去って、どうされてるんですか?
深谷:もちろん細心の注意を払って対応していますのでご安心ください。厳密なセキュリティーで管理された別室で、ハードディスクのデータ消去や破壊を行っています。まずは携帯電話やパソコンを手で解体し、ハードディスクを外すところからですね。
エアードライバーを使って、次から次へとパソコンを解体していくスタッフさん。なんでも、機種によって取り外しの方法が違うのだとか。毎日解体していると、この機種はこうすれば外れる、と自然に分かってくるという鮮やかな手さばきは、まさに職人技!
こうして本体からハードディスクを外したら、いよいよデータ消去です。データ消去の方法には2通りあり、1つはハードディスクを装置に入れて、磁気を照射する方法。もう1つはハードディスクに穴を開けて、物理的に破壊する方法です。
どちらも確実にデータを破壊・消去できるけれど、破壊されたという実感があるぶん、穴を開ける方法を選ぶ企業が多いとのこと。金融系の企業など情報の管理に厳しい会社の場合、磁気を照射したあとに穴開けを施すという合わせ技で対応することもあるそうです。念には念を入れた処理をしているんですね。
大住:ホントだ、穴が開いてる! これなら安心ですね。
データ消去を行うデータ消去室は常に施錠され、特定のスタッフしか入室できないようになっています。また、ハードディスクは取り外したらすぐに投入口からデータ消去室に投入するという決まりもあるという厳密な運用。業務上の重要データを取り扱うという認識をスタッフ全員が持ちつつ、防犯カメラを設置するなど、管理には細心の注意を払っているのです。
ド迫力の「リングシュレッダー」で素材別に分類
解体された部品は「リングシュレッダー」という機械で5センチ角くらいの大きさに破砕され、金属ごとに分類されます。青と黄色のカラーリングが施された外観が、近未来感バツグン!この機械だけで、1日に30トン(!)もの金属くずを処理できるとのこと。
その名のとおり中心の大きなローターにはリング状の刃がいくつも付いていて、目が回りそうなほどの高速で回転しています。破壊されたものは、磁選機で鉄だけを吸い付けます。それ以外のアルミや銅は磁石に反発して飛ばされ、プラスチックは飛距離の違いから、また別の場所に飛ばされます。
こうして種類別に分けられた金属やプラスチックは、外部の提携会社などに運ばれ、リサイクルされます。しっかりと分類するだけで、ゴミだった金属片がまた生き返るなんて、地球にも優しく素敵ですよね。
データがちゃんと消去されているかが心配で始まった、今回の工場見学。実際に現場に行ってみると、スタッフの人たちは環境への配慮や資源の再利用など、想像以上にたくさんのことを考えて作業していました。企業のCSR活動に注目が集まる昨今、社内備品の正しい処分法を改めて調べるなどして、ぜひ正しい知識を身につけておいてくださいね!
【関連記事】パソコン無料回収キャンペーンについての詳しい説明はこちらの記事【実際に申し込んでみた】サポート会員限定の不用パソコン無償回収キャンペーンをチェック!
この記事の著者
大住 奈保子(おおすみ なほこ)
編集者・ライター。出版社勤務を経てフリーに。コンテンツ制作事務所「Tokyo Edit」代表。着物散策とお菓子作り、猫が好きな30代。
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