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かたづけ専門家に聞く!片付けが上手になる3つのステップ
2017.08.21
著者:弥報編集部
デスクの上に書類がたまり、引き出しの中には文房具が散乱し、机の下の足元にも書類や資料などが山になっている。心当たりはありませんか? 片付けたいという意識はあっても、どうしても片付けられない……そんな人が上手に片付けるためにはどうすればいいのでしょうか。業務効率化にもつながる整理整頓術を、日本初の「かたづけ士」スッキリ・ラボ代表の小松 易さまに伺いました。
目次
片付け上手になるためのステップ1:「片付け」と「掃除」の違いを知る
皆さんは「片付け」と聞いたときにどんな作業をイメージしますか? 意外と明確ではないのが、”片付けと掃除の違い”です。
これらを混同してしまう理由は「大掃除」という紛らわしいキーワードです。年末の大掃除は、「片付け」もするし「掃除」もするものだからです。掃除は「掃く・拭く・磨く」で、「汚れ・ゴミ・シミ」を取り除く作業です。結果として、清潔とかクリーンといったイメージになります。
一方、片付けはただきれいにするだけではありません。今回は片付けに焦点を当てて、片付け上手になるステップを説明しましょう。
私は片付けを下記の2段階に分けて考えています。
片付けの段階1:リセット
片付けでリセットする相手は「オフィス内・デスク周り・パソコンの中」などです。そしてこのリセットのことを私は、「大きなゼロをつくる」と呼んでいます。ゼロとは各場所の理想の状態で、必要なものだけが置かれて並んでいるような状態を指します。
簡単に聞こえますが、片付けは意外と手ごわいものです。例えばダイエットをイメージしてください。ストレスと戦ったり、コストや時間をかけたりしながら行わなければなりません。そして目標の体重に減ったのが理想の状態です。この状態にいかにたどり着けるかが勝負なのです。
片付けの段階2:習慣化
理想の状態にたどり着いたら、あなたの片付けは終わりでしょうか? 終わってもその状態をキープし続けなければならないと思うことでしょう。ダイエットでいえば、その体重をキープし続けることが大事なのです。それが習慣化です。
デスクの上が片付いている人は、片付くような習慣がある。片付かない人は、散らかるような習慣があるのです。片付けの仕方自体は同じなのですが、一方は常に片付けき、もう一方は散らかっています。これは習慣になっているか否かの違いです。無意識でも行えるぐらい習慣化するのがベストです。
習慣にできている人とそうでない人の違いはどこにあるのでしょうか? そこにはある行動の違いがあります。片付けが得意な人、苦手な人、それぞれに当てはまる3文字の言葉があります。
片付けの得意な人は「すぐに」片付けます。苦手な人は、やれるタイミングがあるはずなのに、「あとで」片付けようとするため書類の山をつくっていってしまいます。この差が大きいのです。
ここまでで、掃除と片付けの違い、そして片付けには、「リセット」と「習慣」が大切なことが分かったかと思います。
とはいえ、習慣を変えるのはとても努力が必要です。習慣化のためには、ある「行動」を変えるのが近道です。片付けが得意な人も苦手な人も同じような行動をしますが、少しやり方が異なるのが「置く」という行動です。
片付け上手になるためのステップ2:「置く」を変えて片付けを習慣化
例えば片付けが苦手な人は、会議からデスクに戻ったとき、会議で使った資料や書類を、そのまますぐデスクのどこかに「置く」はずです。一方得意な人は、いらない書類は処分し、資料によっては部下に回覧させたり、ファイリングしたり、電子化したりするなどの行動を「置く前に」行います。
私は片付けられる人の行動を「空中戦」と呼んでいます。空中戦は短期決戦です。引き出しの中やファイルボックスなどに「置く」のですが、「すぐ」「決められた場所」にしまいます。
一方苦手な人はどんどん下に置くので「地上戦」です。地上戦は長期化します。長期化して片付けが追いつかない状態に陥ってしまうと、焦りながら仕事をこなさなければならなくなります。これが片付けが苦手な人のよくあるパターンです。
ぜひ「置く」という行動を変えてみてください。片付けの習慣が身についていくはずです。
こんな人、周りにいませんか……?
私は書類の山にも命名しています。2つまでは「山」、3つになると「山脈」、5つになると「連峰」です。机の上が埋まったりして足元に書類を置き始めると、書類が下から隆起していくので「海底火山」と呼びます。
デスクは置き場ではなく作業する場です。最近は、フリーアドレス制の会社も増えてきて、デスクに収納する引き出しがない場合もあり、デスク=作業場という意識が強くなってきています。とはいえ、多くの中小企業では収納とセットになったデスクで作業をしていることもあり、基地化してしまう傾向にあります。
片付け上手になるためのステップ3:片付けは「整理」と「整頓」に分ける
片付けの意味、そして習慣化する方法についてお話ししました。最後にお伝えするのは、実際の片付け方法です。片付けは「整理」と「整頓」を経て完了(リセット)するものです。
整理とは、いるものといらないものを分けることです。いるものはとっておく。いらないものは減らす。デスクにものが10個あったら、思い切って5個に減らすイメージで、ものを吟味して整理します。
整頓は並べるとかそろえるというイメージがありますが、ここでの整頓はリセットの状態をつくること、つまり整理によって残ったものを使いやすい状態にすることです。整頓は配置と収納がポイントとなります。
山登りに例えてみると、8合目までが整理、そこから上が整頓で、成功の要因の多くは整理にあるといえます。片付けが苦手な人は、8合目までの「整理」ができない人が多数です。どうすれば整理がうまくなるのか、そのヒントをお伝えしましょう。
まずは引き出しの中、倉庫の中、書棚の中など、ものを全て外に出します。ここから分ける作業に入りますが、先にいるかいらないかの基準を設けましょう。基準がないと、再びいくつかの山ができただけで終わってしまいます。分ける基準は以下の3段階を参考にしてください。
レベル1:可能かどうかを聞く質問
まずは使えるか使えないかで分けます。ただしこの場合だと、「何かに使えそう=とっておいても死にはしない」という思考になりがちで、なかなか「使えない」に分けられない場合があります。その際にはレベル2以降も試してみましょう。
レベル2:意思を聞く質問
使うか使わないかで分けます。レベル1より一歩踏み込んで、実際に使うかどうかを問いましょう。ただしこれでも、あらゆる理由づけをして残してしまう可能性があります。
レベル3:実績を聞く質問
使ったか使わなかったかという過去の実績で分けます。6カ月間段ボール箱にしまってあった書類の中から、紙1枚でも取り出す確率は約10%といわれています。10個ファイルがあれば1個のファイルのみということです。これが1年経つと1%にまで下がるといわれています。
例として文房具で考えてみましょう。レベル1の「使えるか使えないか」で考えると、ペンの場合はインクが出るか出ないか。ただこれだと、インクを変えればまだ使えるなど、さまざま理由づけをして「使えない」に分別できません。この場合は、レベル3の「使ったか使わなかったか」で考えましょう。
文房具の場合、見極めの期間は1カ月です。「一軍」は使ったもので、すぐ引き出しに戻すもの。使わなかったものは「二軍」です。二軍は一旦1カ月間決まった場所に置いてください。1カ月経ってから、二軍から一軍に昇格するものもありますが、たいてい二軍に落ちたものは使われません。使わなかったら捨てても問題ないでしょう。
私自身、会社勤めの時代にリアルなゴミ箱ではなく、捨てるまで1週間の猶予があるファイルボックス(仮ゴミ箱)を設置していました。あとになって必要になる可能性がある書類は一旦そこに入れるのです。使わなければ、仮ゴミ箱の中身をその週の金曜日にシュレッダーしていました。これにより、デスクの上には書類がたまらなくなりました。
整理が済んだら、あとは整頓です。ファイリングするのかボックスに入れるのか、またどういう入れ方にするかまで考えましょう。ここまで済めばリセット完了となり、あとはいかに習慣化するかです。整理と整頓を分けてやりきることが大切です。
時間がなければ場所も分ける!
片付けが苦手な人で多いパターンは、一気にやる時間がなくて、常に後回しにしてしまうことです。やらなければならない気持ちはあるが、行動が伴わない。そんなときは「分ける」作業をしてみましょう。全部をやるのではなく、ここだけやるという場所の細分化です。時間をかけすぎるのもいけません。終わらなくてもいいので、1回15分を目安に行いましょう。
片付けにはいくつかノウハウがありますが、もっとも重要なのは習慣化です。社内でルールや、片付けざるをえない仕組みなどをつくり、個人だけでなく、会社全体で取り組むと習慣化に大きな成果を期待できます。デスク上の連峰を片付け、効率的な業務を目指しましょう!
お話を伺った方:小松 易(こまつ やすし)さま
日本初のかたづけ士。スッキリ・ラボ代表。北海道出身。大学卒業後建設会社へ入社し、現場で片付けの重要性を学んだ経験から、片付けのさらなる可能性を実感し、2005年9月に独立してスッキリ・ラボを開業。経営者向けコンサルや企業研修、講演などを通じて、多くの経営者や企業に向けた活動を展開。著書に『たった1分で人生が変わる片づけの習慣』『コミック版 たった1分で人生が変わる片づけの習慣』ほか多数。
この記事の著者
弥報編集部
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