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会計を知れば世界が広がる!ファイナンスとインベストメントで紐解く自分の磨き方:弥生×Misoca「経理の日2019」イベントレポート 

2019.04.25

著者:弥報編集部

去る3月28日(木)、弥生株式会社のイベントスペース(ヤヨイヒロバ)にて「経理の日イベント2019」が開催されました。

これは、弥生株式会社と株式会社Misocaが「経理業務の大切さを認識し、新たな気持ちで新年度を迎える日」として、3月31日を『経理の日』と定め、日本記念日協会より認定を受けたことを記念した、お客さま参加型のイベントです。今年で3回目の開催となります。(前回の模様はこちらから)

年度末のお忙しい中、今年も多くの弥生・Misocaユーザーの方々にお集まりいただき、公認会計士・税理士の大野修平先生によるキーノートスピーチ、Misocaユーザーをお迎えしたパネルディスカッションが行われました。

今回は弥報Online読者の皆さまに向けて、大野先生のキーノートを中心に、イベントの内容をレポートします。

資金調達は「デッド・ファイナンス」と「エクイティ・ファイナンス」どちらにすべき?

弥生が運営するオウンドメディア「スモビバ!」で執筆中の記事も人気の大野修平先生。今回は「ファイナンスとインベストメントで紐解く自分の磨き方」をテーマにお話しくださいました。

大野:「融資のお手伝いをしていると『ウチはいくらまで借りることができますか?』とよく聞かれます。皆さんならどう答えますか?」

大野修平氏(公認会計士・税理士)大学卒業後、有限責任監査法人トーマツへ入所。金融インダストリーグループにて、主に銀行、証券、保険会社の監査に従事。​トーマツ退所後は、税理士法人にて開業支援、融資支援、税務顧問などの業務を行う。また、スタートアップ企業とのコラボイベントの開催など、公認会計士、税理士の枠にとらわれず活動中。

大野:「僕は『返せる金額がマックスです』と答えています。返せない金額を借りてはいけません。そして、返せる金額を決めるには、事業計画書を作成する必要がありますが、”いくら借りられるか”と、”いくら借りるべきか”は違うので注意が必要です」

資金ショートは倒産に直結するので、多めに借りておきたいと思ってしまいますが、借り過ぎもダメということ。

大野:「資金調達にはデッド・ファイナンス(負債で調達)とエクイティ・ファイナンス(資本金で調達)の二つの方法があります。両者のバランスをどう取ったら企業価値を最大化できるのか、すなわち企業価値を最大化する資本構成があるのか考えてみましょう」

アメリカの経済学者でノーベル賞を受賞したフランコ・モディリアーニとマートン・ミラーが提唱したMM理論では「完全市場では資本構成は企業価値に影響を与えない」とされているそうです。しかし、大野先生は言います。

大野:「でも、現実世界は『完全市場』ではありません。税金があり、倒産もあります。例えば、負債で資金を調達した場合、支払利息は費用となり利益を圧縮するため、税金が安くなります。一方、資本金で調達した場合、税金は安くなりません。つまり、税金だけを考えると、負債の方が調達コストは安くなるので、資本金で調達するより有利になります。しかし、負債の比率が上がると、倒産リスクを反映して利息が高くなるので、負債での調達額を適正水準に抑える必要があるんです」

当日のスライドより

大野:「借入金額について、てこの作用、財務レバレッジでも考えてみましょう。少ない資本に負債を加えることで、てこの作用のように投下資本を増加させ、利益を計上するのが財務レバレッジです。この財務レバレッジをかけると、簡単にROE(自己資本利益率)を上げることができます。でも、財務レバレッジをかければかけるほど、業績悪化時にROEを急降下させてしまう。やはり借り入れは注意が必要です」

なお、今回の講演では大野先生のキーノートと同時に、グラフィックカタリスト山野元樹氏によるグラフィックレコーディングが行われました。これは講演内容をその場でわかりやすくイラストを交えて可視化していくというもの。

「投資はギャンブルじゃない!」本当にそうなのか?

ここまでファイナンスについてお話しいただきましたが、ここからはファイナンスを裏側から見たインベストメント(投資)についてです。

大野:「皆さんは、何か金融資産に投資していますか? 何にどれくらい、どんなふうに投資すれば一番効率的に儲かるのか、気になりますよね。『投資はギャンブルなんかじゃない!しっかりした理論がある!』という人もいます。本当にそうなのか、投資の二大流派といわれるファンダメンタルズ派とテクニカル派を見てみましょう」

当日のスライドより

大野:「株式投資で勝つには、市場に安く出回っている株を買って、本来の価値まで株価が高まった時に売る、これが投資の原則です。では、株本来の価値はどうすれば分かるのか。これを理論的に導いたのがファンダメンタル派です。この理論では、株本来の価値は『毎年の配当+割引率』と表されます。この計算式で算定された株価と市場の株価を比べて、割安になっているものを目いっぱい買えばいいのです。これをファンダメンタル投資と呼びます。ほら、株式投資はギャンブルなんかじゃないでしょう、という声が聞こえてきそうです。でも、本当にそうでしょうか? この理論はとてもシンプルで強力です。しかし、実際に計算しようとした時に問題が起こります。『ちょっと待てよ、“毎年の配当”ってなんだ?』……。そう、将来にわたってこの会社がどれくらい配当をするかなんて、誰にもわからないのです。将来の割引率をどのように予測すればいいかもわかりません。将来のことは誰にもわからないという現実が、ファンダメンタル派の限界なのです」

大野:「もう一つのメジャーな投資手法派閥テクニカル派はどうでしょう?僕らを導いてくれるコンパスになってくれるでしょうか?テクニカル投資とは簡単に言えば、株価のチャートから将来の株価を占う方法です。テクニカル派の代表的な投資手法に「移動平均線」といったものがあります。過去20日間とか30日間の株価を平均して直近の株価との関係を見るだけの簡単な手法なので、初心者でもわかりやすいと言われています」

大野:「簡単な反面、 信憑性に乏しく、本当に必勝法があったとしても私たちがそれに触れることは不可能です。なぜならば、株式市場では誰かが儲かった分、誰かが損をしなければなりません。テクニカル派の必勝法を知っている人がむざむざ教えるはずはないのです。それは自分の取り分が減ることになるのですから。投資のプロなら勝てるのでしょうか?プロの運用する投資信託の成績は、日経平均やTOPIXなどの市場インデックスを下回るといわれています。もちろん、日経平均を上回っているファンドマネージャーも中にはいますが、今日日経平均に勝ったからといって明日も勝てるとは限らないのです」

当日のスライドより

大野:「皆さんはジョン・メリウェザーという人物を知っていますか?かつて、ソロモン・ブラザーズの利益の半分を彼のチームが稼いでいたと言われ、債権の帝王と呼ばれた敏腕債権トレーダーです。このメリウェザーの発案で1994年にLTCMというヘッジファンドが運用を始めます。そのチームにはオプション価格を算定するブラック・ショールズ方程式を作り出した功績からノーベル経済学賞を受賞者したロバート・マートンとマイロン・ショールズ、元FRB副議長のデビッド・マリンズ等を集結させた『ドリームチーム』と呼ばれていました。このドリームチームは、シティバンクやマッキンゼーといった金融のプロやエリートたちから資金を集め、それにレバレッジをかけることで1000億ドル以上も運用するヘッジファンドとなりました。契約規模で言えば1.25兆ドルとも言われていました。どちらも円ではなく、ドルですよ」

日本の国家予算約300兆円と比べるとその規模の大きさがわかりますが、そうして大金を運用した結果、ドリームチーム率いるLTCMはどうなったかというと……

大野:「実は5年も経たないうちに元本のほとんどを失い、倒産しました。債権の帝王もノーベル賞受賞者も未来にわたって優秀なトレーダーであり続けられるとは限らないのです。そして、そのことを出資者である金融のプロもエリートも見抜けなかったのです。では投資は本当に勝てないのか。今、最も効率的な投資理論と言われるのが“ポートフォリオ理論”です。ポートフォリオとは保有する株式などの資産の組み合わせのことで、効率的に儲けるには、市場全体にまんべんなく投資できるインデックス・ファンドを買って、じっと待つこと。でも、それはちょっと退屈ですよね」

ローリスク・ハイリターンなのは自己投資!

では、大野先生がおすすめする投資とは何なのでしょうか。その答えは意外なものでした。

大野:「僕はいわゆる投資はしていません。ただ、一つだけ例外的に投資をしているものがあります。それは自分への投資、いわゆる『自己投資』というものです。自己投資はローリスク・ハイリターンという、金融市場では考えられない夢のような投資です。もし皆さんが100万円も投資して何かを学べば、そのリターンが5万円以下ということはないと思います。金銭的なリターンだけでなく、勉強の過程で知り合った人との出会いも大きなリターンです。自己投資の対象としては普遍的な知識・技術を学び、身に付けることをお勧めします。簿記や会計は有望な選択肢の一つだと思います」

そして最後に、大野先生からは弥報Onlineの記事についても触れていただきました。

大野:「弥生さんの運営するWebメディア『弥報Online』から「経理担当者物語」という記事を紹介しましょう。36年ぶりに経理職に就いた女性の話です。ここでわかるのは、経理はブランクがあっても復帰できる職種だということ。経理で使われる『簿記』という言語は、500年前から基本的なルールを変えずに、世界中で使われています。数年でルールが変わる業界もある中、簿記というシステムのルールは変わることなく、その知識は陳腐化しないんです。

巷では、『AIでなくなる仕事』の一つに経理があげられたりしていますが、それは単純な作業の部分のことです。財務分析をはじめ経営に役立てるための経理の仕事がなくなることはありません。AIに作業を任せることで、高付加価値な仕事により集中できるようになり、むしろ仕事は増えると思います。

将来に迷っているなら、会計をやりましょう! 簿記3級を終えたら、2級、1級、その後は税理士試験、公認会計士試験にチャレンジしてもいいですし、資格は取らなくても、管理会計、ファイナンス、投資理論、経営戦略など学べる分野は一気に広がります。ぜひ、会計を極めていただきたいと思います」

ご自身も簿記3級に人生を救われたという大野先生。会計業務の素晴らしさを再認識できるお話でした。この後の懇親会に参加してくださった弥生ユーザーの経理担当者の方々からも、「全く違う業界に転職したけど経理業務は基本的には同じだから問題なかった」「私も25年のブランクの後で経理職に復帰した」など会計を学ぶことは堅実なリターンの得られる自己投資だと、大野先生のお話に賛同の声が聞かれました。

経理担当者以外の参加者も、「自分も事業を進める中で紆余曲折ありましたが、講演を聴いてまだまだいける気がしました」(経営者)、「いい意味で予想を裏切る内容で楽しめました」(個人事業主)といった感想を述べられ、大野先生を囲んで話に花が咲く、文字通り「経理の日」の晩になりました。

パネルディスカッション「どうしてMisocaで請求業務が楽になったのか聞いてみた」

左から、植松大輝氏(研究者・エンジニア)、大西由峰氏(作曲家・編曲家)、片山昇平氏(編集者・ライター・プランナー)、大沢香織(株式会社Misoca 執行役員)

続いて、パネルディスカッション「どうしてMisocaで請求業務が楽になったのか聞いてみた」が行われました。

Misocaとは、シンプルな操作で請求業務がすぐに完了する、クラウド見積・納品・請求書サービスです。Misocaユーザーの平均年齢は30代、フリーランス、個人事業主の方が多いそうですが、今回はそんなユーザーを代表して3名の方にご参加いただきました。

「Misocaに出会う前は手書きの請求書を発行するのが面倒で少額の交通費だけだと請求しなかったり」、「慣れないExcelでの請求書作成に苦戦していた」という皆さん。今は請求書の作成だけでなく、郵送サービスを活用してさらに手間と時間を節約し、ストレスもなくなったとのこと。取引先ごとにテンプレートを変えて楽しんでおられる方も。

お三方とも終始リラックスした様子でとても楽しそうにお話しくださり、会場が何度も笑いに包まれました。仕事も経理も全て一人でこなさなくてはいけないフリーランスの方々にとって、「Misoca」はとてもありがたい存在と思っていただけているようです。

最後に、モデレータを務めさせていただいた株式会社Misocaの大沢から、「フリーランスの方にお仕事を依頼される企業様も『Misoca』を導入して、両者で使っていただくのもおすすめです。企業様側から見ると自動的に請求書が集まる感じになり、業務が効率化できます」とお話したところ、会場のあちこちで「なるほどー」というように頷いたり、メモを取っている姿が見られました。

その後は、参加者の方々と記念撮影を行い、お酒を飲みながらの懇親会となりました。参加者同士の交流も楽しんでいただきました。

今後も弥生では、お客さまに向けたイベントを開催していく予定です。気になるイベントがありましたら、ぜひお気軽にご参加ください。

撮影:黒崎健一

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