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脱・残業!『AI分析でわかった トップ5%社員の時間術』の著者から、すぐに生産性を上げる行動習慣を学ぶ

2023.02.24

著者:弥報編集部

監修者:越川 慎司

労働力不足が叫ばれ、新規人材の採用が難しくなっている近年では、社員がスキルアップし生産性を上げる必要性が高まっています。特に社員が少ない中小企業においては、なおさらでしょう。しかし、相変わらず業務量に追われ「あっという間に1日が終わってしまう」という方が多いのが現実です。

この問題を解決するためには、社員一人ひとりが意識や行動を変革し、働き方を変えることが必須です。そこで今回は『AI分析でわかった トップ5%社員の時間術』著者である越川 慎司さんに、残業から抜け出し、生産性を上げるための行動習慣についてお話を伺いました。


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中小企業が残業を減らすためのポイントは?

働いていると、目の前の仕事をこなすだけで1日があっという間に終わり、「結局今日も残業……」となることも多いと思います。中小企業の場合、どのようにして残業減らしていけばよいのでしょうか。

結論から言えば、中小企業は時短術(例えば100分でやっていた作業を80分で終わらせること)をいきなり目指してはいけません。中小企業、特に経営者が目指すべきは時間術です。

時間術とは「そもそも、この作業は必要かどうか」を考えるところから入ります。必要な作業、必要な業務、必要な会議や資料の作成をいかに減らしていくかが重要です。つまり、棚卸しが非常に重要であり「この作業は不要」と決めるのが一番の時間術です。業務の棚卸しが完了した後に、どのように取り組むべきかアプローチ方法を具体的に検討します。

統計データなどを確認してみると2024年、2025年には中小企業の人手不足は危機的な状態になると予測されていますから、中小企業は今すぐ取り組むべきと考えてください。今この瞬間から時間管理を改善しないと、2~3年後に会社がまわらなくなる可能性は高いという危機感を持って取り組んでください。

時間が足りなくなる理由は、組織と個人の両方にあります。中小企業のビジネスモデルとして多いのが「働けば働くほど、売上が上がる」という労働集約型で、例えば、サービス業や医療などの労働を売るタイプの業態が当てはまります。この場合、労働時間を減らすと売上は下がってしまいます。ビジネスモデルを大きく変えずに残業を減らすためには、組織と個人の両方による施策の実践が必要です。

生産性が上がらない!その理由を知ろう

自分なりに工数削減のために工夫をしている社員もいると思いますが、うまくいっていないケースが多いと推察されます。なかなか生産性が上がらない理由は、どこにあるのでしょうか。

中小企業の管理職の方がしがちな「3つの誤解」が、社員の生産性アップを妨げているケースが多くあります。

1つ目の誤解は「しっかり管理すれば、しっかり成果が出る」というものです。

管理すれば成果が上がるというのは、昔のビジネスモデルですね。「これをやっていれば。右肩上がりで売上が上がる」という、20年前の日本では、これでもOKでした。この時代に若手だった方が、現在は中間管理職なので、答えの出し方がわからないのでしょう。

現在、取り組むべきは業務の「見える化」ではなく、現場に自由と責任を与えて業務を「見せる化」することです。例えば、部下から「今月は〇〇の業務を行いますが、進捗率60%程度で予定どおり進捗しています。木曜日には終わる予定です」と伝えてもらうことで、上司からの「どうなっているの?」という質問は圧倒的に減ります。

つまり業務の見せる化を徹底することによって、報告業務を減らし、成果を出しやすくすることが可能です。

2つ目の誤解は「仕事効率を高めれば、残業を減らすことができる」というものです。これは先ほどの時短術の話と同じで、何をやめるかを決めて必要な業務の効率を高める必要があります。

例えば、必要のない資料を作る時間は、30分でも5分でも費やしてはいけません。本当にやるべき仕事に時間を割くために、棚卸しを行うことが重要です。

3つ目は「部下はいつでも、高いモチベーションを持って作業に取り組んでいる」という誤解です。部下のやる気をあてにしてはいけません。

「やる気があるときだけ仕事がうまくいく、というのでは成果を出し続けることができない」とトップ5%社員たちも言っていました。しかし、彼らはやる気をあてにせずに、初動を速くするしくみ作りをしていました。

例えば、コーヒーを飲んでから仕事をする、出社したらトイレに行って仕事をするなど、作業前のルーティンで開始のスイッチを入れるわけです。従業員自身が、自動的に仕事モードに入るためのしくみ作りができていないと、成果につなげるのは難しいでしょう。


生産性の高い「トップ5%社員」と、その他「95%社員」の違いは、どのような点にあるのでしょうか?

トップ5%社員とその他95%社員の違いは、大きく3つあります。

1つ目は、仕事への取り掛かりのスピードです。95%社員は圧倒的に仕事への取り掛かりが遅い一方で、トップ5%社員はすぐにスタートします。仕事は初動が重要です。95%社員は仕事の初動を早める必要があります。

成果が出ない95%社員の中には、初動の段階で入念な調査をする方がいます。100%の情報を求めると、途中で不安になって何度も調べてしまう傾向がありますが、実際には100%の情報など世の中にはありません。それを理解し、70%程度の精度で進めるようにしたほうが、効率が良いということです。残業沼にはまっている方は、Google検索の回数が多いことも弊社の調査でわかっています。

2つ目は、修正しながら進めることです。70%の精度で調べ、20%程度の進捗状況で上司と部下の間で確認しながら修正していくことが大切と考えてください。「イメージは合っているか」と、途中ですり合わせを行ったほうが営業成績が高く、稟議も通りやすいという調査結果もあります。ぜひ、70%の精度で初動を早めてください。

3つ目の違いは、納期に間に合わせるだけでなく、次のタスクの初動も早いことです。仕事のスピードが遅い方は、力を使い尽くしてギリギリ納期に間に合っても、次のタスクのスタートが遅れてしまうケースが散見されます。仕事は次から次へと発生するため、前のタスクが遅れてしまうと次のタスクを始めるタイミングも遅れてしまうのです。この繰り返しによって、残業の沼にはまってしまいます。

一方、トップ5%社員は仕事へのとりかかりが早く、かつ終わらせるのも早いので、次のタスクへの余力がある状態となるわけです。そのため、次のタスクでもスタートダッシュがしやすくなります。

なお、トップ5%社員については、以下の記事で詳しく解説しているので併せてご確認ください。

『トップ5%社員の習慣』著者に聞く、中小企業の生産性を上げる社員育成方法|弥報Online

トップ5%社員が行っている「行動習慣」

生産性の高い社員が実践している行動習慣を、いくつか紹介してください。

生産性の高い社員は「3つの行動習慣」を実践していることがわかっています。

1つ目は「積極的にため息をつくこと」です。

「ため息」はネガティブなイメージがありますから、意外に感じる方も多いのではないでしょうか?隣でだれかがため息をついたら、周囲のモチベーションは下がるような気がしますが、実は彼らはため息を仕事開始のスイッチとして活用しているのです。

苦手なものに取り組むとき、それを口に出してスタートすることで、脳の働きや精神的な落ち着きをもたらす効果が期待できます。例えば、苦手な業務は初動の対応が遅れがちなので「エクセル苦手だけどやるか」と口にすることで、脳を騙すことができるのです。

また、オフィスで「エクセルのグラフ作るのは苦手だけど、やるか!」と口に出すことによって、周囲の従業員が「お手伝いしましょうか?」と言ってくれる場合もあるでしょう。この場合、自分からも「これ手伝うよ!」とギブ・アンド・テイクができるので、仕事の開始スイッチを強制的に入れられます。ため息は、自分の仕事開始スイッチを強制的に押すだけでなく、周囲の従業員を巻き込む力に変えることもできるので、ぜひ実践してみましょう。

2つ目の行動習慣は「作業途中でも一度手を止めること」です。

具体的には、45分集中して作業したら休憩して、また45分集中して作業をします。気分が乗ってくると2時間も3時間も作業をしたくなるものですが、45分で作業を一度止めることで、集中できる時間を長くすることが可能です。

実際に3時間続けて作業をする人と、45分作業して5分から10分程度休憩する人を比べたところ、後者のほうが集中できる時間は長くなるという結果になりました。

残業になる理由の1つが、作業興奮です。パワーポイントやエクセルで資料を作っていると、しだいに楽しくなってきて、何のために作っているかわからなくなる状態に陥ります。

つまり作業の目的を見失うので、一度休憩して目的を思い出し「これならパワーポイント3枚でOK」などと冷静な判断ができ、本当に必要な作業か否かに気づくことができるのです。

3つ目はテレワーク限定になりますが「机の上に大容量の飲み物を置かないこと」です。

テレワークのとき、机の上に750ml以上の飲み物を置いてしまうと、机から動かなくなります。動かない状態が続くと代謝が悪くなって眠くなったり、集中できなかったりする原因になりますから、注意が必要です。

飲み物を飲むときは冷蔵庫に行く、その後トイレに行くといったルート作りを心がけましょう。体を動かして代謝を良くすることによって、作業の邪魔になる眠気を排除することが大切です。また、休憩をするタイミングを掴むことにもなります。朝でも夜でも残業中でも、意識的に立ち上がって水分を取ることをおすすめします。

トップ5%社員が実践していたこれら3つの行動習慣は、かなり再現性が高かったものなので、ぜひ読者の方々にもまねをしていただければと思います。

一般社員、特に中小企業の社員の方にまねしてもらったところ、再現確率89%以上だったのでおそらく効果があるものだと思われます。

残業脱却の鍵は「経営層が全社員を巻き込む」こと!

経営層が社員を巻き込み、会社全体で時短するための方法を教えてください。

個人でもできることは多いですが、会社全体で時短に取り組むのであれば、特におすすめの方法が4つあります。それは「チーム時短」です。

チーム時短で一番おすすめの方法は、会議改革です。働く時間の45%が社内会議なので、これを減らさない限り、残業を減らすのは難しいでしょう。日中ずっと会議をしている場合、求められたアクションは残業でこなすしかありません。

会議改革で最も効果が出やすいのは、60分の会議を45分に短縮することです。50分など、他にもいろいろ試してみましたが、一番効果が高かったのは60分会議を45分に短縮したケースでした。

事前にアジェンダを出して、ファシリテーターと呼ばれる仕切り役を準備すれば、実現できるでしょう。60分を45分にするということは、単純に社内会議が25%減ることと同じです。

2つ目のチーム時短方法は、リアルタイム議事録です。議事録は会議参加者のうち、たったの2.8%しか見ていないという驚愕の事実が確認できました。つまり、ほぼだれも見ていません。

ということは会議に出席しなかった人が、何がどのようなプロセスで決まったかを把握できることが、リアルタイム議事録の目的となります。

OneNoteやNotionなどのITツールを活用して、箇条書きした内容をオンラインで共有し、URLをクリックすれば見られる形にしておきましょう。会議に遅れてきた方も、一読するだけで全体の流れを把握できます。

そして会議の最後に、1分だけリアルタイム議事録を確認する時間を作って意見を募ります。訂正が入った部分だけ修正すれば、議事録は完成です。

3つ目は、相手のメリットを依頼前に5分考えることです。相手を巻き込みたい場合「べき論」だけでは実現できません。「これを実施することで、あなたも得をします」というメリットを同時に提案することで、相手の協力が得やすくなります。巻込力を行使するときには、相手が得になることを考えて発言することが大切です。

そして4つ目は、逃げ道(挽回策)を作っておくことです。今は成功か失敗かではなく、失敗の先に成功があるので、行動実験したことを褒めなくてはいけません。つまり、成功を目指してはいけないということです。

行動実験を行って、失敗したら戻ってよいという逃げ道を準備します。例えば45分会議にして駄目だったら、60分会議に戻すプランBを準備しておくわけです。プランBがあれば、行動実験に進みやすくなるので、成功に近づけます。小さな行動実験から始めなければ、業務変革は絶対に成功しないのです。


具体的に、すぐ実践できる行動習慣があれば教えてください。

過去の浪費を受け入れる「Accept」(受け入れ)と、行動を早め、継続するしくみを作る「Build」(構築)という行動習慣をぜひ取り入れてください。この2つを導入することで、残業から抜け出すことは可能です。特にまず取り組んでほしいのが「Accept」です。

だれしも「この作業は無駄だ」と思って仕事はしていません。しかし、振り返りをすることで、結果的に無駄だったことに気付くことができます。例えば、派手なパワーポイントやエクセル、会議のための会議などが無駄だということは、振り返りを行わなければ気付けないでしょう。

中小企業の仕事時間の内訳を確認すると、約7割の時間を社内会議と資料作成、メールの処理に費やしていることがわかります。この3つは、振り返らないと成果につながったかどうかが、わからないタスクです。

例えば「あの会議必要なかったな」「この検索は、しなくてもよかったな」といった振り返りを行いましょう。

ただし、振り返りの際には自己否定せず「パワーポイントのスキルが上がってよかったね!」と自己効力感も高めつつ、これはやめようといった感じで進めることが大切です。この作業を「内省」と呼びます。

1週間に15分でよいので、内省の時間を設けてください。可能であれば、休み前の金曜日がよいでしょう。

具体的には毎週金曜日の午後3時に仕事から手を離し、カレンダーを眺めながら、会議資料やメールでどのようなことをやったのかを振り返ります。コーヒーを飲みながらでも、問題ありません。内省を実施するだけで、無駄な時間が11%減ったという調査結果があります。無駄に気付くので、すぐに行動が変わるのです。

Acceptに続いて、取り組んでほしいのが「Build」です。「Build」とは、無駄を止めるためにどうしたらよいのかを考えることです。

リソースが少ない中小企業だからこそ、無駄なことをしないためのしくみづくりを行うBuildが大変重要です。周囲を巻き込む「巻込力」を特に意識して、しくみづくりを進めてください。リソースが少ない中小企業だからこそ、社内だけではなく社外の方を上手に巻き込んでいくことがコツとなります。

例えば、提案書を進捗20%程度の状態で、お客さまに「イメージは合っていますか?」と確認する方法などが有効です。これを実践するだけで資料の差し戻しが70%程度減少し、提案書は成約率が22%も上がります。「もう少しデータ入れてください」と言われて、その通りにやれば、相手側が望むものにより近いものをしあげることができ、差し戻されることが減るのです。

巻込力が重要な理由は、現在が共感・共創の時代になったという背景があります。お客さま自身も課題に気づいていないことが多いので、一緒に解決していこうという巻込力は歓迎されやすいでしょう。お客さまと一緒に解決するというスタンスが、これからの中小企業には求められます。


最後に、読者の皆さまへメッセージをお願いいたします。

「残業が多い。なんとかしよう」と考えることは、チャンスだと思います。気づかずに残業を続けていることが、一番の問題だからです。気づいたときには社員が体調を崩していたり、会社の経営状態が悪化したりすることが、最もまずい状況だといえるでしょう。

そのような事態を避け、効率よく仕事を進めるためには、しかるべき行動習慣があります。意識付けをするだけで大きな効果が期待できますから社内で共有し、トライしてみてください。


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この記事の著者

弥報編集部

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この記事の監修者

越川 慎司(株式会社クロスリバー 代表取締役社長)

国内通信会社などを経て、2005年にマイクロソフトに入社。業務執行役員としてPowerPointやExcelなどの事業責任者を務める。2017年に株式会社クロスリバーを設立。創業当初から全メンバーが週休3日、複業、7時間睡眠を実践。約700社の中小企業に対して年間400件以上のオンライン講座を提供。著書『トップ5%リーダーの習慣』など30冊。フジテレビ「ホンマでっか!?TV」などメディア出演多数。

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