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【教えて吉田先生!】経営者・経理担当者なら知っておくべき「信用保証協会から嫌われるNGな行為」とは

2022.04.07

著者:吉田 学

多くの小規模・中小事業者は、民間金融機関から融資を受ける際に信用保証協会を利用しているのではないでしょうか。公的機関である信用保証協会が債務を保証してくれることで、金融機関から融資を受けやすくなります。ですから、事業者はできればネガティブなイメージを持ってほしくないと思っているでしょう。

しかし、事業者の何気ない行為で信用保証協会から嫌われてしまうことがあります。例えば、取引先の金融機関を一切通さずに信用保証協会に何度も繰り返し、当然のように直接融資相談や交渉をしたり、というのも嫌われる行為の1つです。

今回は、どのような行為が信用保証協会から嫌われるのか、注意してほしい行動について、財務・資金調達コンサルタントの吉田先生に伺いました。


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信用保証協会とは何ですか?

信用保証協会とは、事業者が金融機関から事業資金を調達する際に保証人となり、融資を受けやすくなるようサポートしてくれる公的機関です。これから創業する方や実績の乏しい小規模事業者などの場合は、信用保証協会の債務保証がおりて初めて、銀行や信金、信組などの金融機関から融資を受けられます。

〈参考〉
信用保証協会の基礎知識「スモールビジネス事業者が利用する際の注意点」|弥報Online

信用保証協会は各都道府県および一部の政令指定都市にあります。事業者の方の中には、「万が一、取引している信用保証協会と金融事故などを起こしても、移転などをして他の都道府県の信用保証協会を利用すればよい」と考えている方もいるようです。しかし原則として、金融事故などの情報に関しては信用保証協会間で共有していますので、判明してしまう場合もあります。

つまり現在、取引している信用保証協会との間で問題などを起こしたりすると、他の信用保証協会の利用も困難になる可能性が高いのです。小規模・中小事業者が信用保証協会を利用できないと、金融機関からの融資がほぼ閉ざされてしまうといっても過言ではありませんので、十分に注意して取引をするようにしましょう。

取引先の金融機関を通さずに、信用保証協会に融資相談や交渉を直接しても問題はありませんか?

原則として、取引先の金融機関を窓口として信用保証協会を利用するようにしてください。金融機関から「信用保証協会から保証がおりないので、融資できません」と言われた時などに「できれば信用保証協会のご担当者に直接交渉したいのですが、よろしいでしょうか?」と一言、担当者に伝えるようにしましょう。そうすれば、担当者によっては信用保証協会につないでくれます。

一部の事業者には、金融機関を通さずにいきなり信用保証協会に直談判する方がいます。これは金融機関の担当者ばかりでなく、信用保証協会としても困ってしまうケースとなります。決して、信用保証協会が直接相談には応じない、ということではありませんが、まずは金融機関を通すようにしてください。

当たり前のようにいつも信用保証協会に直接相談ばかりしていると、信用保証協会としても業務に支障が出かねません。そうなると、信用保証協会からは「面倒な事業者さん」という捉え方をされてしまう可能性も否定できません。細かいことかもしれませんがネガティブイメージを抱かれないような配慮は必要と考えましょう。

信用保証付き融資で借りた資金があり余っているので、他の返済などに流用しても大丈夫でしょうか?

資金の使途を守らずに融資金を別のことに使うことを「資金使途違反」といいます。信用保証協会や金融機関が最も嫌う行為です。資金使途違反とみなされると、一括返済を要求される場合もあります。一括返済を要求されなくても、今後、融資を受けられなくなる場合もありますから、非常に危険です。

特に借りた資金をそのまま金融商品に投資したりする事業者がいますが、十分に気を付けてください。直近の事例ですと、コロナ感染症特別貸付などで借りた資金を金融商品などに投資してしまうケースがあるようですが、これも基本的には資金使途違反です。

また「転貸」つまり「又貸し」にも、十分に注意してください。特に、過大に知人の会社に資金を貸し付けたり、経営者自らに貸し付けるようなケースです。「知人に貸し付けた資金原資は、今回借りた資金ではない」と主張する事業者も多いのですが、要は、貸し手側がどう判断するかなのです。

「転貸」は、基本的には資金使途違反に該当する可能性が高いです。「資金使途違反」をしてしまうと、取引先金融機関からも嫌厭されるようになり、さらに信用保証協会からも嫌がられるようになってしまって、その後、利用できなくなるかもしれません。

信用保証付き融資でプロパー融資を返済しても大丈夫ですか?

信用保証付き融資でプロパー融資を返済することを「旧債振替」と言います。信用保証協会は、事業者の資金調達を円滑にするために信用保証を行っていることから、単なる金融機関の債権回収に充当される旧債振替を制限し、違反した場合には保証債務の履行責任を負わないもの(いわゆる免責)としています。

万が一、金融機関から「信用保証付き融資を借りて当行のプロパー融資を返済してもらえませんか?またすぐに追加融資を検討しますので、取引先の金融機関を通さずに、信用保証協会に融資相談や交渉を直接しても問題はありませんか?」というような主旨の提案をされたら、「それは旧債振替に該当しませんか?」と質問してみてください。旧債振替は免責事由なので、金融機関としても注意しなくてはいけないことなのですが、それよりもプロパー融資の回収に重点を置いてしまう事例もあるようです。

旧債振替は原則として禁止されていますので、今後、信用保証協会からの保証を受けることが困難になる可能性が高いと言えるでしょう。

信用保証付き融資の返済が厳しいので、代位弁済してもらいたいのですが、問題はありますか?

「代位弁済」とは、事業者が信用保証協会の保証付きで借りた融資を返済できない場合、信用保証協会が金融機関に代わって返済を肩代わりする制度のことを言います。その後は、信用保証協会が事業者に弁済を求めていくことになりますので、債務が帳消しになるわけではありません。

一度、代位弁済が実行されると原則として、その事業者は弁済が終わるまで信用保証協会の利用ができなくなります。よって、民間の金融機関から融資を受けることが困難になります。もちろんプロパー融資なら金融機関の独自の判断ですので、可能性はありますが、代位弁済がされたばかりの事業者にプロパー融資をする金融機関は皆無だと思われます。

以上、いくつかの注意すべき行為について説明しました。こういった行動は、同時に取引先の金融機関からも嫌われてしまう要因にもなり得ます。小規模・中小事業者が信用保証協会の利用ができなくなるということは、資金調達に大きな支障をきたしますので十分に注意してください。

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この記事の著者

吉田 学(よしだ まなぶ)

財務・資金調達コンサルタント
株式会社MBSコンサルティング 代表取締役。1998年の起業以来、「資金繰り・資金調達支援」に特化して創業者や中小事業者を支援。これまでに1,000 社以上の資金調達相談・支援を行い、その資金調達支援総額は20億円超。主な著書に、「社長のための資金調達100の方法」(ダイヤモンド社)、「究極の資金調達マニュアル」(こう書房)、「税理士・認定支援機関のための資金調達支援ガイド」(中央経済社)、「税理士だからできる会社設立サポートブック」(第一法規)などがある。
また、全国の経営者・士業などを対象にした会員制の資金調達勉強会「資金調達サポート会(FSS)」を主催している。

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