- 業務効率化
今さら聞けない!クラウドの“超”基本と、中小企業にとってのメリット
2016.12.21
近年では、インターネットではもちろん、テレビや仕事でも「クラウドサービス」とか「クラウド」という言葉を目にしたり聞いたりする機会が多いのではないでしょうか? しかし「クラウドって本当に安心なのか?」「使ってみようにも、何がどうなっているのか仕組みがわからない」とお困りの方もいらっしゃるでしょう。
でも安心してください。クラウドは、皆さまが「クラウドサービス」だと気がつかないうちに利用しているほど、すでに皆さまの身近に浸透しているのです。
ということで今回は、クラウドサービスとはどういうものなのか、日常の業務でも使って大丈夫なのかなど、今さら聞けないクラウドの基本についてお話をしましょう。
目次
そもそもクラウドってなんなの?
クラウドとは、正しくは「クラウドコンピューティング」の略です。簡単に言うと、Officeなどのソフトや業務データなどをインターネット上に置いて処理し、インターネットを通じて情報をやりとりしようという考え方のことを表します。
このクラウドという考え方は最近生まれたわけではなく、実はコンピューターの黎明期から考え方としては存在していたのです。当時はインターネットもないため、現在のような形ではありませんでしたが、企業によってはサーバーを設置して、手元にあるパソコン(クライアント)からサーバーにデータを送ったり、パソコンからサーバーを操作してデータを処理したりしていました。クラウドの原型のようなことは、ずっと以前から存在していたのです。
それが地球規模に拡大してきたのが、インターネットが普及し、通信速度が飛躍的に向上した2000年代の中ごろです。GoogleやAmazonといったインターネット企業がクラウドサービスのためのデータセンターを立ち上げ、「クラウド」の名前が広がり始めました。
<用語解説>
- クライアント:手元にあり自分が操作するパソコンのこと
- サーバー:ネットワーク上で情報を蓄積し、クライアント側の操作によって情報を処理して結果を提供するシステム
- データセンター:サーバーを大量に設置した施設のこと
なぜ「クラウド」という言葉が使われたのかは諸説あるようですが、「クラウドコンピューティング」という言葉を最初に使ったのは、2006年当時GoogleのCEOだったエリック・シュミット氏と言われています。また、昔から「インターネット上」をイラストで表現する際、ネットワークがつながった先を地球や雲で表現してきました。クラウドという名称はその名残とも言われています。
身近になったクラウドサービス
今の時代、仕事でもプライベートでも、インターネットへ接続せずにパソコンを利用することはほとんどありません。このため、皆さまも知らず知らずのうちにクラウドサービスを利用していることでしょう。
例えば、メールサービスのGmailやYahoo!メール。ブラウザー上でメールを見たり書いたりして作業をしますが、メールを送信したり受信したりという処理は、すべてクラウドサービスを提供しているデータセンターで行なわれています。もちろんメール自体もデータセンター上にあります。私たちは、データセンターで処理された「結果」をブラウザー上で見ているだけなのです。
<用語解説>
ブラウザー:Internet Explorer(IE)やChrome、Edgeといったインターネットへ接続して閲覧するソフトのこと
データセンター上にメールがあることで、パソコンからでもスマートフォンからでも、メールの未読・既読が共有でき、いつでもどこからでもメールを確認・処理できます。従来のメールソフトをインストールするタイプのシステムの場合は、サーバーからメールを受け取ってしまうと、受け取ったパソコンでしか見られず、スマートフォンでは活用できません※。こうした利便性が、クラウドサービスを活用するメリットだと言えるでしょう。
※サーバーに残す方法もあるが、未読・既読情報はない。サーバーに残したままメールを見られる設定方法もあるが、ここでは割愛する。
ほかにも、身近にクラウドを利用しているシーンはたくさんあります。運送業者のサイトで配達状況の確認をするのも、ショッピングサイトで商品を購入するのも、銀行のオンラインバンキングも、すべてクラウドサービスの一種です。
さらにマイクロソフトは、これまでデスクトップソフトとして販売していたWordやExcelなどの「Office」を、今は「Office365」というクラウドサービスとして提供しています。ブラウザー上でOfficeソフトと同様の操作が行え、メールに添付されたファイルを直接編集できたり、いつでもどこでも作業ができたりするメリットがあります。ただ、従来通りデスクトップソフトも提供しており、作業内容や利用シーンによって、どちらも使い分けられる時代になっています。
例えば、皆さんの社内で、ほかの従業員たちとファイルを共有するとしましょう。クラウドサービスを利用しないと、USBメモリーなどにデータを入れて、ファイルを手渡しして作業しなければなりません。さらに従業員のパソコンごとにファイルが存在することになり、ファイル内容を更新した場合には、その都度ファイルをやり取りする必要があります。
一方クラウドサービスを利用すれば、クラウド上に置かれたファイルを従業員みんなで共有し、閲覧・編集ができるので、誰が中身を更新しても常に最新の状態が見られます。このようにクラウドサービスを活用した方が、圧倒的に作業効率が良いのです。
実はセキュリティがしっかりしていて安心
このように利便性が高く、ますます普及しているクラウドサービス。しかし「大事な情報をクラウドに保管するのは、セキュリティ上の問題があるのではないか?」という話題もよく取り上げられてきました。
不安に感じる理由として、「そもそもクラウド上ってどこ?」という疑問があると思います。雲の絵が描かれてモヤモヤっと誤魔化されている気分になるのも理解できます。パソコンにインストールするタイプの製品であれば、その利用データは自分のパソコン内に存在しているのが確かなので、その方が機密性が高いと感じる人もいるでしょう。
では実際のところ、クラウドは安全なのでしょうか?
ズバリ回答しますと、特に最近のクラウドサービスは非常にセキュリティが高く、安全です。
先述の通りクラウドサービスでは、データセンターにデータが保管されています。そしてインターネットを通じてデータをやり取りするわけですが、このとき通信上のデータは暗号化されるため、たとえ盗み見ようとしても解読は難しく、データセンターのサーバーを管理している人たちですらデータが何なのかはわかりません。さらに、サーバー内のデータはしっかりバックアップをとったり、複数のデータセンターに保存されたりして、万全の体制が整えられています。
これは「銀行預金」と「タンス預金」の関係によく似ています。大事な事業資金は自分の手元で管理するより、銀行へ預けていた方が安心ですよね。クラウド上にデータを預けるとはそういうことなのです。
<参考>
弥生のオンラインサービスは、マイクロソフトが提供する「Microsoft Azure」というクラウドサービスを利用しています。Microsoft Azureのデータセンターは24時間365日ずっと監視されており、自社だけでは守りきれない安心と、使い勝手の良さを提供しています。
初期投資が抑えられるクラウドは、中小企業こそ活用すべき!
こうしたクラウドサービスを利用するのは、初期投資を抑えられるというメリットもあります。自社でサーバーを用意する必要がないため、ハードやソフトを購入したり、トラブルや故障時の手間やコストからも解放されます。最近では無料で提供しているクラウドサービスもたくさん出てきており、すぐに利用することができます。
また初期投資がない分、失敗したときのリスクも低く抑えられます。万が一サービス利用をやめたい場合に、「せっかく大きな投資をしたのに…」という思いに引きずられることなく、すぐにやめられるというのは、中小企業にとって大きな安心材料ではないでしょうか。
このようにクラウドサービスは、中小企業にこそメリットが大きいと言えます。
クラウドサービスは現代のビジネスにとって、切っても切れない関係にあります。こうした新しいサービスの形態をどんどん取り入れていくことで、時代の変化に取り残されないようにすることが、事業を存続させていくいちばんの近道です。クラウドサービスをうまく活用し、作業効率を向上させることで、ビジネスをさらに加速させていきましょう!
この記事の著者
飯島 範久(いいじま のりひさ)
フリーの編集・ライター。1992年にアスキー(現KADOKAWA)へ入社し『DOS/V ISSUE』や『インターネットアスキー』『週刊アスキー』などの編集に携わる。2015年に23年務めた会社を辞めフリーとして活動開始。PCやスマホはもちろん、ガジェット好きで各種媒体に執筆している。
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