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「責任者を出せ!」と言われたら?クレーム対応のコツとNG行為をプロに聞く

商品やサービスを顧客に提供する企業にとって、切っても切れない業務の一つがクレーム対応です。

クレーム対応は顧客と直接接点が持てる貴重な機会ですが、一つ間違えると企業側が大きなダメージを受けかねないシビアな業務でもあります。だからこそ、適切にクレーム対応ができる体制構築は必須です。

そこで今回は、電話・メールでのクレーム対応のコツや絶対してはいけないNGな行為、クレーム体制の構築のポイントなどを、数々のコールセンターサービスを展開しているトランスコスモス株式会社のご担当者にお尋ねしました。


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トランスコスモス株式会社

トランスコスモスは1966年の創業以来、優れた「人」と最新の「技術力」を融合し、より価値の高いサービスを提供することで、お客さま企業の競争力強化に努めている。現在では、お客さま企業のビジネスプロセスをコスト最適化と売上拡大の両面から支援するサービスを、アジアを中心に世界30の国と地域・170以上の拠点で、オペレーショナル・エクセレンスを追求し、提供している。また、世界規模でのEC市場の拡大に合わせ、お客さま企業の優良な商品・サービスを世界48の国と地域の消費者にお届けするグローバルECワンストップサービスを提供している。トランスコスモスは事業環境の変化に対応し、デジタル技術の活用でお客さま企業の変革を支援する「Global Digital Transformation Partner」を目指している。トランスコスモス株式会社


表面的な解決で済ませていない?お客さまの心に寄り添うクレーム対応のコツ

――クレーム対応に課題を感じている企業は多いと聞きます。その原因は何だと思いますか?

表面的な解決で済ませようとすることが原因と考えられます。

クレームには、お客さまのご意見を本質的に理解したうえで対応する必要があります。ですが、多くの企業はなかなかその域まで到達せず、目の前で怒っているお客さまの感情を鎮めることに注力してしまう傾向にあります。例えば、お客さまから「商品を返品したい」とクレームが入ったときに、即対応したほうがいいと考えて、事情をよく聞かないまますぐに返品に応じたとしましょう。しかし、その態度に「対応に心がこもっていない」と、かえってお客さまの怒りを買ってしまうケースもあるのです。


――クレームに対して表面的な解決で済ませようとしたときに起こりやすい事象を教えてください。

弊社の研修でオペレーターに伝えている、クレーム対応で起こりやすい2つの事象を紹介します。

1つ目が、問題の根本解決を行わず放置してしまうケースです。

例えば「この製品がうまく使えません」といった事象を、そのお客さまの個別問題として取り扱ってしまい返品対応を行うケースが挙げられます。商品やサービスに問題や課題がある場合は、大元の原因を改善しなければクレームが減ることはありません。

したがってクレーム対応を行う場合には、提供している商品やサービスに問題や課題がないかまで、掘り下げて分析や集計を実施する必要があります。

2つ目は問題解決を急ぐあまり、お客さまの気持ちの受け止めが乏しくなるケースです。

例えば「早くしてください」「すぐ何とかしてください」といったリクエストをオペレーターが受けた際、問題解決を急ぐあまり、すぐに返金対応してしまうことが挙げられます。お客さまのクレームに対して「はい、かしこまりました」とすぐに対応してしまうと、お客さまの気持ちの解決ができないため「金だけ返せばいいと思っているだろう」という印象を与えてしまう可能性が高いです。


――電話でのクレーム対応のコツや注意点を教えてください。

まずお客さまがどのような要件でお電話をくださったのか、しっかりと内容確認することが大前提です。

具体的には、お話を伺いながらお客さまの気持ちをしっかりと受け止めます。気持ちを受け止めていく中で、原因がだんだん特定できていきますので、それに対する謝罪をしっかりとしたうえで、解決策・代替案の提示という流れで進んでいきます。

すべて問題が解決したら、最後はクロージングです。最後にお詫びをすることはもちろん、お電話をくださったことに対するお礼の気持ちをしっかり伝えていくことが大切ですね。

  • 電話対応時の注意点

電話対応のポイントは、オペレーター個人の力量に任せるのではなく「こういうクレームが発生したら、企業としてどう対応するのか」という方針を決めておくことです。

例えば、お客さまによっては「上司に代わってほしい」など、上席対応を希望される方もいらっしゃいます。どのタイミングで代わるのか、例えばここまでのご要望があったら上席対応するなど、対応交代のルールなども事前に明確化にしておくことが大切です。

また、電話の場合はなかなか繋がらずお客さまをお待たせしてしまうこともあります。もし、お客さまをお待たせしているのであれば、そのことに対するお詫びをしましょう。

お客さまがお話になっているときは、決して言葉を遮らないことも大切です。よくあるクレームについては、事前にロールプレーイングなどを実施しておくと、落ち着いて対応ができるでしょう。


――メールでのクレーム対応のコツや注意点を教えてください。

基本的な対処のフローは電話と同じです。ただし、即時のレスポンスが無いため、お客さまの背景や行間を想像して、先回りした文章を構成する必要があると考えてください。

メールのクレーム対応では、基本的に2~3回のやりとりは必ず発生します。お客さまのお手をわずらわせることになってしまうので、メールの冒頭に「状況をはっきりと理解させていただきたいので、設問数は多いですが、こういったところ教えてください」という文章を付けて送信する点がポイントです。

  • メール対応時の注意点

メールの場合、深夜を含めてお客さまは24時間いつでも送信が可能です。営業時間後の場合、返信が翌日になるなど、必ずリードタイムが発生します。そのため、時間に対する配慮やお詫びの気持ちを示すことが大切であると、オペレーターには指導しています。

また、文字のコミュニケーションは、コピペをすればSNSなどへ簡単に展開できてしまうので、その点にも注意が必要です。弊社ではダブルチェックを実施するとともに、決まりきった部分に関してはテンプレートを用意して、間違いのない文章を各オペレーターが作成できるような環境を構築しています。


――クレーム対応には、どのような心構えで臨むべきでしょうか?

まず、ご意見をおっしゃってくださるお客さまは、不満を感じたお客さまの中の一握りだと理解しましょう。

それ以外のお客さまは商品やサービスに不満を感じられると、そのまま離れていってしまう方が大半なので、クレームをおっしゃってくださるお客さまが「なぜそこまで言ってくださるのか」という部分を考える必要があります。そして「なぜ」を追求していくと、商品やサービスに対して「もっとこうしてほしい」「もっとこういう使い方をしたい」という期待が必ず含まれています。その期待を受け止め、解決することによって、お客さまがロイヤルカスタマーになっていきます。

また、クレームには商品やサービスの不都合に気付くヒントが多く隠されています。そのため企業が成長していくうえでも、クレーム自体にポジティブな気持ちを持つことがとても大切です。

心構えとしては、誠心誠意対応することはもちろん、結論を急がずにお客さまの気持ちを受け止めることが大切と考えましょう。お客さまの気持ちに寄り添おう、最善の解決策を提案していこうという気持ちで臨むことが大切ですね。


――オペレーターの中には、アルバイトやパートの方もいると思いますが、こうした心構えを腹落ちさせるためには何をすればよいのでしょうか?

我々が研修で必ず伝えるのは、お客さまの立場に立って、お客さまの気持ちを想像してもらうことです。

我々もクレーム対応を行うときは企業側の立場ですが、普段はユーザー側として商品やサービスを使っています。しかし、その気持ちを企業側の立場からは、なかなかイメージしにくいものです。「お客さまはどうしてお電話をくださったのか」といった部分に注視して、自分自身で考えてもらうことによって、だんだんイメージができてくるような感じですね。


――お客さまとオペレーターの年齢層の違いでクレームの対応方法は変わるのでしょうか?

実際に弊社で働いている従業員は、高齢者から若年層までいます。しかし、若年層のほうが多いので、高齢者が抱えている特有の事情を若年層のオペレーターが理解できず、お客さまとトラブルに発展してしまうパターンがあります。

そのため弊社では高齢者の目線の動き方や、どこが見えづらい、動かしづらいといった部分を教えています。例えば、若年層のオペレーターが高齢者のお客さまに対して「右上を見てください」と伝えたところ、お客さまが気づかずに話がちぐはぐになって「オペレーターの言っていることがわからない」というクレームに発展したケースもありました。

したがって、弊社では若年層の身体能力と、高齢者の身体能力のギャップが原因で発生するコミュニケーションエラーに関しても、研修で時間をかけて教えています。

「責任者を出せ」「誠意を見せろ」ありがちなケースにはどう答える?良い対応とNGな対応

――以下のクレーム対応によくありがちなケースについて、それぞれどのように対応するべきか教えてください。

  • 「謝れ」と言われた場合

お客さまが謝罪を要求される場合は、なんらかの不都合があってお気持ちが高まっていることが推察されます。

弊社では、お客さまが何に対して謝罪を求められているのかを明確にしたうえで、不必要な部分までは謝罪しないように指導をしております。例えば、お手間を取らせてしまったことやご心配をお掛けしてしまったこと、また勘違いを招くような表現、不快な思いなど、限定的な部分に関して謝罪をすることがポイントです。

  • 「責任者(上)を出せ」「今すぐ回答しろ」と言われた場合

このワードが出てくるときは、お客さまが訴えていることが担当者に伝わっていないと判断された場合です。オペレーターがお客さまの訴える内容への理解や状況を都度示していかなければ、このワードはおそらく減っていきません。

そのため、上席に変わるラインを明確にすることが大切です。「一次対応者が対応するのはここまで」といったラインを明確化しないと、オペレーターの精神的負担が大きくなり、離職につながるリスクも増加します。例えば、1回説明して駄目だったら変わる、担当者の態度が不満だったら変わるといったルールを、いろいろなパターンで準備しておくと安心です。

また、2人目の担当者が出てきた段階で、お客さまもいったん冷静になるので、ここも有効活用したうえでの対策を決めておくとよいでしょう。

  • 「誠意を見せろ」と言われた場合

これは企業側がどう動きだすのかを、お客さまが窺っているときに出てきやすいワードです。

「○○ではいかがでしょうか」と提案した場合に「もっと要求できるのでは?」とお客さまが判断した場合、このように言われるケースがあります。ときには、過剰な要求をされる場合もありますが、まずはお客さまが具体的にどのような対応を求めているのか、どこまで対応するのかという部分の確認が必要です。

ただし、できることと、できないことがありますので、その場では回答せずにいったん持ち帰り検討したうえで、改めて回答するという流れが肝要だと思います。

  • 「納得できない」と言われた場合

基本的には「誠意を見せろ」と言われたときと同じです。事実の確認とお客さまの要求レベルを認識して、いったん持ち帰って検討します。


――クレーム対応をする際「これはNG」という行為を教えてください。

まず、基本的に以下の対応はすべてNGです。

  • 謝罪しない
  • ひたすら謝るだけ
  • 相手に誠意が伝わらない声
  • 話を最後まで聞かずに反論する
  • 相手に対して否定的な言葉を使う
  • 相手を待たせる
  • 同じ内容を繰り返させる
  • 過度な要求に応える

これ以外にも、注意すべきポイントが3つあります。

1つ目のNGは、1人で対応することです。

クレーム対応が長時間にわたる場合や、お客さまの感情が高ぶっている場合には、心無い言葉をたくさんいただくことがあります。それに1人で対応していると、判断が鈍くなりがちです。冷静さを失う危険性もあるので、我々のコンタクトセンターでは、別のスタッフが横に立つという対応を行っています。

オペレーターの横に別のスタッフが立っているだけでも、十分効果があります。慌てているオペレーターがいたら、管理者が側に行ってジェスチャーで「大丈夫か?」と合図を送り、対応が終わるまで横にいてあげることが大切です。

次に、クレーム対応における2つ目のNGが、いきなり断ることです。

長くサービスを提供していると、その製品の特性上すぐに「あっ、これはできないな」とわかってしまうことがあると思います。例えば「カレーに砂糖入れてください」「あっ、無理です」といったケースです。

わかりきっていることでも、お客さまの立場に寄り添った対応を心がけることが大切です。まずは「砂糖を入れたい」というお話に寄り添ったうえで、お断りをすることが重要になってきます。砂糖を入れたいという気持ちに寄り添ったうえで「ちょっと難しいかもしれませんが、調べてまいります」など、対応が難しそうなニュアンスをお客さまに気づいてもらいましょう。

そして3番目のNGが、体調不良時に対応することです。

会社を代表して間違いが許されない対応を連続して実施していると、2日目や3日目にはオペレーターが追い詰められることも多くあります。それが原因で、体調不良に繋がってしまうケースもありました。

体調が悪いときは判断能力が鈍くなりがちなので、無理はさせないようにします。もし約束があれば、担当者の変更を行うか、素直にお客さまに体調不良の旨をお伝えして、別のオペレーターが対応することが多いです。


――明らかに会社側に非がない場合は、どのように対処するべきでしょうか?

丁寧に説明して、毅然とした対応でお断りするようにしています。過剰要求されるお客さまも一定数いらっしゃいますので、適切な対応が必要です。

また、殺害予告や強迫、卑猥な問いかけなどが発生する場合があります。こういった場合は、あらかじめ方針を決めておいたほうがよいでしょう。「ここまで言われたら警察と相談させていただきます」「このままですとお話が継続できないので、こちらからお電話を置かせていただきます」といったフローを決めておくと安心です。

社内で対応方針は決まっている?オペレーターが安心して仕事に取り組める体制作り

――5~10名程度の小さな会社で、適切なクレーム対応が行える体制を作るためには、何をするべきでしょうか?

まずクレームの対応方針を、社内で決めておきましょう。例えば「サービスが提供されなかった場合、納期が遅れた場合にどうするのか」「キャンセルを受けつけるのか、承らないのか」「人的被害が発生した場合に、何をお客さまに聞くのか、どこまで金銭的に保証するのか」「クーポンなどをお配りして別の機会で利用していただくのか」など、クレームの事例ごとに対応方針をあらかじめ決めていきます。

また、よくあるクレームについては、お客さまへの対応を均一化することが大切です。例えば、AさんとBさんで「Aさんはクリーニング代まで出してくれた」「Bさんは商品の返品だけで終わってしまった」など、対応にばらつきがあると2次クレームに発展する可能性が高いです。クレーム内容と結末は、都度データベースに蓄積して組織内で共有するとよいですね。

そして、クレーム対応を想定した模擬訓練の実施も必要です。弊社のコールセンターでも、二次対応をするオペレーター向けに、辛辣なクレームのロールプレイングを実施することがあります。しかし、いきなりやると次の日から会社へ行きたくなくなるので、クレーム対応が上手な従業員に対して、お客さまの立場に立って苦情を言うロープレを実施することが多いです。

例えば「ラーメンを提供されるときに、従業員の指がスープに入っていた。どうしてくれるんだ」といった、お客さま側をロールプレイングすることによって「もうこれ以上は文句言えないな……」というシチュエーションになると思います。お客さま役の従業員は、そこからたくさんのことが学べるでしょう。

また、従業員が少ない会社では、全員がクレーム対応の電話に出なくてはいけないケースもあると思います。その場合はお客さまのご用件をお伺いして、折り返しの電話をするところまでをフロー化しておけば、従業員も安心して対応できるでしょう。


――クレームを業務改善や顧客満足度の向上につなげる方法を教えてください。

基本的にクレームは、今後のサービス改善につながる内容ですので、大事に扱いましょう。まずクレームを記録し「どこに問題があったのか」「どうすれば改善するのか」を分析します。

分析する際「商品」「サービス」「納期」「従業員の態度」といったカテゴリごとに分類すると、結果を明確化しやすくなります。また、いつ発生したのかという時系列的な部分も重要なので、必ず記録に残しましょう。

そしてクレームの原因についても、製品の問題なのか、わかりにくい記載でお客さまが勘違いしやすいようなシチュエーションだったのかなどを、分析・分類しておくとよいと思います。


――クレーム対応専用のバイトやパートを雇用する場合、すぐに辞めてしまうケースも多いと思います。防ぐためにできることを教えてください。

想定されるクレーム内容の洗い出しを行い、クレームを受けた際、どのように対応すべきなのか会社として方針を決めます。そのうえで1人にさせないこと、上席としてフォローするタイミングなどのルールも決めましょう。

そしてクレーム対応した後のフォローも大事です。対応の後には、上司などが必ず声がけをするように意識しましょう。


――従業員数が5~10名程度の会社の場合、上席の方が経営者になるケースも多いと思います。クレーム対応に慣れていない経営者でも、すぐできるような対応の仕方があれば教えてください。

まず復唱確認することが大切です。また、相手の言葉を受け止めたときの、オウム返しでもよいでしょう。可能であれば自分の言葉に要約して話をしてほしいところです。

受け止めの回答を必ず挟むように訓練すると、相手の言葉を遮ることは、まずなくなるでしょう。したがって、まず復唱確認から始めるのがよいかと思います。

受け止める気持ちを大切にすることや、相手の言葉を遮らないことの重要性などをご理解いただくことが、第一歩かもしれないですね。


――最後に、クレーム対応に最も重要なポイントを教えてください。

クレーム対応は、お客さまの気持ちに寄り添うことを一番に考えてください。「クレームにきちんと向き合ってくれている」と感じると、お客さまの気持ちは落ち着きます。

そのうえで、お客さまのクレームの根底にあるニーズにしっかりと向き合い、対応する姿勢を示しましょう。

先述のとおり、クレームはサービスや商品の改善に役立ち、質を高めることにつながります。ネガティブになりすぎず、お客さまの言葉を真摯に受けとめて対応することを心がけてください。結果として、企業としても成長機会を得ることができるはずですよ。

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著者:弥報編集部
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