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【教えて!吉田先生】手元に余ったコロナ融資、他の返済に使っても大丈夫?

2021年10月現在、まだまだ新型コロナウイルス感染症収束の気配は見えませんが、業績が回復傾向にある中小事業者もいます。復調してきた事業者の中には「コロナ対策融資などで借りた資金が手元にまだあるから、他の返済や投資・運用に回したい」と検討するケースも増えているようです。

はたして、コロナ対策融資を他の用途に使っても問題ないのでしょうか。今回は財務・資金調達コンサルタントの吉田 学先生に、コロナ融資に関する疑問をQAスタイルで伺いました。

吉田 学(よしだ まなぶ)氏 財務・資金調達コンサルタント

執筆者:吉田 学(財務・資金調達コンサルタント)

株式会社MBSコンサルティング 代表取締役。1998年の起業以来、「資金繰り・資金調達支援」に特化して創業者や中小事業者を支援。これまでに1,000 社以上の資金調達相談・支援を行い、その資金調達支援総額は20億円超。主な著書に、「社長のための資金調達100の方法」(ダイヤモンド社)、「究極の資金調達マニュアル」(こう書房)、「税理士・認定支援機関のための資金調達支援ガイド」(中央経済社)などがある。また、全国の経営者・士業などを対象にした会員制の資金調達勉強会「資金調達サポート会(FSS」を主催している。
吉田学ブログ「融資・資金調達支援を武器にして法人顧問を獲得しよう!」

コロナ禍以前に借りた通常の融資があります。コロナ融資で借りた資金で返済しても問題ありませんか?

結論からいうと、原則としてコロナ融資で借りた資金を他の返済に回すのは危険ですので、やめておきましょう。手元資金が豊富だと「寝かせておくなんて、もったいない!せっかくだから有効利用しよう」と思われるかもしれません。

例えば「日本公庫から借りたコロナ特別融資で、A信用金庫の利率の高いプロパー融資500万円の返済をしたい」「B信用金庫から借りたコロナ保証で高金利のノンバンク融資や個人の負債などを返済したい」、また「手元にある資金で新たな新規事業を始めよう」と考えている事業者もいるかもしれません。しかし、そのような使い方をすると「資金使途違反」になる可能性があります。

資金使途違反とは、融資の申し込みをした際の「使い道」を守らずに、他の目的で使ってしまうことです。

例えば「運転資金で借りた資金を設備資金に使ってしまった」「知り合いの企業に資金を貸してしまった」「設備資金をまったく関係のない投資に使ってしまった」など、さまざまな資金使途違反があります。

資金使途違反をすると、最悪の場合「一括返済」を求められるケースもあります。一括返済を免れても、今後その金融機関から融資を受けることができなくなるかもしれません。

信用保証協会保証付き融資で調達した資金で、既に金融機関から借りているプロパー融資の返済をしてもいいのでしょうか?

その行為は「旧債振替」と言いまして、原則禁止とされています。公的制度である信用保証制度が、事実上、金融機関の債権回収に充当されることになりますので、基本的に認められていません。コロナ対策の融資は「一時的な業況悪化を来している方を対象とし、新型コロナウイルスの影響に伴う社会的要因等により必要とする設備資金および運転資金を資金使途とする」とされています。

しかし経営上プラスになるという理由で事業者が希望し、信用保証協会があらかじめ承認した場合には例外的に認められるケースもあります。

なお、コロナ対策で実施された「実質無利子・無担保融資(保証)」については、金融庁の要請にて『実質無利子・無担保融資(保証)』が実行されるまでのつなぎ融資の旧債振替については画一的には禁止をせず、個々の事情を踏まえて判断すること」としています。

この要請はコロナ禍という非常事態における「つなぎ資金」に対して、許容しているということですね。

どうしても融資申請した際の資金使途と異なる使い方をしたい場合には、先ずは顧問税理士や外部の資金調達専門家に相談してみることをお勧めします。

コロナ禍で多くの事業者の業績が悪化していると思いますが、手元資金が豊富な事業者は本当にいるのですか?

驚くかもしれませんが、手元資金が豊富な状況の事業者は存在します。2020年に発生した新型コロナウイルス対策として、日本政策金融公庫では「新型コロナウイルス感染症特別貸付」、民間金融機関においては20213月末に終了しましたが「実質無利子・無担保融資(保証)」が実施されました。これらの制度を利用して多くの事業者が、融資による資金調達をされたのではないでしょうか。

コロナ禍により甚大な影響を受けている飲食店や宿泊事業者の多くは、いまだ資金繰りに苦慮していることと思われます。一方で実は他業種では「借りすぎ」てしまって、手元資金が余った状態にある事業者がいるのも事実です。

コロナ対策融資では、据置期間を3年や5年という設定で借入ができた事業者もいます。その間、返済は必要ありませんから、売上高も平常時に戻っている事業者においては、手元資金が余っている状況です。

東京商工リサーチが202178日に発表した、2021年上半期における負債1,000万円以上の企業倒産件数は、前年同期比23.9%減の3,044件でした。この数字は、過去50年間で1990年に次ぐ2番目の低水準だそうです。政府の資金繰り支援が倒産を抑制した結果となりますが、驚いてしまいますよね。実際に「倒産が少ない」ということは「資金繰りに苦慮していない」事業者も、確かに存在しているということになります。

参照:月次全国企業倒産状況|株式会社東京商工リサーチ

金融機関から「手元に余っている資金で投資をしませんか?」と勧誘を受けました。コロナ融資で投資をしても、問題はないのでしょうか?

このような提案をする金融機関が実際にあるようですが、原則としてはあってはならないことと考えておきましょう。

繰り返しになりますが「新型コロナウイルス感染症特別貸付」や「実質無利子・無担保融資(保証)」は、新型コロナウイルスの影響を受けて、業況が悪化している事業者のための特別に優遇された資金です。それ以外の使途は、原則的に認められていません。

もし、こういう提案をされたら「それって、資金使途違反になりませんか?問題ないのですか?」と質問してみてください。また、念のために顧問税理士に確認するといいでしょう。

コロナ禍が終息して、コロナ禍以前のような経済・景気状況に戻るまでには、それなりに時間がかかるかもしれません。それまでに手元資金を確保しながら、経営を安定させたいという考えも決して間違っていません。

そして経営が安定したと自信を持って確信できた際に、コロナ資金を一括返済してもよいでしょうし、事業拡大のために別の事業用途などに使えないか、前向きに金融機関に相談するのも1つの方法です。

新型コロナウイルスの状況がまだまだ不安定である現段階において、リスクのある金融商品にコロナ資金を回してしまうのではなく、よく検討してみてくださいね。

 


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