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まだまだできるコロナ禍における資金調達!銀行融資以外の選択肢は?

2020.12.01

コロナ禍にあり、多くの中小事業者が日本政策金融公庫の実施している実質無利子コロナ特別貸付、または民間金融機関による実質無利子・無担保融資を利用して、資金調達をしているのではないでしょうか。

しかし、先行きが見えない中、さらに資金が必要な時にどうやって調達をすればよいのか不安を感じている経営者の方も少なくないかと思います。

そのような時にどのように資金調達をすべきか、また資金流出を防ぐためにはどうすればよいのかについて、今回は解説いたします。

これからできる資金調達方法、資金繰り対策

新型コロナウイルス感染症が終息しなければ、さらに多くの中小事業者の資金繰りに支障が出るかもしれません。今後とも手元資金を維持するためには資金調達方法を模索し、かつ手元資金の流出を防いで、資金繰りの悪化を防ぐことが重要になります。

現在、日本政策金融公庫(日本公庫)の実質的無利子コロナ特別貸付、民間金融機関の実質無利子・無担保融資の他にも、以下のような新型コロナウイルス対策の資金繰り・資金調達策を用意しています。

  • 日本政策金融公庫等の既往債務の借換、新型コロナ特例リスケジュール
  • 小規模企業共済の特例緊急経営安定貸付等、経営セーフティ共済の特例措置
  • 持続化給付金、家賃支援給付金、ものづくり・商業・サービス補助金、持続化補助金、IT導入補助金、雇用調整助成金
  • 経営資源引継ぎ・事業再編 支援事業
  • 中小企業向け資本性資金供給資本増強支援事業
  • 個人向け緊急小口資金等の特例
  • 納税猶予・納付期限の延長、厚生年金保険料等の猶予制度
  • 電気・ガス料金の支払猶予等、NHK放送受信料の免除

出典:新型コロナウイルス感染症関連ページ内「支援策パンフレット(PDF)」|経済産業省

以下、簡潔にご説明いたします。

日本政策金融公庫等の既往債務の借換、新型コロナ特例リスケジュール

日本政策金融公庫等の新型コロナ特別貸付などは、既往債務の借換も可能とし、実質無利子化の対象としています。すでに活用している事業者もいると思われますが、改めて自社の既往融資の借換が可能かどうかについて確認することをお勧めします。

新型コロナ特例リスケジュールとは、中小企業再生支援協議会が窓口相談や金融機関との調整を含めたリスケジュール計画策定支援を行うものです。しかしながら安易にリスケをするのではなく、顧問税理士などに事前に相談してください。

これらの制度は新たに資金調達をするわけではありませんが、現金の流出を抑える効果があります。

〈窓口〉

小規模企業共済の特例緊急経営安定貸付、経営セーフティ共済の特例措置

特例緊急経営安定貸付とは、小規模企業共済の契約者に対して事業資金を貸し付ける制度となっています。貸付限度額は掛金の範囲内(上限2,000万円)で無利子、無担保、無保証人制度です。

また、経営セーフティ共済の契約事業者に対しては「掛金の納付期限の延長」や「掛金月額の減額」などが実施されています。これも手元資金の流出を防ぐことができます。

〈窓口〉

持続化給付金、家賃支援給付金、ものづくり・商業・サービス補助金、持続化補助金、IT導入補助金、雇用調整助成金

持続化給付金、家賃支援給付金に関して、現在は対象となっていない事業者でも、今後は売上が減少した場合は対象となるかもしれません。「自分たちは関係ない」と考えず、意識をしておいてください。

また、ものづくり・商業・サービス補助金、持続化補助金、IT導入補助金については申請や手続きなどが面倒だと、避けている事業者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。各窓口には相談窓口もありますし、顧問税理士などに相談をして申請の可能性を探ってみましょう。

また、雇用調整助成金の特例措置については対象期間が20212月末まで延長されることが発表されました。申請が面倒そうといった理由で躊躇して申請手続きなどをしていない事業者の方は、社会保険労務士や下記の相談窓口などに相談をしてみてください。

〈相談窓口〉

経営資源引継ぎ・事業再編 支援事業

現在、新型コロナウイルスの影響を受けている後継者不在の事業者の経営資源引継ぎや事業再編等を支援する「経営資源引継ぎ補助金」「中小企業経営力強化支援ファンド」などが実施されています。対象になりそうな事業者の方は、ぜひ検討しましょう。

〈相談窓口〉

中小企業庁

  • 経営資源引継ぎ補助金:経営資源引継ぎ補助金事務局 TEL 03-6629-9134
  • 中小企業経営力強化支援ファンド:中小企業庁事業環境部財務課 TEL 03-3501-5803

中小企業向け資本性資金供給・資本増強支援事業(資本性劣後ローンなど)

資本性劣後ローンとは、貸付期間が51か月、10年、20年の「期限一括返済」の融資制度です。つまり、借りた資金をすぐに返済する必要がありません。この制度を利用できれば、資金繰りの安定を図ることができます。

ただし要件も厳しいので、詳細については日本政策金融公庫などに直接相談してみましょう。また、活用できる事業者は限定されると思われますが、資本の増強支援としては「中小企業経営力強化支援ファンド」「中小企業再生ファンド」などがあります。

〈相談窓口〉

中小企業経営力強化支援ファンド/中小企業再生ファンド:中小企業金融相談窓口 0570-783183

個人向け緊急小口資金等の特例

社会福祉協議会が窓口となって「緊急小口資金」「総合支援資金(生活支援費)」なども実施されています。これらの制度は非正規の方や個人事業主の方も含まれますので、小口ではありますが、必要に応じて検討することをお勧めいたします。

〈窓口〉

納税猶予・納付期限の延長、厚生年金保険料等の猶予制度

新型コロナウイルスの影響により納税が困難となった事業者に対して、納税猶予や納付期限の延長が実施されています。また同時に1年間、特例として厚生年金保険料・労働保険料等の納付の猶予も実施されています。

これらの猶予が認められれば、手元資金の流出を防ぐことができて資金繰りの安定に貢献します。ただし、安易に判断するのではなく、本制度を利用するに際してはメリット・デメリットを事前に顧問税理士や社会保険労務士に相談し、慎重に判断することをお勧めします。

〈窓口〉

電気・ガス料金の支払猶予等、NHK放送受信料の免除

現在、電気・ガス料金の支払いの猶予について、国から業界に柔軟な対応を行うことが要請されています。また「持続化給付金」受給事業者を対象としたNHK放送受信料の免除も実施されています。電気・ガス料金の支払いに関しては、まずは契約している事業者に相談してください。猶予が認められれば、手元資金の流出を防ぐことができて資金繰りの安定に貢献します。

〈窓口〉

新型コロナウイルス関連融資の追加借り入れの可能性について

すでに多くの事業者が、新型コロナウイルス関連の融資を利用されていると思われますが「今後、新型コロナウイルスの融資の追加申請をしたい」という事業者の方もいるのではないでしょうか。日本政策金融公庫などが追加融資について門前払いすることはないはずですが、無条件で追加融資に応じるようなこともないと思われます。

事業者側としては「すでに借りた資金でどういう新型コロナウイルス対策をしてきたのか?」「その結果はどうだったのか?」など、これまでに実施してきた対応策などについてしっかりと説明できる準備をしておくことが必要です。「対策として融資を借りたものの、今後の事業継続のためにはいくらの資金が必要である」という改善計画をぜひとも準備しておきましょう。

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この記事の著者

吉田 学(よしだ まなぶ)

財務・資金調達コンサルタント
株式会社MBSコンサルティング 代表取締役。1998年の起業以来、「資金繰り・資金調達支援」に特化して創業者や中小事業者を支援。これまでに1,000 社以上の資金調達相談・支援を行い、その資金調達支援総額は20億円超。主な著書に、「社長のための資金調達100の方法」(ダイヤモンド社)、「究極の資金調達マニュアル」(こう書房)、「税理士・認定支援機関のための資金調達支援ガイド」(中央経済社)などがある。また、全国の経営者・士業などを対象にした会員制の資金調達勉強会「資金調達サポート会(FSS)」を主催している。

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