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コストのかかるタイムスタンプも弥生なら無償に?!短期・低コストで電子帳簿保存法に対応するコツ
2018.05.07
著者:弥報編集部
会計ソフトで経理をデジタルに処理しているのであれば、帳簿書類もすべてデジタルで管理するのが理想です。従来、紙で受理した請求書や領収書などの証憑類は、紙での原本保存が義務付けられていましたが、電子帳簿保存法の改正によって、電子媒体による保存が認められるようになりました。
2016年度の規制緩和では、スマートフォンのレシート撮影も許可されるなど、小さな会社でも導入しやすくなってきています。条件の厳しさから導入をあきらめていた方も、もう一度検討してみてはいかがでしょうか。この記事では、電子帳簿保存法に対応するための条件とその手順、そして、弥生会計ユーザーならではのメリットをご紹介します。
目次
ペーパーレスだけじゃない!スキャナ保存によるメリット
帳簿書類の保存期間は、原則7年(ただし欠損金のある場合は9年)です。帳簿書類の中でも請求書やレシート、領収書などの証憑類は、とくに枚数が多く、ファイリングの手間や保管場所の確保といったコストがかかります。これらの負担を軽減するためにつくられたのが電子帳簿保存法の『スキャナ保存制度』です。スキャナ保存制度を利用すると、紙で受け取ったレシートや請求書、契約書などをスキャナなどで読み取り、デジタルデータで保存することで、紙の原本を破棄できるようになります。
ペーパーレスによって保管コストが削減できるのはもちろんですが、もう1つのメリットは、帳簿書類を一元管理できることです。弥生会計などのソフトで作成した帳簿データは、パソコンやクラウド上に保存されているのに対し、原本を箱に入れて倉庫などに保管している場合、過去の取引内容を調べるには、該当する契約書や領収書を探し出さなくてはならず、膨大な時間がかかります。すべての書類が電子化されていれば、検索機能などで簡単に見つかります。また、クラウドなど安全なセキュリティ環境で保管することで、災害による紛失や焼失からも保護できるメリットがあります。
スキャナ保存ができる書類と保存するための要件
金額の上限なく、すべての帳簿書類が電子保存可能
スキャナ保存の対象となるのは、仕訳帳や総勘定元帳などの帳簿や決算関係書類以外の、領収書や契約書、請求書、納品書、見積書などの書類です。以前は、契約書や領収書は3万円未満のものに限られていましたが、現在は金額の制限がなくなり、すべてスキャナ保存できるようになりました。帳簿や決算書類は、スキャナ保存の対象ではありませんが、もともと会計ソフトで作成していますので、データのまま保存しておけばOKです。
スキャナ保存の可否
書類の種類 | 電子保存 | スキャナ保存 |
帳簿(仕訳帳・総勘定元帳など)、決算書類(貸借対照表、損益計算書など) | ○ | × |
契約書、領収書、請求書、納品書、送り状、預り証、借用証書、預金通帳、小切手、約束手形、見積書、注文書、検収書など | ○ | ○ |
レシートを受け取ったら、すぐにスマホでスキャンできる
すべての書類を電子化するのが大変であれば、まずは領収書(レシート)だけ、といった部分的な導入も可能です。件数が多く、保管コストの削減効果の高いものから電子化を進めるといいでしょう。
スキャンする機器については、「原稿台と一体型に限る」という要件が解除され、スマホによる読み取りも認められています。例えば、社員が社外で受け取ったレシートをスマホで撮影して、すぐに経費申請するなど効率化が可能です。
システム要件は弥生会計がクリア済み
スキャナ保存をするためには、以下の表のような要件を満たす必要があります。「バージョン管理」「帳簿との相互関連性」「検索機能の確保」は、弥生会計がもともと備えているので、新たなシステム構築は不要です。すでに領収書の入力処理に「スマート取引取込」のスキャンデータ取込を利用しているなら、今まで通りの業務の流れのまま、簡単にスキャナ保存制度に対応できます※。
※弥生製品が対応しているのは、領収書・レシートのみです。
スキャナ保存の主な要件
入力期間 | 【早期入力方式】受領後1週間以内 【業務処理サイクル方式】通常の期間(1カ月以内)のあと1週間以内 【適時入力方式】見積書、注文書などの一般書類は適時に入力する |
タイムスタンプの付与 | 読み取ったデータごとにタイムスタンプをつける。受領者本人が読み取る場合は、署名の上、3日以内にタイムスタンプを付す |
読み取り解像度 | 解像度200dpi以上、256階調以上(カラー) |
バージョン管理 | 訂正または削除した際、その事実および内容を確認できるようにする |
適正事務処理要件 | ① (相互けん制)読み取り、タイムスタンプの付与などの処理をそれぞれ別の担当者が行う※ ②(定期的な検査)処理に問題がないか定期的なチェックを行う体制づくり※ ③(再発防止)不備が見つかった場合に改善策をとる体制づくり ※小規模企業の場合、②を税務代理人が行う場合①は不要 |
帳簿との相互関連性 | 国税関係書類と帳簿とのデータ間で相互に関連性を確認できる |
見読可能装置など | 一定要件を満たすフルカラーディスプレーとプリンター、これらの操作説明書を備え付ける |
システム書類 | システムの概要を記載した書類等を備え付ける |
検索機能の確保 | 取引年月日、記録項目による検索ができる |
現在のワークフローに合わせて導入できる
スキャナ保存の要件の1つとして、文書の改ざんを防ぐために、入力期限が設けられています。とはいえ、会社によって経理の処理するタイミングは異なります。例えば、社員が仕事で使うものを立て替え購入した際、その都度、経費を精算する会社もあれば、月の締め日にまとめて経費申請する会社もあるでしょう。そこで、既存の業務工程のまま、スキャナ保存が導入できるように、その都度処理する「早期入力方式」または、締め日に合わせて処理する「業務処理サイクル方式」の2通りの期限が設けられています。
また、見積書や注文書などの一般書類については、厳格な期限はなく、適切な時期に処理できる「適時入力方式」があります。もし、入力期日に間に合わなかったときには、紙の原本を保存しておきましょう。
入力期間
早期入力方式 | 受領後1週間以内 |
業務処理サイクル方式 | 業務の処理にかかる通常の期間(受領後1カ月以内)より1週間以内 |
適時入力方式 | 一般書類は適時に入力 |
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読み取ったデータには、一般財団法人日本データ通信協会に認定されたタイムスタンプを付す必要があります。以前は、このタイムスタンプの費用が高く、中小企業への導入の妨げになっていました。現在は、認定事業者やサービスの種類が増えて、月額1万円前後から導入できるようになっています。
「弥生会計」または「やよいの青色申告」で弥生のあんしん保守サポート中なら利用できる「スマート取引取込機能」は、必要なタイムスタンプをシステム付与するので余計なコストもかかりません。
スキャナ保存導入の手順
スキャナ保存する書類を決めたら、システム関連書類や規定、業務フローなどをまとめたドキュメントを作成して、所轄の税務署に申請します。スキャナ保存を開始する3カ月前に申請する必要があるので、余裕を持ってスケジュールを立てましょう。
ドキュメントを作成するための資料や、税務署に提出する申請書については、下記のページから一式ダウンロードできます。事業規模別に、必要な書類のひな型を用意しているので、ぜひご活用ください。
ペーパーレス化の実現には、社内の理解が不可欠です。保管コストの削減、業務効率の向上、可視化による経営改善といったメリットにより優先順位をつけて、導入効果の高いものからはじめてみてはいかがでしょうか。
この記事の著者
弥報編集部
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