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自社に合った税理士が見つかる!「○○に強い税理士」の選び方
2024.09.17
顧問税理士は、会社の数字を始めとしてさまざまな内情を知る立場にあります。税務申告だけでなく、会社が成長するための支援も行ってもらいたいと考えたことはありませんか。自社に適した税理士を見つけられれば、期待するサポートを受けられる可能性も高くなります。
しかし、多くの中小企業では税務申告のために決まった作業を毎月行ってもらうだけで、税理士をうまく活用できていません。今回は、税理士法人ベルダの林健太郎さんに、自社に合った税理士を見極める方法や税理士を選ぶポイントなどについて紹介します。
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目次
税理士にも得意・不得意分野があるって本当?
まず、一般的に年間を通して税理士が行う仕事の概要を教えてください。
税理士の仕事は多岐にわたります。主な業務には、税務申告、会計業務、税務調査対応などがあげられます。税務申告では、所得税、法人税、消費税などの申告書を作成し、提出します。会計業務では、企業や個人の会計帳簿を作成し、財務諸表を作成します。また、給与計算や年末調整も行い、従業員の給与計算や所得税計算なども含まれることもあります。
年間を通して行う業務ではないものの、専門知識が必要になるような業務内容を教えてください。
まずあげられるのは、相続に関連する業務です。相続が発生した際には、相続税の申告書を作成して提出しますが、相続財産の評価や遺産分割のアドバイスも行います。相続税は複雑な法律や計算がかかわるため、高度な専門知識が求められます。
また、相続税対策に付随して発生する事業承継対策もあるでしょう。経営者が引退する際の税務上の最適化や手続きのサポートなどがこれに該当します。親族承継以外にも、第三者承継であるM&Aに関する対応などもあります。その他、組織編制による合併や分割などの業務も担当します。
税理士によっては、対応業務の得意・不得意があるのでしょうか?
はい。税理士は複数の業務を請け負うため、幅広い知識とノウハウが求められますが、税理士も人間であり、得意な分野もあれば苦手な分野もあります。特に、先述した専門知識が必要になる相続や事業承継などに関する業務は、通常の税務申告や会計業務とは異なり、特定の状況に応じた専門知識が必要となります。加えて相続業務にあたる頻度は低く、企業によって状況も異なるので、経験を積むこと自体が難しいのです。そのため、税理士によってはこれらの専門知識や経験を必要とするケースの対応が、不得意と感じることも多いようです。
また、得意・不得意とは少し異なるかもしれませんが、税理士のスタンスもさまざまです。例えば会計帳簿の記帳や、税務申告対応といった標準的な業務を中心に行うタイプもいれば、貸借対照表の見方の解説を行い、経営全般に関するアドバイスまでする踏み込んだタイプもいます。
どのような税理士が良いかは一概に言い切れません。実績や特性などから自社に合った税理士を見つけることが重要です。
税理士に何を求めるべき?自社の要望を明確にしよう
自社の業界・業種、サービスに精通した税理士と契約をするメリットを教えてください。
特定の業界に特化した税理士は、特有の税務や会計の知識を持っているため、より的確なサポートを提供できます。例えば製造業などでは、設備投資は必要不可欠です。製造業のクライアントを多く持つ税理士であれば、設備投資の可否の判断方法を把握しており、具体的な導入シミュレーションなどの良いアドバイスをすることが可能です。また、業界の動向やトレンドも理解しているため、原価計算などを含む経営戦略の立案や財務計画の策定においても、有益な助言を提供してもらえることもあります。
さらに、業界に特化したネットワークやリソースを持っていることも、大きなメリットです。医療業界や非営利団体など、特定の業界に特化した税理士は以前からいましたが、最近では美容院やカフェなど、より細分化された専門性を持つ税理士も増えています。業界ならではの情報網や横のつながりなども得られる可能性が高まるでしょう。
将来の「新規事業」や「相続税対応」などに備えて、その分野に強い税理士を選ぶべきでしょうか?
もちろん将来を見据えて特定の分野に強い税理士を選べば、事前に相談し、早めの対策を講じることができます。ただ、税理士の役割として一番重要なのは、現在の会社状況を理解し、税務と会計の分野から経営をサポートする点です。一般的には、顧問税理士契約を結ぶと長年にわたり継続する企業が多いですが、税理士に求めることは創業期と成長期には変わってくるケースも大いにあります。
「必ず継続しなければいけない」というわけではありませんので、場合によっては企業成長の度合いやニーズに合わせて、柔軟に顧問税理士を変更するという選択肢もあるでしょう。例えば、創業期には業界に詳しい税理士に依頼して税務と会計の基礎を固め、成長期には他業種にも知見が豊富で、自社に寄り添ったコンサルティングが得意な税理士に変えてみる、などの方法も有効です。
税理士を上手に活用するために、税理士を探す前にすべきことがあれば教えてください。
まず何より、自社のニーズを明確にすることが大切です。どのような税務サービスが必要なのか、具体的にリストアップしましょう。例えば税務申告の代行、経営コンサルティング、相続税対策など、必要なサービスと求める内容を明確にすることで、適切な税理士を選びやすくなります。記帳は自社で行って決算時のみ税理士に対応してもらいたいのか、経理全般を任せたいのかなど、具体的な要望を整理しましょう。さらに希望するコミュニケーションの頻度や方法などもイメージしておくと、税理士を選ぶ際の基準になります。
自社に合った税理士の探し方
自社に合う税理士を探す際には、どのような方法が有効でしょうか?
やはり有効なのは、同業他社や経営者仲間からの紹介です。業界や会社経営についてよく知っている人からの紹介というのは信用度や正確性も高く、紹介された側の税理士の対応も丁寧になる傾向があります。ただ相性が合わなかった場合、紹介者の手前、簡単に変更しづらいというデメリットも想定されます。
また、金融機関からの紹介も精度が高いです。金融機関はさまざまな業界とつながりがあり、税理士が作成した決算書をよく見る立場にあることから、税理士に関しても情報を多く持っているケースが多いです。例えば「資金繰りを定期的にチェックしてもらいたい」「親身に相談にのってもらいたい」などといった細かな要望を担当者に伝えることで、適した税理士を紹介してもらいやすくなります。
最近の方法としては、ネット検索でWebサイトから問い合わせる方法もよいでしょう。得意分野や実績などを、Webサイトで詳しく紹介している税理士も多いので参考になります。またSNSなどがある場合は発信内容もチェックすることで、税理士の得意分野やスタンスを把握できるでしょう。
税理士事務所の規模感も重要です。Webサイトの情報をしっかりと確認しましょう。大手では中小企業に対して対応が手薄になるケースも多いため、しっかりとサポートしてもらうために、小~中規模の税理士事務所を選ぶこともありです。
「対面で話したい」「迅速に対応してもらいたい」といった要望がある場合は、物理的に自社に近い税理士事務所を探すのも良策です。もちろんオンラインでもやり取りはできますが、レスポンスが早く、何かあったらすぐ駆けつけてくれるという点は安心感があり、高い満足度にもつながります。
税理士との初回面談で、確認すべきポイントを税理士目線で教えてください。
まずは自社の事業や要望を伝え、税理士の反応を見ましょう。自社に関心を持ってくれる税理士でなければ、長期的なパートナーシップを築くことが難しいです。例えば昨年の決算書を共有し、どのようなアドバイスや意見が出てくるかなども判断基準になります。
業務範囲の認識合わせ、ミーティングの頻度・方法のすり合わせもこのタイミングで行います。仮に対応できなかったとしても、単純に「できない」と回答するのか、それとも譲歩ポイントを一緒に見出してくれるのかで、今後の対応姿勢が見えてきます。
また、特定の業務に関して実績がない場合でも、取り繕おうとせず「この分野はわからない」と回答するかどうかも誠実度がわかるでしょう。本人に知識がなくても、該当業務の専門知識を持つ人を紹介できるといったアドバンテージを持っている場合もあるので、まずは相談してみて様子を伺ってみましょう。
併せて料金体系や契約条件も先に相談しておきましょう。業務内容を打ち合わせして、見積書を出してもらうこと、追加費用が発生する場合の条件などを確認し、予算に合った税理士を選ぶことも重要です。あまりに費用が安すぎる場合は、サポート内容もそれ相応となることが予想されます。形式的な対応だけで十分な場合は検討してもよいかもしれませんが、しっかりとしたサポートを求めるのであれば、ある程度のコストを想定する方が無難です。
忘れがちですが、実際の担当者はだれになるか、税理士との面談する頻度の確認も重要です。いざ契約すると税理士と会う機会がないといったケースもあるので、必ずチェックしてください。最終的には人同士のコミュニケーションが大切になります。担当者は意思疎通が容易で、要望を理解してくれる人でなければいけません。いろいろと教えてくれる年上がよいのか、意欲のある年下がよいのかといった、希望する税理士や担当者の具体的な人物像もイメージしておくとよいでしょう。
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この記事の著者
弥報編集部
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この記事の監修者
林 健太郎(税理士法人ベルダ 公認会計士、四国大学 特認教授)
監査法人トーマツにて監査業務、辻・本郷税理士法人で税務業務、管理会計コンサルティング業務を担当。2011年に独立し、会計による経営への役立ちと税務の両立を目指した顧問業務を提供。著書「すぐわかる中小企業の管理会計『活用術』」は、Amazon財務管理カテゴリでベストセラー1位。豊富な実践ノウハウとわかりやすさに定評がある。
徳島県鳴門市出身、一橋大学経済学部卒業。
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